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AIRBOW(エアボウ) SR8012 Special ネットワークサーバ 音質 比較 試聴 レビュー 評価
AIRBOW (エアボウ) SR8012 SpecialをつかったネットワークサーバーとLAN/HDMIの音質比較 2000年に25万円の価格で発売を開始した「PS7200 Special」から、AIRBOW 高音質AVアンプの歴史は始まりました。5.1Chから始まったサラウンドは、スピーカーがどんどん増えて、ついに13.2CHに達しました。音声接続もデジタル入力はHDMIと同軸/光からBluetoothや無線/有線LANが加わり、HDMI映像も4K高精細度映像に対応するようになりました。 2018年発売の最新モデル「SR8012 Special」の価格は40万円を超え絶対的には高いのですが、最新のドルビーアトモスに加えAURA-3Dサラウンドに対応し5Chから11Chに増えたパワーアンプ、4K映像対応、LAN/WiFi/USB入力への対応、ハイレゾ/DSDファイルの再生対応など、大幅にアップしたチャンネル数と機能を考えれば「十分に価値がある」のではないでしょうか。 今回は、そんな高音質多機能AVアンプ「AIRBOW SR8012 Special」の音質チェックと使いこなしの研究を兼ねて、絶対に使ってみるべき「LAN(ネットワーク)入力とサーバー(NAS)」の組み合わせをチェックしました。さらに、LAN接続とHDM接続時の音質比較も行っています。 AIRBOW SR8012 Specialの概要 marantz SR8012のパーツを約250個変更することで、音質を大幅に高めたカスタムモデル。(詳しくはこちら) AIRBOW(エアボウ) SR8012 Special メーカー希望小売 415,000円(税別) (メーカーホームページ)
AIRBOW MNP-i5 Roonの概要 WindowsやMac OSに比べて、軽くて早い「64bit Real Time Linux」をオーディオ向けにチューニングすることで高音質を実現した音楽再生専用PC。ログイン画面を表示させることなくスタートが可能でPCの存在を意識させません。 音楽再生ソフトとして、RoonとHQ Playerを永年ライセンス付きで標準搭載。購入後に面倒なソフト購入〜セットアップの手間がかかりません。 AIRBOW MNP-i5 Roon 販売価格 460,000円(税別) (メーカーホームページ)(詳細な説明動画はこちら)
試聴環境 最新のAVアンプの多くには「LAN入力」が備わります。しかし「サーバーを用意する」のが難しいためか、「音楽再生用入力」としては、それほど積極的に使われていないようです。また、使われる場合でもWindows PCなら「Windows Media Player」、Macなら「i-Tunes」のように「付属ソフト」を組み合わせて「サーバー」として使われることが多いようです。 けれど、数千円も出せば購入できる「サーバーソフト」の方が圧倒的に高機能・高音質です。そこで今回はサーバー再生に特化し、機能を限定するなら無償ダウンロードが可能な「Aseet UPnP」をWindows10 PCとMacを使って聞き比べてみました。 ※Aseet UPnPは、サーバー機能だけなら無償でダウンロード(フルに使える有償版は$29)できるサーバーソフトです(ダウンロードはこちらのページから)。高音質なだけでなく、転送できる(対応する)フォーマットもほぼすべてのハイレゾ(PCM/DSD)に対応しているのでお薦めです。 比較は、まず「Windows10」に無償の「Windows Media Player」をインストールして、ソフトの「共有機能」を使って、SR8012 Specialと接続した場合と、先にご紹介した高音質高機能サーバーソフト「Aseet UPnP(無料・機能限定版)」をインストールした場合の「サーバーソフトによる音質の違い」を確認し、さらにPC(プラットフォーム)を「Mac Book Pro」に変更して、「Aseet UPnP」で音質を比較し、最後に音楽再生専用に作られたAIRBOW MNP-i5 Roon(Aseet UPnPフル機能版標準搭載)を聞いてみました。 