SCM40 ・ SIA2−150 ・ CA2 ・P1 音質 試聴 テスト |
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2010年3月発売のATCの新製品、SIA2−150(プリメインアンプ)、CA2(プリアンプ)、P1(パワーアンプ)の試聴に合わせてSCM−40を手配し、ウィーンアコースティック BEETHOVEN CONCERT GRAND(T3G)を交えて、スピーカー2台、アンプ2台の相互試聴を行いました。 |
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試聴環境とソフト |
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DVDプレーヤー RCAケーブル 比較用スピーカー VIENNA ACOUSTICS T3G(Beethove Concert Grand) 試聴ソフト Ne-Yo The Collection (UICD9062) 打ち込みの低音によるウーファー駆動力のテスト、ボーカルの定位のチェック Holly Cole Trio Don't Smoke in Bed (CDP 07777 81198 2 1) ウッドベースの低音によるウーファー駆動力のテスト、生楽器による音色再現性のチェック : バルトーク管弦楽のための協奏曲、フリッツライナー(指揮)・シカゴ交響楽団 SACDによる広帯域再生のテスト、音の広がりとオーケストラレーションの精度のチェック |
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SAI2−150でBeethove Concert GrandとSCM40を鳴らし比べる |
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SIA2−150でBeethoven Concert Grandを聞く |
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VIENNA ACOUSTICS T3G(Beethove Concert Grand) Ne-Yo The Collection (UICD9062) 音像はピントがシャープで、スピーカーを結ぶ線上にコンパクトにしっかり定位する。ボーカル音像のエッジはシャープだが滑らかで柔らかく、左右スピーカーの中央にホログラムのように明瞭に定位する。その凝縮感がとても心地よい。 音場の前後方向の奥行きは少し浅いが、左右への広がりは大きい。 解像度が高く、細かい音まできちんと分離して聞こえる。 スピーカーを結ぶ線上から前方に向かって音像が明瞭に展開するのは、最近流行の3D映像の雰囲気を持つ。 低音は、わずかに膨らむがぐんぐんと前に出る。さすがATCを鳴らすアンプは低音の力が違う。ただ、T3Gとの組合せでは、低音が中高音と同じ位置から出てボーカルと低音がぶつかるイメージ。圧迫感を感じるので、長く聞くのがちょっとしんどいかも知れないと思えた。 Holly Cole Trio Don't Smoke in Bed (CDP 07777 81198 2 1) 久しぶりにホリーコールを出してきたのは、このアンプに合うと思ったからだ。その予想は、見事に的中した。 シャープにセンターに定位するボーカル。伴奏の楽器はボーカルとは全く混ざらず、大きく左右に分離する。 ピアノはハンマーの動きが見えそうなほど明確に再現され、音色も正確で美しい。 ウッドベースの低音もむやみに膨らまず、押し出し感も十分だ。 唯一少し不満に感じるのは、ニーヨでもそう感じたが音が前方中央に固まりすぎて、左右には広がるものの、体を包み込むように背後までは広がらないことだ。 空間に漂う響きは繊細で美しく、音質はこの価格のプリメインアンプとしては文句なしに抜群だ。ただし、その音場形成は独特(音は分離するが、音場が中央付近に凝縮されたように固まる)で、コンサートホールのような音場型の鳴り方はしない。 マスタリング時に音楽をモニターするイメージの鳴り方は、スピーカーで音楽を鑑賞するのに適している。 : バルトーク管弦楽のための協奏曲、フリッツライナー(指揮)・シカゴ交響楽団 解像度はすばらしく高く、細かい音まで濁りなく再現する。その性能は、驚くべき水準に達している。しかし、時としてその音の良さが災いして、音場の展開が細かすぎて神経質に感じられることがある。 また、音の広がりもPOPSやJAZZで感じたのと同じに前方中央に固まりすぎる傾向が強い。