トライオード triode TRX-1 TRX-P6L  音質 評価 テスト

Triode

TRX-1 , TRX-P6L

音質 評価 テスト

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リーズナブルな価格で好評のTRIODE/トライオードから、仕上げがシックなエンジ色に変わった新世代の真空管セパレートアンプが発売されました。早速、その音質を徹底的にチェックしました。

左がTRX-P6L(パワーアンプ)、右がTRX-1(プリアンプ)

保護グリルを外したところ


TRX-1

標準価格¥240,000(税別)

サイドウッド ・ リモコン付属

TRX−1の主な仕様

■使用真空管:12AX7(増幅管)、274B(整流管)
■入力端子:入力RCA5系統
■出力端子:RCA3系統
■トーンコントロール装備:150/400/2K/10KHz ±10dB
■周波数特性:10Hz〜100KHz(-1,-2dB)
■KOA高精度カーボン抵抗器使用
■ドイツ製ムンドルフコンデンサー使用
■消費電力:30W
■サイズ:横340×奥行315×高187mm
■重量:8kg

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TRX-P6L

標準価格¥240,000(税別)

サイドウッド付属

TRX−P6Lの主な仕様

■最大出力:25W×2(UL接続)12W×2(TR接続)
■使用真空管:12AX7*2、12BH7*2
■出力管:標準6L6GC/AB級プッシュプル
          KT88、EL34に差し替え可能
■バイアス方式:自己バイアス(調整不要)
■入力端子:入力RCA1系統
■出力端子:4/6/8Ω各1系統
■帰還:0/3/6dB スイッチにより切り替え可能
■周波数特性:10Hz〜100KHz(-1,-4dB)
■消費電力:無信号時100W、最大出力時220W
■サイズ:横340×奥行315×高187mm
■重量:15kg

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Triodeの仕上げに採用されいる特徴的な「メタリックレッド」は、悪い色ではないがレトロなアンプのデザインにはあまりマッチしていないと思う。限定で発売されたSONOPRESSOでは精悍な「ブラック」が採用され、個人的には黒の方が好きだった。

しかし、全商品を「黒」に仕上げると従来モデルと一緒に置いたときに違和感が生じる。そこで今回やや抑え気味な赤色「エンジ色(赤茶色)」が採用された。この外観色は、Triodeのデザインに良くマッチして高級感をぐんとアップさせた。それにこの色なら従来モデルと一緒に並べても、大きな違和感を生じないだろう。苦労してこの色が選ばれたのだと思う。

いきなり外観からレポートを始めたが、それはこの仕上げ色が十分に吟味された結果であるように、その内容や音質も十分に吟味された物であると感じたからだ。

今回、プリアンプとパワーアンプを個別でテストすることはしなかったが、それでも両機が十分以上の音質に仕上がっていることは容易にわかる。まず、メーカーから届けられた「新品の試聴機」を1号館で5日間フルに鳴らしエージングをほぼ完了させた。その後、3号館に持ち込んで本格的な試聴を開始した。

1号館から届いた状態で1日音を聞いていたが、あまり感心しない。きれいに鳴ってはいるのだが、心にぐっとくる物がない。さらさらの蒸留水のような音。こんな音なら、真空管を使わなくても容易に出せる。解像度は高く、S/Nも高いのだが、音楽が躍動しない。どこか「疲れたような音」でしょぼしょぼ鳴っている。

「こんなはずはない」という思いと「こんなものなのか」という思いが交錯し、仕事が溜まり連日遅くまで残業を続けていたこともあって、力なく落胆しながら試聴を終えようとしたところへ、Triodeの営業担当者から電話があった。「あまり感心しない」と正直な感想を伝えたところ、「代表の山崎さんはかなり自信を持っていたのに良くないですか?」と切り替えされた。しかし、どう切り替えされたところで目の前のアンプの音には魅力が感じられない。悪くはないのだが、グッとこないのだ。ふたたび「あまり感心しない」と繰り返したら、「真空管を変えたら良くなる」とか「整流球を変えただけで全然音が変わる」となにやら方向の違う話を始めた。ユーザーが手を入れなければいい音が出せないなら、商品としては落第だ。

しかし、Triodeとしては将来を掛けるにふさわしい期待の新製品だけに、セールスは簡単に食い下がらない。「もしかすると何か見落としているかもしれない」、もう一度パワーアンプをよく見てみた。

保護グリルを外すと真空管調整用のスイッチが見えた。しかし、このスイッチは真空管を交換しない限り触る必要はない。

フロントパネルには、左に電源スイッチ、バイアス確認用のアナログメーターを挟んで、帰還(フィードバック)切り替えスイッチ、TR/ULと書かれた三極管/ウルトラリニア接続切り替えスイッチがある。3号館に届いた時点ではフィードバックが「0」、接続が「TR」になっていた。

