BURMESTER O51 プリメインアンプ 052 CDプレーヤー 038 電源コンディショナー 音質 評価 比較 試聴 テスト

Burmester Integrated Amplifier 051 Burmester cd Player 052 Burmester Power Conditioner 038 音質評価

 1978年、ドイツに強力なオーディオ・メーカーが誕生しました。その名はBurmester / ブルメスター・オーディオシステムGmbH。設立者のディーター・ブルメスターは、ロックバンドのギタリスト/作曲家として活躍した後、医療用測定器の設計・製造に乗り出し、その後、理想の音を追求するためにハイエンド・オーディオに専心することを決意しました。彼の打ち立てたブランド『ブルメスター』は瞬く間に世界のオーディオファイルから高い評価を集め、一躍ビッグネームとなりました。
 自らのフィロソフィーについて、ブルメスターはこう語っています。「音楽性は数字だけで語れるものではない。その証拠に、私は同じ部品、同じ回路でサウンドの異なるシステムを設計できる…」。その言葉の通り、彼はあくまでも自らの感性をリファレンスに、回路設計を磨き上げてきました。勿論、製造段階でも測定に測定を重ね、厳格きわまるテストが繰り返されることは言うまでもありません。
 ブルメスターが掲げるスローガン、“ Art of the ear”。それが約束するのは、感動と驚異に満ちた真正な音楽体験です。

Burmester
インテグレーテッド・ アンプ 051
生産完了しました
Burmesterのお問い合わせこちら

Burmester
CDプレーヤー 052
生産完了しました
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インテグレーテッド・アンプ051は、同社のハイエンド仕様インテグレーテッド・アンプ032をベースに開発。スリムなデザインながらブルメスター社が誇る数々のアンプ・テクノロジーを惜しみなく投入しました。
ブルメスターが誇る強力な電源部を備えたピュアDCバランス・アンプ構成のパワー部に加えてセパレート・アンプへの発展可能なプリアウト出力、バランス3系統を含む入力感度調整可能な5系統ライン入力、音質最優先トーン・コントロール機能などを装備。また、伝統のクロームメッキ・フロントパネルなど上級機と同等の高級パーツを採用し、音質、仕上げともに妥協を排したブルメスターならではのインテグレーテッド・アンプです。

CDプレーヤー052は、ブルメスターの誇る最新の高度な回路技術が投入されたダイレクトドライブ・メカニズムのCDプレーヤーです。
052には上級モデルと同じ、ブルメスターが誇る超低磁束漏型トロイダルトランスが搭載され、信号ラインにカップリングコンデンサーを使わない完全DC回路の採用で透明感が高く滑らかな音質を実現しています。上級機と同じ、CDを96KHz/24bitもしくは192KHz/24bitにアップサンプリングして再生する高度なDACが使われています。アップサンプリング周波数は、セットアップメニューから切り替えられます。
アナログ出力は、バランス、アンバランス各1系統に加えテープアウトを装備。デジタル入出力は、同軸、光各1系統を装備し、トランスポーターとしても、DACとしてもお使いいただけるようになっています。

主な仕様

出力
120W x 2(4Ω)、85W x 2(8Ω)
周波数特性

2 − 200kHz (-3dB)

入力インピーダンス
22kΩ
入力感度設定範囲
+/-15dB
入力端子
XLRバランス端子(x3)、RCAアンバランス端子(x2)
出力端子

プリアウト出力(XLRバランス端子、RCAアンバランス端子)
サラウンド出力(XLRバランス端子)
標準サイズ・ヘッドホン端子(リア・パネル)

テープループ
録音出力(RCA端子)、モニター入力(RCA端子)
リンク端子
入力端子(x1)、出力端子(x1)
外形寸法(最大)
482(W)x95(H)x340(D)mm
重量
14kg
アナログ出力
RCA、XLR (各1系統)
テープ出力
RCA (1系統)
デジタル出力

同軸:RCA、光:TOS (各1系統)

デジタル入力
同軸:RCA、光:TOS (各1系統)
出力電圧
XLRバランス端子:4V
RCAアンバランス端子:2V
周波数特性

2Hz−48KHz
Switchable to 2Hz−88KHz

高調波歪み
<0.0015%
S/N比
>101dB
リンク端子
入力端子(x1)、出力端子(x1)
外形寸法(最大)
482(W)x95(H)x340(D)mm
重量
9kg

