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フォノイコライザーアンプ EMT"128" 、 Pro-Ject"Phono Box DS2"

MCカートリッジ EMT"HSD-006(純銀巻線)" 、 Phasemation "PP-500" 比較試聴

このテストレポートは、リニューアルされた新しい逸品館.comでより快適にご覧いただけます。
https://www.ippinkan.com/news/2022/07/02/4454/

  

  

 

  

 

  

逸品館が推奨するアナログブランド、Pro-Jectからトランジスター・デュアルモノ構成のフォノイコライザーアンプ「Phono Box DS2」が69,000円(税別)で、EMTからは、全段真空管増幅回路・入出力トランスを装備するフォノイコライザーアンプ「128」が140万円(税別)で発売されました。
一方はエントリーで、一方はハイエンドのフォノイコライザーアンプにカートリッジは、Phasemation PP-500(220,000円/税別)、EMT HSD-006(純銀巻線仕様、249,000円/税別・針交換 169,000円/税別)の同価格帯製品2種類を準備し、ターンテーブル ヤマハ GT-5000で鳴らし比べました。

聞き比べた製品の概要

EMT 128 メーカー希望小売 1,400,000円(税別)

EMT HSD-006(純銀巻線仕様) メーカー希望小売 249,000円(税別)

EMT(イー・エム・ティー)製品のご購入お問い合わせは、経験豊富な逸品館におまかせください。

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Pro-Ject Phono Box DS2  メーカー希望小売 69,000円(税別)

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Phasemation PP-500 メーカー希望小売 220,000円(税別)

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聞き比べたレコード

 bud guy / Billie Eilish

2019年にリリースされるやいなや世界的なヒットを記録し、グラミー賞の年間最優秀楽曲と年間最優秀レコードを受賞した「現代を代表するポップス」の一曲。
目を疑う「オレンジ色!」盤面のレコードには、CDには収録されていないSE(交換音)などが入っていて、レコードはレコードとして作られたことがうかがえる。アップテンポからスローテンポへと大きく変化リズムと、低音から高音まで広い周波数帯域が使われる音など、音質チェックに必要な様々な様子がこの一曲に入っている。なによりも、録音とカッティングが素晴らしく良いことに驚かされる。

 Jessie / 峰純子・ハンク ジョーンズ(pf)

30年前から所有し、何度聞いたわからないほど聞き込んでいる一曲だから、装置の特徴をすぐに聞き取れる。アナログの最盛期にPioneerがバックアップして作られたダイレクトカッティング盤だけに、音質も録音もカッティングも素晴らしい。

 The Look Of LOVE(Live) / Diana Krall

このディスクは最近入手し、聞くのは今回が初めてになる。収録されているこの曲は、CD/SACD/配信など様々なメディアでいつでも聞くことができるので「アナログ(YouTube逸品館オーチオ情報チャンネルへアップロード)」と「デジタル」をご自身の環境で聞き比べていただけると思い選んだ。
レコードの縁に「バリ」が付いたまま、中央の穴は小さすぎてターンテーブルのスピンドルには押し込まないと入らないなど、ディスクの精度が悪いが最近のレコードとして音質はまずまずの方。
 展覧会の絵 / チェリビダッケ

独特な味わいを持つチェリビダッケが指揮する曲ですが、元がたぶん音源が海賊版で、カッティングの技術も低く、音が悪く、スクラッチなどの盤面の不具合によるノイズも非常に多い「問題のある盤」ですが、そういう「良くない盤面のレコード」を再生したときに、「良い演奏がきちんと良い演奏に聞こえるかどうか」は大切なチェックの一つだと考え、あえて選んでいます。

