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 QUAD QC24 Phase tech CA3 Luxman c600f

プリアンプ 音質 比較 試聴 テストリポート

QC24

 

¥235,000(税別)

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CA3

 

 

¥380,000(税別)

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C600F

¥500,000(税別)

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逸品館お薦めの高音質MCカートリッジ P-3/P-3Gフォノイコライザー・アンプEA-3などレコード関連機器を中心に発売している、国内高級オーディオメーカー“PHASE TECH”より超高級プリアンプCA1に続いて、普及価格のプリアンプCA3が発売されたのを機に逸品館お薦めプリアンプ3機種を一同に揃え、音質比較テストを行いました。

外観

QUAD QC Twenty four

QUADの最大の特徴は、小型で幅が300mmと小さいことです。電源スイッチはボリュームの右下のボタンです。ボリュームの下の小さなボタンは、バランス調整用のつまみで写真上では、右の音量が最大になっています。バランスつまみのセンターには、クリック感がありそれとわかるようになっています。

フォノ入力は、端子とアースが備わっていますが別売のフォノボードを装着しないと使えません。入力は、LINE×4、TAPE×2と小型の割には十分な数が揃っています。XLR(バランス)入出力とリモコン機能は、搭載されていません。プリ出力は、RCAが2系統です。

Phase Tech CA3 ・  Luxman c600f

Phase Tech CA3 と Luxman c600fの主要機能は、ほぼ同等でプリアンプとして必要な機能は搭載されています(トーンコントロールはありません)。それぞれの機能は、本体側でもリモコンからでも操作が可能です。

主な機能は、音量調節、入力の切り替え、アウトプットの切り替え(RCA/XLR、同時出力も可能)、バランス調整、ミュートなどですが、c600fはさらにXLRの出力の位相切り替えも行うことができます。

入力数は、LINE×5はどちらも同じでc600fのみさらにXLR(バランス)入力が2系統備わっています。フォノ入力はどちらも搭載されていません。また、TAPE入出力は、CA3には備わっていませんが、そのかわりにプロセッサー端子が付いています。この端子を使うとグラフィックイコライザーやBBE、INFRANOISE RMS-1000などのサウンドプロセッサーを接続することができるので、そういった機器を使われる場合には、大変便利です。c600fには、1系統のTAPE入出力が備わっていますが、最近はアナログレコーダーをほとんど使わないのでTAPE入出力は、1系統あれば十分だと思われます。

プリ出力は、CA3がRCA×2、XLR×1に対し、c600fはRCA/XLR各2系統が備わっています。

本体前側から見たときの外観には、大きな差は感じられませんが、本体天板・側板・後側及びリモコンの仕上げは、圧倒的にc600fが勝っています。

音質テスト

音質比較テストは、次の条件で行いました。

デジタルプレーヤー AIRBOW SA10/Ultimate

アンプ AIRBOW AIRBOW PS8500/Special(7.1chダイレクト入力)

スピーカー Vienna Acoustics T3G

※電源ケーブルは、すべて同じ物を使用(ベルデンの2m/付属品ではありません)。

※RCAケーブルは、AIRBOW MSU−095WE相当品。

※プリアンプを使わない時(ダイレクト接続時)は、ケーブルを直接繋ぎ変えずに

 オーディオテクニカのAT517CPでケーブルを繋いでテストしました。

試聴ソフト

GETZ & GILBERTO / STAN GETZ , JOAO GILBERTO / SACD /UCGU-7006
スタン・ゲッツ & ジョアン・ジルベルト (SACDソフト)

ダイレクト接続(SA10/Ultimate + PS8500/Special 7.1ch入力 + T3G の音質)

