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FOSTEX HP-A3 音質 評価 比較 評判 テスト

FOSTEX HP-A7 / CEC DA53N 音質比較

A1 プリメインアンプにはUSBデジタル入力が装備されていますので、PCと接続して音を出せます。内蔵するUSB
DACの音質がどれくらいなのか?新発売されたFOSTEXのUSB DAC HP-A3との比較でその性能を確認しました。

FOSTEX HP-A7 標準価格:\75,000(税込\78,750) 最新製品のご購入はこちら

主な特徴

主な仕様

●USB, OPTICAL x2, COAXIAL, ANALOGと豊富な入力を装備しプリアンプとしても使用可能。

●ボリューム回路を通さないダイレクトアウト機能搭載。

●TO-220パッケージの大電力トランジスターによるディスクリートヘッドホンアンプ。

●ゲインが異なる2つのヘッドホン出力を装備し、ヘッドホンのインピーダンスに合わせて使い分け可能。

●AKM 高級32ビットDAC AKM AK4392を採用。

●低ジッター設計及びL/R独立したDAC電源を登載。

●DC検出による強力なヘッドホン保護機能。

●高音質アナログパーツを採用。
・リニアテクノロジー社製高性能ハイスルーレートOPアンプ/フォステクス独自カスタムのニチコン社製コンデンサ/タクマン電子社製オーディオ用高精度金属皮膜抵抗/パナソニック社製PPSフィルムコンデンサ/WIMA社製フィルムコンデンサ

●真鍮削り出し脚部とタングステン配合ワッシャーで振動防止。 

<入力>

●USB 端子
・サンプリング周波数:最大24bit/96kHz(USB フルスピード)

●光デジタル端子/2系統
・コネクタ:TOS(32kHz〜96kHz)

●同軸デジタル端子
・コネクタ:RCA(32kHZ〜192kHz)

<出力>

●PHONES 端子/1.ローゲイン、2.ハイゲイン
・コネクタ:ステレオ標準ジャック、最大出力:700mW (32 Ω負荷)
・周波数特性:10Hz 〜150kHz ± 3dB

●ANALOG OUTPUT(L, R) 端子
・コネクタ:RCA ピンジャク
・適合負荷インピーダンス:10kオーム以上

●光デジタル端子
・コネクタ:TOS(32kHz〜96kHz)

CEC DA53N 標準価格:\85,000(税込\89,250)生産完了 最新製品のご購入はこちら

DA53N

主な特徴

主な仕様

●幅広いデジタル入力に対応

USBの他、AES/EBU、COAXIAL、TOSLINKの4系統をサポートしています。USB入力は、モバイルPC等にも柔軟に対応できるようフロントパネルにもUSB ミニB端子を備えています。

●アナログ部は、音質に影響を与えるフィードバックループを持たない完全無帰還設計の最新版カレントインジェクション(CI)回路を採用。アナログ出力レベルは、音量調節付アンプと接続して使用する場合の「FIXED」とプリアンプ機能のないパワーアンプやアンプ内蔵スピーカーと組み合わせて使用する場合の、「VARIABLE」の2つのモードから選択可。

●バーブラウン社製DAC PCM1796を2基搭載のデュアル構成。

●6.3mmの標準ヘッドフォン出力端子を装備。本機とデジタル出力付き再生機器とヘッドフォンのみで、聴取が可能。

●入力ポジションや各種デジタルオプションの設定状況が一目でわかる視認性のよいディスプレイを装備。

●アクティブ・ACパワー・クリーニング機能を備えたスイッチング電源採用。電圧と電源のスルーレートをソフト的にコントロールすることで、低ノイズ化を実現。アナログとデジタルを完全にセパレートした電源回路。

<入力>

●USB 端子 前面 mini USB 1/背面 1
・サンプリング周波数:最大16bit/48kHz

●光デジタル端子/1系統
・コネクタ:TOS(32kHz〜96kHz)

●同軸デジタル端子
・コネクタ:RCA(32kHZ〜192kHz)

●バランスデジタル端子
・コネクタ:RCA(32kHZ〜192kHz)

<出力>

●PHONES 端子
・コネクタ:ステレオ標準ジャック

●ANALOG OUTPUT(L, R) 端子
・コネクタ:RCA ピンジャクx1、XLRバランスジャックx1

●光デジタル端子
・コネクタ:TOS(32kHz〜96kHz)