出力端子

アンプには、3系統のバランス入力と2系統のアンバランス入力が装備され、CDには各1系統の出力が装備されています。ほぼ同じグレードのケーブルを使って、それぞれの接続による音質を比較すると、バランスの透明度が高く、レンジ感が広い開放的な音質が得られたため、音質テストはバランス接続で行いました。

付属リモコン

フルコントロール(ディスプレイの明るさも調整可能)ができるリモコンが付属しています。

各部は、かなり華奢

プリメインアンプとCDプレーヤーに共通の脚は、比較的華奢で、裏側に傷つき防止の厚めのフェルトが張られています。

カーペット敷き詰めの床の上に直接置いた場合と、KRIPTONのボードを使って設置した場合の音質を比較しましたが、カーペットの上に直接置いた場合の方が音の広がりが豊かで、柔らかい音質が得られましたので「ボードなし」で音質テストを行いました。

この傾向は、052(CDプレーヤ)でも051(プリメインアンプ)でも変わりませんでした。

ボディーの板厚は薄く、指で本体を持ち上げようとすると簡単に浮き上がります。指を話すと元に戻りますが、100万円(税別)のアンプとしては、あまり褒められることではないと思います。

天板後部にネジを付ければ、簡単に解決することなので、もしかすると渦巻き電流?の発生などで音質が劣化するのを防止するため、わざとネジを付けていない可能性がありますが、それでも基板直付けのRCA端子など細かい部分、見えない部分は、日本製高級コンポのように高級ではありません。

見かけ重視、コストに対する仕上げ重視でブルメスターのエントリークラスに手を出すと、FMアコースティック同様、手痛いしっぺ返しを食らうことになりかねませんから、あくまでも音質重視で考えてください。

PHILIPSのハイエンドCDドライブメカ「CDM12」を使っていますが、そのCDトレイもやはりお世辞にも高級とは言えません。トレイのパネルも金属に見えますが、プラスチックです。

やはり、細かいことを気にする「貧乏性な人」は、こんな製品を買ってはいけないのだと思います。それが良いか悪いかは別にして、ブルメスターは100万円単位のお金をポンッ!と支払える富裕層の人だけに購入が許される贅沢な製品だということは間違いありません。

しかし、このプラスチックのパネルが肉厚のクロム・メッキが施されたフロントパネルと同じ質感に仕上がっているのは驚きです。少なくとも「前から」見ている限り、051も052も価格にふさわしい豪華な質感に仕上がっているのは事実です。

音質

ブルメスター社は、入り口(CDプレーヤー、DVDプレーヤー)から出口(スピーカー)まで、すべて同社の製品を使うように強く推薦しています。高級セット・コンポーネントという成り立ちではイギリスのQUAD(99シリーズ)などと同じ思想ですが、ブルメスターの対象顧客が庶民ではなくお金持ちだという事が明確な違いです。

ブルメスター社の訪問中にも生産ラインを見てコスト計算をし、もっと安くならないのだろうか?と言う質問をしたのですが、即座に「我々の顧客は、価格はまったく気にしていない。価格よりも音質やアフターサービスが優先される」と返されました。その毅然とした態度に、少し場違いかな?という印象を持ったのは事実です。しかし、その後夕食を共にした後では、高額=高級という彼らの「プライド」も理解できるようになりました。とにかく、「金に糸目は付けない」感覚でなければブルメスターとは付き合えません。

ブルメスターのスピーカーが用意されていない(日本では未発売)ため、スピーカーには普段良く聞いているVienna Acoustics T3Gを使って051+052の組合せを約一週間、徹底的に試聴しました。

結論から言うと051+052は、非常に良くできた大人のセットコンポだと感じました。ホテルのロビーや豪華なリビング、あるいはベッドルームで音楽を聴くのにふさわしいような音質です。このセットで聞くと、音楽は繊細で透明感が高く、上質でリラックスできる雰囲気で再生されます。高音が〜、低音が〜、広がりが〜、と言うようなオーディオ的な聴き方や品のない表現が、全くマッチしない「完成された世界」を持っています。

