上のインストール例のコメントにもありますように、APEQ-2proを使うと「余計な音」、「余計な響き」が激減します。部屋がブーミな場合やスピーカーのセットアップが不十分な場合は、その効果は非常に高く劇的に音がクリーンになります。冒頭で比較したAccuphaseなどの周波数を補正する“グラフィックイコライザー”との違いは、使用によって「音が平坦になる」、「音楽の抑揚が無くなる」などの「悪影響」が全く起きないことです。
APEQ-2proを使うと、楽器と楽器の間にあった空間の「濁り(余計な響き)」だけが取り去られ、楽器の響きの透明感が増してきます。また、余計な響き成分が減少することで音場はより大きく広がり、各楽音の明瞭度も向上します。
そればかりではありません。、本来「音の良さ」が何より求められるコンサートやライブ会場などのスピーカーの音質改善を目的として作られたAPEQ-2proは「音楽の表現力を改善」できるのです。それは、多くのオーディオ用イコライザーが「音は変わっても音楽がつまらなくなった」という問題を生じるのと対照的です。
APEQ-2proを使えば、楽器の音は生音に近づき(生の楽器を聴いているのと非常に近い音色になる)、ボーカルもまるで目の前で本人が歌っているかのように生々しくなります。APEQ-2pro(DIO)によって「邪魔な音だけが取り去られた結果」として、「音楽の表現力の大きさと深さ」がそれまでとは比べものにならないほど大きくなるのです。
「原音忠実再生」を目差していらっしゃるなら、スピーカーやアンプ、アクセサリーやルームアコースティックの調整でお悩みになることはありません。そのすべてをReal
Sound APEQ-2pro(DIO)は、たった一台で解決できるのです。
オーディオの目的は二つあります。一つは「コンサートの忠実な再現」です。この目的に対してAPEQ-2proは、最短で最良の手段です。では、もう一つの目的である「気に入った音を出す」という目的に対してAPEQ-2proのようなイコライザーをどのように使えばよいのでしょう?答えはそれほど難しくありません。音質を補正することはすなわち、スピーカーから新しい音を出すことだからです。では「気に入った音を出す」ためにAPEQ-2proをどのように使えるか?考えてみましょう。
オーディオで求める音は「一つ」ではなく、求める人の数だけ「音のバリエーション」があって良いと思います。そのバリエーションを実現するために、スピーカーやアンプ、プレーヤー、あるいはケーブルと言った製品やアクセサリーが星の数ほど存在しています。それらのアクセサリーを「調味料」に例えるなら、スピーカーやアンプは「素材」です。もし、「素材」に強烈な個性があれば、「調味料」の使い方は非常に難しくなります。しかし、「素材」の個性が薄ければ、「調味料」は少しですむはずです。そして、「調味料による変化」もとても分かりやすくなります。
APEQ-2proの最大のメリットは、リスニングルームでもっとも大きな問題となる「ルームアコースティック」も含めてスピーカーの音を補正できることです。さらにアンプやケーブル、インシュレーターの音も含めて完全に「色づけのない音」が実現します。そこでまず、アクセサリーを一切使わずに「補正データー」を算出し、そのデーターを使って「スピーカーを補正」した後、アクセサリーを使用すれば「そのアクセサリーの音質」だけを反映できるのです。最初から「味」が付いている「素材」に調味料を加えるのではなく、「味のない素材」に「調味料」を使えば、「調味料の味」だけが際立つというわけです。
さらにAPEQ-2proに付属する“C1”という「12バンド精密パラメトリック・イコライザー・ソフト」を使えば、非常に精密なトーンコーントロールとしてAPEQ-2proを使うことができるのです。精密なイコライザーは、「音質をフラット」にするだけではなく、「フラットにした音に味を付ける」ことにも使えるのです。
ここで「グラフィック・イコライザー」や「トーン・コントロール」の有効性について考えてみましょう。
高音/低音が足りないと感じたとき、アンプに「トーンコントロール」が装備されていれば、つまみをひねるだけで望みの音が手に入ります。特に生演奏よりも「小音量」で音楽を聞かなければならないことが多い家庭では、音量に応じた音質を得るために「トーンコントロール」が欠かせません。しかし、なぜか高級オーディオでは「トーンコントロール」や「グラフィックイコライザー」は邪道とされています。それには次のような「明快な理由」があります。
私は「趣味は無駄を楽しむこと」だと考えています。オーディオにおける「試行錯誤の時間」こそ趣味の本質であり楽しい時間なのです。それに対し、仕事は「効率を上げること(無駄を省くこと)」が目標です。APEQ-2proはその“PRO”という名の通り、無駄を省いてくれます。しかし、それでは「楽しみが奪われて」しまうではありませんか?これが、高級オーディオ製品に「トーン・コントロール」が省かれたり、イコライザーが嫌われる理由なのです。