AIRBOW'CDプレーヤー'DV12S2/Specialシルバー

音の重心は、ちょうど声の部分にある。ボーカルの厚みが凄くリアルで演奏者の血潮の暖かさを感じられる音だ。

 ギターは、高音の切れ味はさほど鋭くはないのだが、中低音とのバランスや倍音構造のタイミングがとても自然で、少しデッドな部屋で少し離れた場所の生ギターを聞いている感じにそっくりだ。3号館のリビングリスニングルームはややデッドなのだが、反射や残響の多い部屋(音響がコンサート会場に近い部屋)なら、本当に目の前の生演奏を聴いている感じがするに違いない。

サックスも厚みがあり、ボディーが鳴っている感じが伝わる。同時にリードそのものの音も明確に聞き取れる。テナーサックスの厚みのある様が素晴らしい。後でも述べるが、スタンゲッツの使っている楽器と奏法の特徴が如実に感じられるサウンドだ。

思わずギュッと抱きしめたくなるほどのアストラッド・ジルベルトのキュートな声(録音時は23才)とその伴侶のジョアン・ジルベルトの甘い声が絡み合って、そこにテナーサックスの甘い響きが混じる。ピアノはポロポロ鳴って、シンバルを叩くブラシの音が絶妙のアクセントになる。

正にボサノバの真髄を聞ける。部屋の空気の温度が上がって、真冬なのに部屋の中は初夏の香りが漂い始めると、そこはもう南国。

SA10/Ultimateの音は、普通のCDでは感じられない暖かさがある。それでいてレコードでもテープの暖かさとも少し違う独特のサウンドだが、その雰囲気の濃さ、良さは、最高級のアナログに勝るとも劣らない。最近のオーディオ・ショウでよく聞かされる、細かいけど温度感が低かったり、細部まで見通せるけど音楽の雰囲気が薄かったり、とにかく「いい音」だけれど「良い音楽」に聞こえない音とは、真逆の厚いサウンドだ。

滑らかさと厚みと包み込まれるような暖かな雰囲気。本当にそこでセッションが行われているような熱い音。全部の音が素晴らしく「熱い」のだが、このソフトでは特にテナー・サックスの音が素晴らしい。そのテナーならではの圧迫(圧力)感、切れ込みの鋭さ、暴力的なまでに支配的なその独特の音色、そういうすべてが混じり合って音の洪水となって心と身体に押し寄せる。身体の芯熱くなる。

シンバルは奥の方でシンシンとなっているのだが、その芯の強さ、アクセントの入り方が本当に「それらしい」。

絶対的な音質では、UX1SEに及ばないが、それぞれの楽器の音が見事に混ざり合って、熱い音楽を奏でるこの独特の表現力にハマってしまうと、もうSA10/Ultimateの独断場になる。

音楽が好きなら、リズムに乗りたいなら、セッションに参加したいなら、このプレーヤーの熱い音がそれを叶えてくれる。こんなに“熱い音”のデジタルプレーヤーは、そうはめったにお目にはかからない。

QUAD QC24 Twenty four

ケーブルを繋いでいるジョイントを外して、QUAD QC24を接続する。AVアンプの入力ボリュームを0dbにセットし、プリアンプのボリュームを音量が変わらないように注意して調整する。

一音が出る。 驚いたことに、音はほとんど変わらない?

そこで何度かプリアンプを付け外しして、ソフトの冒頭を繰り返し聞き直してみたが、やはり音がちょっとマイルドになったかな?と感じるくらいでその差がほとんど感じられない。

差が小さく、コメントが書きにくいのでとにかくそのままCDを聞き続けると、音ではなく雰囲気が変わっていることが段々わかってくる。

最初にも述べたように音は、ほとんど変わったように聞こえないのだが音楽の温度感、場の雰囲気の濃さが少し減退して曲調があっさりする。先ほどの熱さを感じたセッションとは、少し変わったライトな雰囲気になる。これはこれで悪くないのだが、このソフトではプリアンプのないダイレクトな音の方に魅力を感じられた。

過去のテストでは、その持ち味のマイルドさで「音の中から音楽を上手く引き出していた」QC24だが、すでにそう言う特徴を持っているSA10/Ultimateとの組合せでは、その良さを発揮できないようだ。

サックスもパワー感は失われてはいないのだが、やはりややライトでまったりとした方向への変化を感じる。サックスのリードの材質をやや柔らかくしたような変化だと言えば、おわかりいただけるだろうか?