 誇り高く生きよう / 忌野清志郎

レコードの説明をもう少しきちんと読んでいれば良かったのですが、CD向けに「デジタルリマスターされた音源」がそのままカッティングされている「自慢げ」に書かれていました。
左右のチャンネルセパレーションが完全で音の混じり(濁り)がまったくない「デジタル」と、右左の音、時間軸前後の音、レコードそのものの振動など、歪みと響きが盛大に生じる「レコード」のなんたるかをまったく理解せずに、デジタル向きに作られたマスター音源をそのままレコードにカッティングすると、どんなに悪い音になるかという見本のようなレコードで聞くに堪えない酷い音でした。
しかし、同梱されるSHM-CDやDVD、大型のジャケットも魅力的だったので、レコードがゴミになっても後悔はしていません。
当然、たぶんそこまできちんと仕上げている「Billie Eilish」とは雲泥の差です。「夢助」のレコードを作ったレコーディングエンジニアやチームには申し訳ないと思いますが、「売れれば良い」という、日本のレコード会社の「底の浅さ」が見えたように思いとても残念でした。

試聴

今回の聞き比べには、レコードプレーヤー ヤマハ GT-5000(ヘッドシェルは、audio-technica AT-LH18Hを使用)、プリメインアンプ AIRBOW Model 40n Replay、スピーカーには Focal Spectra40th+AIRBOW CLT-5を使いました。

この聞き比べのYouTubeは準備中です。

 YAMAHA GT-5000 メーカー希望小売価格 93,500円(税別)(詳細はこちらから

 AIRBOW Model 40n Replay 販売価格 380,000円(税別)(詳細はこちらから

 AIRBOW CLT-5 販売価格 175,000円(ペア・税別)(詳細はこちらから

 Focal Spectra 40th メーカー希望小売価格 2,000,000円(ペア/税別)(詳細はこちらから

 

フォノイコライザーアンプ:Pro-Ject Phono Box DS2 ・ MCカートリッジ:Phasemation PP-500

音の純度に優れるPP-500と音の良いレコードの組み合わせが生きて、全周波数帯域で音の濁りが少なく、こんな価格帯のフォノイコライザーアンプとMCカートリッジの組み合わせ(※低価格のフォノイコライザーアンプは、出力電圧の低いMCカートリッジとの相性が良くない)にもかかわらず、抜群の音質が発揮されたことにまず驚かされる。
ディある・モノラル回路の効果なのだろう。左右チャンネルの分離に優れ、デジタルと比べても「音の純度が低い」と感じることはない。
低音は一番低い部分までしっかりと伸びて、膨らみや響きの濁りも少ない。
低音と高音は混じらずに綺麗に分離している。
PP-500の高性能を生かし切れているかどうかの判断は個人に任せるが、少なくとも私の肥えた耳を納得させるだけの「良さ」はしっかりと感じられた。
曲が終わるまで、小さな音まではっきり聞き取れるS/Nの高さ、低音から高音までしっかり再生される再生周波数レンジの広さ、音が混じったところでの濁りの少なさ(透明感の高さ)が印象的だった。

曲調はがらりと変わるが、再生される音は正確に追従し「癖」を感じない。
Phasemation PP-500との相性も良いのだろう、ハンク・ジョーンズ氏が奏でるピアノの「ポロリポロリと鳴る」様子や、峰純子さんのため息混じりのような雰囲気を持つボーカルがそれらしい味わいで再現される。「夜のムード」は、それほど深くないが、ゆったりとしたJazz Vocalを聞かせてくルその音には好感を持てる。
特にウッドベースの弦が弾かれる音やドラムのブラシワークなどの高音の明瞭度感、さらにそれぞれの音の前後感がきちんと出るところは、この価格帯のフォノイコライザーアンプの水準を大きく超える。
ただ、濁りが限度まで少ないため、このレコードが「ブースに分かれて個別に収録された感覚」までもが伝わってくる。

