pioneer pdp-5000ex 画質 テスト

PIONEER PDP−5000EX

フルスペック・ハイビジョン・プラズマTV 商品のご紹介と画質テスト

2006年6月、技術にこだわるPIONEERからフルスペック・ハイビジョン・プラズマTV“PDP−5000EX”が発売されました。逸品館では、いち早くこの製品を展示すると共に、その圧倒的な高画質をホームページでもご紹介したいと思います。

PIONEER  PDP−5000EX ¥1,000,000(税別)

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逸品館1号館に展示中

本体裏画像入力端子

本体裏音声入力端子(一番左 映像入力)

※PDP−5000EXには、チューナが搭載されていない「モニターTV」となっています。CATVなどとの接続では不要となるチューナーを省きコストダウン、あるいは画質の決め手となるチューナー(入力機器)の選択をユーザーに委ねていることにPIONEERの良心とこだわりを感じます。

右側面 本体操作スイッチ

入力切り替え及びメニュー操作が可能

業務用途を意識した移動に便利なハンドグリップを装備

裏面パネル部。上部の4個の空冷ファン
熱がこもる場合のみに作動します

※店舗の展示では回ったことはありません。

パネル部のアップ画像

0.5mmのシャープペンシルとの比較で
   発光セルの小ささが分かります

衛星デジタル放送や地上波もデジタル放送が本格的に普及を開始し、ブルーレイディスクやHD−DVDも登場し、次第に私たちが見る画像は「ハイビジョン」が中心になってきました。一口にハイビジョンといっても、「ハイビジョン」には「きめ細やかさ」が異なるいくつかの種類(規格)があります。720iや720p、1080iや1080p、これらの言葉を耳にした方もいらっしゃると思います。ハイビジョンを映すための「ディスプレイ」は、細かければ細かいほど、つまり画素が多ければ多いほど綺麗に写るのでしょうか?

すでにご紹介したように「ハイビジョン」には、いくつかの「細かさの規格」があります。また、さらなる高画質を実現するためのテクノロジーとして「スーパハイビジョン」という規格の研究も行われています。しかし、アナログからデジタルに変わったばかりの放送規格は当分変わることはありませんから、ディスプレイ(プロジェクター)は、現行放送規格の最高画質「1080i」にに対応する「1920×1080画素=約207万画素」あれば大丈夫です。この「1080i」をそのまま表示できる「200万画素を越える」プロジェクターやディスプレイを「フルスペック・ハイビジョン」と呼んでいます。

話は変わりますが、最近「フィルムを使わない映画館」が増えているのをご存じですか?HDDに収録した映画を1台1000万円を優に越えるプロジェクターを使って、スクリーンに投影して見せる映画館のことです。ここで使用されるプロジェクターはNECビューテクノロジーなどから発売されていますが、それらに使わるパネルも(2048×1080)と家庭用の「フルスペック・ハイビジョン」対応製品とほぼ同じとなっていることから、約200万画素の高精細度を持つこれらの「フルスペック・ハイビジョン」対応製品が、今後の高画質製品の主流となることは明らかです。今後、ホームシアターで「最高画質を実現したい」とお考えなら、「フルスペック・ハイビジョン対応製品」をお求め下さい。

しかし「フルスペック・ハイビジョン」対応モデル、つまり「200万画素のディスプレイ、プロジェクター」ならどれでも「高画質」が実現するというわけではありません。最新型の液晶式のフルスペック・ハイビジョン・プロジェクターや安売りされているプラズマTVの一部では、地上波放送やDVDなどのハイビジョン以外のソースを表示したとき、字幕や赤色が滲んだり、砂をまいたようにザラザラしたり、小さなモザイクのようなノイズ(ブロックノイズ)が表れたり、画素の少ない製品よりもかえって画質が悪く感じることがあります。例えば、新聞を虫眼鏡で見れば文字や写真に見えたものが「粗い点の集まり」にしか見えませんが、この状態がまさに「安物のフルスペック・ハイビジョン対応品」の画質の悪さを的確に表していると言えるのです。

もし、新聞を虫眼鏡で見るときに「文字や画像を目で見たままの細かさで拡大」出来るとすればどうでしょう?文字や絵が拡大されても「粗い点の集まり」になって「画質が低下する」ということはなくなります。仮に新聞が「100個/1cu」の点の集まりで構成されているとします。虫眼鏡でこれを2倍に拡大すると面積が1cuから4cuとなります。画質を低下しないために必要な点は「100個/1cu」×4=400個です。つまり、新たに300個の点を作り出すことができれば、画質を低下せずに文字や写真を拡大できるのです。

