KRIPTON AB-G3500 AB-G2500 AB-G1500 AB-5000 AB-3000 AB-2000 AB-1000 KRYNA PRO SPATIAL BOARD 音質 評価

KRIPTON AB−G3500 、 AB−2000 、IS−20

KRYNA PRO Spatial Board (生産完了)

AIRBOW DCB494406 、 METAL−SHEET/0.6 、 METAL−SHEET/1.4、 MTA−B

音質 評価 比較 テスト

KRIPTONとKRYNA PROから同時期に新型オーディオボードが発売されたのを機にAIRBOWのヒットモデルを加えて音質比較テストを実施しました。

使用CDプレーヤー EMT 986 ご注文はこちら

使用アンプ       AIRBOW PM8001/Space  ご注文はこちら

使用スピーカー    PMC IB1S ご注文はこちら

テストは、CDプレーヤーを使い「床(絨毯)の上に直に置いた状態」との比較で行いました。

テストは「床に置いた状態」を基準に「高音、中音、低音」・「バランス、透明度、明瞭度、広がり感」の7つの状態がどのように変化するかで評価しました。
採点は、基準を「すべて5」として、テスターの感覚でどれくらい改善されたかをそれぞれの点数として比較しています。ただし、評価はあくまでも上記の条件下における「感覚的評価」によるもので、「絶対的」なものではありませんから、このテストの結果通りに音質が改善するとは限りません。また、使用機器や環境によってテストの結果と実際にお使いになられた場合の音質が一致しないことも十分に考えられますが、概ね大きな間違いはないだろうと思います。性能グラフに加え、各ボードの音質インプレッションなどを参考にして頂ければ、オーディオボード選びの参考にしていただけると思います。

基準(床の上に直置き)

自然な感じでまとまりが良く、このまま聞いていても不足は感じない。

思ったよりも音は良いが低音がやや緩い感じがする。

KRIPTON

AB−G3500
¥25,000(税別)・生産完了モデル
AB−2000
¥24,000(税別)・生産完了モデル

音の伝播速度の速い(アルミ板の約4倍)強化ガラスと自然な減衰特性の木材(25mmMDF材)を組み合わせた異種材料による共振抑制効果によって、自然な共振防止が得られるハイブリッド構造のガラストップ薄型オーディオボードです。

ガラスは脱落防止構造(4点接着)で取り付けられ底面のフットは共振吸収と耐移行性に優れたマイクロセルポリマーシート(PORON)を採用しています。薄型、軽量ですが高音質の設計を施しています。

表面の仕上げはマホガニー(M)・ブラック(B)・チーク(C)の3色で、お手持ちのシステムに合わせたカラーコーディネイトが可能です。サイズは、AB-G3500・AB-G2500・AB-G1500の3種類が用意されています。

このボードのご注文はこちらから

機器のフット部分にあたる木材ボードの内部に、共振効果の大きいジルコンサンドを封入し、センター部分には鉄球サンドを封入。ジルコンサンドは、比重4.5と比較的重く無機質な為、自然な共振防止効果が得られます。また、鉄球サンドは比重7.8と大変大きく、機器への電磁ノイズの防止やオーディオボードの重量増と防振効果が得られます。この、ジルコンサンドと鉄球サンドのハイブリッド相乗効果によって、AV機器の性能をあますことなく引き出します。スピーカーやラックの色に合わせて選択できるように、AB-5000にはチークとマホガニーの2色を、AB-3000・2000・1000にはさらにブラックの3色が用意されています。

このボードご注文はこちらから

音質インプレッション

バランスは崩れずそのままで高音のヌケと広がり感が改善する。

ガラスと聞いて想像するのとは逆に高音は、柔らかく艶やかさを増す。中音も滑らかで温かみが増す。低音は軽く弾む感じで心地よい。

変化は驚くほど大きなものではないが、響きを豊かにして立体感を補い、音楽を明るく楽しく聞かせる方向へと改善する。 

音質インプレッション

AB-G3500と比べると、明瞭度と解像度感(音の細やかさ)が違うことが分かる。バランスも崩れない。AB-G3500の持ち味である柔らかさ、暖かさ、明るさ、響きの良さは、このボードにも共通している。KRIPTONとしてしっかりした音作りがなされている事を強く感じる。最高機種だけに、効果はAB-G3500を一歩凌ぐ。