「雰囲気」という方向では、ややマイナスになるが、音質は十分過ぎるほど良い。

今回は、針を始めて落とすレコードが2枚ある。このレコードと後で聞く「夢助/誇り高く生きよう」だ。さらに最初に聞いた「Bud guy」を合わせた「3枚が最新のカッティング」で作られたレコードだ。もちろん音源も新しいからYouTubeなど多くのメディアで同じ曲が聞け、「デジタルとアナログの比較」を自宅でできるはずだ。
この曲は、今までCDやSACDでしか聞いたことがない。改めてレコードで聞くと、デジタルにはない「ノイズ」や「歪み」が耳に付く。先に書いたように、このレコードは「バリ」がそのまま残され、穴が小さすぎてプレーヤーのスピンドルには「押し込まないと入らない」など、その品質は間違っても褒められない。だから、カッティングも信用できない。音質も含め、アナログの「良さ」よりも「いろいろと問題点」が気になるレコードだ。
それを「どれくらい割引するべきか?」今日初めて聞くので「そのさじ加減」がわからないのだが、デジタルで聞くこの曲と比べると、アタックの立ち上がりが甘く、響きに濁りが感じられるが、楽器の「楽器らいい鳴り方」、ボーカルの「温かみのある雰囲気」には好感を持つ。
また、今までに聴いてきた他のアナログシステムとの比較にも困るが、それでも「Phono Box DS2」の音の良さは十分伝わってくる。特に観客の「拍手の再現性」でそれを強く感じた。

このレコードは、特に「ノイズ」が多い。けれどこういう「ノイズの多いレコードの試聴」もテストには重要だ。なぜならば、物理特性は良くても、肝心の音色の再現性が悪いと「過度にノイズが耳に付いて面白くない」からだ。
PP-500とD2の組み合わせでは、音楽とノイズが綺麗に分離する。演奏を聞くときにノイズもあまり気にならない。それは、「聴かせるべき音がしっかりと出てくる」からに違いない。
感じるのは、「定位の良さ」だ。左右前後に大きく広がる交響楽団の音が、バイオリンは左、チェロとコントラバスは右。トランペットは中央左やや後方と楽器の配置通りの場所からきちんと出てくる。
音の濁りが少ないことに加え、「個々の楽器の分離」にも秀でている。
微小信号の再現性も非常に高く、音楽ファンだけではなく音質追求のマニアックな方向にもしっかりと答えてくれる。精度の高い「デジタタルの音」と比べても、音質は引けを取らないほど立派だ。
さらに音の広がりと響きの豊かさ、奥行き感の深さは、レコードならではの「良さ」が感じられた。素晴らしい。

このレコードは、音が出るなり「録音レベルが高い」ことに驚かされた。レコードとCDの違いは「微小信号の再現性」にある。ご存じのようにCDの最大音量は「16bit」だ。2進数の16bitを10進数に直すと「65536」になるが、サンプリングに「直線量子化」が使われているため、その半分の音量では、その段階が「1/2(半分)=32,768」になる。さらにその半分、半分と音量を下げて行くに従って、段階は粗くなり、音量ゼロに近い4bit付近での段階は僅かに「16段階」になってしまう。
細かいことは伝わらないかも知れないが、とにかくCDは「小さい音の再現性」に問題があり、録音音量が小さいときに音が悪い。これを「ごまかす」ために、大きな音は小さめに、小さな音は大きめに録音を弄ってごまかす。これが「コンプレッション(圧縮)」だが、平均音量が大きい曲ほど強く「圧縮」がかかっている。
さらに「左右や前後の音が混じるレコード」に比べ、音の混じりがまったくないデジタルでは音が「あっさりしてしまう」ので、それを回避するため意図的に音が混ぜられている(電子エコーなど)。
デジタルに合わせて作られたこの「デジタルリマスター」をそのままレコードにカッティングすると、レコードらしい「細かな雰囲気」がなくなり、さらに「音の混じり(濁り)が過剰」になってしまう。今聞こえてくる音はまさしくそういう「失敗作」の音だ。
圧縮により、生音が持つ「ダイナミックレンジ」が狭くなってしまっているから、抑揚や変化が小さくなり、全体に音が「べたっと」している。ボーカルも「清志郎らしいはつらつとしたエネルギー感」が消えている。デジタルと同じ音をレコードに記録することで、「無駄に歪みが追加されただけ」のように聞こえてとても残念だ。デジタルしか知らない世代が増え、アナログディスクのマスタリングやカッティングの技術に問題が生じているのだろう。こんな「ただの懐古趣味的レコード」を聞かせられるのは金輪際御免被りたい。歌の題名は「誇り高く生きよう」なのに、このレコードに「技術者の誇り」は感じらなかった。
音質評価できないほど、レコードの音が悪すぎた。ごめんなさい。