これを動画に置き換えてみましょう。DVDに記録されているのは、静止画で「480×720=345,600」画素です。この静止画が「30枚/秒」収録され、連続で際することで「動画」として見られます。このDVDを画素の細かいディスプレイで見ようとすると、先ほどの新聞を虫眼鏡で見るのと同じ理屈で「DVDに記録されていない画素の差分」を「新たに作り出す」ことになります。ディスプレイが従来型ハイビジョンパネルの「1280×720=921,600画素」なら「921,000−345,600=576,000」の画素を作らなければなりません。ディスプレイがフルスペック・ハイビジョンなら「1920×1080=2,073,600」とDVDの差分「2,073,600−345,600=1,728,000」もの画素を1秒間に30枚も作らなければならないのです。DVDをフルスペック・ハイビジョンに表示する場合には、約207万画素中の約172万画素、なんと8割を優に超える画素を新たに作り出さねばなりません。ですから、DVDや地上波アナログ、1080i未満のハイビジョンソースを「フルスペック・ハイビジョン」に表示する場合には、元々の画質と共に新たに「回路で作り出される画素の画質」が非常に重要となるのです。

この画素を増やす作業(回路)を「アップコンバート(アップスケーリング)」と呼びます。DVDをフルスペック・ハイビジョンに「アップコンバート」するためには、毎秒1,728,000×30=約5000万個もの画素を人間が観て不自然な感じがしないように、「前後の映像を比較する」、あるいは「動きを区別する」などの複雑なアルゴリズムにより作り出します。この「アップコンバートの画質」がどれくらい大事か、簡単な画像で説明しましょう。

  優秀なアップコンバート 劣悪なアップコンバート

DVD

等倍

DVD

ハイビジョン

DVD

フルスペック
ハイビジョン

アップコンバート回路がまずいと画面の画素こが細かくなればなるほど「画質が劣化」する様子がお解りいただけたと思います。アップコンバートは、表示画素が細かく(パネルが高精細度=分子が大きい)、映像ソースの画素が少ない(DVDや地上アナログがもっとも分母が小さい)ほど倍率が大きくなります。つまり、パネルの画素数が多ければ多いほど「アップコンバート回路は優秀でなければならない=製品を安くできない」と言うことです。

今後、プロジェクターやディスプレイを選ばれるときには、かならず「DVD」や「地上アナログ放送」をチェックしてください。 「スペックは高ければよい」のではない 「高スペック」が必ずしも「最良」ではないと、お解りいただけるはずです。

さて前置きが長くなりましたが、今回発売されたPDP−5000EXが50型プラズマでは100万円(税別)と群を抜いて高額なのは、上記のような理由で「画質にこだわり抜いて」作られているからです。もちろん、国産です。では、超高画質を実現した、パイオニア初の「フルスペック・ハイビジョン・プラズマTV」の実写画質を検証してみましょう。

まず、高画質で定評のあるPIONEERのDVDレコーダー“DVR−DT90”と弊社オリジナルAIRBOWの高画質DVDプレーヤー“DV9500/KAI”をHDMI接続(接続には、WIRE−WORLD SHH/2.0mを使用しています)で比較してみました。この比較テストは、フルスペック・ハイビジョンの液晶TVや従来型のプラズマTV(PDP−436SX)でも行ったのですが、違いがよくわかりませんでした。しかし、PDP−5000EXは見事にその違いを鮮明に映し出しました。

DV9500kaiは全体的に質感もよく、画像も滑らかで動きも自然

DVR-DT90は比較すると画像が全体に粗く色数も少なめに見えます。

I. ROBOTのDVD画像

プロジェクター視聴時にデモでよく使うデモ用ソフトで見慣れたシーンですが、ロボットの頭部がこんなに透けていたのかと改めて驚かされました。暗い映像が続きますが、「黒」にこだわったPIONEERのプラズマの面目躍如!暗部の階調をつぶさずに見事に描き切っています。

DVR−DT90のチューナー・ハイビジョン映像

色鮮やかで奥行き感のある画像はパイオニアの得意とするところでしたが、パネルがフルスペックになり更に高解像度がプラスされたことで、まさに鬼に金棒の「高画質」が実現しています。

「高画質=メリハリがある」と誤解しがちですが、パネルが高精細度になると画質は「滑らか」になって行きます。上右の画像の「温泉へ行こう!」の文字がにじんだり、ボケたりせずにきちんと表示されている所などにフルスペック・ハイビジョン・パネルの良さが見て取れます。画質は、「高画質」をむやみに意識させるような方向ではなく、色合いと色彩の豊かさが増し、よりマイルド&ナチュラルになった感じがします。

2006年6月 逸品館ビデオスタッフ