Space&Time Prism300a , Prism200a , Prism100a
Audioquest G-SNAKE , ALFA-SNAKE

RCAケーブル・音質テスト

低価格帯の高音質RCAケーブルとして、従来より逸品館でお薦めしてきましたSpace&Time(スペースアンドタイム)社のPrism(プリズム)シリーズのモデルチェンジに伴い新製品と、新たにAudioquest社のローエンドRCAケーブル、ALFA−SNAKE、G−SNAKEの音質テストを行いました。

Space&Time(スペースアンドタイム)

Audioquest(オーディオクエスト)

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Prism300a/1.0m Prism200a/1.0m Prism100a/1.0m G-SNAKE/1.5m ALFA-SNAKE/1.5m
\8,200(税別) \6,800(税別) \5,200(税別) \4,400(税別) \2,500(税別)

その他の長さとメーカー標準価格(税別)

\10,800/2.0m

\9,200/2.0m \6,700/2.0m \3,200/0.5m
\5,000/2.0m
\6,200/3.0m
\8,000/4.5m
\2,000/0.5m
\2,700/2.0m
\3,200/3.0m
\4,000/4.5m

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各ケーブルの特徴

Space&Time

世界でも最高のSA−OF8N(スーパーアニーリング8N無酸素銅)を導体に使用。

絶縁体に帯電による歪みを防止するため、新素材のSVPE(不変化化学原子ポリエチレン)を採用。

剛性の高いプラグが採用され、確実な接続と接続部分での不要な振動を低減。

ケーブルには「シグナルシャトル(紫色のリング)」が装着され、ケーブルをスッキリとまとめる助けとなるだけでなく、ケーブルの不要な振動を除去しS/N比を改善する。

シグナルシャトルに貼付してケーブルをマーキング(識別)するためのシールが付属しているので、煩雑な配線時に接続を助けケーブルをスッキリまとめることができる。

シールド材には、銅メッシュ線に加えアルミ箔が使用され、通常のシールド線よりもS/Nを劣化させる高周波ノイズを強力に遮断する。

信号の方向性が矢印で表示されている。

300a/200aのみ
オーディオ用ケーブルとして理想的な、HOT(信号ライン)とCOLD(アースライン)がそれぞれ独立した2重(2芯)同軸構造が採用されている。

Audioquest

米国カリフォルニア州アーバインに最新設備の研究所、工場を備えるオーディオ・クエスト社は“より高純度な信号伝送の実現”を開発理念とする、創業20年のハイエンド・オーディオケーブルメーカー。

今や世界屈指のスピーカーメーカーとなったB&W(Bowers&Wilkins)社のボイシング(音質検討)用のケーブルとしても使用されている。

日本の輸入代理店は、オーディオ専門メーカーとして定評のあるMarantzが担当し、米国内での販売価格に準じた良心的な価格設定がなされている。

各ケーブルの音質

Prism300a

高純度の導体を採用したケーブルらしく、音が細やかでキリッとして透明度が非常に高く、輪郭のクッキリしたいわゆる「解像度感」が非常に高く感じられる印象の音。

輪郭がハッキリ描かれるので、全体的に音が前に出てくる感じが強く、「細かい部分まで非常にクッキリと描き出される」感じがある。

「解像度感が高い」副作用で、色彩感がやや薄く感じられ「モノトーン」なイメージがある。

「輪郭感が強い」副作用で、立体感(奥行き感)がやや少なく「平面的」なイメージがある。

楽器やボーカルなどの音がやや硬く「金属的」に感じられる嫌いがある。

以上の点から判断して、その純度は、ortofonやACROTEC(現ACROLINK)の2〜5万円程度のケーブルに匹敵するほどの高いレベルにあって、オーディオ用ケーブルとしてのコストパフォーマンスは驚くほど高く、「音質重視」のマニアには是非お勧めしたい優れたケーブル。

ただし、どちらかといえば雰囲気よりも音質重視のイメージが強く、音楽を柔らかい雰囲気で聴きたいとお考えの方には好まれないかも知れない「マイナス点」も存在する。しかし、テストに供した300aが全くの新品であったことを考慮すると、これからのエージング(使い込み)によって、それらの「マイナス点が解消する」可能性は非常に高いと思われた。