IS−20
¥10,000(4個入り/税別)

音質インプレッション

AB-G3500と同時に発売されたハイカーボンインシュレーターのIS-20を併用して変化をテストしました。

AB-G3500を単独で使用する場合に比べて、音の暴れや雑味が抑えられて透明感と滑らかさが向上する。明るく楽しい音だが、ゴムリングの影響?か低音がやや緩くなる。今回のテストでは、AB-2000を単独で使用する方が音はよいと感じられた。

インシュレーター単体の評価としては、AB-G3500と同様のバランスがまとまり、音が明るく音楽が楽しく聴ける方向へと音質を改善する。

音を聞いて開発されたと感じられるし、滑り止めの効果も高く(傷つき防止の効果も高い)細やかな心配りがなされた、価格も含めて良心的な製品だと感じた。

高硬度のハイカーボンスチールに特殊硬質塗装することで表面硬度、音の伝播速度などの音響物理特性が大幅に向上し、今までにないクリアで力強くナチュラルな高音質が得られる廉価インシュレーターです。

金属の固有振動のダンピングと床との滑り止めの効果を発揮するシリコンゴム素材Oリングを採用。本体と床とを密着させる効果が抜群です。

「フラットタイプ」、「ソフトスパイクタイプ」の直径50mm、直径40mm・2タイプ4モデル ユーザーの使い方に合わせて4モデルを用意されています。

 「ソフトスパイクタイプ」は点接触ながら、接触面を大きな円弧にした構造のため、機器を傷つけずにスパイク効果を得ることができます。お好みの音や、設置状況によって表、裏どちらの面でもご使用頂けます。

 

このインシュレーターご注文はこちらから

 

 

KRYNA PRO

Spatial Board
¥33,800(税別) ・ 生産完了

音質インプレッション

KRIPTONのボードとは明らかに音質の傾向が異なる。響きを増加させるKRIPTONに対しKRYNAのボードは、響きをハッキリと抑振する。響きを取り去るのではなく、本来そこに存在しなかった「響きだけを取り去る」というイメージだ。空間のS/N感は、非常に高く、音の純度が驚くほど増加する。高音は突き抜けるように繊細で明瞭になり、低音は地を這うように引く、そして引き締まる。ただ、響きを取り去ったために中音がやや痩せてしまうことがある。音質は、ニュートラルからやや抑えめ。

音像は、KIPITONのように響きを伴って立体的に広がるタイプではなく、静かで透明な空間から音が浮かび上がってくる感じで、左右のスピーカーを結ぶ空間から音像が立体的に浮き出てくる。ホールのように体を包み込むようなゆったりとした広がり感ではなく、レコーディング時に作られたクリアな音場がそのまま再現される。良い意味でも、そうでない意味でも、モニター的で「嘘」や「遊び」がない。音を作らずありのままを再現するその性格がこのボードへの評価(好き嫌い)を分けるポイントになりそうだ。

高密度木材ボードの間に超微粒子の砂を充填、その上に特殊な制振材でピュアマグネシウムのボードを張り付けています。

従来のオーディオボードを越える究極の抑振を実現し、ボードを使用しても「音が重くならない」という効果を謳った「軽さの表現」が可能なボードと説明されている。

 

このボードのご注文はこちらから

AIRBOW

JDB444906
¥2,800(税別)
METAL-SHEET/0.6L
¥3,000(税別)

システムキッチンやユニットバスなどに大量に消費される「人造大理石」の端材を490×440にカットしたオーディオボード。本来は廃棄される端材を使っているため価格が安い。切断面や角は、きちんと処理されているので怪我をする危険はない。従来は、8mmとそれを2枚接着した16mmが主体であったが、材料高騰などの影響で厚み6mmが主流となったため、現在は6mmとそれの2枚合わせ12mmを主に取り扱っている。
サイズは、440*490と350*450mmの2種類がある。