ブラックコーヒーやストレートティーに、ほんの僅かミルクを入れたようなそんなイメージ。今の音がややキツい固いと感じられるならQC24を組み合わせると、それが緩和して広がりや柔らかさを醸し出されるだろう。

音の傾向のマッチ、ミスマッチはとにかく、今回のテストで驚かされたのはこんなに安い価格のプリアンプを間に挟んだにもかかわらず「音がぜんぜん悪くならない」ことだ。プリアンプの中には、沢山の抵抗や配線、接点、増幅素子が入っている。ここ価格帯のプリアンプでそれらを通過した事による「悪影響」がほとんど感じられないのは、舌を巻かされる。こんなプリアンプは、この価格で多分他にはないはずだ。

Phase Tech CA3

QC24同様やはりこのプリアンプを繋いでも、音の細やかさや音質のバランスには大きな変化が感じられない。しかし、CDを聞き続けるとQC24との違いはすぐに明確になった。

音のエッジをマイルドにする方向のQC24に対してCA3は、エッジをより明確にする方向への変化をする。

ダイレクトの時は生ライブを聴いている感じだったが、CA3を使うことによってそれが「スタジオ演奏」に聞こえるようになる。

個々の音がより明確になり、音の芯がシッカリする。エネルギー感は、損なわれない。

低音はしっかりと締まり、ベースの圧力が増 す。ギターとボーカルの分離が良くなって、それぞれの位置関係もハッキリするようになる。

このプリアンプと前後して、PHASE-TECHはMCカートリッジの上級モデルP-3Gを発売したがCA3の音質傾向は、P-3→P-3Gへの変化とよく似ている。 シンバルの音が若干、薄くなったように感じるが、ピアノの中高音の輝きは増している。全体的なまとまりは、とても良い。

昨日、一日中全く同じシステムでいろんなソフトをかけ比べて聞いていたが、ダイレクト接続には感じられないCA3の素晴らしさを強く感じていただけに、今日のテストの結果は少し意外な感じがした。昨日の私の評価では、CA3を使うとダイレクトよりも明瞭度が上がり、その結果プリアンプを使わないときよりも細かい音まで聞こえる。低音が伸びる。低音の膨らみが緩和されて音が締まる。楽器の切れ味が増して、エネルギー感が増強されるなど、良いことばかりだったのだ。やはり、このソフトとこの環境では、ダイレクトの音が「ハマり」過ぎているから、プリアンプを使うことによるメリットが出にくかったのだろう。

Luxman c600f

私は、c600f/m600fの組合せの音質を高く評価している。しかし、ラックスのようにセパレートアンプがほぼコンプリート(セットになる)の状態で販売されているメーカーのプリアンプは単体で評価されることが少なく、Luxmanのプリアンプを単体でテストするのは初めてだ。

早速、これまでのテストと同じようにCDとAMPの間にC600Fを繋いで音を出す。QC24とCA3で感じたのと同じように、このアンプも「音を悪く(音質を劣化)」しない。

C600Fは、CA3で感じたのと同じように音のエッジを明確にし、それぞれの音の違いをハッキリと描き出す方向に音質を変化させるが、CA3との違いは、その雰囲気の出方にある。

周波数帯域がほぼフラットに感じられるCA3に対して、C600Fは中央がほんの少しだけ盛り上がったかまぼこ形に感じられる。あるいは、低音がしっかりと地について頂点がほんの少しだけ丸い正三角形型の音響バランスを実現する。ラックスらしく中域にウェイトがあって、艶と厚みを感じる音だ。

