ナスペックが製造販売する、J1−PROJECTOのオーディオボードの“処分特価”の話が舞い込んだので、取り扱いの
可否を判断するべく、PBR4930とPBR5542の音質をテストしました。
J1 PROJECT PRIMARY BASE RACK | |||||||||||||||||||||||||
PBR4930 メーカー希望小売価格 ¥109,000(税別) |
PBR5542 メーカー希望小売価格 ¥127,000(税別) |
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綺麗に梱包されて届きますが、付属の説明書の組み立て要領は、わかりにくかったです。説明書ではなく、カタログの完成写真を見て組み立てました。 |
取り出したすべてのパーツ。仕上げは丁寧で工作精度も十分に高く、価格に見合う品質です。 |
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右上のパーツを組み立てているところ。4本の脚にアルミプレートの補強桟を取付て一番上にJ1の樹脂ボードを乗せてできあがります。 |
完成したところ。がっしりとしています。スパイクの先端は、あまり尖ってはいませんが、柔らかい床に直接置くと傷が付きます。スパイク受けは付属しませんので、必要であれば別途購入しなければなりません。 |
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音質チェック |
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BLADELIUS Syn+Tyr+Minima Vintageのお気に入りセットを使い、CDの置き台としての音質変化をチェックしました。 比較対象として、逸品館の人気のおすすめボードKRIPTON AB2000を使いました。 ボードを使わずにカーペットの床の上に直接CDプレーヤーを設置したときの音質 特に不満なく、いい音で鳴っています。 詳しい音質は、こちらのページでご確認いただけます。 KRIPTON AB2000を使ったときの音質 響きが多くなって、音が開放的でさらに明るくなる。低音の力感や量感、音の広がりもよくなる。 J1 PROJECT PBR4930を使ったときの音質 余計な響きがなくなるが、余韻や残響感は損なわれない。響きが消えるというのではなく、余計な響きに変わっていた音のエネルギーがすべて楽音に変換されるような感覚。音量は、明らかに大きくなったように感じられる。 音場の濁りが取れて、一つ一つの音がハッキリとする。音の芯もカッチリする。 音がハッキリとして、音楽もしっかりする。エネルギー感がより強く感じられるようになる。 温度感、密度感も上がり、暖かい血の通った音になる。 J1 PROJECT PBR4930の上にKRIPTON AB2000を積み重ねて使ったときの音質 PBR4930の上にAB2000を乗せるとPBR4930の音が完全に消えて、床の上にAB2000を直置きした時と同じ音になった。 そういう意味では、PBR4930もAB2000も床や置き台の影響を完全にシャットアウトできる優れたボードだが、音質はPBR4930の方が明らかにワンクラス上位だと感じられた。 |
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総合評価 |
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PBR4930は、樹脂を使っていることから危惧される「音のエッジが柔らかくなってしまう」という事がほとんど感じられない。音のエッジは明瞭になるのだが、それはエッジが立つのではなく、エッジをマスキングしていたもやもやしたものが取れて、エッジが際立って来るというような方向の変化だ。 エッジの切れ味が鈍り、その先端部分の角がほんの少し丸くなっているのかも知れないが、ノイズ感が綺麗に消えてエッジがハッキリ見える事による、明瞭感の増加、音の芯の強化の方が大きく感じられる。 無駄に逃げていた力が、すべて音楽を再現する方向に集中するようになる。 エネルギッシュで、しかも柔らかく色彩感もある。 素材の固有の響きは全く感じられないので、ほとんどの場合「不満」は感じられないと思う。 価格がちょっと高くて二の足を踏んでいたが、特価となったこの価格なら「安い」と私は感じる。 これからの暑くなる時期に、発熱の多い機器を単独で設置したり、あるいはお気に入りのプレーヤーの音質を最高に高めるために最適なボードだと思う。 耐荷重量も150Kgと十分なので、床が弱い場合のスピーカーの置き台としても大きな効果を発揮するに違いない。 設置も高さ調整が可能なスパイク方式なので、スピーカーの水平(レーザーセッターを使うと水平方向のマッチングも取りたくなる)をきちんと合わせられるし、床に不要な低音を響かせないようにも出来る。 売りきりの特価で処分するのが、すこしもったいない?気になるほど、久しぶりに「よしっ!」と思ったボードだった。 |
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2008年7月 逸品館代表 清原 裕介 |