Prism200a

300aよりも「強調感」が少なく、自然な感じがあり、音楽的な雰囲気やニュアンスもより良く感じられる。

「解像度感」もやや低くなるが、それも自然な感じに繋がっている。

しかし、それでも残されている「強調感」のために、やや単調で平面的な感じがあり、すこしうるさい感じ、平面的な感じが強い。

メリハリの強い音調は、電子楽器を多用するPOPS、ROCK、フュージョンなどに向いていると思われる。

Prism100a

200aよりもさらに「強調感」が少なく、今回テストしたSpace&Timeの中では、最も自然な感じがある。

「強調感」が無くなったため、より「自然に音楽を聴く」ことができ「軽快な躍動感、ニュアンスの豊富さ」も良く再現される。

各楽器の「鳴りのバランスが良く」、ボーカルと楽器のバランスや繋がりも良く、全般的なバランスに優れてはいるが、それでもまだ「メリハリが強く」現代的なHiFiサウンドという印象が強い。

300a、200aと比べると低音がやや薄く感じられる。

販売価格を考慮すると、音質クォリティーに優れた現代的なケーブルとしてのコストパフォーマンスが高く、お薦めできるケーブルだと言えるが、旧モデルの100iとは音調がやや異なり、価格的にも近い旧モデルの200iや500iに近い音調になっている。良い意味での現代的なサウンドを提供してくれるケーブルだと思う。

ALFA−SNAKE

Prismシリーズに比べると、音が明るく、雰囲気が軽快。

空間が広く、音楽の抑揚も大きく感じられる。

あらゆる強調感がほとんど無く、楽器とボーカルのタイミングも合っている。音楽の雰囲気、ニュアンスが自然で深い。

非常にそつなく上手くまとめられているが、その分大きな魅力が感じられない。

私が行う音質テストは、不要な先入観を避けるため「できる限り事前にカタログなどを見ない」で行うようにしている。もちろん「価格」も知らないままテストをする。テストの後、とにかくこのケーブルの「価格が安い」ことにおどろいた。さすがに老舗のケーブル屋らしく、最低価格の製品も「手抜きのないヒヤリング」が行われていると感じさせられる。Prismのように強い個性や音質的な大きな特徴はないが、逆に「これだけ自然に音楽を感じさせる」のは、素晴らしい性能だといえる。

アコースティックな音源が主体の音楽、クラシック、JAZZ、ちょっと古いPOPS、弾き語りのPOPS、フォークソング、などの音楽に適している。また、レコードプレーヤーやチューナー、カセットデッキといった「アナログ機器の接続」には、これだけのクォリティーがあれば十分でこれ以上は要らないだろう。

G−SNAKE

Prism 300aの直後に聴いたので、一瞬「音がこもる」、「解像度が低い(輪郭がボケている)」と感じられたが、それは逆を返せば、300aがその部分では、群を抜いて優れているということだと解釈できる。

逆に、このケーブルで強く感じられたのは「バランスの良さ」、「エコーの美しさ」、「色彩の濃さ」など「音楽表現のキーポイント」となるべき部分での「完成度の高さ」で、安心して聴いていられる感じを持った。

しかし、やはり「そつなくまとまっている感じが強い」が「それ以上でも以下でもなく」、決定的な魅力に欠ける印象が強い。それは決して「安いから」だけではなく、音質自体はALFA−SNAKEを確実に上回るものの、今一歩「性能」が足りないのかも知れない。

今回の結論

「音の良さ」という部分で「強い個性」を感じさせる“Prism300a”は、オーディオの限界を求めようとする目的を「驚くほどの低価格」で叶えてくれる。今なら私も、決してそれだけが「オーディオの目的」ではないと知っているが、とにかくオーディオの登竜門にあって「音質の追求」は、避けられない旗門であることは、紛れもない事実だから、他社製2万円〜5万円のケーブルに匹敵する性能をこの低価格で実現しているこの製品は、自信を持ってお薦めしたい。

「バランスの良さ」を「驚くほどの低価格」で実現している“ALFA−SNAKE”は、「音楽を心地よく聴く」という目的をあっけないほど簡単に叶えてくれる。HiFI調に偏りすぎた国産製品や、国産AV機器の「硬さ」、「奥行き感の乏しさ(平面的)」、を緩和し「心地よさ」を引き出してくれる。確かに「決定的な魅力」には、欠けるけれど、本来「音楽を聴く」ためには、このケーブルのベーシックな性能で過不足は生じないはず。これ以上の「プラスアルファ」を望まれるなら、もう少し投資して「AIRBOWの製品」を求められれば、より大きな「満足感」が得られると思う。

2005年3月20日 清原 裕介