価格やデーターによる「先入観」から評価を誤らないため、よほど特殊な商品でない限り私は製品をテストするときに「説明書」と「カタログ」を事前に見ない。今回は、先にも書いたように非常に仕事が立て込んでいたこともあってカタログや説明書を全く見なかった。アンプのスイッチすら見ていなかった。手抜きと言われれば仕方ないが、パワーアンプのスイッチの「文字」を読んだときに「もしかしたら?」という考えが脳裏をよぎった。

真空管マニアの多くは「無帰還(フィードバックゼロ」、「三極管接続」の音が良いと盲進しているが、それは雑誌の受け売りであったり、測定上の歪みが小さいことが理由だろう。しかし、現実はそう甘くない。帰還の量や接続方法は、真空管やトランス、回路などによって最適な値が決まる。机上の理論通りにならないのがオーディオだ。

TRX-P6Lに使われている6L6を使った真空管アンプを何台も自作した経験から、5極管を3極管接続で使用すると「パワー感」がなくなる場合があること、フィードバックを掛けないと「高域が暴れて音楽がまとまらない」ことを知っている。そこでまずフィードバックを0/3/6dBと増やしてそれぞれを聞き比べてみた。

フィードバックを増やすと一瞬高域が削がれたように感じ、高域のレンジが狭くなった。高音だけを聞いていると「音が悪くなった」と判断しても仕方がない。しかし、高音だけではなく全帯域を注意深く聞くと中低音の厚みが増していることがわかる。中低音をポイントに聞いた後、再び高域に耳を向けると伸びなくなったはずの高域が前よりも伸びやかに感じられる。この矛盾にオーディオマニアや、技術者は悩むか、あるいは高音だけを聞いて誤った判断を下すことがある。私もオーディオを始めた初期はこの間違い(思い込み)により、方向を見誤ったことがあった。

しかし、今はその理由を知っている。それは「脳が音を聞いている」と考えることができるようになったからだ。私たちは夢の中でも「音を聞く」ことがあるが、それは「脳」が音にかかわらず視覚などの感覚を作り出している証明だ。私たちは常に脳が作り出した感覚に騙されている。錯覚と言葉を換えればわかりやすいだろう。

脳は聞こえる音を常に「記憶で補完」している。私たちが聴いているのは「耳に入った音+記憶で補完された音」から成り立っている。今回の場合は、「間違った高域(フィードバックを掛けないことによるざらついた高域)」が抑制されることで、「高音がより良質な記憶で補完」され、以前よりも高音が良くなったと考えられる。「悪い高い音」なら、いっそない方が良い。余計なお世話というわけだ。

しかし、この聞き分けにも問題点はある。それは測定データーを過信して自分の感覚を否定するような聞き方をしたり、あるいは「マスキングされない自然な聴覚を維持している脳」でなければ、正しい補完が行われないことがあるからだ。人間の聴覚は個性的で音を「えり好み」しながら聞いている。心の状態により「音の好み」が変わること、自閉症などでは聞こえ方が相当変わることが知られている。つまり、同じ音を聞いていても人によってその聞こえ方は変わってしまう。もちろん先入観でも変わってしまう。また、逆に聴かせる音によって心の状態をコントロールすることもできる。音による精神状態のコントロールは常に行われている。それが「効果音」だ。

音と人間の心は密接に関係し、それぞれを切り離すことはできない。オーディオ機器の試聴には、この点に関して繊細な注意が必要だ。しかし、残念ながらオーディオ雑誌やメーカーはこの問題について提議しないから(そうすると彼らの商売に差し支えるだろう)、この問題は一般にはほとんど知られていない。その結果、「聞こえる」、「聞こえない」という不毛な論争が起きてしまう。オーディオ業界は「人間の脳の働き」についてもっと注意を払うべきだと私は思う。

話を戻すが、次に接続をTR/三極管からUL/ウルトラリニアに変えた。これで音に立体感とパワーが出た。聞いていたCDを最初に戻し音を出してみるとどうだろう!見違えるほどのパワー感!しなやかでつややかな音楽の表現力!これで全く違うアンプに化けた。

その状態でソフトを聞き込んでいったが、これは良くできた真空管アンプである。繊細で緻密、S/Nは高いが音質は適度にウエットで色気がある。濁りのない空間に大きく音が広がり、前後左右方向への奥行きも十分に深い。欲を言うなら、もう少しの「プラスアルファ」があれば完璧だが、Triodeの音作りの方向は「生真面目」だから、このアンプの音はこれでよいのだと思う。その出音に代表山崎さんの真面目で控えめだけれど、静かな情熱を秘めた性格が感じられる。その音を炎にたとえるなら、レッドではなくブルーフレーム。完全なブルーではなく、時々煌めくような輝きを持つブルーフレーム。TRXのペアはそんな音だ。このアンプをもっと熱くするために必要な“もの”があるとすれば、それは使い手であるあなたの情熱だ。深くつきあえばつきあうほど、TRXは使い手に応えてどんどん良くなってくれるはずだ。