●デジタルフィルター特性、サンプリングレートコンバーターON-OFF切替

FOSTEX HP-A7 と CEC DA53N の外観とサイズの違い

横幅は、DA53Nが僅かに大きいが高さはほぼ同じ。

操作がプッシュ式のDA53Nよりも、ダイヤル式のHP-A7が使いやすい。

HP-A7のボリュームには誤差がほとんどないが、DA53Nは小音量で左右にかなり大きな音量差が生じる。ヘッドホンを使う場合には、この音量差はかなり問題となる。

奥行きは、DA53Nがかなり長い。

端子、コネクタージャックには、DA53NがHP-A7を大きく上回るクォリティーのものが使われている。入出力端子も豊富。

DA53Nは本体内蔵電源なので電源ケーブルの交換による音質改善が効果がHP-A7よりもずっと大きい。

試聴テスト

試聴装置

BDプレーヤー

 AIRBOW UD8004 Special

AVプリアンプ

 AIRBOW AV8003 Special

AVパワーアンプ

 AIRBOW MM8003 Special

スピーカー

 VIENNA ACOUSTICS T3G(Beethove Concert Grand)

試聴ソフト

  : DJ KAORI'S J-MIX2 UMCK-1272

今回テストする2機種のDACには、S/PDIFデジタル入力(同軸デジタル入力)が装備されています。そこで比較テストの音源には、不確定な要素が多いPC(再生ソフトで音質が激変する)ではなく、AIRBOW UD8004/Specialをデジタルトランスポーターとして使用しました。また、ウォーミングアップには3日!という長い時間を掛けてテストの正確性に配慮しています。

BDプレーヤー

 AIRBOW UD8004 Special

同軸デジタルケーブル

 AIRBOW MSD 130/EVO

スピーカー

 VIENNA ACOUSTICS T3G(Beethove Concert Grand)

 FOSTEX HP-A7

低音の量感は明らかに不足している。

音場はスピーカーを結ぶ線上に展開し、前後方向への立体感が感じられない。

音は濁って混じり、まるで初期のMP3圧縮音源を聞いているようだ。

HP-A7と同じ旭化成の32bitDACを初めて搭載したのは、Esoteric D-05だがそのときに感じたパワー不足感が記憶に蘇る。音が広がらず、表情が平坦なのは、同時期に発売された旭化成の32bitDACを搭載している他メーカーのCDプレーヤーも同様だった。

それらの経験から、旭化成の32bitDACにはよい印象がない。しかし、その後Esotericが発売したSA50とD-07は、旭化成の32bitDAC搭載しているにもかかわらず、見違えるように音が良くなった。Esotericは、オーディオメーカー賭しての経験に基づいて、旭化成の32bitDACの良さを引き出すために何らかのテクニックを発見したに違いない。

それに対しHP-A7から出る音は、初期に感じた旭化成DACの悪いところがそのまま露呈している。念のため、クラシックも聴いてみようと思ったが、結果は見えているのでやめることにした。

 CEC DA53N

音の勢いと切れ味、エネルギー感が全然違う。

楽器の音色も鮮やかで、ボーカルの表現には説得力がある。

音の広がりも全然違って、ボーカルが最前列、ハーモニーがーその後ろ、リズムセクションは最後尾にきちんと並ぶ。コンサートホールで繰り広げられるライブを彷彿とさせるような見事な音場展開。

はっきり言って、全く勝負にならないほど音が違う。価格はそれほど違わないのに、冷凍食品と取れたての新鮮な食材を比べるほどの大きな音質の違いに驚いた。

UD8004/Special−同軸デジタル接続と、PCからのUSB接続でヘッドホン出力の音質を比較しました。

ヘッドホン

 SENNHEISER HD25-1 2

 FOSTEX HP-A7

同軸デジタル入力
RCA出力とは、全く違うパワフルな音。低音の量感と力感もすばらしい。

ボーカルとハーモニー伴奏の分離と位置関係もきちんと出る。

それでもやはり「音色」は、ややくすんでいて鮮やかさに欠ける。

サ、シ、ス、ス、ソにもひげが付いてきつい。RCA出力とのさに驚いて納得していたが、しばらく聞いているとメッキがはがれた。これは音楽ではなく、やはり音の羅列でしかない。長時間聞くには耐えられないし、音楽的感動からは遠い音に思えた。

