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HEGEL (ヘーゲル) H360 プリメインアンプ 音質比較試聴 HEGEL(ヘーゲル) 社の概要 (エレクトリHPより転載) HEGEL社は、1997 年に創設されました。社名のヘーゲルは、著名なドイツの哲学家ヘーゲルに由来しています。 HEGELのサウンドポリシー HEGELのノウハウ ヘーゲル・ミュージック・システムズ AS 社長であり、設計者の「ベント・ホルター氏 (Bent Holter) 」は、スカンジナビアの最大の研究組織 SINTEF の上級半導体研究者として、素材としてのシリコンから製品としてのトランジスターの設計研究に長年携わった経験から、トランジスターの長所および短所を熟知します。彼は、パワー・トランジスターをオーディオ・アンプに使用する場合、音楽信号が常に非対称であるためトランジスターの温度を著しく変動させ、パワー・トランジスターの電流/電圧増幅特性曲線がその温度変動にともない変化する事により発生する「歪み」が音質を損ねると考えました。また、プッシュプル式のパワーアンプでは、パワー・トランジスターの温度変調はトランジスター増幅特性曲線のゼロクロス領域で最も大きくなります。 従来のクラス AB 出力ステージでは、ゼロクロスオーバー歪みは、出力トランジスターのバイアス電流の調節により最小化されますが、多くのアンプのバイアス電流調整は、対称の正弦波を使ったテストで調整されています。しかし、正弦波とは異なり、非対称の音楽信号を増幅する場合、このような条件で設計されたプッシュプル式の NPN および PNPトランジスターの温度は理想的に保たれず、逆にトランジスターの増幅特性曲線に悪い変化を与えるため、結果的にゼロクロスオーバー歪みを増大させてしまうのです。 多くの異なるタイプの静的・動的なひずみを取り除く特許取得のフィード・フォワード技術から構成される、ヘーゲル特許のサウンドエンジン技術は、変化要素のある増幅回路の前後に歪成分を検出(差分として歪みを検出)する専用回路を配置して、スレッショルド・ディテクターが歪成分を打ち消す信号を送ります。このサウンドエンジン技術により、ヘーゲルのアンプは効果的に動的なクロスオーバー歪みを取り除き、音楽信号のダイナミックレンジを広げます。 HEGEL H360 メーカー希望小売価格 700,000円(税別)
H360の概要(エレクトリHPから転載) 高精度電子ボリューム H360は、大型トロイダル電源トランスを備えた強力な電源部により、バイポーラ・トランジスタのプッシュプル出力ステージから最大出力 250W+250W(8 Ω)の大出力と、ハイスピードで広大なサウンドステージ、スムーズかつ高解像なサウンドを提供します。 フロントパネルのボリュームノブは、その変化量をマイコンが把握し高精度電子ボリュームアッテネーターを動作させるための「ポテンシオメーター」で音楽信号は通過せず、ボリュームノブの振動により信号を歪ませません。使用される高精度電子ボリュームアッテネーターは、2013 年ノーベル物理学賞受賞の欧州原子核機構(CREN)によって開発された素粒子(ヒッグス粒子)検出の為に開発された非常に高精度且つ静かな検出技術を応用し、HEGEL 社においてそれをボリュームアッテネーターとして機能する様再設計されたものが使われます。 ヘーゲルの特許技術 ”Sound Engine” パワー・アンプ回路は、フィードフォワード補正回路によりリアルタイムに出力ステージの歪成分を確実にキャンセルし、実際の音楽信号の再生におけるクロスオーバー歪みを劇的に減少させ、入力された信号を劣化させずにありのまま伝送します。その結果、アーチストの意図するかすかな雰囲気までもより自然に細部まで醸し出します。 DualAmp Technology(デュアルアンプ テクノロジー) 一般的なアンプでは、電圧ゲインステージと電流ゲインステージは同一のアンプモジュールとして設計されます。Hegel 独自の DualAmp Technology では、これら2つの電圧/電流ゲインステージは、完全に独立した異なるなるステージとして専用設計されています。 音楽信号は、最初に電圧ゲインステージに伝達され、その後電流ゲインステージへ伝達されます。電流ゲインステージは、スピーカーへの大電流を供給する役割を担っています。2 つのステージを分離させる事により、そのスピーカー駆動の大電流に起因する、電圧ゲインステージの敏感なパーツへの影響を防いでいます。電圧ゲインステージの出力は、電流ゲインステージの入力へ接続されていますが、フィードバックはかかっていません。 この優れたDualAmp Technology により、H360は更なる低歪み率と高ダイナミックレンジ特性を実現しています。 192kHz / 24bit、DSD64/128 対応の DAC を搭載 同軸、光、USB、Ethernet
