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Focal Sopra No.1 フォーカル ソプラ 音質 比較 評価 レビュー 試聴
Sopra No.1の特長 ・ウーファーユニット 新設計された、Sopraのウーファー・ユニットは、Ariaから採用される「サンドイッチコーン」振動板と、彼らがSopraのために開発した「スピーカーの動的解析ソフト」によって生み出された、動的に安定したマグネット構造「NIC(Neutral Inductance Circuit)」が採用され、エッジにもとやはり動的に安定した構造の「TMD(Tuned Mass Damper)」が使われます。 ※TMDは、ユニットのエッジ部分(ゴム)に最適なマスダンパー(重り)を取り付けることでエッジ部の暴れを低減し(下右図)、ユニット動作時の歪みを低減するFocalの特許技術です。 この努力が実を結び、Sopraのウーファーはレスポンスと歪みが大きく改善されて、中高域の透明感と明瞭度や滑らかさが向上しています。 振動板の材質は「ベリリウム」、マグネットは「ネオジウム」でUtopiaから変更はありませんが、彼らが「IHL」と名付けた、ツィーター背後のチェンバー(音を消すための空間)の採用で、ツィーター振動板背後からの反射波と空気反発力が低減され、ツィーターユニットの歪みは、Utopiaよりも30%低減されています。 ※IHLは、ツィーターユニット背後の蓋を取り除き、消音チェンバー(消音室)の容量を飛躍的に拡大することにより、ツィーターユニットの動きを妨げないようにする(上図 )ことで、高音の歪みを軽減するFocalの特許技術です。 この新型ツィーターの搭載で、Sopraはより開放的で透明感の高い高域を実現しています。 ・外観 Focalらしい仕上げの良さが光ります。天板はガラス製です。バスレフポートは後側、入力はシングルワイヤーです。 グリルははめ込み式ですが、本体側に取り付け穴はありません。 付属するスタンドには、高さ調整(傾き調整)が可能なスパイクが備わります。スタンドベースはガラス製です。
試聴環境 今回の試聴は、3号館のリビングリスニングルーム(手前側の部屋)でSopla No.1を専用スタンドに乗せ、それをカーペットの上の直置きして行いました。 CDプレーヤーは、AIRBOW SA11S3 Ultimateを用意し、フロントUSBスロットに「audioquest Jitter Bug」を使って、CDから取り込んだ44.1kHz/16bitのWAVファイルを収録したUSBメモリを装着して音源とし、プリメインアンプにはAIRBOW PM11S3 Ultimateを使いました。 AIRBOW SA11S3 Ultimate 595,000円(税込) (現金でのお求めはこちら) (カードでのお求めはこちら) audioquest Jitter Bug メーカー希望小売価格 7,700円(税別) (現金でのお求めはこちら) (カードでのお求めはこちら) AIRBOW PM11S3 Ultimate 565,000円(税込) (現金でのお求めはこちら) (カードでのお求めはこちら)生産完了 試聴ソフト (CDからリッピングしたWAVファイルをUSBメモリーに収録し、audioquest Jitter Bugを併用して再生)
ピアノのウッドベースの低音もかなり低いところから出て、ブックセルフ型だから低音が足りないという不満はない。 解像度が高く、高性能なスピーカーだが、いたずらにそれを主張せず、Focalらしい色彩感の濃さや、雰囲気の豊かさが、高性能と両立している。 Focal Sopla No.1は、艶と色彩感の濃い、いかにもフランス的なお洒落な音でこの曲を鳴らす。そういう「ムード」に魅力がある。 料理に例えるなら、CE1はいたずらに素材を弄らずに良さを引き出す「和食」。Sopla No.1は、コッテリとしたソースで素材の良さを引き出す「フレンチ」の違いがある。 ブックシェルフ型らしいベースセクションが歯切れ良く、リズムが軽快で曲が弾む。 昼下がりのカフェテラスで、暖かい日の光を浴びているようなイメージで、この曲が鳴った。