Pro-Ject Phono Box DS2を聞いてみて

最初は、すでに何度も聞き比べて音を知っている「Phasemation PP-500」と、録音が良くて音質チェックしやすい「bud guy」の組合せで、Pro-JectPhono Box DS2」から聞くことにしました。

いきなり出てきた音は、耳を疑うほどの高音質で驚かされました。

DS2には、MM/MCの切替がない変わりに「40/45/50/60/65db」の5段階のゲイン切替スイッチと「10/50/100/1k/47k(Ω)」の負荷抵抗切替、さらに「47/147/267/367pf/47Ω時)」の負荷容量切替が、フロントパネルから操作できるようになっています。

昔よりも出力の高いMCカートリッジや、一部のIM型のように出力の低いMM型カートリッジが混在している現在にとてもマッチした設計だと感心しました。

Phono Box DS2は、単純に音が良いだけではなく、操作性やカートリッジの適合性にも優れ、価格を超える質感やデザインまでも併せ持つ、素晴らしいフォノイコライザーアンプだと感心させられました。

 

 

フォノイコライザーアンプ:Pro-Ject Phono Box DS2 ・ MCカートリッジ:EMT HSD-006(純銀巻線仕様)

イントロのSEから全然音が違う。
透明感、空間の空気感、雰囲気が俄然濃く、デジタルorアナログという「枠」を超えてミュージシャンが近くなったように感じる。
PP-500との比較では、レンジの広さや、解像度の高さでは、PP-500が良かったかも知れないが、全体のな「音楽的まとまり」では、HSD-006が優れているように感じる。
巻き線の「純銀」が生きているのだろう、ひとつ一つの音に説得力と艶がある。
ビリー・アイリッシュの魅力がグッと増した。

演奏に「夜の雰囲気」が出てくる。ノンアルコールだった「コンサート」が「アルコール可」に変わったような雰囲気だ。PP-500では、「デジタルとの差」がなんとなく気になってしまったが、カートリッジをEMTに変えたことによって、「芳醇なアナログの世界」に引き込まれるようになった。
「ブース別の録音」が全く気にならなくなり、目の前にステージが見えるようだ。
マスタリングの妙味「ありもしないステージを見せる」という「イリュージョン」が見事に成立している。
キーボードを打つよりも、曲を聴いていたいという気持ちが強くなる。
こういう音でアナログは聴きたい。
EMTを選んだのはそのためだが、ところがどっこい「Pro-Ject」のフォのイコライザーアンプも「実に良い仕事」をしている。この価格は、驚くほど良心的だ。
曲が終わった後に「余韻」が残った。

この曲でもイントロの「ピアノの鳴り方」に違いが感じられる。
楽器の持つ「表現力」がより豊かで、「音」ではなく「曲」に心が惹きつけられる。
PP-500だと「デジタルに比べ良いところがない」と感じたこのレコードを「レコードらしい味わい」で聴かせてくれる。ボーカルの表情、楽器の変化など、同じレコードにも関わらず「ダイナミックレンジが拡大」したように感じられるから不思議だ。
楽器の音にも魅力がました。
「純銀」、あるいは「EMT」のマジックなのだろう。
聴かせてくれる音でレコードが鳴る。
オーディオ的な面白みはないが、オーディオを忘れさせてくれる。
私にとって、それはとても魅力的なことだ。
曲が終わった「拍手」の音もコンサートで聴く「生音」にグッと近い。