USBデジタル入力

CDよりもさらに音が平坦だ。音に力がない。安室のボーカルも暗く、聞いても元気が出ない。これじゃ、安室を聞く意味がない。

 CEC DA53N

※ボリュームを少し上げると大丈夫ですが、DA53Nは小音量時のボリューム調整で左右に音量差が生じます。

同軸デジタル入力

RCA出力でのHP-A7との違いがヘッドホン出力でも同様に出る。

高音の切れ味と透明感が全く違う。 

頭の中を効果音が素早く移動する。

ボーカルがクローズアップされ、伴奏はそれよりも控えめになる。ボーカルを支えるように定位するコーラスがボーカルに厚みを与える。音楽的なバランスが適正となり、リズムが躍動する。楽器の音は美しく変化し、同じ繰り返しのセンテンスの一つ一つにさえ、それぞれ違う意味があることが聞き取れる。

音楽を構成する要素としての「音」のバランスが絶妙で、結果としてボーカルの「伝えたい何か」がしっかりと心に伝わってくる。暖かく血の通った音。こういう音が出せなければ“オーディオ”を名乗る資格はない。 音楽を聴いて楽しいし、なによりも演奏家と音を通じ、絆で結ばれる実感がある。

USBデジタル入力

HP-A7では、同軸入力からUSB入力に変えると明らかに音が悪くなったが、DA53Nでは少し高域がソフトに感じるくらいで、極端に悪くなったという印象はない。

解像度は落ちているのだが、逆に耳障りな部分が消えて聞きやすい感じがすることもある。

 組み合わせるヘッドホンが高域過多のうるさいものなら、場合によってはUSB接続の方が音を良く感じることがあるかも知れない。が、はやりしばらく聞いていると少しメッキが剥げてきた。ゼンハイザーとの組み合わせでは、高域がやや曇り、解像度が落ち、高域も歪みっぽくなって、同軸入力と明らかな違いがでた。

外付けDACによる音質改善確認のため、PCのヘッドホン出力の音質を聞いてみました。

GATEWAY 7430JP

OS Windows(R) XP Home Edition Service Pack 3
CPU モバイル AMD AthlonTM64 プロセッサ 3700+ (動作周波数 2.4GHz)
メインメモリ PC2700 DDR-SDRAM 512MB (最大 1.5GB)メモリスロット×1(空き×1)
サウンドシステム AC'97 Audio
ハードディスクドライブ 80GB (IDE / ATA-5)

ヘッドホン

 SENNHEISER HD25-1 2

やっぱり!USB接続でHP-A7+ヘッドホン出力を使うよりも、PCヘッドホン出力の方が遙かに気持ちよく音楽が聴ける。解像度は高いし、立体感もあるし、音が力強く音楽が躍動する。

DA53Nとの比較でも、PCヘッドホン出力はより細やかで解像度が高い。ただ音楽的なまとまりや、音のバランスはDA53Nを使う方が勝っていた。音楽を聴く楽しみ、長時間聞く時のストレスは、DA53Nを使うことで改善する。

ヘッドホンアンプを追加

PCのヘッドホン出力の音質を向上させるために、ヘッドホンアンプ“Musical Fidelity V-CAN”をaudioquestの高音質ケーブルで繋いで追加してみました。

  audioquest Mini3 → Musical Fidelity V-CAN

PCヘッドホン出力に比べて、音の細かさは大きく変わらないが、低音の弾む感じやボーカルのパワー感が向上する。

想像ではもっと劇的に音が良くなるかと思っていた。しかし、それは電源投入直後に音質を比較したためで、10分が経過すると透明度が俄然向上しボーカルの滑らかさと艶やかさが増した。楽器の音色はベールがはがれたように鮮やかになり、音がヘッドホンの外側にまで大きく広がるようになった。