低音のゴーンという重さは、やはり大型のフロア型スピーカーには届かないが、不足している感じはない。 音の輪郭が強調されて、音が近くに聞こえるような感じではなく、音の輪郭は柔らかいのに、音源が近くに感じられる。 強調感がないのに特徴的で、生よりも濃いのに不自然ではない。 シンセサイザーの音が、驚くほど「ゴージャス」に響く。アマンダ・マクブルームの「美空ひばりのような太い声」が魅力的にぐいぐい出てくる。 英語という言語を理解できなくても、歌手が何を伝えたいかが、音の変化から如実に伝わってくる。 けれど、アメリカ的なあっけらかんと底の浅い鳴り方ではなく、深みと滋味のある鳴り方をする。人生の酸いも甘いも噛み分けて、そして前向きになれるような音。そういう表現がいかにも、フランスらしい。 無理矢理の明るさではなく、心に力を与えるような鳴り方。こういう音は、人の心をどん底からでも引き上げてくれる。
左右のスピーカーを結ぶ線上の少し後から、バイオリンの音が細波(さざなみ)のように押し寄せ、身体を通り抜けて行く。 音楽を、あたかも刻々と姿を変える彫刻の様に表現する独特な魅力。シンフォニーだけが持つこの贅沢極まりない「立体感」。 Sopla No.1は、それを見事に再現する。 試聴後感想 ブックシェルフ型スピーカーの魅力を私に再確認させたのは、Magico Q-1です。そして、TAD CE1が続き、Focal Sopla No.1もそれと同じ能力を与えられていることが確認できました。Magico Q-1を筆頭とこの3モデルは、大型スピーカーよりも明らかにキャビネットの響きが少ないことによる「高い透明感」、さらに、反射する場所が少ないことによるクリアな立体感、音源の距離が近いことによる滲みのない定位感などに、大きな魅力が感じられます。 ブックシェルフ型スピーカーが持っている、共鳴体(ボディー)の小ささから実現する、見事な立体感(ストレスを感じさせない音の広がり)やユニット間の距離が近く、スピーカーの理想とされる「点音源」により近いことによる、見事な定位感(音像の引き締まり感)は、フロア型にはない魅力です。 フロア型スピーカーが21世紀に大きく進歩したように、ブックシェルフ型スピーカーも、「ユニットの振動板」がより軽く強度が高く共振の少ない材質に進化し、さらにフェライトよりも遙かに強力な磁力を持つネオジウムマグネットが発明されたことにより、ウーファーのレスポンスが飛躍的に改善されたことで、スコーカーやウーファーのような大型ユニットからも「ツィーター」に負けないような細やかな音が再現されるようになったこと、またユニットの口径を大きくしなくても従来よりも低い音が出せるようになったからです。もちろん、ツィーターもベリリウム振動板とネオジウムマグネットが実用化されたことで、より大型の振動板から高い音を発生することが可能となり、ウーファーとの繋がりが改善し、スピーカーの音質をきめ細かく、滑らかな物へと向上させました。この技術革新がブックシェルフ型スピーカーの音質を大きく改善したのです。 「どこに置いても違和感のない自然な音場(ストレスを感じない音の広がり)」が実現する。 スピーカーではなく空間から音が出て、「音像がホログラム」のように定位する。 このリアリティー溢れる「定位感」は、小型スピーカーならではの長所です。 それに加え、下手なフロア型スピーカーを超えるほどの低音の量感の再生と、細やかでありながらもまったく誇張感のない自然な音の出方など、Sopla No.1は「あなたを驚かせる魅力」に満ちあふれています。 日本の平均的なリスニングルーム最大10畳程度までの部屋であれば、フロア型よりもセッティングが遙かに容易で、低音が出るようになった「ブックシェルフ型スピーカー」が使いやすいと思います。 2016年7月 逸品館代表 清原裕介 |
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