導入部のトランペットの音は、後方から「立ち上る」ように聞こえる。
それを支えるように鳴る「管楽器群」の音も良い。
弦楽器はもう少し「解れて」欲しいか。
相変わらずこのレコードの「ノイズ」はひどいが、耳障りではない。
中低音の厚みが増して、押し出しが強くなる。
PP-500では、楽器と楽器の間の空気感が「やや希薄」だったが、HSD-006では、その密度が高くなり、より強い「ホール感」が醸し出される。
PP-500は、「良い音」をきいているイメージ。HSD-006は、「良いコンサート」を聴いているイメージだ。音よりも「雰囲気の違い」がより大きい。
ダイナミックレンジが広がっている。

PP-500では、聞くに堪えないほどの音だったこのレコードだが、カートリッジを変えたことで少しは聞きやすくなる。けれど、やはり「ひどい音」には変わりはない。
「デジタル」にはデジタルなりの、「アナログ」には、アナログにあった「マスタリング」があるはずだが、このレコードの音は「デジタルの音」をそのままレコードに収録しただけなのだろう。レコードが流行っているとはいえ、これはあまりにも粗悪だ。
もちろん、大きなジャケットが「ブロマイド代わり」になるとはいえ、こんな音のレコードを聞かされたのではたまったものではない。
楽器もボーカルも、ダイナミックレンジが圧縮されて「変化」がなくなってしまっている。
清志郎のあの「魂を揺さぶるようなボーカル」がここにはない。
やはり、残念。
元が悪すぎると、装置ではどうしようもない。

EMT HSD-006(純銀巻線仕様)を聞いてみて
「裏メニュー」という言葉をご存じだと思います。メニューに載せていない「お薦めの逸品」ですが、今回試聴した「HSD-006 特注純銀巻線モデル」もそんな「逸品」です。このカートリッジはその名の通り、通常は「銅」を使うHSD-006の配線をすべて「純銀線」に変更したモデルです。EMTの上級モデル「Pure Black」には同じ純銀線が使われています。それ以外にも「負荷抵抗(インピーダンス)」も選べますが、逸品館では一般的な「24Ω」でオーダーしています。
特注は「69,000円」なので、JSD-006 Silver巻線は「249,000円/税別」になりますが、それでも「JSD Pure Black」の半額程度の価格で手が届きます。もちろん、その音質はPure Blackに及部ものではありませんが、それでも半分よりはずっと良い音です。PP-500との比較では、艶やかさ、雰囲気の濃さや深さに違いが感じられました。さすがアナログの老舗「EMT」の製品です。逸品館では、今回と同じ「JSD-006 純銀巻線 24Ω」を常時在庫として確保することにしました。

 

フォノイコライザーアンプ:EMT 128 ・ MCカートリッジ:EMT HSD-006(純銀巻線仕様)

最初に音が出た瞬間は、DS2と価格ほどの大きな違いを感じなかったが、しばらくして、耳が慣れてくると、音の細やかさが尋常じゃないことに気がついた。
さすが140万円の価格は伊達ではなく、洪水のようにレコードから音が溢れてくる。
S/Nは素晴らしく良いし、ダイナミックレンジや周波数レンジが広いから、それと知らなければこのフォノイコが「真空管」だとは誰も気づかないだろう。
けれど冷静に考えた場合、カートリッジの10万円クラスと150万円クラスの音質差は、DS2と128よりもずっと大きいから、価格対効果はカートリッジよりも低いと気づく。
すこし「モヤモヤ」が残ったので、5曲を全部聞き終わった後、もう一度「bud guy」を聞き直してみたら、かなり「音が良くなって」いた。約1時間の「ウォーミングアップ」で、音の細やかさ、透明感、レンジの広さなどは大きく向上した。しかし、体が動くような「躍動感」はまだ足りない。
翌日、代理店エレクトリの担当に確認したがその話からも、私はまだ「エイジング」が足りないと判断する。今聴いている音は、もしかすると128の本領の半分に満たないかも知れない。
※この曲のYouTubeの音は、聞き直し時(ウォーミングアップ後)の音をアップロードしています。

