■各種コンテンツ ■サービス・キャンペーン ■逸品館運営・外部ショップ ■Twitter・Facebook ■試聴機レンタルサービス ■オーディオ逸品館 MI事業部 オフィシャルサイト |
Esoteric(エソテリック) n-03t Grandioso K-1 CD/ネットワーク 音質 比較 試聴 MNP-i5 MBN-i7 AIRBOW レビュー 評価
Esoteric(エソテリック) N-O3T Grandioso(グランディオソ) K-1
AIRBOW MBN-i7、MNP-i5 Roon ネットワークプレーヤー・PCオーディオ 音質比較テスト 2018年2月15日、Esotericから発売が開始された「N-03T」は、ネットワークオーディオで言うところの「DMR(Digital Media Renderer)」をオーディオ用に特化したモデルです。しかし、DMRと言うと取っつきにくい印象を与えるためか、Esotericはこのモデルを「ネットワーク・トランスポーター」と名付けましたが、こういう「言い換え」は、わかりやすくて良いと思います。 ハイエンドオーディオマニアは高齢の方も多く、パソコンやネットワークと言う言葉を聞いただけでアレルギーをおこす方もいらっしゃいます。けれど、パソコンを使うオーディオの楽しみ方は、従来の「ディスク(CD/SACDやレコード)」に比べて、大変便利なだけではなく、音質も優れているのです。 では「N-03T」は「何者?」と言うことになりますが、これは「従来のCDトランスポーターの光ディスク」を「HDDやUSBメモリー」、あるいは「ネットワーク上のHDD(NAS)」に置き換えたものと説明できます。つまり、光ディスクは読み込めませんが、その代わりに本体に繋いだ「HDD」や「USBメモリー」、あるいはネットワーク上にある「HDD(NAS)」からデーター(デジタル音声データー)を読み取って、それをDACに送り込む装置なのです。N-03Tを使うことができれば、ディスクを卒業して(併用でももちろん構いません)、より便利で音の良いデジタルの世界へ進むことができます。 また、N-03Tにはリモコンが付属しませんが、それはN-03Tの操作を「専用アプリをダウンロードしたタブレットから行う」ためです。タブレットやスマホも触りたくないと言われればお手上げですが、スマホとアプリを使いこなすことさえできれば、パソコンには一切触れることなく、N-03Tを使い始めることができます。 必要なのは、タブレットへの「専用アプリのインストール」と、本体へ楽曲データーを記録した、HDD/USBメモリーを接続して、そのタブレットとN-03Tを「同一のネットワーク内」に接続することだけです。 N-03Tには、HDD/メモリー内の楽曲ファイルをライブラリー化するために必要なプログラムが搭載されていますから、HDD・メモリーを接続すれば自動的に記録された楽曲がファイリング(項目に分類)され、タブレットからの操作で自由自在にプレイバックできるようになります。つまり、パソコンが「嫌い!」と言う方でも最小限度の操作だけで、ダウンロードした音源やCDからリッピングした音楽をジュークボックスのように聞けるようになるのです。AIがもっと進化しない限り、現時点ではN-03よりも音楽データーを簡単に演奏(再生)する装置を作るのは、難しいと思います。 しかし、マニアにとってのポイントは「使い勝手」よりも「その音質」でしょう。そこで今回は、「N-03T」の高音質をご紹介するだけではなく、どうすればさらにより良い音を引き出せるか?をチェックしてみました。 Esoteric(エソテリック) N-03T メーカー希望小売 780,000円(税別) (メーカーホームページ)
Esoteric(エソテリック) Grandioso K-1 メーカー希望小売 2,300,000円(税別) (メーカーホームページ)
AIRBOW MBN-i7 販売価格 240,000円(税別) (メーカーホームページ) AIRBOW MNP-i5 Roon 販売価格 460,000円(税別) (メーカーホームページ)(詳細な説明動画はこちら)
試聴環境 N-03Tだけではなく、HDDやメモリーからデーターを読み込んで再生(あるいはDACにデーターを送る)装置は、接続するHDDやメモリーにより、音質が変化します。 そこで今回のテストでは、まずHDDとUSBメモリ−(audioquest Jitter Bugを併用)の音質を比較しました。HDDとUSBメモリーを比較したのは、USBメモリーがHDDよりも低電力消費でノイズ源となる「モーター」を持たないからです。ノイズが低く、電力消費が少ないUSBメモリーは、データー読み出し時の「N-03Tへの影響が小さい」ため、音が良いと考えました。 それなら、USBメモリーではなくSSDを使えば良いのでは?とお考えになると思いますが、N-03TにはSSDのデーターにアクセスするためのプログラム(ドライバー)が搭載されないため、N-03TではSSDは使えないのです。 