コンサートを舞台袖で聴いているような感覚だ。 ちょっと窮屈に感じたので、試しにリスニングポジション(頭)を前後に動かして聞いてみると、少しの移動で音の広がりとまとまりのバランスが大きく変わることに気づいた。 スピーカーに思いっきり近づいたピンポイントのポジションでは、スピーカーの存在が完全に消えて、まるで架空のミニチュア・コンサート会場に入ってしまったかのような、不思議な感覚で音楽を聴ける位置を発見した。 SIA2-150はあまりにも高性能で、音の分離や定位が良すぎるために、セッティングやリスニングポジションに神経を使わなければならないが、ピンポイントに入ったときには価格を遙かに超えるすばらしい性能を発揮する。 T3Gのような大型スピーカーでさえ、ミキシングコンソール上に設置した小型モニターで音楽をモニターするようなイメージの鳴らし方をするが、このアンプの美点は高性能だが冷たさはかけらもなく、ソースの弱点を暴くような鳴り方をしないことだ。 周波数レンジは、高域〜低域ともそれほど広くないように感じるが、第3楽章の冒頭ではピアニシモからわき上がってくるような底知れぬ深い低音が再現された。 T3Gで聞くSIA2−150は、静かで知的、音楽を分析的に鳴らすアンプに思える。今回は試せなかったが、PMCとの組み合わせもおもしろそうだ。 |
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SIA2−150でSCM40を聞く |
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ATC SCM40 Ne-Yo The Collection (UICD9062) T3Gでやや平面的に感じた奥行きがSCM-40との組み合わせでは、見事に立体感が出る。 中音は高性能なスコーカーの働きで驚くほど細かく明快だが、ツィターとウーファーは、その存在をほとんど主張しない。スコーカーを中心に音楽を聴いている感じだ。 低音はATCの密閉型らしく、T3Gよりも音のにじみ・濁りやふくらみが少なく、全体に音がソリッドで無駄な響きが少なく、タイトな音だ。 密閉型スピーカーらしい“ある帯域からスパンと切れている低音”は、T3Gのように体を包むようにリッチに広がらない代わりにリスナーの体を押し出すようにぐんぐんと前に出る。 しかし、高音の解像度があまりにも高いのでT3Gでは聞き取れなかった、録音のひずみが非常に耳障りに聞こえる。ニーヨがこれほど歪んだ音で録音されているとは今まで感じたことはなかった。SIA2-150は、T3Gとの組み合わせではソフトを選ばなかったが、SCM-40との組み合わせでは、かなりソフトを選びそうだ。 繊細だけれど暖かく、精密だけれど柔らかい不思議なモニターサウンド。その音は、リスナーをある種のオーディオの“桃源郷”的な世界に誘う強烈な個性を持つ。それが魅力に感じれば、これ以上の組合せはない。 Holly Cole Trio Don't Smoke in Bed (CDP 07777 81198 2 1) ニーヨで感じたのと同じように、スピーカーをT3GからSCM40に変えたことで音場の広がりが適正になる。 それでも、依然として音場はスピーカーの外側にはあまり広がらないのだが、ボーカルは前に、伴奏はスピーカーを結ぶ線のやや後ろ側に下がってステージが立体的に定位するように変化する。 相変わらず音の分離感は抜群で、楽器を取り巻く環境まで見通せると思えるほど、繊細な音まできれいに分離して再現する。 このソフトは録音が優れているので、ニーヨで気になった高音の歪み感は全く感じられない。 SIA2-150は、最近聞いたアンプの中でも、相当高性能な部類に属すると思う。しかも高性能一点張りの冷たく精密な音ではなく、暖かく血の通った音が出る。 スピーカーの設置間隔をあまり広げず、ニアフィールドで音楽を聴くとはまる、超高性能な大型ヘッドホンのようなサウンドだ。小さなスペースで、最高の性能を発揮する、ある種のスーパーオーディオの世界がそこに感じられる。まさにスタジオで求められる最高級のデスクトップモニターの世界が実現する。 : バルトーク管弦楽のための協奏曲、フリッツライナー(指揮)・シカゴ交響楽団 微少信号(小さい音)の再現性が驚くほど高く、バルトークの幽玄な世界が見事に再現される。 まだ音場の広がりは小さいが、その細やかさと精度は驚くほど高く、同じスタジオモニターの血筋を持つLS-3/5Aの世界を数倍以上細かくしたような雰囲気の鳴り方をする。