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Campfire Audio キャンプファイヤー オーディオ カナル型イヤホン Lyra ライラ 音質 比較 評価 レビュー 試聴 カナル型イヤホン 新製品試聴テスト

 Campfire Audio (キャンプファイヤーオーディオ) Lyra (ライラ) 音質試聴テスト

メーカー希望小売価格 オープン価格 ・ 実売価格 10万円以下(税込)

その他の音質テストはこちら

 

(この製品のお問い合わせ・お求めはこちらからどうぞ

2015年8月、プロフェッショナル音響機器やイヤホンの輸入代理業務を行っている「Mix Wave」から、2015年にオレゴン州ポートランドに設立されたイヤホン・ヘッドホンの製造メーカー「Campfire Audio」の新製品「Lyra」が発売されます。

8月20日の正式発売を前に、Mix Waveから試聴機が届けられましたので簡単にレポートしたいと思います。

Campfire Audio 「Lyra」の主な特長

Campfire Audioは、すでにイヤホンのリケーブルやポータブルアンプなどで定評のある「ALO audio」のCEOがイヤホンのブランドとして新たに立ち上げたメーカーです。Campfire Audioのイヤホンは、人間工学に基づいた耳にフィットする設計が重視され、強度が高く振動の吸収にも優れている高密度セラミックを筐体に用いるなど、最新の技術と最新の材料が惜しみなく投入されています。

筐体は強強度のセラミックで作られていますが、セラミックは金属と違って比重が比較的軽いのでLyraは、その見かけほどは重くありませんが、そのまま耳に入れただけではずり落ちます。イヤホンケーブルは、イヤホン側の約5cm程度の外皮にワイヤーが追加され、かなり自由に形状を変えられます。この部分を耳に合わせて変形させ耳かけ型としてその重さを支えて使うのですが、ワイヤーはとても曲げやすく、パッドも柔らかいのでフィッティングは上々でした。

この状態での遮音性はかなり高く、静かな部屋ではイヤホンを外さないと外の音はまったく聞こえません。

試聴環境

試聴には、i-pod Touch(ダイレクト出力)とそのi-pod TouchをAIRBOW HD-DAC1 SpecialにUSB接続(接続は付属品)した場合の2通りを比較しました。

Apple

iPod Touch(第5世代)

AIRBOW HD-DAC1 Special
売価 \180,000(税込)
この商品のお問い合わせはこちらから

AIRBOW'CDトランスポーター・D/Aコンバーター'DAC-1Cryo?Limited

試聴ソフト (CDからリッピングしたWAVファイルを再生)

Della
「せせらぎ」

Decca
「Your Best Tunes」

Grace Mahya
「Last Live at DUG」

noon
「500 Miles」

DENON
「新世界」

システムのメンテナンスにも使える、川の流れる音を収録した自然音のソフトです。

どこかで聞いたことがある。そんなクラシックを集めたソフトです。弦楽セレナードを聴きました。

試聴によく使います。録音が最高!もちろん演奏も素晴らしいです。

音質と演奏に優れる楽曲が集められたダイジェスト盤です。"500Miles/noon"を聞きました。

ワンポイントステレオマイクで録音された、良質なソフトです。納得の音質、納得の演奏。第2楽章を聞きました。

今回の試聴には、常に使う5曲に最新録音POPSの代表として、Lady Gaga「The Fame MONSTER」から「Telephone」を追加して試聴しました。

Campfire Audio Lyra メーカー希望小売価格 \ オープン 逸品館販売価格はこちらからお尋ねください。

筐体 セラミック/密閉型
ドライバー 8.5mm ベリリウム振動板
コネクター MMCX(金メッキ加工)
周波数特性 8Hz〜28kHz
インピーダンス 17Ω(1kHz)
音圧感度 110dB
ケーブル ALO Audio製/135cm
重量 11.8g(ケーブル含まず)

音質評価(i-pod Touch 直接出力)