さらに、LANとHDMI入力はどちらが高音質なのかを確かめるため、同一音源をMNP-i5 Roonから「Aseet UPnP」と「Roon」の2つのソフトでLAN出力した場合と、搭載する高音質プレーヤーソフト「HQ Player」を使って、HDMI出力した場合の音質を比較してみました。スピーカーには、この後でサラウンド音質比較を行うため、フロントスピーカーとして設定しているVienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G)を使いました。 AIRBOW MNP-i5 Roon 販売価格 460,000円(税別)(現金で購入)・(カードで購入) Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G) (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す) 試聴ソフト
動画による音質比較(準備中)
高音の鮮やかさ、抜けの良さが印象的で、エンジンの音、工具の金属音の最高域が先端まで、すっきりと尖がって聞こえる。 小さな音から、大きな音への変化もスムーズで自然。アンプ固有の癖がない。 生々しくリアルな音で、立体感がよく出ている。
サーバーソフトを「Aseet
UPnP」に変えると、音の動きの素早さも、立体的な広がりの大きさも、全然違うのが音が出てすぐにわかる。 音場に奥行きが出て、エンジンの音、工具の音の「鋭さ」とスピード感、力強さも俄然アップした。 「サーバーソフトの変更」だけで、アンプをクラスアップしたくらいの音の違いが感じられた。
「Aseet」の導入で相当良くなったとは言え、僅かに残っていたWindows(10)特有のねっとりした感じが解消し、音場がすっきりした。エンジンの音、機械工具の音の切れ味は、Windowsでも十分だったが、Macではさらにエンジン音や工具音の金属的な重佐野再現や、中低音の厚みが向上している。結果として、さらに自然な音になった。
Windows/MacをAIRBOW MNP-i5に変えると、2K映像から4Kではなく一気に8Kになったくらい「音の細やかさ」に差が感じられる。エンジンの音が遠くから聞こえてきて、目の前を走り去っていくイメージもリアルで自然。人もいる気配も強いし、音の数も多い。 音の立ち上がりの早さ、空気感の濃さ、現場の雰囲気のリアルさ、目を閉じれば目の前にサーキットがある。 オイルの焼ける匂いさえ、漂うような気がしてくるほどだ。
Aseetからi-Tunesに切り替えると、音の立ち上がりや、立ち下がりの早さ、鋭さは落ちることが聞き取れるが、意外に雰囲気はそれほど悪くはなっていない。現場に居合わせる雰囲気から、映画館でF1の効果音を聞いているように感覚が変化するが、これはこれで、悪くなく、むしろ聞きやすくて良い。 最高の音質が発揮できなくても、機器の能力に左右されずに濃い雰囲気を醸し出せるこういう見事なチューニングができるのが「Apple」という会社の歴史とノウハウなのだろう。 176.4kHz/24bit アップコンバート出力 HQ Playerを使ってHDMI接続を行うと、44.1kHz/16bitを176.4kHz/24bitにアップコンバートして出力できる。 アップコンバートの効果で、明瞭度、濁りの少なさが大きく向上し、音が引き締まって音場の濁りが取れる。 聞こえる音の数がものすごく増えて、ネットワーク入力よりも圧倒的に音が良い。 アップコンバート前の音の質感を「アクリル」に例えるなら、アップコンバート後には「クリスタル・グラス」になったように密度と透明感が増し、AVアンプが高級ピュアオーディオ・アンプになったような錯覚に陥る。
さすがに大型の電源を搭載しているだけあって、本格的なプリメインアンプに負けないくらい低音が良く出る。しかも、ウーファーがキチンと制動されて、低音が膨らまない。これくらい良質で豊かな低音が出れば、下手なサブウーファーはない方がよいはずだ。 シンセサイザーの響きは長く尾を引き、ボーカルとの分離にも優れている。ボーカルは、ニュアンスは細かく再現されるが、線が太く全体的に少し厚ぼったく、ボリュームがより豊かに感じられる。 ややピュアオーディオとはイメージが違う、「たっぷり」とか、「豊潤」という言葉が当てはまるような鳴り方をする。 けれど、心地よい音だ。