ある種の極限を超えた超高精度で、精密なミニチュア・コンサートを聞いているようだ。 総合結果 SCM40のサイズにだまされて、このスピーカーを中型のトールボーイと混同してはいけない。このスピーカーは、あくまでもこのすばらしいスコーカーの音質を聞くために作られた、最小(ミニマム)のモニターシステムなのだ。 私が推薦する使い方はスピーカーをあまり広げて設置せず、スピーカーの中央近くにリスニングポジションを置き、スピーカーの直接音だけを聞くようにする方法だ。そうするとシステムは、化ける。部屋いっぱいに音を広げようとするのではなく、スピーカーの中央に形成されるハイビジョンを遙かに超える繊細なミニチュアの世界を楽しむセットとして考えれば、この価格でこれほどの世界を実現した能力は驚嘆に値する。 小さな部屋でもこのシステムは、100%の性能を発揮する。ミキシングスタジオでの作業のように、部屋をデッドにしてスピーカーの出音だけを聞くような聴き方がベストマッチする。そのように使えば、スピーカーの存在、部屋の存在は完全に消え、頭の周囲を驚くほど細やかな音の粒子が飛び回るような間隔で音楽を隅々まで聴きとれる。頭と耳だけをコンサートホールにつっこんだような奇妙な感覚だが、その精密で正確無比な音の世界も、一つのオーディオの終着点のような気がする。 リビングで部屋一杯に音を広げて聞きたいなら、間違いなくT3Gをお薦めするが、パーソナルな最高級のスモールオーディオ、最高級のパーソナルオーディオ、自分一人で音楽を聴くためのプライベートな部屋に置きたい“いい意味での巨大なヘッドホン”としてオーディオをお求めなら、SCM40とSIA2-150を超えるシステムを見つけるのはとても難しいはずだ。 |
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CA2+P1でBeethove Concert GrandとSCM40を鳴らし比べる |
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CA2+P1でBeethoven Concert Grandを聞く |
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プリアンプ・パワーアンプをバランスで繋ぐか?アンバランスで繋ぐか?そのチェックのため、RCAアンバランスとXLRバランスの音質をクラシックで比較した。 最初にRCAを試したが、音が出た瞬間にSIA2-150とのあまりの表現力の違いに驚いた。一音一音のリアルさがまるで違う。濃さといえばいいのか?あるいは、実在感と表現すればよいのか?音の存在感がまるで違ってしまった。 とりあえず音を切りXLRに変えて音を出して、今度は逆の意味で驚いた。SIA2-150よりもすごく良いと感じた魅力が一気に消えてしまったからだ。音場は平面になり、ぱさついたがさつな音で質感が全く感じられない。 接続でこれほど音が違うアンプも珍しい。ケーブルのグレードはそれほど違わないので、これは純粋にアンプの問題だろう。当然テストはRCAアンバランス接続を使うことにした。 VIENNA ACOUSTICS T3G(Beethove Concert Grand) Ne-Yo The Collection (UICD9062) SIA2-150とCA2+P1は、解像度や分離感にそれほど大きな差はないが、音の厚みや実在感にかなりの差が感じられる。特に低音の力感がかなり違い、ベースセクションののパワー感、押し出し感、重量感が大きくアップする。 高音の歪み感はまだはっきり聞こえるが、あまり不愉快ではなくなる。 低音が増えた効果で音の広がりも大きくなり、SIA2-150ではやや平面的だった音場に前後の立体感が出てくる。 SIA2-150とCA2+P1に共通するのは、ラックスマンの純A級アンプのような軟らかさと暖かさだ。そのため、クールな音が好きな人にはあまり向かないだろう。 SIA2-150では鑑賞する感じだった音が、体の中に入ってきて内部から体を揺り動かした。CA2-P1はSIA2-150とは、打って変わったノリの良い音だ。 Holly Cole Trio Don't Smoke in Bed (CDP 07777 81198 2 1) ニーヨで感じたのと同じように低音がSIA2-150よりも後ろに下がる。ホリーコールの声に余裕が出て大人っぽさがぐんと増し、色気がうんと濃くなる。 ボーカルに施されたエコーが上手く働いて、エコー(間接音)が部屋を漂うようになる。ストレスなく音が広がり、過剰な細やかさが感じられなくなる。