HP-A7をPCにUSBで繋いでヘッドホンで聴くよりも、PCヘッドホン出力に直接V-CANを繋いで聞く方が数段音が良い。

価格対効果、絶対的な音質、どちらから判断しても、PCヘッドホン出力にV-CANを繋ぐのが最も音が良いと判断する。PCヘッドホン出力の音は決して悪くない。へたな外部DACを購入するくらいなら、何もせずにそのまま使う方が音が良いだろう。

その十分な音質に感じられるPCヘッドホン出力にV-CANを繋ぐと、さらに自然体で音楽を聴けるようになる。音のバランスの良さ、小音量でも音やせがしにくいのが美点だ。

このテストを行っているときに、LINDEMANN USB-DDC(24-96)の試聴機が届けられた。そこで追加テストとして、USB-DDC(24-96)とRATOK RAL-2496UT1の「D-D」変換の音質と、RAL2496UT1のヘッドホン出力の音質を今一度聞き比べることにした。

 RATOC RAL-2496UT1 (この製品のご注文はこちら

D-D変換の音質

RATOK RAL-2496UT1を使ってPCのUSB出力を同軸デジタルに変換しAV8003/SPに入力し、スピーカーで音を聞く。ボーカリストが自分に向き合って歌ってくれているような、そういう親近感を感じる音。 歌い手の気持ちが自然に伝わって元気をもらえる。安心できるというか、もっとも自然なバランスで音楽が聴けた。

ヘッドホン出力の音質

DA53Nのヘッドホン出力の音も良かったが、RAL-2496UT1もそれに負けていない。パーツの少なさがいい方向に出ているのか?中高音のクオリティーは今回テストした製品の中で最も高い。高域の透明感と切れ味の良さではDA53Nを超えているかもしれない。

しかし、時にそれが災いして高域の歪みがやや過大に聞こえることがある。また、電源をUSBからとっているためか?大きな低音が入ったときに、音抜けするようにふっと力がな抜けるように感じることがあった。ボリュームを下げると、その傾向は緩和されるが完全には消えない。楽曲によっては気になった。

 LINDEMANN USB-DDC (24-96)

USB-DDC(16-48)とは、明らかに音が違う。

立体感が出ているし、ボーカルや楽器の音の質感も高く、オーディオ製品として納得できるサウンドに仕上がっている。ICしか使っていないにもかかわらずちゃんと音楽を鳴らす。このあたりのノウハウには、やはりオーディオメーカーとしての経験がものを言うのだろう。

RAL-2496UT1との音の違いは、エネルギー感にある。RAL-2496UT1の方がUSB-DDC(24-96)よりも音が早く、透明感も高い。ただ両者に大きな差はないから、多分どちらを選んでも後悔はないだろう。

総合結果

端的に言って、HP-A7はその存在価値の理解に苦しむ。RCA/ヘッドホン出力共にPCヘッドホン出力よりも音質は明らかに劣ると感じられるからだ。価格がよりやすいHP-A3とは比べなかったが、音質が逆転している可能性すら感じる。その原因はスペック重視や評判重視でパーツを選び安心し、「聞いて作る」と言うことがおろそかになったためではないだろうか?設計者が「これで良いはずに違いない」と思い込むことが最も危険だし、そういう設計者こそ「スペック」に強くこだわる傾向が強い。カタログがスペックで飾られすぎる、HP-A7にそういう印象を持った。

それに対しDA53Nの音からは、オーディメーカーとしての長い歴史と高級品を発売してきた会社らしい「音作りの工夫」が感じ取れる。インバーター電源を使ったり、独自の回路を組んだり、そういう「奇を衒った」良さが必ずしも良い方向に働くとは限らないが、DA53Nではそれが上手く働き音楽が楽しく、感動的に味わえる。

しかし、手放しで誉めることはできない。小音量時のボリュームのアンバランスは、ヘッドホンを使うときに問題となるだろうし、ウォーミングアップも2〜3時間を要した。その寝起きは、今回テストした製品の中で一番悪かった。

RAL-2496は、いろんな意味でバランス良くまとまっている。D-D変換の音も良いし、ヘッドホン出力の音も良い。これは、丁寧に時間を掛けて製品を吟味して仕上げた結果だろう。カタログからは見えないが、その見えない努力はパソコンサプライメーカーの域を遥かに超えている。本来RATOKの主力でない製品に、これほどの拘りを投入する過剰な情熱に「ある種のロマン」さえ感じる。そのロマンをオーディオマニアに伝えたい。ただし、ヘッドホンで音楽を聞いている時、音量を上げると時々低音が弱くなるような感じを覚えたのは頂けない。

