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CEC TL0 3.0 ベルトドライブCDトランスポーター Esoteric K-O1X詳細 音質テスト 比較試聴 レビュー 価格 販売TL0 3.0 ベルトドライブCDトランスポーター 音質比較テスト Esoteric K-01X CD/SACDプレーヤー 音質比較テスト CECから発売されている、ベルトドライブメカニズムを搭載したCDプレーヤーやCDトランスポーターは、アナログレコードのようなその滑らかさと広がり(響き)の豊かさがお客様に評価されて、低価格も相まってよく売れています。 しかし、そのフラッグシップモデル「TL0 3.0」は、CD専用のトランスポーターでありながら、メーカー希望小売価格が 1,800,000円(税別)と高額なためか、日本のユーザーには購入検討の俎上にさえ上らないようです。けれど、海外では、少量ながらもコンスタントに売れている人気モデルなのです。 逸品館でも、20年ほど前には初期モデル「TL0」を、試聴室のメインシステムとして使い、10台以上を販売していましたが、さすがに現時点で、200万円近い「CD専用トランスポーター」の需要があるとは思えず、最新モデル「TL0 3.0」は、しっかり聞く機会を逃していました。「TL0 3.0」は、発売からすでに1年近く経過していますが、海外ではコンスタントに売れていることもあって、どれくらいの音がするのか?興味を覚え、しっかりと聞いてみることにしました。 CEC TL0 3.0 メーカー希望小売 1,800,000円(税別) (メーカーホームページ)
TL3 3.0の概要 TL0 3.0には、TL3 3.0にも採用されている、CDとピックアップレンズの両方をベルトで駆動する「Wベルトドライブ方式が採用されています。さらに、CD駆動メカは、完全にフローティングされた状態になっています。CDをベルトで回転させ、メカニズムをフローティングするという考え方は、CECがアナログレコードプレーヤー・メーカーだった時代から引き継がれました。 ベルトドライブメカニズムと、デジタル回路を搭載する「本体」には、「専用別置き電源」から電源が供給されるため、電源トランスなどからの振動の影響も受けません。 CDを安定して回転させるための大型スタビライザー、本体を支えている3本のスパイク脚の受け皿(スパイクベース)、本体と電源ユニットを繋ぐ電源ケーブル、リモコン、AC電源ケーブルなどが付属します。 試聴テストの概要 今回は、CEC TL0 3.0とは好対照の「VRDSメカニズム」を搭載する、Esoteric「K-01X」を用意し、まず次の3パターンで比較試聴を行いました。
1.K-01Xで「ハイブリッド ディスク」の「SACDレイヤー」を再生。
2.K-01Xで「ハイブリッド ディスク」の「CDレイヤー」を再生。 → 同軸デジタル接続(AET SIN/DG75) → 3.TL0 3.0をトランスポーターとして、K-01XをDACとして使い、「ハイブリッド ディスク」の「CDレイヤー」を再生。 さらに、TL3 3.0のカスタムモデル「AIRBOW TL3 3.0 Analogue」をトランスポーターとして追加して、さらに2パターンの追加試聴を行いました。 → 同軸デジタル接続(AET SIN/DG75) → 4.TL3 3.0 Analogueをトランスポーター、K-01XをDACとして使い、「CD」を「44.1KHz」で再生。 → 同軸デジタル接続(AET SIN/DG75) → 5.TL3 3.0 Analogueをトランスポーター、K-01XをDACとして使い、「CD」を「88.2KHz」で再生。 以上の5つのパターンで4枚のCDを聞き比べました。 Esoteric K-01X メーカー希望小売 1,450,000円(税別) (メーカーホームページ)
AIRBOW TL3 3.0 Analogue 販売価格 330,000円(税別) (メーカーホームページ)
今回の比較試聴は、YouTube 逸品館チャンネルでもご覧いただけます。 ※YouTubeにアップロードしている「音」は、それぞれの出力信号を直接サンプリング(DA変換)したものです。 試聴環境(レビューを書くために聞いたシステム) TAD C2000 メーカー希望小売価格 2,300,000円(税別) TAD M2500 Mark2 メーカー希望小売価格 1,800,000円(税別) Focal Sopla No.2 メーカー希望小売価格 1,560,000円(ペア・税別) 試聴ソフト
SACD この曲は普段は、CDをコピーしたCD-Rでよく聞いています。それと比べ、SACDだから音が良いという印象は正直ありません。けれど、それはK-01XのSACDの音が悪いのではなく、35bitの高精細度DACの能力が生かされて、CDからでもSACD並の音が出せるのです。 CD 高域の伸びやかさと透明感がわずかに落ちたようですが、中域が太くなり全体としてのバランスはむしろ改善しています。 奏者が弓を動かす速度の緩急がSACDよりもよく伝わります。SACDに比べ細やかさは落ちていますが、演奏の雰囲気は逆に濃くなってきました。 奏者とホールの音響バランス、定位は変化していませんが、技巧よりも演奏そのものがより深く伝わるようななり方に変化しました。SACDとCDには功罪あって、甲乙はつけがたい感じです。 CD バイオリンの音に「粘り」がでました。解像度感(音の細やかさ)もK-01Xで聞いたSACD
を超えています。 奏者が体を揺らしながらバイオリンを奏でる様子、弓を動かす様子が目に見えるようです。特に弓を止める部分の「弱音部」の変化がぐっと大きくなり、弓が止まる瞬間がスローモーションに感じられます。