あまりにも強調感が少なく、呆気なく鳴る。細やかで安定した音はさすがだ。少なくとも「回転しているディスクから音が出ている」という揺らぎはまったく感じられない。
それでも私がEMTというブランドと140万円という価格からイメージするような「凄み」は薄い。音は良いのだが、艶感や情緒に惹きつけられる部分が薄い。レコードの「味わい」が薄いといえば伝わるだろうか?
もしかすると、128のゲインが高すぎて、高出力タイプのHSD-006では出力電圧がやや高かったのかも知れない(※128には、6dbゲインを下げる機能があるが、カバーを開けないと設定が変えられないため今回は通常ゲインの±0dbで試聴)。
※この曲のYouTubeの音は、聞き直し時(ウォーミングアップ後)の音をアップロードしています。

イントロを聴いた時「違う曲?」と思い、思わずレコード盤を見て曲名を確認したほど、この曲では「音」が違って聞こえた。解像度が一気に向上し、聞こえなかった細かな音がいっぱい聞こえる。ボーカルの説得力も全然違って感じられるし、伴奏から、ボーカルがスッと抜けてくるのがとても心地よい。
ピアノのアタック感、重厚感と、透明感は際立ってきたし、観客の拍手のきめ細やかさも別物に聞こえる。
ただ気のせいか低音はやや「膨らみがち」に感じられる。量感はたっぷりだが、響きの止まるのが少し遅く感じられる。こういう「小さな不満」もエイジングが足りていないときに、良くあることだ。「エイジング不足」という判断の真実味が増す。

1・2曲目の試聴時には、やっぱり「温まり(ウォーミングアップ)」が足りていなかったのだろう。4曲目になって128は、ようやく本領を発揮し始めたようだ。
透明感が増し、ひとつ一つの音がくっきりと浮き上がってくる。オーケストラの団員の数、楽器の数もグッと増えた。空間の透明感が増し、ホールと演奏が一気にグレードアップしているのが感じられる。
それでも私の好みよりもまだ少し音が「重い」のだが、もう少しアンプを温めれば解決したのかも知れない。今回は140万円の高価な試聴機、しかも真空管ということで、ただ通電する状態はアンプに良くないと思い、ウォーミングアップを短めにしたのがいけなかったようだ。真空管は特にそうだが、それにかかわらず、オーディオ機器の「ウォーミングアップ」は、音を出した状態(回路に交流/信号が流れる状態)で行うべきだ。音を出さず、電気を入れておくだけはあまり良くない。
そんな状態でも、128の低音の切れ味、透明感は、DS2との格の違いを十分感じさせる。鳴らせば、鳴らすほど、レコード盤の回転している感じが消えて、空間にホログラムのように音が浮かび上がる。さすがハイエンドの装置だ。
全体的な音調は、リスナーを惹きつけるような「民生機の味付け」とは違い、やや地味目だが奥行きのある「業務機の味わい」が128には感じられるのだが、それもエイジング不足が疑わしい。とにかく、買ってすぐに判断せずに、じっくりとつきあう必要がありそうだ。そうしないと、生半可なマニアは、誤解しかねない。

過度にダイナミックレンジが圧縮されたことで全体に「べった」とした音しか出ないこのレコードだが、128は圧縮された「小さなダイナミックレンジの変化」まで再現するから、そんな悪いレコードでもそれなりに聞けるようになってきた。
団子のように固まっていた音がほぐれ、ドラムの抜け感が向上する。ドロドロとした音が、分解され、ボーカルも聞けるようになっている。
このレコードの録音が「悪い」のは、どうしようもないことだが、HSD-006(純銀巻線)と128の組み合わせは、埋もれてしまった「小さな変化」もきちんと再現し、なんとか「聞ける音」にまでアップグレードしてくれた。さすがEMTの高級機だ。

