EMT JSD6 JSD5 PHASETECH P-3 MCカートリッジ 音質 比較 テスト

EMT JSD6 JSD5

PHASETECH P-3

MCカートリッジ 音質比較テスト

逸品館お薦めのPHASETECH P-3 MCカートリッジを30万円を超える最高級MCカートリッジ EMT JSD6 JSD5との音質を比較しました。さらに同一音源(マスター)を使って、レコードとSACDの音質も比べてみました。

EMT JSD5 メーカー標準価格 ¥330,000(税別)
EMT JSD5 メーカー標準価格 ¥320,000(税別)

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カートリッジ本体

カートリッジ本体(ケース収納時)

カートリッジ本体(シェル取り付け時)

アルミ張り木製ケース入り

左からJSD5/JSD6の針先

ハンドメイドによる製作

EMT JSD5 JSD6 について (輸入代理店エレクトリのホームページより抜粋、編集)

JSD5/JSD6は、半世紀にわたり、レコーディング・スタジオでの検聴用やブロードキャスト標準カートリッジとしてその代名詞でありつづけてきたEMT が、四半世紀 ぶりに発表する最高級New MC カートリッジです。

JSD5/JSD6は、EMT Studiotechnik GmbHが伝統的なEMT テクノロジーを基準にデザインと開発を行いありとあらゆる新旧のレコードにより膨大な試聴を繰り返して練り上げられました。ともにカンチレバーはボロン軸の特殊構造を採用していますが、JSD5 は先端にGyger S diamond スタイラスをカンチレバー軸上先端に垂直に装 着、JSD6 はSFL スタイラスをカンチレバー軸上先端の斜カット面に装着してい ます。両モデルの違いは、僅かにスタイラス取付けとスタイラス形状の違いのみとなっています。

JSD5/JSD6は、ステレオ初期から最新のアナログディスクまで、そこに刻まれた情報をスーパーアナログ再生の頂点を求めて余すことなくピックアップします。1/2" 標準マウント仕様で、ユニバーサ・トーンアームにも、固定ヘッドのセミインテグラル型トー ンアームにも使用可能です。広帯域にわたるダイナミックス、輪郭とボリュームに優れた中低域、自然で倍音成分の美しい中高域、そして漂うよう な空気感の最高域。サウンドの確かさで絶大な信頼度をもつEMT プレスティッジフォノカートリッジは、アナログオーディオの喜びをひときわ鮮やかに拡大するでしょう。

●JSD5
Gyger S diamond スタイラスを採用し、JSD5 は 5 μ m の微小な曲率半径と精密研磨仕上げによって、超高域までスムーズに安 定した正確なトレース性能を推持、最近のハイパフオーマンスレコードにマッチン グします。
●JSD6
6 μ m のSFL スタイラスでJSD5と同様の精密研磨仕上げでスムー ズに安定した正確なトレース性能を、古いレコードから新しいレコードまで対応し ます。
●出力1mV/ch. の高性能発電系 EMT 独自の高性能な発電系は、MC 型ならではの低い内部抵抗と、チャンネル あたり1mV(5cm/sec.1kHz)の高出力を矛盾なく両立させています。アナログオー ディオの味わいを存分にお楽しみいただけるEMT だけの音。パワフルなエネル ギーとデリケー卜なニュアンス、澄みきったローレベルの再現性は、変換ロスの きわめて少ない高効率発電によって達成されています。
●アルミムク材の剛体化ハウジング このカートリッジは、ダイカストアルミの頑丈で精密なボディハウジングに、より進化したムービングコイル・システムを組み込み、不要共振を排除、 格詞高く鮮麗な音質を得ることができます。
● 12.7mm ピッチのEIA 標準マウント仕様 剛性をそこなわず、へッドシェルと強固に一体化するよう、ハウジングにば取付けビス用のタップ穴が設けられています。取付けピッチは通常のカー トリッジと同じ12.7mm。ヘッドシェルの天面側から、ビスだけでだけで簡単・確実に固定できる構造です。(ネジ穴径は2.5mm φ、日本規格の2.6mm φ ビスは使用不可)
●伝統の高品質, 実測データ付 従来のスタジオカートリッジと同じ業務用基準で、すべてのJSD5/JSD6 はひとつひとつ厳密に調整され、測定データ付で出荷されます。長い年月 にわたってEMT が培い、誇りとしてきたプロフェッショナル仕様の信頼性は、オーディオと音楽愛好家の皆様にも充実した再生能力をお約束します。 