次にネットワーク上にあるストレージ(NAS)の音質を比較しました。 LANという通信規格でアクセスする「NAS」なら、音質は変わらないように思えます。実際、音楽再生アプリ以外なら「NAS」の違いによって「データーが失われる(演算結果が変わる)」ということはあり得ません。けれど、不思議なことに「音声品質(音質)」は「NAS」によって、大きく変わるのです。 オーディオ用に「NAS」を準備するときは、データーを記録する装置だけではなく「音楽データーを配信(通信)」するための「アプリ(サーバーソフト)」も必要です。そして、またこの「サーバーソフト」も音質に大きく影響しているのです。今回の比較試聴ではサーバーソフトは「Aseet UPnP」に固定して、プラットフォーム(NAS本体)をMac OSを搭載する「Mac Book」とリアルタイムLinuxから作られた音楽専用OS MsHD-Beatを搭載するノートブックPC、AIRBOW「MBN-i7」そして、同様のMsHDを搭載する据え置き型PCのAIRBOW「MNP-i5」を用意して、音質を比較しています。 また、N-03Tは「あれば音がより良くなるのか?」どうかを確認するため、テストの最後にMBN-i7を「NAS」として使いN-03Tに「ネットワーク接続」して「Grandioso K1」にUSBで繋いだ場合と、N-03Tを使わずGrandioso K1にMBN-i7を直接USBで繋いだ場合の音質を比較しました。 YouTubeの動画の音声は、Grandioso K1から直接録っていますが、聞き比べのレポートを書くためには、TAD C600/M600/R1 Mark2という逸品館の最高音質システムにGrandioso K1を接続して音を出して、聞き比べています。そのため、YouTubeでの音質印象と、下記のレポートの内容が「一致」しないことがあるかも知れません。あらかじめご容赦下さい。 試聴ソフト 動画による音質比較 ・テスト概要の説明 ・「せせらぎ」による音質比較 ・「バッハ無伴奏バイオリンソナタ」による音質比較 ・「Mona Lisa」による音質比較
(CDを再生) 音の広がりや立体感は十分に再現される。体を包み込むようなこの雄大な音場は、Grandioso K1だけのもので、他のEsotericブランドのCD/SACDプレーヤーでは、ここまで音が広がらない。 CDを聞いているとは思えないほどきめ細やかで、情報量が多い。 目を閉じると鳥が楽しくさえずる様子などは実にリアルに再現されるが、最高域のエッジが少し甘く水流にねっとりしたわずかな粘りけを感じる事がある。 → → 音のきめ細やかさS/Nが向上し、空間の見通しが良くなる。 高域の丸みが取れて音の角が鋭くなり、最高音までスッキリと伸びるようになる。 せせらぎを取り巻く、空気感まで感じられるようになった。 → → HDDよりも音がさらにきめ細やかで情報量が多く、水量が増えて聞こえる。 音の広がりもさらに大きくなった。 → → USBメモリーに比べ高域に僅かなノイズが乗ったように感じられ、最高域の音が硬く突っ張ったようになる。 → → Mac Bookで感じた、高域のノイズ感が完全に消えてS/Nが向上。高域がスッキリと伸びて空間の見通しが改善する。 細かく立体的に音が広がる。 Mac Bookでは、HDD/USBメモリーをN-03Tの本体へ直接接続したときよりも音が悪くなったが、MBN-i7なら同等以上の音が聞ける。 → N-03Tを使わずに、MBN-i7を直接USBで接続する。再生アプリには、標準搭載の「HQ Player」を使い、CDからリップしたWAVデータを「176.4KHz/24bit」にアップサンプリングして聞いてみた。 音が圧倒的に細やかになり、SACDを上回る程の細やかな空気感までが再現されるようになった。 ネットワーク接続による「自在なプレイ」が必要なければ、Grandioso K1は、MBN-i7のUSB接続で十分な音質が実現する。 → → 「Roon Ready」がよていされている「N-03T」だが、現時点ではまだRoonに対応しないため、Roonを標準で搭載するAIRBOW MNP-i5を接続しても「Roon端末」として認識されず、仕方なく「Air Play」でN-03TとMNP-i5Roonを繋いで音を聞いてみた。 これが予想を超えるほどすごく良い音で、N-03T本体にUSBメモリーを接続した場合の音質を軽く超えてしまっておどろいた。 水の流れは粒子感は全く感じられないほどきめ細やかで滑らか。音場の広がりも大きく、実にリアルで臨場感あふれる音が出る。