話が脇道にばかりそれて肝心のアンプの音質評価を行っていないが、それは良い意味でアンプの完成度が高く、音に癖が少ないからだ。そこで従来のTriodeの製品と比べてみよう。プリアンプは「音の細やかさ」、「滑らかさ」、「表情の豊かさ」で従来モデルを大きくしのぐ。採用された4バンドのトーンコントロールは非常に使いやすい。今回は「ボーカルを前に出す」ことに難なく成功した。トーンコントロールを使うことで懸念される、「位相の乱れ」も全く感じられなかった。パワーアンプもプリアンプとほとんど同じで音の傾向は変わらないが、「質感の向上」が実現している。外観と共に使い勝手や音質などこれまでTriodeが弱点としてきた部分が大きくブラッシュアップされたTRXシリーズは、価格を超える価値のある製品にしっかり仕上がっていた。

あとがき

真空管とフィードバックの関係について

試聴リポートにも少し書いたが、技術系のオーディオマニアは「無帰還信仰」を持っている。確かに「負帰還」を掛けるのは、高域の一部の位相がずれるように感じられ精神衛生上あまり好ましくないのはわかる。しかし、経験的にはアンプ(特にパワーアンプ)には適度な帰還を掛けることで高域の歪み感が減少し、結果として音の暴れが緩和され音のまとまりが改善されることが多い。

良い音は時に「ピラミッドバランス」と表現される。それが正しいとすると、無帰還アンプの音質は「膨らんだおむすび型」になることが多い。帰還を掛けると膨らんだ部分が削り取られて行き、かけ過ぎると今度はやせたおむすび型になる。TRX-P6Lでは帰還を6dB(標準の6L6GCの場合)とすることで正しいピラミッドバランスが得られた。このアンプを買ったら帰還のスイッチを切り替えて、フィードバックによる音作りを是非体感して欲しいと思う。

真空管と動作方法の関係について

次に真空管の動作方法だが、TRX-P6LではTR/三極管とUL/ウルトラリニアの二つの接続が選べる。TR/三極管接続での出力が12Wに対し、UL/ウルトラリニア接続ではほぼ2倍の25Wが出せる。逆から見れば、TR/3極管接続での内部損失はUL/ウルトラリニア接続の2倍となる。つまり、音が出るときの抵抗が多いと考えられる。難しい回路の話を持ち出すと混乱するので割愛するが、出てくる音はUL/ウルトラリニア接続の方がパワー感と立体感に富む。TR/三極管接続の音は緻密だが、パワー感と立体感に乏しい。これもTRX-P6Lを購入されたら、実際に聞き比べて欲しい。

真空管アンプの魅力について

真空管アンプ、特にTRX-P6Lのような「調整機能が搭載されている製品」では、真空管を差し替えて音を聞き比べられる。トランジスターアンプではそうはいかない。ICを使ったアンプは別だが、たとえ形式が同じでもトランジスターは個別に増幅率がまるで違う。トランジスターの増幅率をHFEというが、トランジスターを交換するためには「同じHFEの個体」を探さねばならない。HFEを基準にランク分けされていないトランジスターの場合、値は10倍以上ばらつくこともあるから、HFEがペアマッチするのは数百個に1ペアほどでしかない(厳密にやればもっと少なくなる)。しかし、真空管ならせいぜい数十本を測定すれば、ほぼ完全なマッチングが得られる。ミニチュア管(増幅管)の場合差し替えはもっと簡単で、型式番号さえ合わせてやれば、差し替えできる「互換球」はいくらでも見つけられる。

トランジスターアンプでは、専門の技術者がアンプを改造しなければできない「音作り」が、真空管アンプなら少しの勉強で誰もができる。アンプの中にまで踏み込んだ「音作り」はとても楽しく、奥が深い。その真空管アンプならではの魅力を最大に発揮できるTRX-P6Lは価格・音質を含め、本当に良く考えられた製品だ。

オーディオマニアのために作られたTriodeの製品は、代表の山崎さんが無類のオーディオ好きなこともあって、マニアの志向を正しく掴んでいる。その上で押しつけがましくない控えささえ持つTRXは、日本らしいおもてなしの心を忘れない、すばらしい製品に仕上がっていると思った。

2010年9月 逸品館代表 清原 裕介

 

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