最も適しているのは、バラード系のヴォーカルやJAZZ、室内楽、そして製作者の好む「エルビス・プレスリー」のような、ライトなロックン・ロールです。それらの音楽を掛けたとき、051+052は流れるように流暢で、土臭さや汗くささの感じられない上質で品の良い音を出します。室内楽は、お抱え楽士が演奏するような「当たり障りがなく」かといって「情が感じられない」ということもなく聞こえます。その演奏者との「具合の良い距離感」の演出が051+052の真骨頂です。試しにAIRBOWに切り替えて同じソフトを聞くと、演奏が少し泥臭く、汗くさく感じられました。私としては、その方が「人間らしく」て好きなのですが、そういう「苦労」を感じさせない音で聴く音楽もまた悪くありません。

特筆しておきたいのは「女性ボーカル」の素晴らしさです。EMT 986でも同様に感じたのですが、女性ボーカルの色っぽさは抜群です。肉厚で艶とタメがあり、何とも言えない大人の雰囲気です。051+052のセットで中森明菜や中島美嘉、あるいは浜崎あゆみなどを聴くと、彼女たちが本当に色っぽい大人の“いい女”に感じられるから不思議です。ノラ・ジョーンズを聴いても同じです。グラマーで凹凸のある女性を想像させられます。この音は、大人の女性ボーカルファンには堪らないでしょう。

弦楽や器楽曲も同じです。何とも柔らかく厚みがあって、セクシーな音で聞こえます。バイオリンは、中音が本当に艶っぽく鳴ります。チェロも同じです。ギターも木質的な音で聞こえます。色彩感も豊かですが、出過ぎることはありません。トヨタの車だと「セルシオ(レクサス)」のような、ベンツだと「Sクラス」に通じるような、ある種の「豪華さ」を感じさせる音質です。

なんだか抽象的な表現になって申し訳ないのですが、ブルメスターはそういう高度にコントロールされた音で音楽を再現するコンポです。そういう意味では、QUADよりもLINNに近いイメージですが、良い意味でLINNほど個性的ではありません。難しいことや面倒はゴメンだけど、お金はあるから「いい音」を持ってこい!そういうリクエストに100%応えられるのが、ブルメスターです。

電源コンディショナー 038

Burmester
電源コンディショナー 038
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出力6系統。右から4つの出力には高周波フィルターが使えます(左から2つは、フィルターなし)。
発熱はほとんどなく、狭い場所に設置できます。

特許取得のブルメスター・オリジナル方式を採用したパワー・コンディショナーの新モデルが038です。038は、同方式を初めて採用して高い評価を得た948 のジュニア・モデルながら、その高性能を維持したまま、より一層のシンプル化とリファイン化により抜群のコスト・パフォーマンスを誇ります。038パワー・コンディショナーは電源波形の歪に起因する諸問題を根本から解決し、オーディオ・システムの音質改善に大きく貢献します。

● 038パワー・コンディショナーは、ドイツのブルメスター社がオーディオ機器の理想的な電源を求めて開発した電源供給ユニットです。ACラインのDC成分を外部から排除するユニークなパラレル動作回路(特許取得)により接続機器の音質を大幅に改善します。

● 電力機器などのノンリニア素子によって生じたACラインの+、−波形のアンバランスはDC成分として電源トランスのコアを飽和させ、ハムなどのノイズとなるだけでなく、トランスの効率を低下させ、音質劣化の原因となります。ブルメスターの038パワー・コンディショナーはこのDC成分を検出し、大きい波形にダミー負荷を与えて小さい波形に合わせる新技術によりACラインの+と−の波形をそろえ、この問題を根本から解決しました。

● 従来の安定化、またはアンプ方式による電源供給ユニットはACラインに直列に挿入されるシリーズ動作のため、レギュレーション悪化による音質劣化は避けられませんでした。038パワー・コンディショナーはACラインに外部から働きかけるパラレル動作のため最大で2kWの容量を誇り、大電流を必要とするパワーアンプも問題なく接続できます。