の豊富なデジタル入力を装備しています。USB 入力は、192kHz
/ 24bit 対応、DSD64/128 対応。 PCからの操作も可能 美しい外観 H360のフロントパネルは、緩やかな HEGEL 曲線に切削された無垢のアルミニウムの表面に微小なガラスビーズによるショットピーニングブラストが施されています。
試聴環境 Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G) (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す) AIRBOW SA11S3 Ultimate (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す) 試聴は、スピーカーにVienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G)、プレーヤーにAIRBOW SA11S3 Ultimateを組み合わせ、H360を24時間ウォーミングアップした後に行いました。 試聴したソフトは、KRELL Illusion+Duo125の試聴に使ったいつもの5曲です。CDを聞きました。 HEGEL H360音質評価 せせらぎ 水の流れる音、鳥の鳴く声の分離が明確で広がりも大きい。同じ組み合わせで聞いた、Luxman L-500AX2と比べると、H360は音の粒子が一段と細やかで、表現の質感が高い。 HEGELの製品らしくその音には「主張」がなく、良い意味でこれという特長を持たないが、プリメインアンプとしては最上級のクォリティーを感じさせる音だ。 清々しい潤いを感じさせるサウンドで、「せせらぎ」がリアルに鳴った。 セレナード バイオリン、チェロ、コントラバスの分離にも優れているし、弦の切ない感じも良く出る。身体を包み込む、さりげない「空気感」が心地よい。 記憶しているH300との比較では、H360は音が若干明るく感じられた。 モナリザ ギターの音は優しく滑らか。ボーカルは情緒的だが情熱的すぎることはなく、品格のある可憐な色気が感じられる。 空気のようにさりげなく、体温が伝わらないぎりぎりの距離にいるけれど、存在感はしっかりある。そういう「ほどよい距離感」が心地よい。この感覚は、日本人が持っている「お持てなしの心」に似ている。 高い知性と、細やかな情緒を感じさせる、天使の羽衣のような美しい音でモナリザが鳴った。 500Miles 過ぎ去った厳しい日を懐かしむ、懐の深い余裕のある音で500Milesが鳴った。 H360の穏やかで美しい音色に、身も心も癒された。 新世界 音楽が鳴っているというよりも、HEGELが生み出す「楽園」を見ている、そのなかに身体をゆだねているような独特の感覚。 芯から癒されるけれど、どこか間違っている、騙されているような気がしなくもないが、それでも良いと思わせる説得力がある。 試聴後感想 H360に触れた第一印象は、「音量調整が細かい」、「外観が素っ気ない」です。 24時間のウォーミングアップの後、試聴を終えた感想は、HEGELの音は「優しいな」です。 H300のレポートで触れましたが、設計者のベント・ホルターが配偶者に恵まれ、実子を授かった頃から、HEGELのサウンドはさらに明るく優しくなっています。満開の桜に囲まれているような雰囲気です。 実際に聞き比べていないので確実ではありませんが、H360はH300の後継モデルとして正常に進化し、その音の細やかさ、立体感など細部のディティールの描き方に磨きがかけられているように思います。 ヘブン(天国の楽園)のようなその世界は、H360が持つ唯一独特のものです。 それを受け入れられるか、否かでこのアンプの評価は決まるでしょう。 2016年5月 逸品館代表 清原裕介 |
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