逸品館お薦めの放送局用CDプレーヤー EMT986が小変更を受け新発売されました。このバージョン変更は、メーカーがカタログに記載している「予告無き仕様変更」に該当するため、メーカー(輸入代理店)から公式に発表はされていません。
しかし、エレクトリのHPに掲載されている写真は、こっそり?新しいバージョンに入れ替えられていました。
下が、新しいバージョンの外観ですが、かなり大胆に変更されています。
この写真でも違いはおわかりいただけると思いますが、より詳しく解説しましょう。
●説明書(マニュアル)の変更
説明書のページが増え、内容がより分かりやすくなっています。
●フロント部分の変更 (初期モデル:下、後期モデル:上)
フロントパネルのデザインや材質、操作ボタンの配置に変更はありませんが、ラックに取り付ける「耳」の部分の意匠変更に伴い、パネルの幅が少し狭められています。
ラックマウント取付部分は、初期モデル(下)がアルミ製、後期モデルが鉄板(2枚が折重ねられている)製です。サイドパネルも後期モデルでは、一枚の鉄板が折り曲げられた「普通」の形状に改められています。前期モデルでは、この部分が中央(白い部分:アルミ製)とその上下(灰色の部分:鉄製)の3分割構造になっていました。生産性向上とコスト低減のため、変更されたのでしょう。後期モデルのサイド部分には、熱抜き穴が多数空けられています。
天板の構造も異なります。アルミ板と鉄板の組合せ構造から、幅広鉄板一枚に簡易化されています。天板の放熱口は大幅に増やされています。
●リア部分の変更 (初期モデル:下、後期モデル:上)
フロントパネル部と同様、端子の配置は同一です。サイド部分同様にパネル形状の簡易化が実施されています。さらいRCA出力端子の金メッキが廃止されています(黄色矢印部分:僅かな色の違いがおわかりいただけるでしょうか?)。
●底板の変更 (初期モデル:下、後期モデル:上)
後期モデルでは、底板にあった放熱口が無くなっています。
●内部構造の変更 (初期モデル:左、後期モデル:右)
聞き比べを行うために機器を持ち上げると、あまりの重量の違いに驚きました。実際にそれぞれを計測すると前期モデル「9.6Kg」に対し、後期モデルは「6.5Kg(使った秤が0.5Kg単位でしか計測できないので多少の誤差はあります)」しかありませんでした。これは驚きです!
そこで、逸品館ではめったに行わない「中身チェック」を実施しました。
結論を先にいうと「中身はほぼ完全に同じ」でした。前期モデルは、写真からも分かるように放熱口のあるパネルをアルミ材で組み合わせた構造で、電源、メカニズム、回路は底板ではなくその上の鉄板(黄色矢印)にマウントされています。
後期モデルでは、コの字型に折り曲げられた薄い鉄板に電源、メカニズム、回路がダイレクトにマウントされることによって、コストダウンと軽量化が達成されたようです。
さらに内部を詳しく解説します。
向かって右奥にある縦長の銀色金属ケースが電源です。電源はケースの形状が異なるだけで中身は同じです。
中央手前がハードディスクです。ケーブルの取り回しが変わっています。
手前左がCD読み取りメカニズムです。これも銀色のカバーの形状が変わっているだけで、メカニズム自体に変更はありません。
中央後方がメイン基板です。初期モデルでは黒い放熱板が右半分を覆っていますが、後期モデルでは銀色の放熱板が全体を覆っています。電源ケースの形状の変更(穴が増えている)も放熱板の大型化も、底板部分の放熱口の廃しによる、熱対策だと思われます。
左後方は、バランス出力回路などが搭載されたサブ基板ですが、この部分には変更はありませんでした。
以上のことから、重量と構造は大幅に変更されていますが、内部のパーツには手が加えられていないことが確認できました。ほっと一安心です。