結果として、ダイレクト入力よりも空気感がスッキリとするが、雰囲気の濃さは損なわれない。弾けるような熱いセッションが、落ち着きを取り戻したように聞こえる。

C600Fのメーカー標準価格は50万円だが、リモコンの機能、本体の質感の高さ、スイッチのタッチの良さ・・・。音質はもちろんだが、それ以外の部分も含めて、これだけのクォリティーに達しているのは、恐れ入る。LUXMANのホームページでは機器のメーカー標準価格が、新製品リリースのページにしか掲載されていないが、それは「海外に対する配慮」だとご存じだろうか?ドイツなどではLUXMANの価格は、日本の3〜5倍でと聞く。つまり、C600Fはドイツでは150万円以上で売られているらしい。

海外ではそれくらい高く評価されているLuxmanの製品だが、C600Fを国内で入手可能な150万円クラスの海外製プリアンプと比べてみればどうだろう?音質はもちろん仕上げや機能に関しても決して、それらに引けを取らないはずだ。このアンプは良くできている。これで満足できなければ・・・、相当額の出費を覚悟しなければならないだろう。

総合評価

今回のレポートは、特定の装置、特定のソフトしか用いていないために、単純にプリアンプを入れたから良くなった悪くなったというような「絶対的判断の指標」とはなり得ないことを最初にお断りしておきたい。プリアンプなどコンポーネントの「一部」でしかない機器の評価はあくまでも相対的なもので、組合せや演奏するソフトで大きく変わるのが普通なのだ。

しかし、私がプリアンプをテストするときにこれだけは確認しておきたいという点が一つだけある。それは、「音を悪くしない」と言うことである。いくら雰囲気が出たとしても、聞こえていた音が全然聞こえなくなると言うのはどうかと思うからだ。しかし、過去このテストをクリアしたプリアンプは非常に少ない。海外製の100万円クラスのプリアンプですら、このテストをクリアしたものは本当に少ないのだ。しかし、今回テストした3台のプリアンプは、すべてそのテストをクリアした。だからどのアンプを使っても「音的な不満」は、まず出ないだろうと思う。

では、それぞれの違いは何か?それはトータルとして醸し出される雰囲気の差である。音は変わらなくても、楽器のエネルギー感や位置関係、セッションの雰囲気などは、それぞれのアンプで微妙に変化する。

音にばかり耳を奪われていると気付かないかも知れないが、プリアンプにかかわらず、オーディオ製品やアクセサリーを交換すると、音楽の雰囲気(ニュアンス)が微妙に変化する。女性の方が、この変化に対して敏感であるという意見もあるが、この「微妙な変化」こそがオーディオの楽しみであり、目的だと言える。しかし、最初はわかりやすいから音を変えることばかり、聞こえない音を聞こえるようにすることばかりに夢中になりやすい。しかし、行き過ぎると音楽性が破壊され雰囲気のない音になる。もちろん、それでも本人さえ納得していればそれでも良いのだろう。音楽性を追求しようがしまいが、どこまで行ってもオーディオによる「音の追求」は、究極の自己満足的なのだ。それでも、私は音楽不在のオーディオを「趣味」と呼ぶことに強い抵抗を感じる。それは、ただの機械いじりだと思うからだ。高尚な目的を持たない「自己満足」を「趣味」とは、呼べないと思うからだ。

まあ、そんな難解な話は脇に置いて今回テストした3機種の違いを「私なり」にまとめてみる。

まずQC24だが、良くも悪くも「真空管」の味が出る。球の働きで音がマイルドになり、聞きやすくなる。その結果、音楽は、よりリラックスして聞ける方向に向かうだろう。これだけ見事に球の音をまとめ上がられる実力は、さすがにQUADの名に恥じない。そして、価格は驚くほど安い。

明らかに球の雰囲気を強く出したQC24に比べ、CA3とC600F「音」は、類似している。下手をすると、電源ケーブルや接続ケーブル(インターコネクト)も違いでその差がわからなくなるのでは?と思えるほど似通っている。しかし、それぞれの「雰囲気」は、明確に異なっている。

