OPTOMA H57 プロトタイプ 画質テスト

1024×576のワイドパネルを搭載した新型DLPプロジェクター/OPTOMA H57(プロトタイプ)の画質テストを行いました。テストに使ったのが「プロトタイプ」なので、他機種との比較は行わず、最近お客様から質問の多い「コンポーネント入力/アナログ映像信号」と「DVI−D入力/デジタル映像信号」との画質比較を行いました。

H57は、データープロジェクター然としたH56Aとは異なる、家庭的なイメージに仕上がっています。

全体に丸みを帯び、ボディーカラーも「白」になり、データープロジェクターとは感じられません。
H56では問題となった「前方への光漏れ」にも対処されています。
このモデルから「三菱」とは、まったく別の製品となり、OPTOMAの方が価格がかなり高額となっています。

OPTOMA H57 の主な仕様

  OPTOMA H57
方式 シングルチップDDR DMD
液晶パネル 0.7型ワイドDMD
画素数 1024×576ドット
投写レンズ 手動ズーム(1〜1.2倍)
f=22.3〜26.8mm、F2.6〜F2.85
光源 250W UHPランプ
輝度 110lm(最大値)
コントラスト比 3000:1
騒音 -
映像入力
端子
3RCA(コンポーネント)端子×1系統
DVI-I(ANALOG/DIGITAL)HDCP対応×1系統、
ミニD-sub15ピン端子×1系統、
1RCA(コンポジット)端子×1系統、S端子×1系統
制御入出力端子 RS-232C×1系統
電源 AC100V-240V、50/60Hz
消費電力 -
外形寸法 340mm(W) x261mm(D) x128mm(H)
質量 約3.6kg
定価 生産完了モデル
 

使用機器

スクリーン

OS AM−H090B(ピュアマット2) 

DVDプレーヤー

MARANTZ DV9500 プログレッシブ接続

各入力の画質設定値

コンポーネント入力

ガンマ 3

コントラスト +58

明るさ +66

その他変更無し

DVI入力

ガンマ 3

コントラスト +36

明るさ +85

その他変更無し

コンポーネント入力(プログレッシブ) DVI入力

コンポーネント入力とDVI入力ではホワイトバランスが異なります。
色再現性には一長一短があります。コンポーネント入力は「色合いが鮮やか」でDVI入力は「色の純度が高い/色の濁りが少ない」ように感じられます。
全体の表現力は、コンポーネント入力が優位です。

グレースケールの比較では、やはりDVI入力が「素直/リニア」です。
しかし、暗部はさておき、人間の目の感度が高い領域での「クッキリ感」ではコンポーネント入力が勝ります。色合いも異なり、コンポーネント入力の方が「色温度が高め」です。

グレースケールでの比較がそのまま反映されています。
DVI入力は、ガンマスケールがリニアで自然です。色合いも自然な感じがします。
対してコンポーネント入力では、調整の癖(清原の好み)もあって、人間の目に感じやすい領域が「より明確」となっています。「クッキリ感」が強く「白抜け」が鮮やかな「TV調」の画質に変化しました。

桜の画像とはうってかわって、明らかにコンポーネント入力の「表現力/再現力」がDVI入力を上回っています。赤と白の対比の鮮やかさに大きな差があります。ピントにも違いがあります。

この場面での「微妙な色合いの差」は、デジタル伝送で「ロスの少ないDVI入力」が有利なようです。
奥行き感もDVI入力が勝っています。

しかし、この場面になると「評価が逆転」してしまいます。DVI入力は、あきらかに「色が薄く」色あせた感じになってしまいました。

表現力の差というよりは、好みの差?
色彩やガンマカーブのバランスが異なります。

H57でコンポーネント(アナログ)入力とDVI(デジタル)入力を比較した印象

H57は、まずDVI入力で画質テストを行いました。「シネマライク」な印象が強かったH56Aとは絵作りの方向が少し違い「ビクターの業務用機器」が持っている「フラットで癖が無く、地味だけれどリニア」な印象を受けました。

「ソースの持ち味」をそのまま引き出す「モニター」的なイメージです。ある意味ではACTION! MODEL ONE MK2と共通するこの個性はDLP独自の物でもあり、また輸入代理店の担当者(竹下氏)の好みなのかも知れません。

DLPらしくガンマカーブや色彩、色調などに非常に癖が少なく、プロジェクターに下手な主張をさせないその方向性には、大賛成です。今回テストした個体は、プロトタイプですが製品版もほぼ同じ仕上がりになると言うことです。

惜しまれるのはカラーホイールが4倍速(HC900Jも同じ)のためか、HT1100Jよりも「カラーブレーキング(色割れ/色のちらつき)が多く感じられましたことで、2004年末発売のNEC HT1100JKとH57の価格差、約2万円を考えれば、どちらを選ぶかの選択は非常に微妙です。どちらも「実機」が手に入り、セッティングもじっくり煮詰まった時点で、もう一度徹底比較を行わないといけないようです。カタログにない「ファンノイズ」は、十分に小さくまったく問題のない範囲でした。

同クラスの三菱のLVP−HC900Jとの比較では、プロトタイプの画質ですらそれを大きく上回っていると感じましたし、LP−Z3やEMP−TW200Hなどの「高画質液晶プロジェクター」と比較した場合にも、価格を除いてDLPの高画質にほとんど弱点はなく(唯一カラーブレーキングが最大の欠点です)安心してお薦めできます。

更に、余り表面には出てきませんが

さすがに最近の製品は、初期のモデルのように容易に画面に埃が映りこむ様なことはなくなりつつありますが、埃っぽい部屋で液晶プロジェクターを使うときには、フィルターのこまめな清掃などメンテナンスに十分配慮して下さい。また、中古の液晶プロジェクター(特に年式の古いもの)は、液晶が焼き付いたり変色したりしていることがありますから、購入時に十分注意するか信頼のおける販売店をご利用下さい。ノークレームノーリターンが横行する、ネットオークションでは手を出さない方が無難でしょう。

話は変わりますが、外国人は室内照明に「白熱灯の間接照明」を用います。白熱灯の間接照明の元では、対象物は「柔らく陰影に富んで」見えます。

しかし、日本人は「蛍光灯の直接照明」を使うことが多く対象は白熱灯に比べ、遙かにコントラスト感が強く、白が青色方向にシフトして見えるのです。

こういった一般的な日本人の「好み」あるいは、日本人にとっての「自然なバランス」を意識して、積極的に絵をいじったコンポーネント入力では、業務用モニター的なイメージのDVI入力に比較してNECのHT1100Jに近い「TVライク」なイメージの画質に一変しました。

コンポーネント入力が良いか? あるいは、DVI入力が良いか? 絶対的な情報量では、ややDVIが優位なように感じますが、実際の見た目は「セッティングの幅の広い」コンポーネント入力に分があるように思いました。

リポート掲載日:2004年11月22日