706Sの「性能」と「音質」にオーディオ的な可能性を感じたので、「付属のジャンパプレート」を「自作のジャンパー線」に変えて、ちょっと「遊んで」見ることにしました。
上の706Sのスピーカー端子についている「ジャンパー線」は、すでに付属のものではありません。右側にジャンパー線の単体写真を載せています、AET SCR−AC/SPの配線材とAIRBOWのクライオ処理済みYラグやIラグを使って作っています。
ジャンパー線を変えると706Sの音は、より滑らかで柔らかくなります。高域のメタリックな暴れが無くなり、表情が落ち着いてしっとりします。やや不足していた中域のエネルギー感と質感が向上し帯域バランスが良くなります。それまでは聞こえなかった「ポリフォニック」の構造が目に見えるように克明に描き出されます。結果としてかなり大きな改善が得られました。
これほどの改善効果があるなら、このジャンパー線を商品にしても良いのですが、実際には次のような問題点があり、このままの状態では売り物にならないと考えています。
その問題点とは「スピーカー端子とのマッチング」と「スピーカーケーブルとのマッチング」です。スピーカー端子の「ケーブル挿入穴」は、ほぼ例外なく「丸い穴」になっているため「ジャンパー線の端子がYラグ」だとスピーカー端子に締め付けたときにどうしても「隙間」が空いてしまいます。
そのためスピーカーケーブルの末端が「裸線」のままだと、スピーカーケーブルがYラグと端子の隙間に入り込み締め付けが不十分になってしまいます。Iラグでは、さらにその傾向が強くなります。
スピーカーケーブルの端末に「Yラグ」が取り付けられていても、2枚のプレートを端子で挟み込み形になるため、均等なトルクで締め付けることが難しく、やはり音質的な問題が生じます。
この問題に対処するため、上の写真のように「2種類の端末のジャンパー線」を試作したのですが、決定的な解決とはなりませんでした。今回のテストでは意外に「Iラグ」を使ったジャンパー線の方が音が良かったのですが、その理由は、今回のテストを行った環境(状態)では、「Yラグよりもがたつきが少なかった」ためだと思われます。
このように様々な端子とケーブル、そしてジャンパー線の「親和性」、「調和性」を解決しなければ「良いジャンパー線は作れないと確信しました。私の知る限り、現在販売されている様々なジャンパー線もこの問題を解決しているとは思えず、それでいて数万円もする売価が設定された製品があるのは信じられません。
それくらいなら、AET 6N14G以上のケーブルを使って「端子を取り付けないジャンパー線を自作」する方が、遙かに安く効果もさほど変わらないと思います。
とにかく、こんな「ジャンパー線のテスト」に使えるほどクリティカルに反応するのが「706S」の持ち味です。11Lなら、きっとそんな「些細な変化」は、上手くくるんで「七難隠し」すばらしい「音楽だけを聴かせてくれる」のでしょう。このような大局的な製品が存在するのは興味深く、これだからオーディオは面白いと思いました。
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