外観的には大きな変更がなさそうに見える新旧の同等モデルですが、細部にわたり大きな変更が加えられています。メーカーの発表では90%の部品が新設されたということです。
音質の決め手となるユニットは、ツィーター、ウーファーとも新規に製作されました。
ツィーターの振動板には、ダイアモンドが採用されました。一般にツィーターの振動板の材質は、強度が高く、音速が早いものが適していると言われていますが、物性ではダイアモンドこそ理想の振動板の材質です。
(世界で最初にダイヤモンドツィーターを搭載した製品は、AVARON DIAMOND)
ダイヤモンドの振動板
また、ご存じのようにダイヤモンドは「炭素」から成りますが、人間の体にも多い「炭素」は、人にとって嫌な音を出さず癖が少ないという長所もあります。(炭素の色づけの少なさは、AIRBOW 波動ツィーターの振動板にカーボンコンポジットを採用していることからもわかります)
しかし、ダイアモンドの採用で「ユニットは非常に高価」になってしまったため、残念ながら上級モデルのみの採用となり、型式番号の後ろに[D]を付けることで区別されています。
ツィーターの変更と同時にウーファーも改良を受けました。ウーファーは強度の向上と、背後からウーファーを透過して前面に放射される、エンクロージャーのノイズ(箱なき)を低減するため吸音材をサンドイッチした2重構造のコーンが採用されています。(805Sは除く)
2重構造のコーン
重くなったコーンに対応して、強力なネオジウムマグネットが採用されています。
これらのユニットの「高音質」を徹底的に生かすため、ネットワークに搭載されるフィルターコンデンサーは「銀コートされた薄膜フィルムコンデンサー」が搭載されました。(ツィーター用フィルターのみ)
ネットワーク用フィルムコンデンサー(巨大です/22MF品)
また、ダイヤモンドツィーターの採用に伴いツィーターの「電気的なローカット」をコンデンサーのみをフィルターに使う「6dB」に変更、ツィーター自体の「物理的なローカット特性」と合わせて「12dB/oct」のカーブを得ています。電気的なフィルターの変更に伴う「位相補正」は、ツィーターの位置を前進させる(下記画像参照)ことで対応しています。
ツィーターの変更とネットワークからよけいな部品を省いたことで、ダイヤモンドツィーターを搭載したモデルの高音域の表現力は、大きく高まりました。
左が802D、右の802(旧型)にくらべてツィーターが前進しています。
これらの改良により、新型ノーチラスシリーズは従来モデルを遙かに超える高音質を実現しました。残念ながら、従来モデルからのバージョンアップには対応していないそうです。(90%の部品が新設されたためバージョンアップは不可能)
細かな点では「保護グリル/カバー」の意匠が変わり、角がスピーカーの形状に合わせて丸くなりました。(最上部802Dの画像を参照して下さい。)
また、スピーカー端子の取付形状もスパンが拡大され、極太スピーカーケーブルも使いやすくなっています。
802Dの端子(左) 802の端子(右)