曲の鳴り始めの、シンセサイザーの「勢い」と「鮮やかさ」が全然違っている。ボーカルとの分離も向上し、ピュアオーディオアンプで聞くこの曲の雰囲気とほとんど変わらない音が出ている。 パーカッションの硬質な響きもそうだし、全体的なクォリティーアップが感じられる。
「厚み」が良い影響を与えるこの曲の再生では、Macの音はWindowsよりもすこしあっさりして聞こえる。 中域のウェイトが少し薄くなって、エネルギーバランスがフラットになったが、この曲には中域が盛り上がったWindowsのゴージャスな雰囲気も、それはそれでよかった。 USB接続では、WindowsとMacの間には「音質(サウンド・クォリティー)に大きな差がある」ことが多いが、LAN接続だと音質の違いはそれほど大きくない。サーバーソフトさえしっかり選べば、Windowsでも十分楽しめる。
音の立ち上がり、立ち下がりが早く、音の出方消え方に全くストレスがない。シンセサイザーは、複雑な感じが良く出ているし、音が消えるまで響きが長く持続し、ボーカルとの分離感も素晴らしい。 ハーモニーの部分では、メインボーカルがすっと前に抜け、バックコーラスはそれを支えるように鳴り、それぞれの音源の実在感が大きくアップする。音楽の緩急、音の大小など、演奏の動きもグンと大きくなった。 演奏の「情報」が多く、ピュアオーディオに全く引けを取らない、本格的な音でこの曲が鳴った。
シンセサイザーは、音のエッジが甘くなった。響きにも濁りが生じている。 ボーカルとの分離も少し悪くなったが、雑味が混ざったことによって、ある意味逆に「本物」らしくなっている。 あまりにもクリアな音よりも、少し濁りがあって、角がわずかに丸いこういう音の方が、長時間のリスニングには向いているかもしれない。無理をしない、無理をさせない、Appleの音作りの良さが光っている。 176.4kHz/24bit アップコンバート出力 シンセサイザーの重量感、余韻の美しさが大きく向上する。一つ一つ音に重みが感じられる。アマンダの声も、ドスが聞いて太い。 LAN接続に比べると少し重く、暗い感じがするけど、それはピュアオーディオでこの曲を聞く時の感じに似ている。
ピアノは音色が美しく、ボーカルと綺麗に分離して重ならず、濁らない。向こう側が透けて見えるような透明感は、ピュアオーディオのよう。 ボーカルは「アナログアンプ」を搭載している良さなのか、まるで真空管アンプのように滑らかで暖かい雰囲気で鳴る。 少し粘っこい感じがするほど、ファットな音だが、そのゴージャスさがとても心地良い。 ゆったりと、豊かに時間が流れる。 いままでのAVアンプ、低価格のAVアンプの音とは全く違う厚みあるゴージャスなサウンドだ。
ピアノは、音の厚みと音色の鮮やかさが全然違ってくる。 ボーカルは、息遣いが伝わるほど細やかでリアルになる。 空間の密度と細やかさが大きく向上して、会場(スタジオ)の空気感まで伝わってくる。
ピアノの音が少し硬質になった。ボーカルは油気が取れてすっきりした。 高域は明らかに伸びているが、音の分離感や音場の透明感はそれほど大きな差がないように思える。
ハンク・ジョーンズの奏でるピアノのタッチが驚くほど繊細になり、ピアノの響きが消える部分では余韻の美ささえ醸し出される。本当に優しく心のこもったタッチ。グランドピアノの音も素晴らしい。 ボーカルは、声を止めるところ、静寂に向かう部分の歌い方の丁寧さが全然違ってくる。 録音の良いこの曲で聞き比べると、MNP-i5の音質はWindows/Macとは大きく違って聞こえる。 リモコンから選曲するときの反応も速いし、価格は高いが「オーディオ・トランスポーター」としてかなり上位に感じられた。