リスナーを左右後方からエコーが包み込むように音場が大きく広がり、はっきり言ってかなり心地よい音だ。CA2-P1とSIA2-150の最大の違いは、その心地よさの部分にあると言える。 高音はシャープだが柔らかく、中低音がやや厚ぼったくいSIA2-150にも共通する不思議な感覚は、私たちがイメージする純A級アンプの音であり、真空管アンプのようでもある。そこまで書いてハッと思い出した!この音は、私が記憶している初期の日本製パワーアンプに通じる、暖かくてシャープなあの不思議なサウンドだったのだ。私の記憶にあるエクスクルーシブの初期のA級アンプ、もしくはMOS-FETを使ったLo-Dの9500に非常に似ているように感じられた。 : バルトーク管弦楽のための協奏曲、フリッツライナー(指揮)・シカゴ交響楽団 CA2+P1では、太鼓の音の響きの出方がかなり違う。 SIA2-150では、太鼓から出た音だけが聞こえたが、CA2+P1では太鼓を打つバチの動きまでもが見える。 ホリーコールでは、CA2+P1よりもSIA2-150で楽器の動きをより明確に感じたが、クラシックではその逆にCA2+P1の方が楽器の動きを強くイメージさせる。 3枚のディスクを聴いてSIA2-150と大きく違うと感じるのは、CA2+P1では間接音が豊かなことだ。低音の量感力感にもハッキリと差が出るから、音場がSIA2-150とは比較にならないほど大きく豊かに広がるようになる。 もう十分にT3Gが鳴りきっていると表現しても問題がないほど、アンプがスピーカーをコントロールしきっている。ただ誤解のないように付け加えたいのだが、私が今聞いているのはT3Gの音ではなくATCアンプの音だということだ。T3GはCA2+P1の音質を引き出すが、CA2+P1はT3Gを支配してATCが意図するの音に変えてしまう。それほどこのアンプのスピーカーに対する支配力は大きい。 |
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CA2+P1でSCM40を聞く |
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ATC SCM40 Ne-Yo The Collection (UICD9062) 相変わらず密閉型らしいタイトな低音だが、アンプを変えたことでSCM50をSCM100に変えたくらい低音の力感と量感に違いが出た。 良質なサブウーファーを使ったかのように音場がリッチになり、全帯域での音の実在感が大きくアップする。スピーカーの中心に小さく広がっていただけの音が、スピーカーの外側にも大きく広がり、リスナーの左右後方へも展開するようになる。この音なら、SCM40をリビングに置いても聞ける。 確かにSCM40の音場は独特で、T3Gのように軽々と音が広がるのではなく、リスナーに対し挑発するように濃密に音が向かってくるが、それがある種のオーディオ的な快楽を呼ぶ。 私はもう卒業してきたサウンドだが、オーディオの初期〜中期に掛けてこういう音と「格闘」するのも悪くない。それもある種のオーディオ的快楽のあり方だと思う。そう感じたらT3Gの音は、SCM40に比べ薄く希薄に思えるだろう。 SCM40の音にはエネルギーがあって濃くリスナーめがけてまっすぐ進むから、T3Gがやや苦手とする楽器と近接したマイクで収録されたJAZZをリアルに聞かせる。また、そういう用途にはSCM40より最適なスピーカーはないはずだ。 Holly Cole Trio Don't Smoke in Bed (CDP 07777 81198 2 1) アンプをCA2+P1に変えても、相変わらず音場の再現性は正しく精密だ。ウッドベースはスピーカーの後方に定位し、ボーカルはその前にコンパクトに定位する。 ピアノの音色は、SIA2-150の方が煌びやかだったように思うが、ボーカルの暖かさや質感はCA2+P1がSIA2-150を大きく上回る。 SIA2-150にも共通する美点は、音量を下げてもほとんど音やせが感じられないことだ。ATCの重いウーファーを小音量でもしっかり動かせるのは、やはりATCが作ったアンプだからだろう。ベースの太く腹に響く音も、小音量でも十分に出る。 とにかく、大音量、小音量にかかわらずATCをこれほど暖かく繊細に鳴らせるアンプには、これまであまりお目にかかったことがない。 : バルトーク管弦楽のための協奏曲、フリッツライナー(指揮)・シカゴ交響楽団 最初に太鼓の皮の音が聞こえ、それが太鼓の胴を響かせ、太鼓からで出た音が音がホールの壁に当たって反射する、楽器を振動させる音の広がり、楽器の直接音とホールの間接音の関係が見事に再現される。