SACD Sopra No.2の癖もあるのでしょうが、低音が少し膨らみ気味です。シンバルの金気が出るのは良いのですが、少し「鳴りすぎ」です。ボーカルも子音が少し耳障りです。トランペットも高域が強く、ややうるさい感じです。 全体的に高域が強められ、一つずつの音がくっきりしすぎて、前に出る音と後ろに下がる音の区別が曖昧になっています。 CD リザ・フェルシュトマンのバイオリンでは、SACD/CDのさはそれほど大きくなく、CDがやや好印象だったのですが、この曲ではディスクの再生層をCDレイヤーに変えると、びっくりするくらい音が太くなり、JAZZらしくなりました。 SACDでは気になっていた低音の膨らみも、あまり気にならなくなり、高音の堅さや、高域よりのバランスが是正され、ライブの力強さが出てきました。 グレース・マーヤさんが、マイクに向かって口を動かす様子、日野輝正さんの力強いペットの音と彼が体の一部のようにペットを自在に操る様子がリアルに伝わります。 CD 低音の厚みがぐっと向上し、ウッドベースの存在感が増しました。ボーカルの力強さも全く別物です。シンバルの音も厚くなって、別物です。 すべての音に「ハイライト」を当てるようなK-01Xの鳴り方とは違い、主役の音と脇役の音が、明確に入れ替わります。アタックの正確さも大きく向上しているので、リズムの刻みが10倍以上細かくなりました。目の前で実際に楽器が鳴っているような、エネルギー感。はじけるようなリズム感、めくるめく色彩感。それぞれの楽器の音質変化、音量と音色の変化が別物のように大きくなって、音楽が怒濤のように押し寄せてきます。 CD クラシックのように連続する音の変化で音楽を表現するのではない、アタックが最重要とされる民族音楽に近いこのソフトは、再生がもっとも難しい部類に入ります。 K-01Xだけでなく、Sopraも含めた今のセットでは、この音楽を再演するために必要な「変化の速度」が足りません。 イントロの人の声の「速度(早さ)」がK-01X単体再生とは、まったく別物に変わりました。パーカッションも鳴り始めてから最大音量になるまでの「早さ」が全然違います。 イントロ部分の人の声の立ち上がりの早さは、TL0 3.0に負けていません。音の細やかさや立体感、楽器の音の分離感では、それほど大きな差が感じられません。少なくとも、価格差ほどは離れていません。 けれど、中低音の厚みの違いは明らかです。パーカッションのパワー感、ドラムの重量感、金管楽器のエネルギー感、やはり大差があります。
CD TL0 3.0の音に慣れてきたせいか、K-01Xの音が徐々に弱々しく感じられるようになってきました。音の広がりも不十分で、こぢんまりと鳴っている感じです。普段、K-01Xだけを聞いていると、全くそんな風には感じないだけに「慣れ」というのは、恐ろしいものだと今更ながら思いました。 良い音を一度でも聞いてしまえば、「元に戻れなくなる」。それが、オーディオの怖いところです。 CD ホールトーンの消えてしまうまでの時間が長くなりました。 金管楽器と弦楽器の位置関係も変化し、前後の奥行きと左右への広がりが出てきます。 「生演奏」と比較するなら、TL0
3.0が圧倒的に近いですが、輪郭がくっきりしていたK-01Xの音もオーディオ的にはおもしろかったと思います。 CD まず、出力をアップサンプリングせず、そのままの周波数で出力して聞きました。 TL0
3.0と同じコンサートを「やや後方の席」で聞いているようなイメージに変化していますが、K-01Xと違うのは「音の広がり(立体感)」です。楽器と楽器の位置関係や、ホールの壁から反射してくる音のイメージ、この豊かな立体感はK-01Xではあまり感じられなかったものです。 アップサンプリングを行うことで解像度が向上し、中低音の厚みも増しています。K-01Xの35bit
DACが発揮する「音の細やかさ」と、TL3 3.0
Analogueならではのベルトドライブらしい「滑らかさ」、「広がり感(立体感)」がうまく両立し、ホールのもっとも良い席で演奏を聴いてる雰囲気が見事に再現されました。金管楽器と木管楽器の音色の違い、楽器のサイズによる音の厚みの違いなど、生演奏と変わらぬスケール感で再現されます。楽器の入るタイミングも正確で、弱音部の静けさも最高。 総合評価 私はVRDSメカニズムには、二つの問題点があると感じています。 一つ目は、ターンテーブルの材質やスピンドルベアリングの癖である「金属的な高音の色づけ」と「高音の輪郭の強調感」です。 これが原因で、音がクッキリと前に出てきますが、前後方向への立体感や、楽器の距離感が不足するように感じられます。 二つ目は、トルクの大きなモーターを高速で成業することによる「デジタル・アナログ回路の息つき感」です。耳の良い友人は「VRDS」の音は「連続した点のように聞こえる」と言いますが、私にも音が出た後に一瞬そのエネルギーが失われ、またエネルギーが回復するような、断続的な音に聞こえることがあります。 また、モーターが電力を奪うのでしょう。鋭いはずの楽器のアタックの先端が少し丸くなる(音の立ち上がりが遅れる)のも不得意です。 けれど、CEC特許のベルトドライブ方式なら、小さな電力で重いスタビライザーを回転させられ、DACに余計な電源変動を与えません。最新の
35bitDACを搭載するK-01Xの「VRDSメカへの電源供給を停止(DACとしてのみ」使い、消費電力が小さく、電源変動が小さい「TL0
3.0」をトランスポーターとして追加することで、理想的なセパレート・CDプレーヤーが生まれました。その音質向上効果は、TL0
3.0のメーカー希望小売 180万円に見合うだけのものがあります。 今回の試聴をまとめましょう。 180万円は絶対的に高価ですが、それに見合う、それ以上の魅力をTL0 3.0には感じました。 2018年 2月 逸品館代表 清原裕介
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