NEC HT1100JK ht1100 ht1100j SHARP XV-Z2000 OPTOMA H57

画質比較の問い合わせの多いNEC HT1100JK 、 OPTOMA H57 、 SHARP ZV−Z2000を比較しました。

主な仕様 NEC
HT1100JK
OPTOMA
H57
SHARP
XV−Z2000

標準価格

オープン価格

オープン価格

498,000円

方式

単板DMD反射方式

単板DMD反射方式

単板DMD反射方式

パネルサイズ

0.7型DMD、アスペクト比4:3

0.7型DMD、アスペクト比16:9

0.8型DMD、アスペクト比16:9

画素数

1024×768ドット (1枚)

1024×576ドット (1枚)

1280×720ドット (1枚)

投写レンズ

手動ズーム1.2倍 f 22.2〜26.7mm、F =2.5〜2.7mm

手動ズーム1.2倍 f 22.3〜26.8mm、F =2.6〜2.85mm

電動ズーム1.5倍 f 21.3〜31,6mm、F =2.0〜2.5mm

100インチの
投影距離

3.41〜4.12m(16:9) 詳細な投影距離の計算方法

3.48〜4.14m(16:9) 詳細な投影距離の計算方法

2.62〜3.95m(16:9) 詳細な投影距離の計算方法

光源

220W ランプ

250W UHPランプ

275W ランプ

輝度

1200lm(ノーマル)/880lm(エコモード時)

1100lm

1200lm

コントラスト比

3500:1

3000:1

2500:1

騒音

29dB(ランプエコモード時)

28db以下(ノーマルモード時)

35db(標準モード時)・32db(エコモード時)

映像入力
端子

DVI-D端子×1系統(HDCP対応)

3RCA(コンポーネント)端子×1系統
ミニD-sub15ピン×1系統
1RCA(コンポジット)端子×1系統
S端子×1系統

DVI-D端子×1系統(HDCP対応)

3RCA(コンポーネント)端子×1系統
ミニD-sub15ピン×1系統
1RCA(コンポジット)端子×1系統
S端子×1系統

DVI-D端子×1系統(HDCP対応)

3RCA(コンポーネント)端子×2系統
1RCA(コンポジット)端子×1系統
S端子×1系統

制御入出力
端子

RS-232C×1系統

RS-232C×1系統

RS-232C×1系統

電源

AC100V、50/60Hz

AC100V〜240V、50/60Hz

AC100V〜240V、50/60Hz

消費電力

290W(最大)
スタンバイ時消費電力:8W(省電力モード゙時:0.6W)

320W

360W(標準モード時)

315W(エコモード゙時)
スタンバイ時消費電力:6W

外形寸法

260mm(W) x275mm(D) x92mm(H) / 突起部除く

340mm(W) x261mm(D) x128mm(H) / 突起部除く

310mm(W) x282mm(D) x89mm(H) / 突起部除く

質量

3.2kg

3.6kg

4.3kg

テストに使用した機材

DVDプレーヤー :DENON DVD3910Sケーブル接続)

スクリーン     :OS AM−H090(ピュアマット2)

各プロジェクターの設定

NEC HT1100JK :ムービーモード(逸品館にて調整)/ランプ エコモード

調整値
明るさ    −1
コントラスト 37
カラー    85
色相     32
シャープネス 10
ガンマ ナチュラル
色温度  7000
明るさ 赤 0
明るさ 緑 −1
明るさ 青 0
コントラスト 赤 128
コントラスト 緑 129
コントラスト 青 128
色補正 変更なし

OPTOMA H57   : シネマモード(工場出荷時設定)/ガンマ調整値もシネマモード

SHARP XV−Z2000 シネマ1モード(工場出荷時設定)/色温度設定6500K/高コントラストモード

各プロジェクターの画像

HT1100JK(調整済) H57 XV−Z2000

HT1100JK(調整済)とH57のカラーバランスは、かなり似ていますが、全般的にHT1100JK(調整済)がクッキリと色鮮やかな傾向です。
XV−Z2000は、赤がくすんでしまっています。各色の分離も3台の中では、甘い感じです。

