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2014年12月、メーカー希望小売価格 15万円〜40万円クラスの「ブックシェルフ型スピーカー 5機種」の比較テストを行いました。今回のテストは、文章による評価ではなく「YouTube オーディオ逸品館チャンネル」高音質付き動画をアップしています。
テストを行った環境をご紹介しましょう。
プリメインアンプ:AIRBOW PM7005 Applause(お問い合わせはこちら)
DAコンバーター:AIRBOW HD-DAC1 Special(お問い合わせはこちら)
音質テスト使用機器と、試聴環境ご紹介動画
音質テスト
試聴は、DALI MENUET SE 、 Wharfedale DENTON 、 Kripton
KX11 、 audio-Physic Step25 、 DALI
Epicon2の順序で行いました。この順序でご覧いただければ、解説が繋がると思います。
北欧は冬が長い地域です。長い冬を少しでも快適に過ごすため、広大で豊かな森林資源から産出される良質な木材から良質な「家具」が生み出されることでよく知られているこれらの国々は、世界有数のスピーカーメーカーの生産拠点でもあります。DALIは1983年、現会長のピーター・リンドルフによりデンマークに設立されました。同社の製品は入念に仕上げられた高級ブランド家具を彷彿とさせる外観と、厳選されたパーツのクォリティーを最大限発揮する独自の技術で、欧米ではハイエンドスピーカーブランドとして確固たる地位を築いています。今回は、ラインナップされる製品から、20年以上作り続けられている「MENUET」の限定モデル「SE」と、上級モデルから「リボンツィーターを搭載しない Epicon2」を選んで試聴を行いました。
Menuet SE(メヌエットSE) メーカー希望小売価格 \240,000(ペア・税別)(御購入はこちら) |
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Menuet SEは、ロングセラー&エントリーモデルとして価格が抑えられていますが、上級モデル譲りの「大型スピーカーターミナル」など高級パーツがふんだんに使われ、中高域の細やかさや質感は上級モデルに迫ります。その上質なツィーターに組み合わされた小口径のウーファーはレスポンスに優れ、小型スピーカーならではの小気味よい明るい音で音楽を躍動させます。DALIの中で魅力的な製品だと思います。 |
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形式:2way/背面バスレフ・ブックシェルフ型 |
Wharfedale(ワーフデール)社は、Gilbert.
A. Briggsによって、1932年イギリス東部ヨークシャ州に創立されたスピーカーメーカーです。現在のWharfedale社は、その後の変遷を経てQuad社やLuxman社を傘下に持つ中国資本の「IAG(ホールディング)」が親会社としてその株式を所有しています。
Wharfedale社の80周年記念モデルとして発売された「Denton」は、IAG傘下のQuadのユニットとデザイン的な類似性が感じられますが、材質はよい良いものが使われています。また、「ただの箱」に見える地味なキャビネットも内部に補強リブを持つ3層構造が採用され、見た目から受ける印象よりも各部は、「80周年記念モデルに恥じない品質」にこだわって作られています。
Wharfedale DENTON メーカー希望小売価格 \150,000(ペア・税 別) (御購入はこちら) |
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DENTONは見かけはレトロですが、最新の技術が採用されるWharfedale80周年記念モデルです(詳しくはこちら)。暖かく滑らかな音質は、アコースティックな音源の再生に適し、クラシックを中心とした音楽鑑賞やスローでムーディーなバラードを聴くのに適しています。 |
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DENTON 主な仕様 形式:2way/背面バスレフ・ブックシェルフ型 |
効果が高く、比較的リーズナブルなオーディオクセサリー メーカーとしてマニアの間でよく知られている「Kripton」は、KXと名付けたスピーカーを作り続けています。彼らが発売するKX Seriesのルーツは「Victor」から発売されていた「KX Series スピーカー」です。Victorに在籍しKX Seriesを生み出したエンジニアがオーディオ部門の縮小によりVictorからKriptonに籍を移し、KX Seriesの火を灯し続けています。
長い伝統を守りながら作り続けられているKX Seriesには、3つの特長があります。
・シルクドーム型ツィーターの採用:日本人が好む滑らかで透明感の高い高域再現にこだわり、ピュシルクを振動板に使うツィーターが搭載されます。
・クルトミュラー(良質なパルプの産地)性コーン紙を採用するウーファーの採用:軽くて強度の高いクルトミュラーを振動板に使うウーファーを搭載します。
