今回の試聴のまとめ
良好な関係にある[marantz]の鳴り物入りの新製品なので悪い評価を下すのは忍びないが、いつも特別にいい音を聞き慣れている私たちにとって[OPSODISの音]は、取り立てて感動するほどのものではない。
確かに、添付されている「バイノーラル録音(特殊な録音方式)」のディスクを再生した場合は、素晴らしい定位やサラウンド効果を発揮するが、一般的な市販ソフトではその良さが出しにくい。
それは、たぶん付属しているスピーカーの中高域の音の質に問題があるのではないかと思う。外観は、立派でずいぶんと綺麗なのだが、使用されるユニットがAV品質の域を出ない。こんな音のユニットでは、越えたユーザーの耳はごまかせない。このあたりが、「高額でも売れるピュアオーディオ製品」と「ある価格を超えると売れなくなるAV製品」に許されるコストの限界なのだろうか?折角の新技術なのだから、妥協せずにもっと追求したものを作って欲しかった、作らせてあげたかった、というのが私の偽らざる本音である。
とは言え、皆さんがよく知っているBOSEよりはるかに良い音は出るから、ピュア2chのハイエンドサウンドと比較しなければ、まず不満が出ることはないだろう。
OPSODISの効果については、疑問はない。フロントにしかスピーカーを置かないだけにしては、左右へと後方への音の広がりはさすがだと感じされられる部分は確かにあるが、効果をきちんと出すためには「スピーカーをピンポイントで位置決め」しなければならない。説明書に数値がきちんと示されているので、その通りにやれば、誰がやっても大きな失敗はないと思われる。今後の発展とすれば、AVアンプに搭載されているような「自動音場補正機能」が搭載されれば言うことはない。
気になるライバルのYAMAHA YSPシリーズとの比較では、音の広がりや移動量、明瞭度でYAMAHAが勝るが、YAMAHAは「壁」が無いと使えない。そう言う意味では、壁が無くてもどこでも使えるOPSODISが広い部屋や、異形のリビングでは有利だろう。外観、仕上げは、問題なくOPSODISが優れている。
2006年1月 清原 裕介
立体的な音が前だけじゃなく、後方に密度感高く回り込み、回り込む音場感は、とてもリアルに感じられます。
音楽を聴くには前方の定位感が低めに感じられ違和感がありますが、前にスクリーンを壁一杯に張った状態でもスクリーン下側に設置するだけでかなりのサラウンド効果を得られるこのシステムはとても魅力的です。
2006年1月 古谷 誠司