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HARBETH ハーベス モニター 20.1 Monitor30.1 音質 評価 試聴 比較

ELAC エラック BS403 FS407 音質 試聴 比較 テスト レビュー

HARBETH  Monitor 30.1 ・ Monitor 20.1 ・ HL-P3ESR

Super HL5 ・ HL Compact7 ES3

Moniter Audio GX50 

音質比較テスト

2016年1月に行った、Super HL5 Plus、Compact7 ES-3、Monitor 20.1HG、P3ESR 音質比較/動画付きは、こちら

その他の音質テストはこちら

逸品館は日本国内で、Harbeth HL-CompactとHL-5最も多く販売した販売店の一つです。それは価格で上回る他メーカーの上級モデルを圧倒するほどの開放的で楽しい鳴り方をとても魅力的に感じたからです。当時の国産代表HiFiスピーカー DIATONEでは「静的に躍動しない音楽」がHARBETH HL-5とHL-Compactでは「本当に楽しく弾んで」聞けたことを今もハッキリ覚えています。

「オーディオは価格じゃない」と気づかせてくれたスピーカー、そして当時まだ本格的にオーディオの良さに目覚めていなかった私の目を開き、逸品館を「セレクト・オーディオショップ」としてスタートさせる決心をさせてくれたのがHARABETHなのです。

しかし、HARBETHの創設者であり初代からの設計者であった「ハーウッド氏」がお亡くなりになり、設計が後継者の「アラン・ショウ」に完全に移行して発売されたHL-Compactの後継機、HL-Compact7の音を聞いたとき私は愕然としました。あの明るく楽しいHARABETHが全く違うテイストの暗く重い音に変わっていたからです。明るい音から暗い音へ180度の変身を遂げたHL-Compact7を前にして、私は途方に暮れました。逸品館が大セールスを記録したHL-Compactの後継として当然注目が集まり、当然注文も殺到するHL-Compact7ですが、私はそれをHL-Compactの後継モデルに相応しいテイストと認められなかったからです。

その判断が正しいのかどうかは今も分かりませんが結局、ビジネスチャンスを捨てても私はそれを販売することはありませんでした。カラリと明るく元気な音が、HARBETHのテイストだと決めていたからです。

それから20年近くの年月が流れ、久しぶりに試聴したHARBETHの最新モデル「Monitor20.1」を聞いた時、私は再び大きな驚きを感じました。20.1から出た音は、私が切望していたHARBETHの音だったからです。しかし、同時に聞いたMonitor30.1(チェリー仕上げ)は、私が受け入れられない暗いテイストの音だったのです。

どっちが本当のHARBETHなのか?あるいは、HARBETHは2重人格なのか?未だに途方に暮れています。ジキルとハイドと言っても言い過ぎではないほど、モデルによってまったく異なるテイストを持つのが今のHARBETHです。

とりあえず最初に試聴したハイグロス・グレー仕上げのMonitor20.1とチェリー仕上げの30.1の仕上げによる「音の違い」を疑い、一旦試聴機を返却してからもう一度Monitor30.1のハイグロス・グレー仕上げとMonitor20.1を一緒に試聴機として再度拝借し、試聴を行いました。

・Monitor30.1と20.1のサイズの違い

・Monitor30.1と20.1のユニットの違い

写真では少しわかりにくいかも知れませんが、ウーファー・ツィーターともに違うものが使われています。

また、20.1のツィーター保護グリルには透明の丸い樹脂が取り付けられています。一種の音響レンズや反射体として働き、20.1の音を整えているのでしょう。
この反射体は、30.1には取り付けられていません。

・Monitor30.1と20.1のスピーカー端子

端子はどちらもシングルワイヤリングです。

・Monitor30.1専用スタンド

4本脚のスタンドが純正品として用意されています。

スタンドにはスタンドの天板と30.1底板の間に挟んで使う、黒いゴム状の緩衝材(J1 Project製品)が付属します。

Monitor30.1のバスレフポート部分の塗装が剥がれていました。これがクレームとして認められるのか?確認していませんが、業務機なので「音質には関係がないのでこれでOK」となる可能性があります。また付属のネットは「外さない」ことが基本で、外枠に沿って設けられている溝にしっかりはめ込まれています。お客様がスピーカーを傷付けずにネットを外すのはかなり難いと思います。

音質テスト

Monitor 30.1
形式 2Way・バスレフ方式
ユニット 高域:25mm/アルミドーム
低域:200mm
能率 85dB/1W/1m
定格入力 150W
周波数特性 50-20kHz
サイズ W277×H460×D285(mm)
重量 13.4Kg(1台)
希望小売価格 Montor 30.1/ハイグロスグレー
300,000円(1本・税別)
Montor 30.1/チェリー
270,000円(1本・税別)