● さらに、出力コンセント6個のうちの4個にはRFラインフィルターを内蔵させたフィルター出力を装備。プリアンプなどのアナログ機器とCDプレーヤーなどのデジタル機器を別個に接続すると電源からの相互のノイズ干渉を遮断することができます。

● 電源電圧、またはACラインのDC成分のいずれかを切換えて表示ができるディスプレーを装備。電源に含まれるDC成分の除去効果を確認しながら使用できます。

● 他のブルメスター機器の電源スイッチと連動するコントロール端子。

● ブルメスター特製3重シールド・パワーケーブル付属。

● VDE、TUEV、CEなどの安全規格適合。

● 外形寸法:482(W)x95(H)x340(D)mm、 重量:10kg

 

機能

フロントパネルには電源インジケーターが付いています。3号館のAC電圧は、104Vと高めです。

休日はさらに高く、106Vに上昇します。

フロントパネルのスイッチを押すと表示がAC中のDC成分(DCオフセット)に切り替わります。

3号館では、DC成分(オフセット)はありませんでした。

フロントパネルのスイッチで高周波フィルター(RFフィルター)のON−OFFが切り替えられます。

フィルターがONの時には、インジケーター上部に赤いランプが点灯します。

特徴と音質

ブルメスターの電源コンディショナーは、いくつかの独自の特徴を持っていますが、面白いのはコンディショナーの電源スイッチがOFFの状態でも電源が供給されることでしょう。フロントパネルにある電源スイッチで「コンディショナーをOFF」にしても、接続している機器には電源が供給されます。もちろん、機器は普通に動作します。この時電源コンディショナーは単なる電源タップとして働いているだけですが、電源タップとしての音質改善効果が若干発揮されます。

038の電源スイッチを入れると、交流のDC成分がカットされます。接続している機器を動作させたまま電源スイッチをON−OFFしてもノイズが生じることもなく、全く問題はありません。スイッチを入れた状態でインジケーターを切り替えると、交流中のDC成分が表示されます。ちなみに3号館での電源電圧は104V、DC成分は0でした。

DC成分がゼロでも電源コンディショナーのスイッチを入れると、全体に音がハッキリと澄んでくることがわかります。さらに高域のノイズ成分を除去するRFフィルターのスイッチをONにすると、さらに高域の透明感としなやかさが増加します。 

このコンディショナー特に良いと感じる所はエネルギー感が全く殺がれないことです。余計な濁り=背景ノイズだけが除去され、中高域の透明度が増加します。さらに中高域のしなやかさや艶も向上します。 効果の絶対量としてはそれほど大きくないのですが、変化の方向に「高級感」を感じます。僅かな変化なのですが、音楽好きにとっては抗しがたい方向への変化と感じました。

038を使うことでオーディオセットの電気臭さが抜けて、楽器本来の美しい響きが取り出せるようになります。浄水器を使うと水道水のカルキ臭さが抜けて、柔らかいミネラルウォーターに変化するような効果がありますが、イメージはかなり似ています。

他の電源タップやケーブルで感じる変化は、水そのものの味が変わったり、温度感が変わったり、あるいは水の勢いが変わったりするようなイメージですが、038はそういう水の本質?のようなものには影響せず、不純物だけを取り除き水をミネラルウォーターに変換するように働きます。他の電源タップやケーブルと併用しても効果は発揮されます。電源容量も2KWと非常に大きいので、一台あればすべての機器の電源を浄化できるでしょう。

¥800,000(税込)という価格は、決して安くありません。音質改善という方向から見るなら、AIRBOWの発売しているアクセサリーを上手く使えば、この価格の1/10以下で同等以上の音質改善も実現します。

テストをしている内に外せなくなってしまい、思わず一台購入してしまいました。

総合評価

ブルメスター社の製品は、コストパフォーマンスがお世辞にも良いとは言えないものばかりです。絶対的に高価なので、誰にでもお勧めできる製品ではありません。しかし、いい音を求めるのにお金に糸目は付けない、ブランド品という言葉の真の意味、あるいはその価値を感じ取れる人なら、ブルメスターを気に入っていただけると思います。

“大人の粋な無駄遣い”という言葉がふさわしい高級コンポでした。

2008年5月 清原 裕介