(CDを再生) バイオリンの音は太く艶やかだが、僅かに粘っこい。演奏者までは見えないが、ホールの残響音も良く聞き取れ、S席で聞いている心地よい音場が実現する。 Grandioso K1はさすがの風格で、CDを再生してもとてもきめ細やか。従来のCDと隔世の情報量が実現する。また、K1の滑らかで広がりの豊かな音は、今までのEsotericブランドの音作りと明確な違いを感じさせる。 (SACDを再生) CDに比べて高域が伸びる。CDでやや気になっていた「ねっとりした感じや甘ったるい感じ」が消え、音質がすこし「辛口」になるが、総合的な情報量はCDとそれほど大きくは変わらない印象。 → → バイオリンの高域にしっかりとした「芯」がでて、演奏の抑揚も大きくなる。 → → HDDに比べて明かに細かい音が出てくる。空間の密度が上がり、空気感が濃くなる。 → → バイオリンの高次倍音に僅かなノイズが乗り、弦の音に小さな「髭」がついたように「高音がささくれて」感じられる。 → → Mac Bookで感じた高域のノイズ感が完全に消えて高域が伸び、バイオリンの弓が弦に「引っかかる感じ」まできちんと再現されるようになる。 S/Nが高くリアルで細やかな音は、CDよりも確実に良く、SACDに迫る感じ。バランスも自然。 → N-03TとのUSB接続よりも明らかに音が細かい。高域もさらに伸びる。 → → 音の出方がものすごく自然で、演奏の中にすっと入っていける。 この演奏では、この接続が一番良い。
(CDを再生) ギターの音、響きの余韻が甘い。ボーカルも子音が荒れず、艶っぽい。Grandioso K1の持つ、この官能的な色合いは、超高域が僅かに丸く甘くなることで得られている。いわば、ソフトフォーカスに仕上げた写真の味わいと同じだ。 K1の滑らかで粉っぽさを全く感じさせずS/Nにも優れた音は、今までの写実一点張りだったEsotericのサウンドと一線を画する仕上がりを生み出している。音ではなく音楽を「味わう」プレーヤーとして、K1の「落としどころ」は、なかなかのものだと思う。 (SACDを再生) リザ・フェルシュトマンのバッハで聞いた「バイオリンの印象」と同じように、ギターは高域が伸びるが、響きの余韻が短くなる。 → → 高域の透明感が向上し、ギターの胴の音と響きが分離して余韻が長くなる。 → → HDDよりも音が細やかでS/Nに優れ、空間の透明度が高い。 → → きめ細やかさが後退し、ギターの音があらっぽくなった。 → → Mac
Bookでは再現されなかった、ギターの細やかな響き、余韻の長さ、空気感が再現されるようになる。 → ギターの音に、太さと甘さが出た。奏者を取り巻く空気感や、演奏の「間合い」が良く出る。 → → 録音時の録音機が発生している「ノイズ」までハッキリと聞き取れるほど、圧倒的に解像度が高く音が細やか。 試聴後感想 N-03Tはすでに一度比較試聴を行っていますが、次世代のオーディオ機器として「ネットワークオーディオの高音質」に対する強い興味があり、改めてじっくりと聞くことにしました。 光ディスクメディアからネットワーク・PCオーディオへの移行で最も面倒なのが「PCの操作」ではないかと思います。この点、N-03Tは「PCレス」で快適な操作環境を実現します。 まず、面倒な「ネットワークへの接続」ですが、「WiFi機能を備えるルーター(4千円程度からあります)」を用意して、それにN-03Tを有線で接続し、リモート操作を行うためのタブレット(スマホでもOKです)をWiFiで繋げば準備完了です。 次に音楽データーを記録するための「HDDもしくはUSBメモリー」を用意します。メモリーへのCDからのデーターの書き込みや、ダウンロードしたハイレゾ音源の書き込みなどには、最低限のPCの知識は必要ですが、面倒なサーバー(NAS)の設定やサーバー用アプリのダウンロードを必要とする従来のPCオーディオと比べて、遙かに簡単だと思います。 もちろん、そうして「出てくる音」が「光ディスク」よりも悪いのであれば、無理してネットワークオーディオにデビューする必要はありませんが、すでにネットワークオーディオはディスクを再生するよりも「高音質」だと言うことが確認されています。 そこで、今回は「N-03をどういうメディアと組み合わせれば、最高音質が発揮されるか?」を調べることにました。 結果としては、据え置き型のAIRBOWミュージックPC「MNP-i5 Roon」をLAN接続した場合が最高音質でした。けれど、N-03Tはそういう特別な装置を使わなくても、本体にUSB接続できる一般的な外付けHDDや、USBメモリーで十分な音質を発揮することが確認できました。さらにN-03Tに備わるEsotericお得意の「クロック入力」を使えば、従来のEsoteric製品と同じような「オーディ的なアポローチ」でさらなる高音質を目指すことも難しくありません。N-03Tは、お薦めです。 初回のレポートでは、その「使い方と光ディスク、クロックジェネレーターの追加による音質比較」を行いました。今回のレポートでは、「接続するメディアによる音質比較」を行いました。次回のレポートでは「デジタル接続の方式(USB vs 同軸デジタル)と組み合わせるDAC/CDプレーヤー(K1 vs D600)による音質比較」を行っています。 2018年8月 逸品館代表 清原裕介
|
|