EMT JSD5 JSD6 主な仕様 (輸入代理店エレクトリのホームページより抜粋)

発電方式 ムービングコイル式
内部インピーダンス 20 Ω (1kHz)
推奨インピーダンス =/>100 Ω (へッドアンプ使用時)
適正針圧 2.2〜2.5g
推奨トーンアーム実効質量 15〜35g
トーンアーム取付寸法 1/2inch with pins
出力電圧 1mV/ch. ± 2dB 1kHz、5cm/sec. Rms
コンプライアンス 15μm/mN
再生周波数範囲 20〜30,000Hz
セパレーション  26dB 以上(1kHz)
チャンネルバランス 1dB以内(40Hz〜12.5kHz)
推奨温度範囲 21℃〜23℃
本体重量 11g
スタイラスチップ ダイアモンド:JSD5 Gyger S tip、JSD6 SFL tip
カンチレバー ボロン軸、特殊構造
垂直トラッキングアングル 23° ± 3°
針交換価格 JSD5/ 210,000 円(税別) JSD6/ 210,000 円(税別)

PHASETECH P−3 Alexandrit

 

メーカー標準価格 生産完了しました

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@

A

カートリッジを取り付けたところ。

PHASE TECHのMCカートリッジP-3には、横側にフェルトを張り付け@レコードから反射する音を遮断し、ヘッドシェルとの間に特殊な防振ゴムを3点支持で挟んでA共振を防いでいます。この僅かなコストの配慮によってカートリッジの音質は、少なくとも3〜5割くらい向上しますから、お試しいただいても損はないでしょう。

フェルトは、日曜大工のお店で裏側が粘着シートになっているもので出来るだけウール100%のものを選んで下さい。

ヘッドシェルとの間には、小さなコルク、非常に薄いハネナイトゴム、木片、など様々なもので音質を比較すると面白と思います。私が何を使っているかは、秘密なので聞かれても答えられませんのであしからずご容赦のほどお願いいたします。

PHASETECH P−3 について (メーカーのホームページより抜粋)

強力なネオジウムマグネットと純鉄による強力な磁気回路を構成し、徹底したローインピーダンス化と高出力を実現しています。深い音楽表現と豊かな音色を持った漆黒のアナログディスクを表現する漆黒のカートリッジ P-3 Alexandrite(アレクサンドライト)※は、音質重視の高品位なパーツを投入しアナログディスク再生の魅力をあますところ無く引き出します。部材の見直しと新たな設計により、より多くの方に大きな感動を体験頂ける製品に仕上げました。

 

●高精度ジュラルミン削り出し素材をDLC処理、無共振、無振動構造の実現

P-3は、無共振無振動をメインコンセプトにして開発されたローインピーダンス型MCカートリッジです。精度を確保し、 発電系以外の振動を徹底して排除するために、すべてのパーツは精密な削り出し加工で作られ、 表面はDLC処理※を行っています。

メカニカルアースを確立するベースにもジュラルミン削り出し素材にDLC処理※を行い、表面硬度をダイアモンドに次ぐ Hv=3000以上に高め、高剛性、振動減衰特性に優れた筐体構造を実現しました。

 

●無垢ボロン、純鉄、ネオジウムマグネットなど、高音質素材の採用

軽く剛性の高い無垢のボロン材を採用したカンチレバーを採用、6N無酸素銅線による発電回路、飽和磁束密度の高い純鉄コイルボビンなど、P-1で実証された高音質素材を継承しています。さらにP-3では、ネオジウムマグネットによる強力な磁気回路を構成し、更なるローインピーダンス化と高出力化を達成しています。

 

※Alexandrite(アレクサンドライト) 七大宝石の一つとしてキャッツアイとともに高く評価され、太陽光と人口光下では発光が異なり、昼の顔と夜の顔を持つ宝石とされています。本機の音質目標を表すテクスチャーであり、ジュラルミン削り出し素材にDLC処理を行った本機のボディが同様の深い光沢を有することから愛称として採用いたしました。