CA3の音は、明快だ。キリッとしっかりしたサウンドで、パワー感もある。音がしっかりと締まってどしんとまとまるのは、CA3だけが持っている良さだと思う。それに比べ、C600Fの音は、CA3と比べると低音がややマイルドに膨らんだ感じがするが、全体的にはかなり近い印象だ。どちらも音のエッジを少し明確にし、解像度感・明瞭感が向上する方向へ音質を変化させる。

C600Fは、中音の滑らかさ厚みや色っぽさでCA3を明らかに上回る。この音作りにラックストーンの伝統を感じさせるが、C600Fのそれは過去のラックスの製品のように「どっぷりと濃い」のではなく、「さりげない隠し味」程度で非常に具合がよい。

この2機種を切り替えて得られるのは、ライブの雰囲気を残すC600Fに対し、スタジオの緊張感を醸し出すCA3といった部分だけなのかもしれない。伝統を感じさせるC600Fに対してCA3の音は、若々しくフレッシュだ。C600Fの音は艶やかで人肌の柔らかさがあり、CA3にはスタジオの張りつめた緊張感がある。

価格は、C600FよりもCA3の方が10万円近く安い。QC24は、CA3のその半額にしか過ぎないから、購入を検討するときに、C600F/CA3とQC24を較することはないだろう。しかし、システムとのマッチング如何では、QC24でもC600F/CA3に匹敵あるいはそれを越えるほどの音質を発揮することもあるはずだから、購入時には忘れずチェックすることをお薦めしたい。

SA10/Ultimateについて

今回のテストでプリアンプを使わずにSA10/UltimateをダイレクトにPS8500/Specialに接続した方が良かったのは、SA10/Ultimateがすでにプリアンプ゚を通したときのような「耳当たりの良さ」・「音楽の雰囲気の生々しさ」が与えられているためです。

今までのAIRBOWのプレーヤーももちろん、そういう「耳当たりの良さ、聴き疲れしない自然な音」という傾向の音作りをしているのですが、それでもプレーヤーで完璧な音作りを行うと、そこから先の機器を「選び楽しみ」が奪われてしまうと考え、そのように支配的な音作りをタブーとしていました。しかし、CDプレーヤーを「カートリッジ」あるいは「レコードプレーヤー」と考えると、過去名器と呼ばれたカートリッジやプレーヤーと同じような「支配的な個性を持つ音作り」の方向も「あり」なはずです。そう考え、SA10/UltimateはAIRBOWの定めたタブーに挑戦し、それを打破した初めてのプレーヤーとなりました。

SA10/Ultimateの存在は、音ではなく音楽を感じさせるためにあります。今回演奏したソフトに収録されているスタンゲッツの「サックス奏法」は彼独自のものです。従来のAIRBOWプレーヤーでは、その奏法を「音」として伝えていました。音を聞いて奏法を解釈するという、2段階のプロセスで演奏や音楽を伝えるのです。しかし、SA10/Ultimateでスタンゲッツを聴くと「奏法」そのものではなく、なぜスタンゲッツが「この音」を必要としたのか?「その音」が音楽にとってどのような役割を占めているのか?その「結果」がよくわかります。言い換えるなら、一旦音を聞いてそれを解釈するのではなく、スタンゲッツのサックスがそのまま頭の中にダイレクトに音楽として飛び込んでくるイメージです。だから、SA10/Ultimateでソフトを演奏すれば、音楽の現場や生の楽器の音を知らなくても、誰もが平等に「音楽の楽しさ」を味わっていただけるでしょう。

残念ながら、今回のテストではそのSA10/Ultimateの性格が災いして、プリアンプの存在意義が薄くなって「何もない」方が心地よく音楽を聴けたのだと思います。しかし、そこまで繊細で完璧なチューニングを行ったプレーヤーを使ったからこそ、それぞれのプリアンプの「味」がより明確になっています。そういう意味でも、今回の各プリアンプの評価は「相対的なもの」と受け取っていただけると幸いです。

2008年1月 清原 裕介