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2014年 B&W CM SeriesがS2へと進化しました。
2006年に発売されたCM1は仕上げの美しさと、上級モデル805S の一次フィルターのクロスオーバー・デザイン、ノーチラスチューブ・ローディング、ツィーターなどの高音質技術を惜しみなく採用した音質の素晴らしさで、このクラスで最も売れたコンパクトスピーカーの一つとなりました。
ベストセラーモデル CM1
2014年9月、B&Wはラインナップに搭載する技術の統一などを目的に、発売後間もない「CM10」を含めたCM Seriesのラインナップをすべてモデルチェンジしました。すでにその音質に定評のあるCM SeriesはS2に進化して、どのように変わったのでしょうか?簡単にご紹介したいと思います。
CM Seriesと CM S2 Seriesで「あまり変わっていない」のは仕上げとサイズです。新たにノーチラス型ツィーターが装着されたモデルを除き、CMとS2 Seriesのエンクロージャはほとんど変わりがありません。旧CM Seriesをすでにお使いのお客様も、S2 Seriesを追加購入していただいても、外観に関してはほとんど問題なく混在してお使いいただけると思います。
左から、CM8S2、CM9S2、ノーチラス型ツィーターが採用されたCM10S2
左から、CM1S2、CM5S2、ノーチラス型ツィーターが採用されたCM6S2
左から、2WayのCMCS2、3wayのCMC2S2
では逆にS2 Seriesで最も大きく変わったところはどこでしょう?
写真からお分かりになるように、新型では「ツィーター」が変わりました。従来のCM1のツィーターは振動板がむき出しで、誤って触れると簡単に凹んでしまったのですが、新型では開口部50%の鉄製保護グリルが装着されているので安心です。
※初期ロットに付属していた、ツィーター保護グリルを外すためのマグネットキャッチは、取り外す際の故障の原因となったため、現在は付属していません。
S2に採用された新型ツィーターのユニット口径は、旧モデルと同じ25mmで材質もアルミですが、振動板の形状と取り付け位置が変わっています。従来のモデルでは「平板」のアルミが使われていた振動板は、新型では中央部分が薄い「凹型」の振動板に変わっています。
外側が厚く、中央部にかけて徐々に薄くなる振動板の採用で、振動板の分割共振が低減し高域の歪みが小さくなっているのが上の画像からお分かりいただけるでしょうか?また、保護グリルの採用もあってユニットが少し前方に突き出した形で取り付けられ、ツィーターの指向性が改善しています。
CM10S2、CM6S2には、ツィーターを別にマウントするノーチラス方式が採用されました。
また、今回からCM S2 Seriesの上級モデルCM10S2、CM6S2でツィーターを本体キャビネットとは別にマウントするノーチラス方式が採用されました。
上左画像は、キャビネットに直接ツィーターが取り付けられる「通常モデル」とノーチラス方式が採用された「CM10S2、CM6S2」の違いです。通常モデルではツィーターから出た音がキャビネットの角で回折し歪み(赤い波紋)を生じていることが分かります。
上右画像は、高音の指向性です。ミドリ線がCM6S2、赤線がCM5S2で左から5/10/20kHzの周波数帯域の広がりです。ノーチラス方式を採用したCM6S2の指向性が緩やかなことが分かります。
ウーファは、取り付け方式が変わりました。従来むき出しだった「ねじ」が見えなくなり、カバーリングが装着されたことによりウーファーフレームの振動によるノイズの発生が抑えられています。また、フェイジングプラグは「アルミ製」が使われています。
すべてのモデルのネットワークには「ムンドルフ製最高級フィルムコンデンサー(M-Cap EVO Silver/Gold/Oil コンデンサ)」とヴァンデンハル社製内部配線ケーブルが使われています。また、細かい部分ですが、従来「金メッキ(ニッケルメッキの上に金メッキ)」が施されていた入力端子の金メッキが廃止され、ニッケルメッキとなっています。
CM S2 Seriesの音質
CM S2 Seriesは、marantzがハートンホテル南船場でディーラ向けに開催した試聴会で聞く事ができました。3号館に持ち込んでの試聴ではありませんので、その時に感じたことを簡単にお伝えします・
新たに作られた「ツィーター」により高音の細やかさとナチュラルさがアップしています。また、ツィーターに合わせて改良されたネットワークとウーファーの効果で低音も従来より低い部分まで再現され、膨らみや低音の遅れ(バスレフの癖)も改善しています。高域の細やかさと伸びやかさ、低域の改善は誰にでもすぐ分かると思います。同じソフトを新旧で聞き比べると、新型S2 Seriesでは透明感と明瞭感が向上して聞こえると思います。音の広がりも良くなっていると思います。
次に新たに付けられた「ツィーター保護グリル」の「あるなし」による音の違いを説明します。保護グリルを付けない状態では、高音は非常にスッキリと伸びて明瞭感も高く、音像がスピーカーから前に出てきますが前後方向への音の広がりがやや浅く、音場が横方向に伸びた形で展開します。グリルを付けると、高音の切れ味と明瞭度感が若干後退しますが、音像はスピーカーとスピーカーを結ぶ線上から後方に定位し、前後方向への広がりが深くなります。グリルなしでは横方向への広がりが大きく、前後が浅い「レンズ状」だった音場空間がグリルを装着すると「スピーカーを中心とする理想的な球状」に広がります。私は、CM S2 Seriesに限らず展示している802 Diamondも「保護グリルを装着した状態」で聞くのが好きです。この点をイベンターの「澤田さん(marantzの音決め責任者です)」に尋ねたところ、ほぼ同じ意見でした。ただし、澤田さんがB&W本社に招かれて試聴した際は、すべてのツィーターのグリルは「外されて」いたそうですから、B&Wは「グリルなし」をデフォルトだと考えているようです。
グリルのあるなしで確実に音が変わります。グリルを外すと鮮烈な音になりますから、Rock、アップテンポなJazzにマッチすると思います。グリルを付けると音の広がりが自然になりますから、交響曲やライブなどはグリルありがお薦めです。
新たに上級モデルと同じように「ツィーターが別筐体」で取り付けられたCM10S2とCM6S2の内、CM6S2をCM5S2と聞き比べることができました。CM6S2はCM5S2に比べ確かに高域がよりストレスなく広がります。けれど、個人的にはキャビネットのバッフルで高音が反射して「音が強くなる」CM5S2のパンチがある音を好むように思いました。ツィーター取り付け方法の善し悪しや好みは別にして、従来モデルのCM Seriesに近いのは通常モデルです。
ベストセラーモデルを早々に打ち切ってモデルチェンジするだけあって、CM S2モデルは確実に従来製品を超える高音質に仕上げられていました。価格が若干高くなりましたが、それだけの価値は十分感じていただけると思います。
2014年9月 逸品館代表 清原裕介
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