その解像度の高さと、精度の高さはかなりのものだ。 S/Nが高く、ピアニシモとフォルテシモの差も崩れずにきちんと再現される。音質のクォリティーは相当に高く、それぞれの楽器の特徴は見事に分離されて音に出る。 気になるのは、楽曲がバルトークにもかかわらず、ホールの(空気の)温度感がかなり高いことだ。個人的な好みでは、もう少しクールな表現がこの楽曲には向いていると思う。 同じエレクトリが扱うHEGELのアンプは、時にはやや無機的に感じられるほど抑えられた表現でクラシックの内面性を深く再現したが、ATCはそれよりも遙かに有機的に暖かくバルトークを鳴らす。 メタリックで小型の外観にはまるで似合わない、熱くてパワーのある音が聞けた。 総合結果 ATCのアンプは音楽を舞台袖で聞いているように鳴らすから、ホール中央の座席が好きな人にはあまり向かないかもしれない。また、あまりにもタイトで濃い音だから、長時間聞くには向かないかもしれない。 しかし、体に音をぶつけて聞きたいような、そういうオーディオ的な楽しみを求めるなら、このアンプは理想に近く、またこんなに低価格にも関わらず、そういうオーディオマニアの夢を相当高いレベルで実現する力を持っている。 |
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総合評価 |
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今回は、ATCから発売される新型アンプのテストのため、SCM40も取り寄せてウィーンアコースティックのT3Gを交えた相互比較を実施しました。 アンプの評価 T3Gとの組合せで感じたのは、ATCアンプのスピーカーに対する支配力の強さです。ATCのアンプを使うことで、T3Gが今までちょっと聞いたことのない鳴り方をしたことには驚きました。ただ、やはりどちらのアンプを使っても私が鳴らしたい音でT3Gを鳴らすことはできませんでした。音が濃すぎて、また前に出てすぎて、T3Gに求めるストレスのない軽やかさが失われてしまったからです。 SIA2-150とCA2+P1の違いは、中低音の量感と力感です。CA2+P1使うとSIA2-150とは同じスピーカーを鳴らしているとは思えないほど豊かに音が広がり、また雰囲気もより濃く再現されます。 SCM40の評価 SCM40はこれまで他のアンプとの組合せでも聞いてみたことはありますが、音の鳴り方がやや窮屈に感じられたので、あまりお薦めしていませんでした。しかし、今回発売されるSIA2-150との組合せで聞くと、あっと驚くほどの凄い世界を見せてくれました。 精緻という表現が、まさにぴったり当てはまる箱庭的オーディオの世界。眼前に広がるコンサートの精密なミニチュアの再現。それは完成した最高のデスクトップモニターのサウンドです。リスニングルームが大きくないなら、ディスクの収録された音をすべて聞きたいなら、SIA2-150とSCM40に勝るシステムはそう多くないはずです。 私が意図する以上の音でSCM40を鳴らしたSIA2-150に比べ、CA2+P1にはオーバクオリティー的なミスマッチを感じました。箱庭的に音楽を再現しようとするSCM40から原寸大のコンサートの雰囲気を出そうとする。なんだか、そこにちょっと無理があるように感じたのです。 CA2+P1でATCがターゲットとしたのは、SCM50やSCM100のようなさらに上位のATCのモニターのように思います。それらとCA2/P1を組み合わせれば、ベストマッチし雄大なスケールで音楽を楽しめたでしょう。さらにすごい音が欲しいなら、P1をシリーズに複数繋いてバイアンプ、トライアンプに発展させれば、他のメーカーのアンプよりも低価格でスピーカーのマルチアンプ駆動が実現します。 スタジオで鍛え上げられたATCらしさが随所に感じられる、新型のSIA2-150アンプとCA2+P1アンプは、表面的には“新発売”ですが、パワードスピーカー(アンプ内蔵スピーカー)の生産で長い歴史を持つATCだからこそ、最初の製品でありながらATCを鳴らすために“最も完成された音”に仕上げられたのでしょう。“スピーカーメーカが作ったアンプをちょっと聞こうか“という私の軽い気持ちは完全に覆され、その十分な完成度の高さに唸らされる結果となりました。 |
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2010年 3月 逸品館代表取締役 清原 裕介 |