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リスニングルーム　逸品館３号館、リビングリスニングルーム

使用機器
スピーカー　　　ＰＭＣ　ＩＢ１Ｓ
アンプ　　　　　 ＡＩＲＢＯＷ　ＴＥＲＡ

使用ソフト

	NORAH JONES Come away with me Format:CD (PCM 44.1KHz/16Bit) 輸入盤　：　7243 5 32088 2 0 2002年録音	言わずと知れた、ノラジョーンズの大ヒットアルバム。 一部分でノラの声が歪んでいるし、録音は褒められたものではないが、音楽的に優れていることと、持っている方が多いことから、ジャズボーカルの「標準」として選んだ。
	NORIYUKI MAKIHARA The Concert Format:CD (PCM 44.1KHz/16Bit) ワーナー　：　WPCV 10181-2 2002年録音	槇原敬之の復帰コンサート、ライブアルバム。東京などへの出張イベントでも何度か使ったがｍａｒａｎｔｚ“恵比寿“試聴室で再生したときには、聴衆の一割が涙した。それくらい感動的な内容なのだが、なかなかその「良さ」が出せない、機器に対してとてもシビアなソフト。
	MIDORI Live at Carnegie hall Format:CD (PCM 44.1KHz/16Bit) 輸入盤　：　SK46742 1990年録音	日本の生んだ名バイオリニスト「五嶋みどり」が、まだ１０代の時にカーネギーホールで行ったライブのアルバム。 バイオリンとピアノ一台による小編成のクラシックなので、音の分析には向いている。もちろん、音楽的にも非常に素晴らしい仕上がりの一枚。
	MIDORI French violin sonatas Format:SACD(DSD Recording) 輸入盤　：　SS89699 2002年録音	カーネギーホールでのライブから１０年を経て「MIDORI」は、堂のように成長したのか？また、ＣＤからＳＡＣＤになってオーディオはどのように進化したのか？各機器のＣＤとＳＡＣＤの音質の比較に選んだ一枚。ピアニストはライブの時と同じロバート・マクドナルド。
	Duke Ellington & Count Basie First Time Format:SACD(Analogue Recording) SME　：　SRGS4567 1957年録音	ＪＡＺＺファンならこのアルバムを知らないはずはない！それくらい有名なただ一度行われた、デュークエリントン楽団とカウントベイシー楽団のセッション。 アナログマスターからＳＡＣＤ化されたアルバム。この曲は何度もレコードで聞いているので、アナログとの音の差が判断できる。

テストの方法
今回は、各機器の音質をより確実に確かめるために、ソフトをとっかえひっかえ聴くのではなく、アルバム一枚を通しでじっくり聴いています。
聴いている場所は、スピーカーの前の特等席であったり、あるいは少し離れた机で「試聴感想」を打ち込みながらであったり、普段音楽を聴いているのに近い状況で行いました。

ノラジョーンズ
温かみがあり、ニュアンスと色彩が豊か。思わず抱きしめたくなるほどノラのボーカルが色っぽく、艶っぽい。
バックのベースやピアノ、ギターはプレゼンスが非常に豊かで、色彩感が濃く、美しい。ポロポロと弾いている感じが実に良い。
伴奏もボーカルもタメがあり、ゆったりゆっくりと情緒たっぷりに聞こえてくる。
次の曲が待ち遠しいと感じるほど、素晴らしい表現力がある。
Ｘ−０３と同じ構成の製品から出ている音とは考えられないほど、自然で温かみのあるその音質は、ＡＩＲＢＯＷのサウンドに非常に近く、私が好きな音だ。