グレースケールは3台とも大きな違いはありません。HT1100JK(調整済)は、やや明るめです。

dtsデモソフトのメニュー画面。XV−Z2000が暗く、寒色系です。(高コントラストモードはお薦めしていません。撮影した担当者の設定ミスです)

dtsデモソフトメニュー画面の拡大。XV−Z2000は、画素が多いので「ドットの粗さ」は目立ちません。
しかし、画素変換回路がプア(お金がかかっていない)ので画面が「ボケ(ピントが甘い、色も浅い)」てしまっています。
画素数が細かければよい、コントラスト値は大きい方が良い・・・など、カタログの「データ値」だけで製品を選ぶと失敗するのは明らかです。

HT1100JK(調整済)は、TV調のクッキリした表現。H57は、シネマ調のしっとりした表現で、どちらも映画を楽しめます。
XV−Z2000は、色合いも、コントラストも足りないので、この3台の中ではハッキリ劣ります。(モードを高輝度モードにするとやや改善します)

HT1100JK(調整済)が、最も奥行きがあり、細部までシッカリ再現されています。H57は、ややフォーカスが甘めです。
XV−Z2000は、バランスが崩れています。

H57もかなりのレベルですが、HT1100JK(調整済)が最も情報量が多く、色合いの表現、細かい部分の明瞭度、奥行き感に優れていることがよくわかります。
XV−Z2000は、色数、階調の表現に乏しく、画素が細かいにもかかわらず、情報量が少なくなっています。

見た目で画質を調整した(HT1100JKは、回路との相性問題でMEDIXの調整ディスクが使えません)HT1100JK(調整済)の桜が、調整者(清原裕介)の好みでややピンクが強くなっているものの最も自然(今のシーズンは実際の桜と見比べられます)。
H57も未調整ながら、きちんと色合いを出しています。
XV−Z2000の桜は、やや青味がかって不健康そうに見えます。

総評

HT1100JK
HT1100Jのマイナーチェンジモデルです。
スペック上では明るさが100ルーメンと1割程度アップしているだけですがですが、映像回路のチューニングにより画像全体がさらにクリアになり、見通しがよく誰が見ても綺麗と感じさせる絵作りに好感が持てます。
全シアターモデルプロジェクターの中でも、色合いの良さ、豊富さはトップクラスです。

H57
デジカメで撮影した画像ではややグリーンがかっていますが、実際の画像は人肌の健康的な絵です。
濃厚で鮮やか、パワフルで迫力のある画像はオプトマの良き伝統です。
H56より本体サイズはやや大きくなりましたが、その成果でファンノイズと本体光漏れが押さえられ、シアタープロジェクターとしての完成度が高まっています。

XV−Z2000
標準価格50万円以下でハイビジョンパネル搭載した注目モデルです。
さすがにフルスペックのハイビジョンパネルを搭載するだけあって、ハイビジョンソースは他の2機種よりもきめ細かい画像を再現します。
デジカメではやや暗めに写っていますが、原色が派手目になる傾向で赤や青が他の色よりも鮮やかに再生されます。
画素変換回路の精度、画質に問題があり、ハイビジョン以外のソース(DVDソース/S入力)では、他の2モデルより画像は荒くなり、また画像ブレによるちらつきが発生します。暗部の拡散ノイズが他の2モデルよりも多く、全体としてはちらつき、ノイズ感(ざわざわした感じ)の強い「質の低い画質」になってしまいます。
これは、今回のテストがS入力で行われたためで、コンポーネント(プログレッシブ)入力やハイビジョンでXV−Z2000の性能はもっと発揮されます。