EMT 128を聞いてみて

128は、エイジングとウォーミングアップをしっかり行った後で、もう一度聞きたい。

おまけの試聴「3号館リファレンスアナログシステム」と「EMT HSD-006(純銀巻線仕様)」

最後に、3号館のリファレンス・フォノイコライザーアンプ「AIRBOW Chinook Ultimate」を使って、HSD-006(純銀巻線)を聞いてみました

※時間の関係でウォーミングアップ)は、やや短めの15分で試聴を開始しています。

 

フォノイコライザーアンプ:AIRBOW Chinook Ultimate ・ MCカートリッジ:EMT HSD-006(純銀巻線仕様)

低音はよく出る。また128よりも引き締まっていて、歯切れが良い。空間の見通し、広がりも128と大きな違いはなく、高音の鋭さ、抜けの良さ、透明感は逆にこちらの方が魅力的に感じられることがある。
Chinook Ultimateは、中低音の力感に優れ、体が動き出しそうな躍動感と透き通るように純度の高い高温が魅力的なフォノイコライザーアンプで、ハーモニーの重なりの美しさにアナログならではの魅力を発揮する。HSD-006(純銀巻線)との組み合わせでは、音色の良さに加えクォリティーもとても高い。
EMT 128との違いは、「密度感」だ。140万円という価格は伊達でなく、音数の多さ=密度感には、価格の差が出る。

EMT 128の高密度で透き通った音は格別だったことが、イントロのピアノでわかる。
まるで水晶のような音だった。それと比べると、Chinook ULは、やや密度感が薄い。逆に「ボーカルの表情」はより大きく変化し、表情変化は伝わりやすい。128と比べると、Diana Krallがちょっと大袈裟に歌っているように感じるほどだ。
AIRBOW Chinook Ultimateは、他のAIRBOW Ultimateシリーズとは違って、新品の初期状態から「良い音」を発揮できるように作っている。デジタルならば24時間以上連続してエイジングを掛けられるが、同じことをアナログディスクでしようとすると、カートリッジとレコードの負担が大きくなりすぎる。
だから、民生向けのアナログ製品は「初期状態」からできるだけ良い音が出せた方が良いと考える。その点で128は、業務機よりの考え方なのか、使えば使うほど音が良くなっていく傾向を強く感じた。128は、毎日何時間もレコードを聞くような「ヘビーユーザー」にはお薦めだが、たまにしかレコードを聞かないのなら、宝の持ち腐れになってしまう危険を感じた。

試聴後感想

今回は、2種類のカートリッジと3種類のフォノイコライサーアンプを聞き比べました。価格が大きく違うだけでなく、それぞれに良さがあり、ベストは選べませんでした。
それでも「Pro-Ject Phono Box DS2」のコストパフォーマンスがずば抜けていることは疑えず、現在入手可能な20万年以下のフォノイコライザーでは、ベストな選択に違いありません。10万円以下では、音質だけでなく、機能やデザイン質感も含めて文句なしの一推しです。あの価格で、あの音を出されると、生半可な数十万円までのフォのイコライザーアンプは顔色をなくすはずです。
また、かなり高価なプリメインアンプとの組合せでも確実なグレードアップが実現する、お薦め製品でもあります。
例えば、カートリッジとフォノイコライザーアンプで「30万円」のご予算なら、15/15をそれぞれに掛けるよりも、Phono Box DS2と予算いっぱいのカートリッジを購入する方がずっと音の良いシステムが入手できることになります。その時には、JSD-006(純銀巻線)もお忘れなきよう、お願いいたします。

2020年7月 逸品館代表 清原裕介

 

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