 

※DLC(Diamond Like Carbon) DLC(ダイヤモンドライクカーボン)はイオンを利用した気相合成法により合成されるダイヤモンドに類似した高硬度・電気絶縁性などを持つカーボン薄膜の総称です。

PHASETECH P−3 の主な仕様 (メーカーのホームページより抜粋)

発電方式 ムービングコイル式
インピーダンス 4Ω以下 (6N無酸素銅線)
適正針圧 1.7〜2.0g
出力電圧 0.27mv (1kHz 50mm/s水平方向)
コンプライアンス 7.3X10(e-6)cm/dyne
再生周波数範囲 10Hz〜30kHz
セパレーション 30dB 以上 (1kHz)
チャンネルバランス 1dB以内 (1kHz)
推奨温度範囲 20℃〜26℃
本体重量 10.9g
スタイラスチップ ダイアモンド (ラインコンタクト/曲率0.03X0.003m)
カンチレバー ボロン無垢  φ0.26
マグネット ネオジウムマグネット 
ベース/ボディ 材質 ジュラルミン削り出し (DLC処理)

テスト環境

レコードプレーヤー

NOTTHINGHAM INTERSPACE/HD

フォノイコライザーアンプ

QUAD QC24P

昇圧トランス

AIRBOW J’S5471

CD/SACDプレーヤー

AIRBOW SA8400/Special

スピーカー

PMC IB1S

演奏したソフト

FIRST TIME / D.ELLINGTON & C.BASIE
レコード:国内版 CBS/SONY 20AP 1471
SACD :国内版 SME/Records SRGS 4567
JAZZレコードの中では、あまりにも有名な“FIRST TIME”は、文字通り初めてで、そして最後となってしまった、時代を風靡した“デュークエリントン楽団”と“カウントベイシー楽団”のバトル・セッション。
超一流のプレーヤーが一同に揃い、最高級の楽器を惜しげもなく使って、演奏&録音されたJAZZの歴史的な一枚。初期のステレオ録音らしい斬新な試みが随所に見られ音楽的のみならず、オーディオ的にも金字塔になるソフト。
それぞれのカートリッジの音質と音楽的表現力をチェックするために最適だと考えて選んでいる。JAZZのソフトでありながら、クラシック的な(ゆったりとした)音も収録され、これ一枚で相当深い部分まで音質の比較ができる。
同一マスター(音源)からプレスされたDSD録音のSACDとの音質差もレコードファン、CDファンには気になるはずだ。

カートリッジの試聴は、2時間以上レコードを連続で演奏しシステムを十分に温めてから開始している。また、それぞれのカートリッジでレコードのA/B面の全曲を聞いて判断を誤らないよう注意を払った。

音質比較

まず、耳を慣らし自分の中に「基準」を作るために、PHASETECH P-3から聞き始めることにした。

音は非常に細やかで、明瞭度も抜群。高域の切れ味や、芯のあるシンバルの音はかなりイイ感じ!

MC型カートリッジだと高域の音が細くなりがちだ。名器の誉れ高いSHURE TYPE-3ほど太くはないにしろ、P-3でも細さを感じることはない。MCらしい繊細さを出しながら細くならず、バランス良くまとまっている。

音の出方や音場が少し前後に浅いところなどオーディオテクニカ/MC33シリーズやDENON/DL-103シリーズとの日本的な類似性も感じられるが、それらと比べると低域の量感・力感が遙かに充実している。特に違うのは、P-3がそれらよりも格段に音楽的なダイナミズム(躍動感)に富み、音楽を楽しく聴かせる部分だろう。

低域は量感があるが無闇に厚ぼったくならずレコードとしては例外的にフラットで好印象だ。しかし意地悪な表現をするとCDのように音場がやや平坦と言えなくはない。

楽器の音はハッキリとして、徹底的に細部まで見通せる感じがする。高域の空気感は、フワッと出るのではなく、結構張りつめてピンッとした感じだ。レコーディングスタジオの空気が、澄み切っているように感じられる。