癖がなく、全方向にバランス良く音質を改善できる。

このボードのご注文はこちらから

厚さ0.6mmの振動吸収性の高い金属を利用して作られた、非常に廉価なオーディオボード。薄い金属製のため見た目は、効果がなさそうだが、使ってみて驚きのすごい効果のあるボード。

素材の良さを生かしただけのようで後日発売された「アーシングシステム」を使ってボードと載せている機器をアースすると音質がさらに良くなるというオーディオ的にも十分検討された製品。

非常に薄いので、これまでボードの設置をあきらめていた箇所へも無理なく設置が可能。

このボードのご注文はこちらから

音質インプレッション

床直置きに比べ、全体的に少しずつ良くなる感じ。

軽快で明るくパワフルな音色が心地よい。

音質インプレッション

こんな薄いボードを敷いただけとは思えないほど効果が高い。楽器をワンランク良いものに変えたかのように一音一音の純度が自然に高まってくる。ボーカルも一段と澄んで、伸びやかで心地よい透明感が出る。

空間の濁りが取れて音が開放的に広がるようになる。音の分離にも良くなり、楽音の音色も鮮やかになる。コストパフォーマンスは、今回テストしたボードの中では、間違いなく断トツ!

METAL-SHEET/1.4
¥7,200(税別)
MTA-B
¥2,800(税別)

2枚の薄い金属を特殊な制振材で貼り合わせて作られた厚さ1.4mmのオーディオボード。0.6mmよりも制振性能が高く、この厚さでも高級オーディオボードに匹敵するほど大きな効果を発揮する。

0.6mm同様、後日発売された「アーシングシステム」を使ってボードと載せている機器をアースすると音質がさらに良くなるというオプションも用意されている。薄いので、これまでボードの設置をあきらめていた箇所へも無理なく設置が可能。

このボードのご注文はこちらから

 

METAL-SHEET/1.4に空けられている穴(左写真黄色い矢印部分)にアース線をネジ止めし、上に乗せたオーディオ製品の金属部分をクリップで挟むだけで、音が良くなるという不思議なアイテム。

簡単な仕組みにもかかわらず、効果は非常に大きくお客様からの評価も高い。アース線の種類、長さ、取り付け方法などは、徹底した試聴によって十分吟味され、単に音が良くするだけではなく、音楽性をまとめられる優れた製品。MTA-Bは、METAL-SHEET/1.4専用だが、その他のボードにも使える汎用品としてMTA-Aが用意されている。

このボードのご注文はこちらから

音質インプレッション

0.6mmに比べると高音、低音がより一層鮮やかに伸びる。音の厚みも出る。制振効果はAB-2000よりも高く、音の暴れが少なく、よりしっとりした感じがする。同じ金属系の素材を使っているためかKRYNAのボードと同じように静かな中に音が浮かぶという傾向を持っているが、あれほど強烈な印象はない。どちらかと言えば、それよりも開放的でAB-2000に似ている方向の音調だ。響きの良いAB-2000は、アコースティックなジャンルにマッチしそうで、余計な響きを出さないKRYNAはエレクトリックなジャンルにマッチしそうだ。METAL-SHEET/1.4mmは、ちょうどその中間。ジャンルを選ぶことはないだろう。
最後に確認のため、AB-2000とガチンコで聞き比べてみた。

METAL-SHEET/1.4mmからAB-2000に変えると音がやや明るくなり、一音一音がクッキリして、音色の鮮やかさ、複雑さが増してくる。AB-2000の方がボードとして明らかに性能が高いと感じるが、驚くほどの大きな違いはない。少なくとも価格差ほどの違いは感じられなかった。

音質インプレッション

こんな簡単なアースで?聞いてハッキリわかるほど、透明感と広がり感がアップする。音の繋がりが滑らかになり、デジタル写真の粒状感が消えて銀塩写真になったかのような、滑らかさが出てくるから不思議だ。