せせらぎ
ケーブルに施された銀コートのせいだろうか?最高域に僅かにピークが感じられる。普段は聞こえない鳥の声が強調されて聞こえるが、水の音は滑らかで癖もなくナチュラル。高域はとても細かく、解像度と透明感に優れている。音が細かく、S/Nが高いのは、密閉された空間の中で耳とユニットが直結されるイヤホンの長所だが、Lyraで聞くと、どんな高性能なスピーカーよりも細かい音までハッキリ聞き取れる。
しばらく聞いていると、超高域の強調感は全く気にならなくなってしまった。
もちろん、スピーカーとは比べられないが、音の広がりにも優れていて、頭の中で音が鳴っている感じが小さい。イヤホンとしては圧迫感が小さく、音が心地よく広がった。

セレナード
怒濤のように音が押し寄せてくる。高価格帯のイヤホンにありがちな「高域過多、中域薄く、低域過多」の偏ったバランスではなく、スピーカーと変わらない良いバランスで音楽が鳴る。輸入元が自信を持って試聴機を送り込んでくるだけのことはある。
イヤホンなのでスピーカーで音楽を聞いているような「生演奏と同じ雰囲気感」は出てこないが、iPod Touchと組み合わせて聞いていても、最高級オーディオシステムでは聞こえないような細かい音まで聞き取ることができる。

驚くほど高性能だが、同時に驚くほどバランスが良い。これなら、長時間聞いていられる。

モナリザ
スピーカーではまったく聞こえなかった「会場の音」がハッキリ聞こえ、驚かされた。また、いつもは「会場のエコー(もちろん、それが電子エコーだとはわかっているのだが)」と紹介しているエコーが、Lyraで聞くと会場のものではなく「エフェクター」で作り出されたものだとハッキリとわかってしまう。

Lyraは密閉度が高く外の音が聞こえないので、ライブ演奏のソフトに録音されている「会場の音」がリアルすぎて、思わず部屋の中を見回してしまう。

気持ちが悪いくらいリアルだが、嫌な感じはない。音楽も楽しく聞ける。

500Miles
すべての音が明確に聞こえる。この解像度はスピーカーでは決して得られない。録音に使ったマイクの種類、マイクの配置、マイクと音源(ボーカルの口やピアノとマイクの関係)までもが見えるようだ。ちょっと行き過ぎているが、嫌ではない。
iPod Touchを繋いで聞いているだけなのに、解像度に関しては最高級ヘッドホン+最高級ヘッドホンアンプのそれを易々と超えている。
すでに解像度が高すぎて録音のすべてが露呈しているので、これ以上の解像度は不要だろう。後は、パワー感や躍動感などの「動的な部分」をいかにうまく醸し出すかが、使いこなしのポイントとなりそうだ。
新世界
低音に厚みがある。けれどそれは「身体を包み込む」ようなものではない。頭の中心で音が鳴っている感じはないが、身体(頭)の外側に音が広がるわけでもない。ライラは解像度が高すぎて、マイクそのものや録音機が発生する僅かな「ノイズ」までも再生してしまう。それに関して違和感はないのだが、本来「演奏にはない音」が演奏に入ってくると、ちょっと気になる。私の書いているコメントが「音楽的」ではなく「音質的」になっているのはそのためだ。
最初にせせらぎを聞いた時は、その高性能に驚いた。3曲目くらいまで、その高性能に胸が躍った。けれど、人間とは贅沢なもので、5曲目ともなると当初の驚きを忘れてしまう。逆にその高解像度が、あざとく感じ始めてきた。
テレフォン
iPod Touchの音は聞きやすいが、低音が膨らんで少し遅れる。これはどんなイヤホンを繋いでも大体そのように感じるのだが、Lyraは高性能すぎて、それが顕著に出るのだろうか、ガガの声は少し濁り伴奏に埋もれ気味で聞き取りにくい。低音は出すぎて、ちょっとごめんなさいという感じ。トーンコントロールやイコライザーがあるなら、少し低音を落としたいと思うほどだ。

音は細かく、分離も良いのだが、中低音に濁りが生じ、収束も少し遅い。それがiPod Touchが原因なのか、ライラの癖なのか、アンプを変えて確かめたいと思う。

AIRBOW'CDトランスポーター・D/Aコンバーター'DAC-1Cryo?Limited

音質評価(i-pod Touch 直接出力)

せせらぎ
i-Pod Touchダイレクト接続でもかなり音が細かかったが、HD-DAC1 Specialを使うとその音は一段と細かくなる。聞こえなかった遠くで鳴く鳥の声もハッキリ聞こえる。少し気になっていた、超高域のピーク感も消えた。