部品部品(パート、パート、個々の楽器の音)が綺麗に分離して克明に描かれるが、全体としてのハーモニーやまとまりもきちんと出る。明瞭度感に優れる高級カートリッジには、“木を見て森を見ず”的に全体のまとまりを失い、音楽を空中分解させてしてしまう製品があるが、P-3のバランスの良さ、音楽表現力の秀逸さは、高く評価できる。

音楽表現力は秀逸だが、どちらかと言えば情に流されない端正な音だ。音の隅々まで整っている、良い意味でのモニター的な性格の再生音だ。もちろん冷たい印象はない。かと言ってアナログに期待する?ちょっと過剰気味な色気は、持ち合わせていない。

次にカートリッジをJSD6に変え、針圧を調整しレコードを最初から聞いてみる。

一聴した感じでは、P-3と比べて情報量(音の細やかさ)的には、そんなに大きな差はないように感じられる。P-3同様、MCカートリッジと聞いて懸念される高域の細さもまったく問題はない。特に、今回組み合わせた昇圧トランス、フォノイコライザーアンプで聞くJSD6は、MC型カートリッジというよりは、あり得ないほど音が細かいMMカートリッジのような印象さえ抱かせた。

低音の量感、高域の質感、中域の厚みなども、驚くほど大きな差はないように感じられるが、楽器の音色はP-3よりもカラフル。音楽的なダイナミズム(躍動感)、抑揚感はP-3同様大きいが、音楽をより豊かにそして楽しく聴かせてくれる。高域の繋がりも滑らかで、音楽の流れや躍動感の表現は、確実に一枚上手だ。

楽器の音のハッキリ感は、P-3と大差ないか、P-3のハッキリ感の方が上回っていると感じられる。しかし、打楽器(パーカーション)の切れ味や、ドラムのパワー感はJSD-6が確実に勝っている。空間の広がり感もより立体的で鮮やかだ。

音楽を部品部品(パート、パート)に克明に見せながらそれらをハーモニーとしてまとめ上げて聞かせたP-3とは異なり、JSD-6は音楽を全体的に適度な固まり感、調和感を持って描き出す。海外製らしい、国産カートリッジのP-3にはない独自の魅力が強く感じられる。

色気のあるJSD6の音だが、EMTの定番だったXSD-15/TSD-15のような、独特の厚みや色合いの濃さ、油絵のようなこってり感はなく、よりさっぱりとした現代的な音の中に少しEMTのエッセンスを注入しているという感じの音だ。記憶にあるROKSANのシラズに似ていると感じた。今回のレコードよりもさらに録音の良いディスクの場合、P-3との差はより大きくなるのではないだろうか?

価格を感じさせる音の細かさも素晴らしいが、同時にざっくりとした全体的な造形美も見事に出す。音の隅々まで繊細に整っているが、フォルテのエネルギーはきちんと大胆に出す。さらに、楽器の音色(メーカーや演奏者による楽器の音の違い)の正確性も抜群に高く、安心して音楽を聞いていられる。

P-3同様に癖が少なく、リニアリティーが高いJSD6も良い意味でモニター的な性格に聞こえるのだが、P-3よりも明らかに“演奏がプロっぽい音”に聞こえるのがスタジオユースを前提としたEMTの歴史であり実力なのだろうか?

最後にカートリッジをJSD5に変え、試聴を締めくくる。

JSD6と比べてかなり音が細かく、空間が透明で濁りがない。音質的な差を感じたので。価格がかなり高いのだろう?と思ってカタログを見ると価格は、JSD6より1万円高いだけで「針先形状」のみが違うという説明に驚いた(私は、先入観を抱かないようにできるだけ試聴前にカタログは見ない)。JSD5の方が針先の扁平率が高い、いわゆる超楕円針の形状だ。これなら、解像度・明瞭度の高さ、現代的な音質も頷ける。低音の切れ味や、中高域の透明度が高く、全体的に濁りやよどみが少なく、空間の見通しにも優れている。

低音のスピードが速く、音が繊細で鮮烈。中域の厚みは、JSD6よりもやや薄いがその分濁りが少なく、クリアな印象。 高音も滑らかだが、一音一音がよりハッキリ、クッキリしている。高域の繊細さが欲しいなら、迷わずJSD5を選ぶべきだろう。

