CREEK 5350SE
このモデルは、閉店後の1号館の店頭で試聴しました。
MUSICAL−FIDELTY A3.2とよく似た透明で優しい印象ですが、5350SEのほうが高域が柔らかくやや伸びが足りない感じがしました。
中域は、癖が無く緻密で音色はCREEKらしい虚飾のない爽やかなイメージ。低域は、サイズから想像するよりはシッカリしていますが、地を這うような重低音までは再現しません。
このアンプをボーカリストに例えるなら「カレン・カーペンター」のような、透明で伸びやかだけれど、爽やかで優しいといったイメージです。
見た目では25万円は、「ちょっと高いな〜」と感じます。実際に、傾向は少し違いますが(もう少し中域に厚みがあり、帯域バランスがややかまぼこ形になる)逸品館のお薦めプリメインアンプ[UNISON RESERCH UNICO P]と[CREEK 5350SE]のコストパフォーマンスを比べると、[UNICO P]が際だってお買得に感じられるはずです。
しかし、同価格帯の国産アンプなどと比べ、次元の高い音楽の表現力、音色の再現性、艶っぽさ、高域の自然な透明感、そういう部分のCREEKならでは良さを高く評価するなら(好みに合うなら)この価格は決して高すぎることはありません。
SAP RELAXA
4
CREEK 5350SEと同時に試聴を行いました。まず、音の悪いスチール製のキャスター付きラックの上に、高音質オーディオボード(KRIPTON ダイハード1)を乗せた状態で5350SEを試聴し、その後、ダイハード1の上にSAP RELAXA 4を乗せて5350SEを試聴し、音質を比較しました。
RELAXA 4の効果は、中高域に現れます、やや閉鎖的で、曇りがあった5350SEの中高域が一気に開放的になり、こもっていたような付帯音が完全に消えてしまいます。
この変化はかなりドラスティックでボードの価格を十分に納得させるものです。曇りガラスを磨き上げた!と言っても過言ではないほど、5350SEには大きな効果を認めました。
この「開放感」は、過去テストしたどのようなオーディオボードとも違っています。この中高域のストレスを消してしまう効果こそ「磁気浮遊」の持ち味なのかも知れません。
弱点は、低音にあります。本来「グニャグニャ系(やわらか系)」のインシュレーターは、音の芯を柔らかくし音を骨抜きにして(アタックが丸くなる)しまったり、低音が無くなって地面から浮いてしまったような問題が見られたのですが、RELAXA 4が優秀なのは、音の芯を柔らかくしない(アタックの鋭さが失われない)部分で、従来の「グニャグニャ系(やわらか系)」のインシュレーターとはまったく違い、この部分での副作用?(問題)は、まったくありません。
ただし、音の帯域バランスをピラミッドに例えるとすれば、底辺の角が少し丸まったようなイメージで、重低音の輪郭がやや甘くなったり、低音の量感が少し減じられることがあります。その部分にさえ目をつむることが出来れば、他の製品にはない良さを十分に堪能できると思います。
「磁気浮遊」つまり、地面から機器が完全に浮いた状態で音質改善が計られているのかどうかを確認するために、ダイハード1を外して、音の悪いラックの上に直接RELAXA 4を乗せて5350SEの音を聴いたところ、明らかに安ものの金属ラックの鳴く音が音質を損ねたので、「磁気浮遊」も万能ではないということが確認できました。
また、合計25Kgになるように「アンプに加えて重しを乗せた」ところ、低音の問題こそやや緩和されたものの、中高域の開放感、ストレスの無さが減じられたので、私としては、追加で重しを乗せない方が良いという印象でした。しかし、乗せる機器との相性で重しのあるなしは、試す価値があると思います。
以上のようなテストから、今回は行いませんでしたが「アナログプレーヤーの置き台(サイズが小さいので要注意)」としてRELAXA 4を使えば、非常に大きな効果があるのではないかと感じています。
2006年1月 清原 裕介