LINDEMANN USB-DDC(24-96)は、少し前に試聴した(16-48)とは別物のように音が良かった。どうせなら(16-48)をお使いの方には、バージョンアップをお薦めしたいのだが、初期に行われていた基盤交換(\14,000税別)のバージョンアップは終了し、現在は本体交換になって価格も¥39,800(税込)とかなり上がってしまったら、ほとんどメリットはない。(24-96)を追加購入し、(16-48)を手放しても価格はそれほど変わらないだろう。

Musical Fidelity V-DACは、低価格製品の良さに定評のあるMF社の製品らしく、価格が安いにもかかわらず音楽性がとても高い。i-PODに繋いだり、PCに繋いだり、あるいはCDの出力に直接繋いだり(アンプのREC-OUTに繋いでも良い)どこにでも使える、一つあれば便利な製品だと思う。

数回にわたるPCオーディオ(シリコンオーディオ)関係のテストを通じて感じるのは、PCのコストパフォーマンスのずば抜けた高さだ。販売価格が安いので侮られているかもしれないが、4万円程度で購入できるネットブックをオーディオ機器と同じ「量産効果のない台数」で作れば、一台1000万円を遥かに超える。

PCは「性能が低いから安い」のではなく「量産されているから安い」のだ。だから、そのデジタル処理機としての性能は、同価格帯のオーディオ製品(外付けDACを含む)を大きく越える。しかし、デジタル処理機だからアナログ増幅回路にはお金が掛けられておらず、それが原因でPCヘッドホン出力の音は価格なり、あるいは価格以下に感じられるに違いない。そこでまだ確実ではないが、これまでのテストから考えられるPC音質アップの秘訣を挙げてみたい。

1.デジタル回路の完成度(精度)が高いPCの再生音質向上には、中途半端な外付けDACよりも「ソフトウェアー(プレーヤーソフト)」のチューニングによる効果が高い。

2.PCのデジタル部分の処理能力(音質)は高く、デジタル処理を外部に持つなら「それ以上の能力」が求められる。

3.中途半端な外付けDACの追加では音質が劇的に改善しないPCも、アナログ処理(アナログ回路)は弱い。結果としてアナログ領域の改善にこだわるアクセサリーや、グレードの高い接続ケーブルを選ぶ方がよい音が聞ける。今回テストした中でDA53NやV-DACの音に魅力が感じられたのは、「オーディオ的な音作り」がきちんとなされたアナログ部分がPCに追加されたことで、音が良くなった考えられる。

ざっとこんな感じだが、今後さらにPCオーディオに深く入ると私の主張ががらりと変わることがあるかもしれないので注意して欲しい。なぜなら、私のオーディオの知識を100とすれば、現時点でのPCオーディオの知識はせいぜい1程度のお粗末なものでしかないからだ。

オーディオショップを開業してから25年間、弛まぬ研究を重ねた結果オーディオには「謎」が少なくなった。それは、時として行き詰まりを感じさせるほど、高いレベルに到達した。実際はそれは思い込みに過ぎず、テストの度に驚かされることが少なくないのだが、どうしても「頭(これまでの経験)」で、事前に物事を判断しがちになり「面倒に思う傾向」が出てくる。どんな趣味でも同じだと思うが、こんなときこそ「初心に返る」ことが大切だ。

私の知るPC(シリコン)オーディオの音質は、逸品館が到達したハイエンドサウンドの完成度には及ばない。だからといってそれに未来がないとは言わないし、逆に「音が至らない」からこそ「良くする喜び」に満ちている。そういう意味で私に多くの「努力(謎解きのチャンス)」を投げかけてくれる、PC(シリコン)オーディオはビジネス的には面倒なやつだが、憎めない魅力がある。また、そういう「手間」がかかる分野だからこそ、「音いじりの趣味」として魅力を感じる人も多いのだろう。

オーディオには、「音楽を聴く楽しみ」と「音を変える楽しみ」そのどちらも“あり”なのだ再認識した。

2010年 3月7日 清原 裕介

 

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