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スタイリッシュなデザインとリモコンがついた使い勝手の良さで好評の「イタリア、オーディオブランド、ユニゾンリサーチ」の真空管を使ったCDプレーヤー「ユニコCD」をすこし安くするから、まとめて買ってくれないかという依頼があったのでその音質と価値を確認するためテストを行いました。 |
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特徴及び機能(輸入代理店エレクトリホームページより抜粋) |
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製品写真ですこし触れましたが、ユニコCDはマイナーチェンジされ(公表されていません)、後期モデルからはメカニズムがTEAC製に変更され、それに伴ってリモコンも変わっています。今回テストしたのは後期モデルです。 |
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ユニコCDは、最近のCDメカニズムと最新のDACチップを搭載した製品らしく非常に繊細度、明瞭が高い上、真空管を使った良さが「高域のさわやかな透明度」、「中域の滑らかさ」、「色彩の濃さ(色艶の濃さ)」に生きています。 厳選された高級パーツが使用された良さと相まって、安物のCDプレーヤーや一部のユニバーサルプレーヤーのような「音の濁り」、「レンジの狭さ」、「高域の抜けの悪さ」とはまったく無縁のスッキリと見通しの良い、高級CDプレーヤーならではの澄み切った音を聴かせてくれます。 試聴に使ったリンダ、ロンシュタットの声は、中域に独特の張りがあり、高い声も天に抜けてゆくような独特の透明感があります。ユニコCDは、その「彼女独特の魅力」の魅力をきちんと再現しました。また、弦楽器の重なりも団子にならず、楽器のユニゾンが繊細に分解されて「弦独特の厚み感」が見事に聞こえました。 真空管の持ち味が生き、リンダ、ロンシュタットの声が「女性らしいふくよかな柔らかさ」を伴って色っぽく(艶っぽく)聞こえます。実際の年齢の彼女よりすこし若々しく、より色ぽい感じがしますが、それは出来の悪い真空管アンプのように高域が丸くなったり、濁った結果ではなく、通常のデバイスを使ったCDプレーヤーよりもむしろ繊細感、透明感は優れています。 やはり真空管の影響で低域はややウェットですが、それが逆に「厚み」となって帯域の重心を下げています。 その音は、未だにファンの多いやはり真空管を出力段に使った、アルパインラックスマンの「D−107u」に類似性があり、それよりもさらに繊細さやレンジ感を広げたようなイメージです。総じて価格相応の優れた音質と、海外製らしい色彩感の深さや、表現の味わい深さを合わせもつ、この価格帯では非常に魅力のあるCDプレーヤーだと感じました。 |
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しかし、エージング不足の新品機器を使ってのテスト中、「高域の金属的な質感」がやや耳につくように感じたので、「使用されている真空管の交換」で音質のさらなる向上にチャレンジしました。 真空管は、様々な種類がありますが「型式番号が同じ」もしくは「互換球」なら、電球を差し替えるほどの簡単な作業で交換し、音質の変化を楽しめます。 ユニコCDに使われている真空管は「プリアンプに使われるミニチュア管/12AU7」です。 真空管の交換は、さすがに電源ケーブルの差し替えほどは優しくありませんが、作業は、カバーを本体に止めている6本のネジを外してカバーを取り、ソケットに刺さっている真空管を差し替えるだけの簡単なものです。 |
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今回交換に使用したのは、私のお気に入りの「ムラード、CV4003」ですが、写真からわかるように、真空管の心臓部(赤い矢印の部分)が、オリジナルのロシア製真空管よりも、遙かにコンパクトで精度が高く作られています。 私が持っている「ムラード、CV4003」は「イギリス軍払い下げ品(軍用球)」です。国の存亡、人の生き死にに関わる装置に使用され、また戦場という非常に過酷な環境と、軍用機に対応する高精度に耐えるために、「軍用球」なかでも実際に「軍が保管していた選別球の払い下げ品」の精度と性能は、現在お手軽に作られている「オーディオ用真空管」とは比較にならないほど高いことは説明するまでもありません。 音質的にも現在入手可能なロシア、中国球などと比較して、「軍用球」は、その精度と性能の向上の高さに比例して、音が良い場合が多く、CV4003では「引き締まった透明度の高い音」が実現しますが、その理由をすこし説明しましょう。 真空管は、カソードとプレートという「二つの板(筒)状の電極」の間に「グリッド」という「網目状の電極」が入った構造になっています。 詳しい動作の仕組みは省略しますが、真空管の増幅(音作り)は、音声信号を「グリッド」に流し「カソードからプレートに流れる電子をグリッドで物理的(電気的)に制御」することで行われます。 このとき、「グリッド」が物理的な作用を受けて「振動」すれば、その振動はそのまま「音声として増幅」されるのです。これを実験で確かめるためには、プリアンプの真空管を指ではじけば「スピーカーからコンコン」と増幅された音が聞こえることでわかります。 つまり、真空管はその「強度」と「振動モード(鳴きの音)」が「そのままその球の音(持ち味)」として、聞き取れる、非常にわかりやすい「物理的なエコーチャンバー(物理的なエコー発生器)」で、振動に対しマイクのように働くことがあるのです。 つまり、ユニコCDについているロシア球で気になった「金属的な響きが付加される」のは、ロシア球の真空管の強度が低く、「音声信号によって真空管が不要な共振音を生じている」ためなのです。 交換に使用した「ムラード/CV4003」の良さは、物理的な強度と工作精度の高さによりロシア球に比べて「不要(不快)な共振」が遙かに生じにくい所にあります。 交換すると、オリジナル球ではやや気になった「高域の金属的な響き」が見事に消えて「高域の透明度」、「伸びやかさ」、「品質感(音の品位)」が大きく向上し、ユニコCDがまさに「イギリスの貴婦人」といった趣のある音に変化します。 この変化をプリアンプの価格に例えるなら、2〜3倍相当の大きな変化と言えるでしょう。真空管の交換は大成功!さらにグレードの高いCDプレーヤーに生まれ変わりました。 |
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2005年4月3日 逸品館代表 清原 裕介 |