楽しみながら苦労して「自分が作り上げた音」が一瞬で「無味」になってしまったらどんな気持ちがするでしょう?特に「自分の作った音に絶対的な自信を持っている」、「自分の音に惚れている」、「自分の音が自慢である」といったコアなオーディオマニアこそ、APEQ-2proを否定するでしょう。「遅くともマニュアルで車は運転したい=音質が完全でなくても音は全部自分で作りたい」。それも趣味として「正しい姿勢」に違いないからです。
しかし、あまりにも「音作り」にばかりこだわりすぎると、「音楽」がお留守になります。私は、オーディオの話をする前に必ず「好きな音楽」を尋ねます。音楽の趣味を知れば、その人の「音楽に対する理解(愛情)」は、容易に判断できるからです。音楽に対する造詣が浅い人が出す音は、やはり浅いものでしかないのです。しかし、オーディオの音質が原因で「音楽に対する造詣が深められない」などしたら、それは悲劇です。何を隠そう私自身がそうだったのです。プアなステレオでプアな音しか聞いていないときは、交響曲やクラシックの本当の良さを知ることは出来ませんでした。
現在私は、積極的に「トーンコントロール」や「グラフィックイコライザー」を推進しています。それは、一歩でも早く「音楽の本質」に近づいて欲しいとの願いからです。逸品館に寄せられる「音」のご相談の多くは、「低音/高音が足りない」、あるいは「音が前に出てくない」といった、根本的でありながらも「比較的解決が優しい問題」です。そんな簡単な問題の解決に「無駄な時間」を費やして欲しくはありません。
かなり以前から、逸品館では「先進のトーンコントロール機器」としてBBEの製品をお薦めしています。BBEを使えば高音や低音のバランスのみならず、音像の定位が悪いといった問題は嘘のように解決するからです。BBEは簡単なアナログ・プロセッシングの音質補正装置ですが、その優れたプロセスによって他のトーンコントロールでは実現しない素晴らしい効果が音質をほとんど犠牲にすることなく得られます。つい先日も「音を前に出したいから100万円クラスのパワーアンプを探している」というお客様に、BBEをご紹介したところ大変喜ばれ、その場でご購入なさったことありました。オーディオ機器に100万円近く投資する効果が、数万円のBBEで得られることをご存じでしたか?
今回テストしたAPEQ-2proは、BBEより遥かに進歩しています。APEQ-2proは車で言うなら、素晴らしく良くできたオートマチックです。ドライバーは、エンジンキーをひねるだけで後は車が全部やってくれます。誰より快適で、誰より早く「コンサートの再現」という、オーディオの一つのゴールにたどり着くための特別な手段がAPEQ-2proなのです。そして、APEQ-2proを上手く使いこなしたときには、「気に入らず機器の買い換えを繰り返した悪循環」が完全に断ち切れます。
オーディオの頂点を「マニュアル」でゆっくり目差すか?オートマチックで一気に上り詰めるか?それは、あなた次第なのですが、APEQ-2proは、「音楽を聴くためのマイナス面」だけを取り去るので、「機器本来の情報量が損なわれる」事がありません。確かにプレーヤー(プリアンプ)とアンプ(パワーアンプ)の間に一つ機器が増えることで、僅かですが「音の細やかさ」がスポイルされるのは避けられませんが、それはAPEQ-2proからアンプに接続するケーブルに高級品を奢ってやれば解決します。総合的に判断してAPEQ-2proを使ったマイナスよりも、それを使ったプラスが小さいというケースには、まずお目にかかれないはずです。何よりも「音楽を聴くのが楽になる(音場の余計な癖が取れてしまう)」ことは、普段音楽を聴く時間が長い方にとって、これほど嬉しいことはないはずです。
TANNOYのような「響きの多いスピーカー」やJBLのような「特性に癖があるスピーカー」にAPEQ-2proを使った場合、それらの「癖=持ち味」はかなり薄くなります。しかし、その「癖(持ち味)」が音楽を聴くために、決してプラスに作用していたのではないことがAPEQ-2proを使うことで明らかになります。高価な機器を使いながら、納得できる音が出せないときこそAPEQ-2proを使うべきです。隠れていた音が一気に聞こえ、装置本来の能力が引き出せるはずです。
ライブハウスなどのスピーカーにAPEQ-2proを使うのは「絶対」です。下手なエンジニアは職を失うかも知れませんが、自分のプレイした音、演奏された音が、そのままスピーカーから聞こえる快感は、音作りによって得られる快感には代え難い素晴らしいものです。APEQ-2proによってベールが剥がされた色づけのない音で音楽を聴き、演奏者とダイレクトに心が繋がる快感を一度知ってしまえば、音楽好きな「聴衆」は二度と後戻りできなくなります。