ピアノの音、ボーカルなどの「音質」は、明らかに低下している。しかし、音が少し省略された分、ソフトフォーカス感が出て、雰囲気は悪くない。 スタジオ演奏が、ナイトクラブでのライブに変わった。実に良い感じで上手く鳴る。 176.4kHz/24bit アップコンバート出力 ピアノの頭が揃った。ボーカルはとてもきめ細かく滑らか。 スタジオ録音で、ブースが仕切られている感じまで聞き取れるほど音質がアップする。 けれど、少し「行き過ぎ」のような気もする。聞いているこちらも、緊張する。 「本気」の音、「気合が入りすぎている」感じもある。 FLAC 192kHz/24bit ハイレゾ音源
音源をハイレゾに変えると音のきめ細やかさが大幅にアップするが、高音がいたずらに伸びてうるさくならない。 伴奏との分離感も向上し、よりリアルな音になる。ピアノとウッドベスの音の良さが印象的。 ハイエンド・オーディオとして十分に通用しそうな音。 オーディオ機器では「Mcintsh」の音に傾向が似ている。一言で言って「ゴージャス」な音。ダイアナ・クラールには、良く合っている。
ウッドベースの腹にどしんとくる感じ、シンバルの高音がすっと抜ける感じが、断然リアルになった。 ボーカルは厚みが増し、表現力と説得力が大きく向上した。 すべての項目が、フラット(公平)に良くなるから、やはりアンプをグレードアップしたように向上する。
全体的な変化のイメージは他の曲と同じだが、MacではWindowsほどCDリッピング音源とハイレゾ音源の差が開かない。 やはり、USBなどの接続に比べて、LAN接続でのWindowsとMacの差は小さいという感じだが、それでもピアノのタッチ、ウッドベースのリアルな感じは、MacがWindowsを上回っている。
ピアノの音の重み、ウッドベースの重み、ボーカルの厚み、すべての音の充実感がアップする。それでも、良い意味で「ハイレゾ感」はそれほど大きくなく、「ハイレゾ」のいやらしい部分は全く感じられない。 ボーカルは、伴奏からすっと抜け出て、そこで歌っているようだ。 音にならない部分での「変化」さえ伝わり、「かなり高級なピュアオーディオ音質」が実現する。
i-Tunes−Air Playは、PCを意識させず、音の良いLANで音源をネットワーク内の音響機器に配信できる。しかし、ハイレゾファイルでもサンプリング周波数の上限が「48kHz」にダウンするため192kHz/24bitでそのまま接続できる「Aseet」よりも音が悪くなる。それでもハイレゾの高品位な感じは伝わってくるから不思議だ。 Air Playで聞くハイレゾは、再生周波数帯域が伸びた感じではなく、音の粒子が細やかになって、空間の密度が上がった印象。 生演奏聞いている雰囲気から、PAを通したライブを聴いているイメージに変化するが、それはそれとして十分に演奏を楽しめる。 192kHz/24bitをそのまま出力 ピアノの音、ウッドベースの音のリアルさが全然違ってくる。ドラムのブラシワークも実にリアル。 ボーカルは、力が入って、声がしっかりした。ハイレゾらしい感じは一番強い。 けれど、音が良くなりすぎて「録音機材の粗」のようなところまで聞こえてくる。個人的には、ちょっとこの音はしんどいかもしれないが、MNP-i5
Roon+HQ Playerの音質は素晴らしい。曲を選べば、驚くほどの高音質が実現するだろう。 試聴後感想 今回は、新製品の「AIRBOW SR8012 Special」そのものの音質と、サーバーと組み合わせでどのように音が変化するかをチェックしてみました。 まず、手前味噌になってしまいますが、SR8012 Specialは従来のAIRBOWのどのAVアンプと比べても音質に優れ、かなり高級な(20-30万円クラス)のピュアオーディオ・プリメインアンプに相当する音質が11Chで実現していることを確認できました。 DAC部の音質にも優れ、これ一台あれば、映画だけではなくステレオで聞く本格的な音楽鑑賞もこなせるでしょう。 LAN接続で比較したPCの音質は、Windows/Macの違いよりも「サーバーソフト」による音の差がより大きく、数千円程度の出費なら「迷わず音の良い有償ソフト」を導入すべきだと思いました。 また、高価ですがオーディオ再生専用に作られた「AIRBOW ミュージックPC」の完成度の高さも光りました。 2018年6月 逸品館代表 清原裕介
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