楽器のハッキリ感は、P-3を上回る。あたかもハイビジョンのように細やかに音が描写されるが、JSD6同様楽器の音色の再現性も正確なため、無理矢理虫眼鏡で拡大して音を見せられているような印象ではなく、近接して生楽器を聞いている印象に非常に近い。

MC型カートリッジらしい繊細感、細部までの明瞭感とMM型カートリッジのような、さっぱりと濁りのない潔い切れ味感が、上手く両立しているように感じる。

JSD6は、ROKSANのシラズと似ていると感じたが、JSD5は、私が愛用しているアインシュタイン チュバホンに近いイメージだ。シラズもチュバホンもEMT TSD15のチューンナップモデルだから、それぞれは兄弟か従兄弟に当たるので、当然と言えば当然なのだが。

P-3との比較では、JSD5/JSD6の楽器の音色の再現性がそれより優れていることは間違いがない。

JSD6との比較では、低音の力感と圧力感、ドライな感じでは、JSD6がJSD5を上回る。しかし、JSD5はJSD6よりも全体的に滑らかだ。空気感や透明感にも優れ、演奏者とのベールが半枚〜一枚程度剥がれて、近くなったように感じられる。しかし、しばらく聞き続けて行くほどに記憶にあるJSD6との違いが小さく感じられてくるので、実際には私が感じたほどJSD5とJSD6との違いは小さいのかも知れない。あるいは、慣れることで差が小さくなる種類の差なのかも知れない。さらに、純粋に針先形状だけ起因するこの音質差は、演奏するレコードとの相性で変化する可能性を付け加えなければならない。

カートリッジ音質比較まとめ

JSD6/JSD5は、旧来のXSD-15/TSD-15の路線とは、明らかに異なる現代的な高性能カートリッジに仕上げられている。

針先の形状の違いでJSD6/JSD5は、ハッキリ音が異なる。繊細で明瞭度が高く、再生レンジの広いJSD5は、クラシックもしくは優秀録音盤に適しているだろう。

録音の悪い(録音にこだわりの少ない)JAZZ/ROCK/POPSもしくは、クラシックでも再プレスなどのレコードが多いようなら、レコードを選ばず安定したトレース能力を持っているJSD6が安心して使えるだろう。

最後に確認のため、もう一度カートリッジをP-3に戻してレコードを聞く。

情報量は、JSD5に比べると70〜80%程度といった感じ。確かに情報量は少なくなるが、激減とは言えない。正直に言って、価格ほどの差は感じられないと言うのが正直なところ。多分P-3に加えている(上図参照)モディファイもP-3の音質向上に大きく寄与しているはずだ。

カートリッジをP-3に変えると、楽器の音色が国産楽器的な感じになる。例えば、金管楽器はYAMAHAのように、ピアノの音色もYAMAHAのようなやや単調な響きに変化する。色数が少なく、音が平坦なイメージ。それに伴って、楽団も日本の楽団に感じられてくる。しかし、それはかなり高度な(生演奏や生楽器の音を聞き慣れていて、楽器メーカーの音の違いも分かるほど敏感な)聞き分けが出来て、しかもその部分に強いこだわりを持つかどうかで評価は大きく変わるだろう。

車でいうなら、正に「乗り味」の違い。A-B地点をどれくらい早く走れるか?と言うような絶対的な性能では、P-3とJSD5/6には、価格ほどの差はない。それは、断言できる。しかし、感覚的な部分、感性に訴える部分において、やはり国産と海外製は、未だに明確な差がある。それを再確認することになった。

どれか一つ差し上げるといわれたら、JSD5を頂きたい。どれか一つを買って欲しいといわれたら、レコードを聞く頻度、音楽愛好の度合い、そしてやっぱり、財布の中身と相談しながら、悩んだ末にP-3を買うだろう。感動は「プライスレス」。それは、重々承知していたとしても30万円のカートリッジは、たまにしか聞かないレコードのためには決して安くはないからだ。