一音一音の実在感が増し、音楽が生々しくなる。

音は磨かれたように鮮やかさや実在感を増すの反比例するかのように電気的な歪み感?オーディオ的な誇張感が消えるから不思議だ。

本日テストしたオーディオボードの良いとこ取りをしたような感じで、あらゆる方向へ不満のない大きな効果が得られる。

お客様から得られる高い評価が納得できる、万人に受け入れられそうな「良い音」だと感じる。少なくとも、私の好みには、本日テストしたボードの中では一番マッチしている。音楽を聴きたくさせる音。

まとめ

今回のテストで最も強く感じたのは「価格の差」は、「音質の差」ではないということだ。各オーディオボードの「価格の差」は、純粋に「製造コスト」に比例する。つまり、ボードの意匠を美しく豪華にすればするほど価格が高くなり、逆に意匠を簡単にすれば、効果を落とさずに価格を安くできると言うことなのだ。

しかし、残念ながら一部のオーディオアクセサリーには「生産コストとはまったく無関係なでたらめに高い価格」が付けられていることがある、もちろん、それらの高額なアクセサリーも数が売れないために「生産コスト以外の目に見えないコスト(業者の食い扶持)」などの目に見えないコストの割合が非常に大きなった結果の高価格であるから、あながち「ぼったくり」とは言えないのだが「売れないから高くする→さらに売れなくなる→さらに高くなる」という悪循環を起こしている製品が少なくない。だから「高い=高性能」という図式は、オーディオアクセサリーの世界には、特に当てはまらないのである。

今回テストしたオーディオボードのみならず、オーディオアクセサリー全般に言えることだが、オーディオアクセサリーのような少量生産物品でも量産し価格を下げ、量販することで良い物が安くなる。前述した悪循環の輪を断ち切るのである。その好例がKRIPTONの製品ではないだろうか?AB−G1500の逸品館での実売価格は1万円強だが、美しい仕上げ、確実な効果を持つオーディオボードとしては、望外の低価格を実現している。同時発売のIS−200/20、IS−100/10のインシュレーターも同様だ。4個で定価1万円(税別)というのは、オーディオアクセサリーとしては、決して高くはない。企画段階から、販売個数とそれに見合った量産効果を発揮できる生産方法、生産工場を選んで実現した「まとも」な商品である。アマチュアのような少量生産では、このコストパーフォーマンスは発揮できない。メーカーと呼んで差し支えのない、立派な仕事である。

KRYNAのSpatial Booardは、4万円を切る価格だがこれも少量生産の特殊な製品、上記の製品と比べると数が出ない(多分1/20以下)と言うことを考えれば、十分に納得できる価格設定だと思う。性能的には、飛び抜けた部分を持っているだけに、面白い製品だ。特にオーディオ的(純粋に音の良さを狙う)には、面白い製品だと思う。効果が高いから毒にも薬にもなる。使いこなしに腕を振るえる製品である。

AIRBOW製品は、直販により中間マージンを廃し、さらに外観にこだわらずコストを下げ、効果対価格(コストパフォーマンス)を向上させるという目的を高いレベルで達成している(自画自賛のようですみません)。実際、METAL-SHEET/0.6などは、3千円という驚くべき安さで効果も高いが、見た目はただの薄い金属板である。ガラストップで美しいAB−G1500は、これの3.5倍するが、両者の見かけの差やパッケージのコストを考慮すれば、どちらが安くてどちらが高いとも言い切れないはずだ。

オーディオアクセサリーの価格は上を見ればきりがないが、高ければ効果が高いのではない(例外的にWIREWORLDのケーブルのように高くてもずば抜けて良い物もある)。今回テストした製品は、いずれも適切な量産計画による、ほどほどの価格が実現し、さらにオーディオ的に十分な効果が期待できる。オーディオアクセサリーとして「お薦め品」に該当するだけの基準を十分にクリアしていると感じられた。どれを選ばれても後悔はされないと思うが、音質だけは、できれば事前にご自身の耳でチェック願えるとありがたいと思う。

2007年7月 清原 裕介