マキハラ
Ｘ−０３と比べて解像度（音の細やかさ）はさほど変わらないのに、バランスが良いためか「空気感」、「場の雰囲気の濃さ」が全然違って聞こえる。
槇原のボーカルの表現力もまったく違って感じられる。ノラでも同様に感じたが、ニュアンスに富み「ほんの少しの表情の変化」が克明に伝わってくる。
会場の広さ、ステージの大きさは、やはりさほど広いとは感じられないが、そういうある意味「どうでも良い部分」は、まったく気にならないで音楽に集中、演奏に引き込まれるほど「温かみ」と「深み」のある音がでてくる。Ｘ−０１/ＬＴＤのように「特有の癖」がないので、物足りなく感じられるかも知れないが、長く聴き続けるならＵＸ−３の方が「味がある」音が出せそうだ。
アットホームでヒューマンなサウンド。温かみがあり、情けが深い。槇原の人柄が音に出てくる。
方式とか、メーカーとか、そういう「邪念」を一切挟まずに「音楽を楽しめる」こういう音を私は薦めたい。

ミドリ（ＣＤ）
やはり、Ｘ−０３と違う。Ｘ−０３やウォーミングアップが進まないＸ−０１/ＬＴＤので聴く音楽が「どこか自動演奏のように単調に感じられる」ことがあるのに対し、ＵＸ−３は演奏や音に「人肌のぬくもり」が感じられる。そこで「人間が演奏している」ことが強く感じられる。
これは、音の出始めから〜消え入るまでの時間的な変化が「非常にリニア」だということを示すが、そのためにＵＸ−３は、類似の特性を持つＡＩＲＢＯＷのサウンドに非常に近く聞こえるのだろう。
演奏がシッカリと躍動し、また沈み込み、まるで「猫の目」のように多彩に変化するさまは、非常に見事！生演奏を彷彿とさせるのに十分だ。
旧３号館でＪＢＬ　Ｓ７５００を真空管のマルチアンプで鳴らしていた頃（ＣＤトランスポーターは"ＣＥＣ　ＴＬ−０"、ＤＡＣは"ＭＵＳＩＡＣＬ　ＦＩＤＥＬＩＴＹ　ＴＵＢＡＬＯＧ/改）に良く聞いた、このソフトの柔らかで表情の豊かな音を思い出した。

ミドリ（ＳＡＣＤ）
「ＤＳＤ」らしい柔和さ、暖かさと「ＳＡＣＤ」らしい高域の「自然な切れ込みの鋭さ」、「倍音の伸びやかさ」がきちんと両立し、バランスが取れているため「一切ストレス無く」音楽を聴くことが出来る。
ミドリの奏でるバイオリンの「弓」が「弦の上で跳ねる様」やグランドピアノの「低減の響き」が見事に再現される。これはＸ−０１/ＬＴＤでは、再現されなかった部分だ。
バイオリンやピアノの複雑な響きも「非常に自然に分離」し、「楽器の基音と倍音、共鳴音と、非倍音系のノイズ成分」などが見事に分離して聞き取れると同時に、見事にバランスしてまざっているのがわかる。これが、本当の名プレーヤーが出す「良い音」だと確信できる音の出方をする。
「機械の音（ＵＸ−３の音）」が良いのではなく、「名器（良い楽器）」とは、こういう「艶のある音」を出すのかと、納得させられるほど自然で深みのある音だ。
また、マキハラと同様に「ステージのサイズ」など「よけいなこと」は、まったく気にならない。それは、ＵＸ−３の音のバランスがほぼ完全に近く、自然な音（生の音）に非常に近い証拠でもある。音楽の躍動感、エネルギー感がまったく違って聞こえる！音楽が自在に躍動し、非常に楽しい。

ファーストタイム
中低域の厚みと弾力感、躍動感がすごく心地よい。高域の切れ込みや、金管楽器、シンバルの音の「輪郭」がやや甘いが、まあ許せる範囲。
「しっかりと中低域に重心がのった」アナログ的なバランスのサウンドだが、高域の透明度や見通しの良さでレコードに及ばない。
だが、その楽しさは高く評価できるし、ＪＡＺＺのビンテッジの時代の「豪華さ」や「楽しさ」は、十分に伝わってくる。
だが、ほぼ完璧と言ってあげたい「クラシック」の演奏に対し、ＪＡＺＺはドラムの皮が少ししめったように聞こえるし、金管楽器も「金属疲労」を起こしているように聞こえる。シンバルもやや安っぽい。直接音の強さ、弾けるようなエネルギー感が欲しい。でも、そこまでは満たされない。