確かに「音は大きく変わる」。それは間違いがありませんが、だが、その方向性について私はまったく賛同できないようです。
DSIXのように「簡単な回路」や「信号整形機能」を搭載しているオーディオケーブルは、他にもたくさんありますが、それらのほとんどの音質を私は好ましく思いません。
その理由を次のように考えています。ケーブル内で信号が歪んだり、波形が乱れたりすることを「回路設計者が知らないはずはない」のです。当然、そう言う「悪影響も考慮して音を作っている」はずです。少なくともAIRBOW製品の設計はそのようになっています。
ケーブルの選び方だけでも「音が変わる」ほど繊細な高級オーディオ製品の接続に、それらの内部回路よりも「遙かに簡単(低級)」で「オモチャのような電源」しか搭載していないような「そんな簡単な仕組みで音が良くなるなら我々オーディオ設計者は、複雑な回路や凝った電源」などを使ったりはしないのです、
逆説的に言うなら、ケーブルに付属できる程度の「回路」で音質が向上するなら「その機器は、高級オーディオ製品として失格」なのかも知れません。ご安心ください。高級オーディオ製は、このような「単純な仕組み」で音が良くなるほど出来は悪くありません。
今回は、10万円というケーブルの価格を考慮して高級モデルのP70VU+D70VUでテストを行いましたが、もっと廉価な機器やデジタル信号の揺らぎが大きいユニバーサルプレーヤーとAVアンプの接続に使ったなら、効果が出たのかも知れません。
しかし、それにしてももう少し投資すればDSIXとは比較にならないほど高性能な「ジッターキャンセラー、INFRANOISE(インフラノイズ) ABS−9999」が入手できるのです。私なら、迷わずそちらを選びます。