SACDとレコードの音質比較

一通りのカートリッジの試聴を終えた後、AIRBOW SA8400/SpecialでSACDを聞いてみた。情報量やレンジ感では、レコードと大差はない。楽器の音色や質感も、かなりイイ線をいっている。P-3やJSD6/5と比較して音の細やかさやFレンジは、大差がない。しかし、Dレンジ(音楽的ダイナミズム)は、レコードにやや(遠くではない!)及ばない。

音の広がりは、やはり少し平坦だが、これはレコードとの特異性(チャンネルセパレーションがCDより極端に悪い)にも影響されているはずだ。音楽的な感動は、やはりレコードよりも少し小さい。全体的にやや演奏がこじんまりしているようだ。 だが、視点を変えるならそれは、凄いことなのだ。

アナログマニアの間では、CDは未だにレコードに遠く及ばないとされている。確かに、それはあながち間違いとは言えない。確かに私も最近までは、CDではレコードに永遠に追いつけないだろうと考えていた。 しかし、SACDなら出来の悪いレコードプレーヤーよりも遙かに良い音で音楽を楽しめる。そして、プレーヤーさえ選べば、今回テストしたような超本格的なアナログ・プレーヤー・システムと比べられるほど凄い音が出せるようになっているのだ。

SA8400/Specialで聞く、ファースト・タイムは、音の良いMMカートリッジで聞くそれに匹敵するだろう。ひょっとするとそれらを越えているかも知れない。特にCDがアナログに比べて苦手とされる、空気感、音の広がり感、高域の伸びやかさ、透明感、切れ味と言った部分でSACDならレコードに引けを取ることはない。

聞き流している状態なら、P-3、JSD6/5、SA8400/Specialをすり替えられても、ひょっとすると気がつかないかも知れない。それくらい基本的な音はよく似ているし、情報量的にも圧倒的な差があるというわけではない。アナログとSACD(最高のデジタル)の「楽器個々の音の差」は、非常に小さいと感じられた。

違いが感じられるのは、カートリッジの批評と同じで「音が重なったとき」あるいは「複雑な音色」が演奏された時だ。音が重なり、複雑になればなるほどテストで高評価を受けた製品が、それらの表現の深さで明らかに一頭抜きんでる。

今回のテストに限れば、高評価の製品が「複雑な音を完全に再現しきっている」と感じられるのに比べて、評価のランク下がるに連れて「音の重なり(ハーモニー)が、やや単純」になる。個々の楽器の音色のも、評価のランクに比例して「単純」になる。

「簡素」か「複雑」か?あるいは、表現が「浅い」か「深い」か?それをどれだけ明確に聞き分けられて、なおかつどれくらい「重要」と考えるか?あるいは、感じるか?オーディオ製品、特に高級品の評価は大きく分かれるだろう。厳しい言い方かも知れないが「良い楽器」と「そうでない楽器」をブラインドで聞き分けることが出来ないような「耳」なら、どんな製品を選んでも同じなのだ。どうせ、その良さを聞き分けられないのだから。

人間の耳は、正しいトレーニングによって良くなる。間違った聴き方、自己流に凝り固まった聴き方を続けていても耳は、いっこうに良くならない。もちろん、オーディオ雑誌を読んだり、ネットで情報を漁り続けても、あなたの耳はいっこうに良くならないのは、言うまでもない。

一番良いのは、感動できる生演奏や思わず身震いするほどの凄い生楽器の音を体験し、それを記憶にしっかりと焼き付けることだ。むしろ、すべてはそこから始まると言った方が正しいだろう。本当においしい物を食べたことがない人に「本当のおいしさ」を伝えることは出来ない。音や味、芸術と言った曖昧なものを明確に評価できるようになるためには、正しい「原体験」が何よりも重要なのだ。

幸いに「旨い」、「不味い」が分かったとしても、「旨さ」にランクを付けるのは、さらに難しい。本当においしい物の中で、どれが一番旨いかと聞かれても、個人差が非常に大きいし、同一人物でもその日の体調や気分で好みは変わるからだ。

結果、旨いものは、旨いとしかいいようがない。逸品館が、グルメショップだと仮定するなら、私に出来るのは、私の感覚で「旨くないもの(不味いもの)」を外すことだけだろう。オーディオ専門店としての製品の「選別」もそれと同じでよいのではないだろうか?

2007年7月 清原 裕介

 

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