まとめ
逸品館がお薦めしてきたHT1000から始まる一連のNECプロジェクターの画質は、現時点でも間違いなくトップクラスです。
特に、NEC独自のスィートビジョン回路(この回路が搭載されるためMEDIXのディスクで調整ができない)が秀逸で、カラー映像を「綺麗」と感じる上で最も重要な、色合い、色鮮やかさの再現性では他のプロジェクターの追従を許さないと言っても過言ではありません。
OPTOMAのH57は、前モデルのH56ほどとがった映像ではなくなりましたが、光漏れ、ファンノイズがよく抑えられ、完成度は高まっています。購入しても後悔はしないと断言できますが、HT1100JKとの価格差を考えると迷うところです。
SHARP XV−Z2000は、パネルこそフルスペックのハイビジョンに対応する1280×720ドットが搭載されていますが、画質に決定的な役割を持つ「画像処理回路」にコストがかかっていないため、ハイビジョンソースを投射する時でなければそのパネルの性能を生かし切れません。もちろん、地上/衛星デジタルの普及に伴い、ハイビジョンのソースが増加しているため、ハイビジョンだけしか観ないなら画素変換時の画質劣化の問題は最小限に抑えられます。S入力では、色合い、色階調、などの表現力には乏しく、また暗部でのノイズも多めです。
HT1100JKやH57を「局用モニターディスプレイ」に例えるなら、XV−Z2000は、「家庭用TV」といったイメージです。画素の違い、画質の違いをどうとらえるかで選択してください。

画質調整の効果
HT1100JKの画質調整前、後の画像を掲載します。画質調整でプロジェクターの表現力が大きく変わることをご納得いただけると思います。

調整前
調整後



調整により各色の境目に発生していた「疑似輪郭」が緩和され、色の繋がりがスムーズになっています。


グレースケールには大きな変化はありませんが、色合いのバランス(ホワイトバランス)がかなり変わっています。


調整前の方が白抜けが良く、クッキリしていますが、調整後の方が奥行き感があります。


メニュー画面同様、調整前の方がクッキリしていますが、やや平面的です。
前後の人物の立体感や双眼鏡のストラップの立体感が調整で向上しています。


色数の少ないこの場面では、グレースケール同様大きな違いはありません。
強いて言うなら、調整後の方が「バックのボケ具合」が自然です。

この場面も大きな差が内容に見えますが、調整により窓の内外の立体感が大きく向上しているのがわかります。
調整後の方が微妙な色合いまで、明確に再現されているようです。


この2枚の映像では、どちらが自然かはわかり辛いと思います。



このように間に57の画像を挟むと、また印象が変わります。
調整前の映像はよりピンク(赤)が強く、花弁を支える茎の色がやや不自然なのがわかります。
また、桜の花びらの立体感(レンズのボケあじ)が調整後で向上しています。

プロジェクターの調整のポイント
プロジェクターの調整は、非常に難しい上にHT1100JKのようにMEDIXの調整ディスクを使えないとさらに難易度が高くなります。
調整するときには下記の点に気をつけてください。

数値を余り大きくいじらないこと。
最近のプロジェクターの工場出荷値(デフォルト)はかなり良くできています。そこから大きく変更しないのが無難です。

ガンマ設定やRGB単独の明るさ、コントラストなどはよほど自信がない限りいじらない方が良い。
さわってみて「あまり変化を感じられない」項目は、標準設定のままがよいでしょう。

複数のディスクで調整する。
特定のディスクで調整を追い込むと、他のディスクに変えたとき思わぬほど画質が変になっていることがあります。
これは、ディスクの収録にも「強い個性」があるためで、特定のディスクのみで調整すると「そのディスクの個性が強く反映された映像」になってしまいます。

わからなくなったら元に戻す。
わからなくなったら、一端元に戻して、また別の日にでも調整を行ってください。

外に出て「生の映像」を見てみる。
室内ではなく、自然のまま、ありのままの「綺麗な映像」により多く触れ、それを詳しく観察し憶えることが調整達人への近道です。

2005年4月16日 清原 裕介