けれど、気持ちよく音楽を聞くには少し細かすぎる感じで、マイクが捉えた音をそのままモニターしているような雰囲気だ。

驚くほど音が良いが、これほどの音質が必要なのかどうか?判断に迷う。

セレナード
アンプを変えると弦楽器の数が2倍くらいに増えた。楽器の弦一本一本が鳴っている音、各奏者の弓使いまで見えるほ細かい音まで聞こえる。

マイクなしには決して聞けない、細やかな音の洪水。すこし「木を見て森を見ず」の感じがあるが、これまで聞いたイヤホンではもっとも音が細かい。

モナリザ
イントロのギターの独奏部で、人のささやく声が聞こえる。ライブだから当然なのだが、今までどんな高性能なスピーカーでも、高性能なイヤホンでもこの音は聞こえなかった。

ボーカルとエフェクターで作られたボーカルのエコーは完全に分離し、ギターの音もピックアップマイクそのものを音を聞いているように細かい。

ボーカルの唇に耳を寄せ、ギターの胴に直接耳を当てて聞いているような音。

音が良すぎて、音楽に集中しにくいほど細かい音まで聞こえる。

500Miles
このソフトでこれほど細やかなピアノの音を聞いたのは初めてだ。ボーカルは、マイクのエレメントの共振まで聞こえるように感じられる。

ここまで来ると、もはや音楽ではなく、「素材としての音」を直接聞かされているような気分になる。

もちろん、その尺度は人によって変わるのだが、音を聞くという興味は満たされるが、音楽の感動が伝わりにくくなる。

新世界
指揮台の上でシンフォニーを聞いたら、きっとこんな感じに聞こえるのだろう。CD(をリップしたWABファイル)にこんな細かい音が入っていたのかと驚かされる。最高級のハイレゾ、DSDですらこれまでイヤホンでここまで細かい音を聞けたことはない。

このヘッドホンに「音質」には、驚かされるばかりだ。

テレフォン
イントロのハープの弦の動きが見える。ボーカルにかけられた電子的な加工もすべてわかる。低音はすごく低いところから出る。イヤホンの低音とは思えない。

音の洪水、けれどそれはTVに思いっきり近づいて「液晶のドット」を見ているような感じかも知れない。素晴らしいが、聞こえすぎるのが欠点かもしれない。

総合評価
ライラの音は、驚くほど細かく、今まで聞いたイヤホンでトップクラスにまちがいありません。そしてこれほど細やかな音は、音源(ユニット)と鼓膜が密閉された空間で直結されている、カナル型のイヤホンでなければ聞こえないでしょう。けれど、その細やかさは、「生演奏の現場」を考えた場合、明らかに行き過ぎです。

レコーディングに携われば、わかりますが「マイクの捉える音の細かさ」は人間の聞き取れる範囲を遙かに超えています。家庭用ビデオカメラのマイクでさえ、その場では聞こえなかった音まで収録するのですから、業務用の高性能マイクの高感度は想像を絶するほどです。

レコーディングはそういうマイクの高性能を生かして「限界まで高音質」で行っても良いのですが、ソフト(CD)を作るときは「そこから必要な音だけを抜き出して、音楽を構成する作業(マスタリング)」が必要です。

Lyraは、その「マスタリング」を飛び越して、レコーディングされた音そのものを聞いている感じです。音に対する興味は満たされるのですが、音楽とは関連のない音までも聞こえすぎて、音楽が伝わりにくい気がしました。

けれど、細かい音が聞こえることが、音楽(現場)のすべてを知るために必要だと考えるのならば、Lyraは最高のイヤホンになるでしょう。
私はもうすこし曖昧さのある音が好きですが、Lyraでなければ聞こえない音があるのは事実。そして、その偏った高性能こそ、Lyraの魅力(魔力)なのでしょう。ベリリウムという地球上でもっとも軽く、強度が高く、適度な内部損失を持つ、スピーカーのユニットとして理想な材質を使ったユニットと、剛性が高く共振の少ないセラミックの筐体を組み合わせたことで、Lyraはもっとも高性能なイヤホンに仕上がったのでしょう。スピーカーでは決して聴く事のできない音を聞かせる、他に類のない面白い製品だと思いました。

2015年8月 逸品館代表 清原裕介

 

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