試聴装置
BDプレーヤー
AIRBOW UD8004
Special
AVプリアンプ
AIRBOW AV8003
Special
AVパワーアンプ
AIRBOW MM8003
Special
スピーカー
VIENNA ACOUSTICS T3G(Beethove
Concert Grand)
試聴ソフト
: DJ
KAORI'S J-MIX2 UMCK-1272
今回テストする2機種のDACには、S/PDIFデジタル入力(同軸デジタル入力)が装備されています。そこで比較テストの音源には、不確定な要素が多いPC(再生ソフトで音質が激変する)ではなく、AIRBOW
UD8004/Specialをデジタルトランスポーターとして使用しました。また、ウォーミングアップには3日!という長い時間を掛けてテストの正確性に配慮しています。
BDプレーヤー
AIRBOW UD8004
Special
同軸デジタルケーブル
AIRBOW
MSD 130/EVO
スピーカー
VIENNA ACOUSTICS T3G(Beethove
Concert Grand)
FOSTEX HP-A7
低音の量感は明らかに不足している。
音場はスピーカーを結ぶ線上に展開し、前後方向への立体感が感じられない。
音は濁って混じり、まるで初期のMP3圧縮音源を聞いているようだ。
HP-A7と同じ旭化成の32bitDACを初めて搭載したのは、Esoteric
D-05だがそのときに感じたパワー不足感が記憶に蘇る。音が広がらず、表情が平坦なのは、同時期に発売された旭化成の32bitDACを搭載している他メーカーのCDプレーヤーも同様だった。
それらの経験から、旭化成の32bitDACにはよい印象がない。しかし、その後Esotericが発売したSA50とD-07は、旭化成の32bitDAC搭載しているにもかかわらず、見違えるように音が良くなった。Esotericは、オーディオメーカー賭しての経験に基づいて、旭化成の32bitDACの良さを引き出すために何らかのテクニックを発見したに違いない。
それに対しHP-A7から出る音は、初期に感じた旭化成DACの悪いところがそのまま露呈している。念のため、クラシックも聴いてみようと思ったが、結果は見えているのでやめることにした。
CEC DA53N
音の勢いと切れ味、エネルギー感が全然違う。
楽器の音色も鮮やかで、ボーカルの表現には説得力がある。
音の広がりも全然違って、ボーカルが最前列、ハーモニーがーその後ろ、リズムセクションは最後尾にきちんと並ぶ。コンサートホールで繰り広げられるライブを彷彿とさせるような見事な音場展開。
はっきり言って、全く勝負にならないほど音が違う。価格はそれほど違わないのに、冷凍食品と取れたての新鮮な食材を比べるほどの大きな音質の違いに驚いた。
UD8004/Special−同軸デジタル接続と、PCからのUSB接続でヘッドホン出力の音質を比較しました。
ヘッドホン
SENNHEISER HD25-1
2
FOSTEX HP-A7
同軸デジタル入力
RCA出力とは、全く違うパワフルな音。低音の量感と力感もすばらしい。
ボーカルとハーモニー伴奏の分離と位置関係もきちんと出る。
それでもやはり「音色」は、ややくすんでいて鮮やかさに欠ける。
サ、シ、ス、ス、ソにもひげが付いてきつい。RCA出力とのさに驚いて納得していたが、しばらく聞いているとメッキがはがれた。これは音楽ではなく、やはり音の羅列でしかない。長時間聞くには耐えられないし、音楽的感動からは遠い音に思えた。
USBデジタル入力
CDよりもさらに音が平坦だ。音に力がない。安室のボーカルも暗く、聞いても元気が出ない。これじゃ、安室を聞く意味がない。
CEC DA53N
※ボリュームを少し上げると大丈夫ですが、DA53Nは小音量時のボリューム調整で左右に音量差が生じます。
同軸デジタル入力
RCA出力でのHP-A7との違いがヘッドホン出力でも同様に出る。
高音の切れ味と透明感が全く違う。
頭の中を効果音が素早く移動する。
ボーカルがクローズアップされ、伴奏はそれよりも控えめになる。ボーカルを支えるように定位するコーラスがボーカルに厚みを与える。音楽的なバランスが適正となり、リズムが躍動する。楽器の音は美しく変化し、同じ繰り返しのセンテンスの一つ一つにさえ、それぞれ違う意味があることが聞き取れる。
音楽を構成する要素としての「音」のバランスが絶妙で、結果としてボーカルの「伝えたい何か」がしっかりと心に伝わってくる。暖かく血の通った音。こういう音が出せなければ“オーディオ”を名乗る資格はない。
音楽を聴いて楽しいし、なによりも演奏家と音を通じ、絆で結ばれる実感がある。
USBデジタル入力
HP-A7では、同軸入力からUSB入力に変えると明らかに音が悪くなったが、DA53Nでは少し高域がソフトに感じるくらいで、極端に悪くなったという印象はない。