・密閉型キャビネット:レスポンスのよいウーファーの特長をフルに引き出すため、バスレフを使わず密閉型のキャビネットを使います。
これらの組み合わせにより、同価格の海外製品を上回る「音の細やかさ」と「明瞭度・透明度」、「素早いレスポンス」を持つ、KX Seriesは、古くからの愛用者が多く、DIATONEと並んで代表的な国産スピーカーの一つなのです。
KRIPTON KX1 メーカー希望小売価格 \250,000(ペア・税別) (御購入はこちら) |
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Victor KX Seriesの伝統を踏襲するKX1は、音離れに優れる紙コーンウーファーと密閉箱の組み合わせにこだわります。上位モデルと同等のコーン紙を採用し、マグネットをフェライトに変えることでコストダウンを実現していますが、その音質は価格を大きく超えて上級モデルに迫ります。また、改良に改良を重ねることにより蓄積されたノウハウがKX1に注ぎ込まれ、KX シリーズ中最も音質バランスに優れた仕上がりになっています。優れたレスポンスを必要とする打楽器系のソフトや、ギターなどの弦楽器などの再生に適していますが、そのフォーカスがビシッと定まった独自の鳴り方は、このモデルだけの魅力です。 |
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KX1 主な仕様 形式:2way/密閉ブックシェルフ型 ユニット:Hi/35mm
ピュアシルクリングラジエター型
Lo/170o×クルトミュラー コーン型 入力:6Ω・バイ・ワイヤリング非対応 特性:40Hz〜50kHz 感度:88dB 寸法:H380×W224×D319(o) 重量:8.2Kg |
Audio Physic(オーディオフィジック)は、1985年の創業ドイツ・ハイエンドスピーカーメーカーです。「No loss of fine detail(細部に込めた本物へのこだわり)」という企業哲学を持ち、それがすべてのAudio Physic製品へ対する私たちの開発理念として受け継がれ、少しでも多くのオーディオリスナーの期待にこたえることのできるスピーカーシステムをドイツ、ブリロン(Brilon)の工房で創り出すことを目標としています。Audio Physicの製品は、他社のいかなる最高級スピーカーシステムでも再現することのできない、卓越した再生パフォーマンスと荘厳な音空間イメージを創造します。
Step
25 (ステップ25)は、 日本のリスナーにはBrilon(ブリロン)の別称で親しまれてきたAudio
Physicのブックシェルフ型スピーカーの後継モデルです。
Step25は、エントリーモデル小型スピーカーでありながらも、Audio
Physicのフラッグシップモデル、Carderaに搭載されている独自開発の3.9cmアルミコーン型ツィーター(HHCT:ハイパー・ホログラフィック・コーンツィーター
)と15cmアルミコーン形ミッドレンジ(HHCM:ハイパー・ホログラフィックコーン・ミッドレンジ
)などの惜しみない技術が投入されています。
AudioPhysic STEP25 メーカー希望小売価格 \300,000(標準仕上げペア・税別) (御購入はこちら) |
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Audio-Physic step5は、高級機で培われた技術が採用された小型スピーカーです。筐体重量は軽いですが、徹底的に制振にこだわって作られたユニットとキャビネットの効果で、音量を上げても音が滲みません。立体感、定位感、ダイレクト感に優れた音のスピーカーですが、小音量時にスピーカーの響きが少なく、少し音痩せして感じられる事があります。とんがった性質を持つ特徴的なスピーカーなので、使い手を選ぶかもしれません。 |
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STEP25 主な仕様 形式:2way/背面バスレフ型 |
DALI EPCON2 (ダリ エピコン2) メーカー希望小売価格 \560,000(ペア・税別)(御購入はこちら) |
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今回試聴したスピーカーで一歩抜け出して効果なのがEPCON2です。価格はその高域の繊細さに現れ、他の製品とはひと味違うハイクォリティーな音質を楽しませてくれました。ただ、組み合わせられるウーファーのサイズがMenuetよりもかなり大きいため、今回のアンプでは十分なレスポンスが得られず、中低音が遅れたり肥大する傾向が感じられました。EPCON2の使いこなしは、ウーファーの駆動制動能力に優れたアンプを組み合わせるか、あるいは真空管アンプの様に高音が穏やかなアンプの組み合わせが良さそうです。 |
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STEP25 主な仕様 形式:2way/背面バスレフ・ブックシェルフ型 |
2014年12月 逸品館代表 清原裕介
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