解像度は落ちているのだが、逆に耳障りな部分が消えて聞きやすい感じがすることもある。
組み合わせるヘッドホンが高域過多のうるさいものなら、場合によってはUSB接続の方が音を良く感じることがあるかも知れない。が、はやりしばらく聞いていると少しメッキが剥げてきた。ゼンハイザーとの組み合わせでは、高域がやや曇り、解像度が落ち、高域も歪みっぽくなって、同軸入力と明らかな違いがでた。
外付けDACによる音質改善確認のため、PCのヘッドホン出力の音質を聞いてみました。
GATEWAY 7430JP
OS |
Windows(R)
XP Home Edition Service Pack 3 |
CPU |
モバイル
AMD AthlonTM64 プロセッサ
3700+ (動作周波数 2.4GHz) |
メインメモリ |
PC2700
DDR-SDRAM 512MB (最大 1.5GB)メモリスロット×1(空き×1) |
サウンドシステム |
AC'97 Audio |
ハードディスクドライブ |
80GB (IDE /
ATA-5) |
ヘッドホン
SENNHEISER HD25-1
2
やっぱり!USB接続でHP-A7+ヘッドホン出力を使うよりも、PCヘッドホン出力の方が遙かに気持ちよく音楽が聴ける。解像度は高いし、立体感もあるし、音が力強く音楽が躍動する。
DA53Nとの比較でも、PCヘッドホン出力はより細やかで解像度が高い。ただ音楽的なまとまりや、音のバランスはDA53Nを使う方が勝っていた。音楽を聴く楽しみ、長時間聞く時のストレスは、DA53Nを使うことで改善する。
ヘッドホンアンプを追加
PCのヘッドホン出力の音質を向上させるために、ヘッドホンアンプ“Musical
Fidelity
V-CAN”をaudioquestの高音質ケーブルで繋いで追加してみました。
→ audioquest Mini3 → Musical
Fidelity V-CAN
PCヘッドホン出力に比べて、音の細かさは大きく変わらないが、低音の弾む感じやボーカルのパワー感が向上する。
想像ではもっと劇的に音が良くなるかと思っていた。しかし、それは電源投入直後に音質を比較したためで、10分が経過すると透明度が俄然向上しボーカルの滑らかさと艶やかさが増した。楽器の音色はベールがはがれたように鮮やかになり、音がヘッドホンの外側にまで大きく広がるようになった。
HP-A7をPCにUSBで繋いでヘッドホンで聴くよりも、PCヘッドホン出力に直接V-CANを繋いで聞く方が数段音が良い。
価格対効果、絶対的な音質、どちらから判断しても、PCヘッドホン出力にV-CANを繋ぐのが最も音が良いと判断する。PCヘッドホン出力の音は決して悪くない。へたな外部DACを購入するくらいなら、何もせずにそのまま使う方が音が良いだろう。
その十分な音質に感じられるPCヘッドホン出力にV-CANを繋ぐと、さらに自然体で音楽を聴けるようになる。音のバランスの良さ、小音量でも音やせがしにくいのが美点だ。
このテストを行っているときに、LINDEMANN
USB-DDC(24-96)の試聴機が届けられた。そこで追加テストとして、USB-DDC(24-96)とRATOK
RAL-2496UT1の「D-D」変換の音質と、RAL2496UT1のヘッドホン出力の音質を今一度聞き比べることにした。
RATOK RAL-2496UT1を使ってPCのUSB出力を同軸デジタルに変換しAV8003/SPに入力し、スピーカーで音を聞く。ボーカリストが自分に向き合って歌ってくれているような、そういう親近感を感じる音。
歌い手の気持ちが自然に伝わって元気をもらえる。安心できるというか、もっとも自然なバランスで音楽が聴けた。
DA53Nのヘッドホン出力の音も良かったが、RAL-2496UT1もそれに負けていない。パーツの少なさがいい方向に出ているのか?中高音のクオリティーは今回テストした製品の中で最も高い。高域の透明感と切れ味の良さではDA53Nを超えているかもしれない。
しかし、時にそれが災いして高域の歪みがやや過大に聞こえることがある。また、電源をUSBからとっているためか?大きな低音が入ったときに、音抜けするようにふっと力がな抜けるように感じることがあった。ボリュームを下げると、その傾向は緩和されるが完全には消えない。楽曲によっては気になった。
立体感が出ているし、ボーカルや楽器の音の質感も高く、オーディオ製品として納得できるサウンドに仕上がっている。ICしか使っていないにもかかわらずちゃんと音楽を鳴らす。このあたりのノウハウには、やはりオーディオメーカーとしての経験がものを言うのだろう。
RAL-2496UT1との音の違いは、エネルギー感にある。RAL-2496UT1の方がUSB-DDC(24-96)よりも音が早く、透明感も高い。ただ両者に大きな差はないから、多分どちらを選んでも後悔はないだろう。