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 AIRBOW SSS-2013 音源はCDをリップしたWAVEファイルをつかいました。

 AIRBOW AV8801 Special

 AIRBOW MM7055 Special 

Sistar Summer Special Album - Loving U (韓国盤)

POPSのマスタリングにデジタル編集が導入されてから、平均音圧レベルを上げる(音を大きくする競争)が勃発しました。それは同じソフトを比べたとき「音が大きい方が良く聞こえる」からです。また、ヘッドホンステレオのようなダイナミックレンジの小さい廉価な装置では「小さい音が聞こえにくい」という理由から、小さい音をより大きく、大きな音は小さくする「圧縮(コンプレッション)」が強くかけられ、音の強弱が驚くほど小さくなっています。店頭に設置されているテレビ画面が「明るすぎる」と画面に奥行きや深みがなくなるように、音楽も音の強弱がなく単調で深みや変化が薄れたものになってしまいます。

高級オーディオを持つ我々オーディオファイルは、同じCDでも高級な装置で聞けば「よりよい音が出る」と信じています。しかし、このようにダイナミックレンジが圧縮されたソフトは、高級オーディオで聞くとヘッドホンステレオで聞くよりも必ずしも良い音になりません。この問題を解決するための「ヒント」は色彩にあります。モノクロ映像では「同じ明るさの画像」は識別できませんが、カラー映像なら識別できます。音声の場合も「音量が同じでも音色に違い」がきちんと反映されていれば音が団子にならず、高級コンポで聞くとそれなりに分離感と広がりのあるよい音で音楽を楽しめるのです。

オーディオ機器のスペックには現れない「音色の再現性」は、ソフトを作る場合にも装置を選ぶ場合にも非常に重要です。例えば、男女混声合唱団で男性と女性が「同じ音の高さ」で歌っていても私達は男女の声の「質の違い」で我々はそれを識別・分離してハーモニーを感じられます。つまり、尾録音再生のプロセスでそれぞれの「音の個性(質感の違い)」をきちんと反映することが大切なのです。逆に言えば、高級オーディオ機器はパブリック・オーディオ機器では再現できない「音の個性」をきちんと再現するからこそ、録音の優れたディスクなら「聞き取れなかった音」が聞こえるようになるのです。

しかし、J-POPは桑田佳祐(サザンオールスターズ)やミスチルのようなトップミュージシャンのCDですら質感の違いが十分に反映されておらず、高級オーディオでは音がごちゃごちゃになり聞くに堪えない音になってしまいます。「売り」を意識して作られていない、「夏川りみ」や「元ちとせ」のような実力派歌手のCDは比較的素直に録音されていて高級オーディオで聞くとその声の素晴らしさに感動するだけに、J-POP全般の録音の悪さは残念に思います。

そんなJ-POPに比べてマイケル・ジャクソンやレディー・ガガのような世界的に著名なトップミュージシャン、あるいはK-POPでもトップミュージシャンのCDは、高級オーディオで聞いても納得できる「質の違いが反映されたサウンド」に仕上げられています。最近、K-POPを良く聞いているのは「音が良い」のも大きな理由です。そんなK-POPから今回は、sisterという女性4人グループのアルバムを選んでみました。sisterは、K-POP歌手の中でも飛ぶ抜けた歌唱力を持っています。

最近J-POPよりも遙かに元気が良く、音楽として良くできているのが「K-POP」です。高級コンポで聞くとまるでAMラジオのようなJ-POPが多いのに対し、K-POPは最先端のアメリカなどのPopsと同じように「裏側の小さい音」がきちんと残されています。ヘッドホンや普及価格帯のコンポーネントで聞くと、この「大きな音の裏側に隠れている小さい音」は聞こえてこないのですが、高級コンポで聞くとそれが「ハッキリと聞き取れ」ます。聞こえなかった音が聞こる。音楽の響きがより豊かになる。それが高級コンポの醍醐味ですが、そのためには「裏側の音」がしっかりソフトに入っていなければなりません。

私が気に入っていたHL-CompactやHL-5は、そういう「裏側の細かい音」を分離して実に美味しく再現してくれました。細かい音が空中に漂うように部屋を満たしてくれました。しかし、最初にテストしたMONITOR30.1は裏側の音をなんとか分離しますが、その音色の変化が非常に小さく(対比が小さく)主旋律と伴奏の位置関係が近くて音場が広がらず平面的です。また、スピーカーの正面近くで聞くと細かい音が聞こえますが、正面を外れたところで聞いたり、スピーカーから離れると途端に細かい音の再現性に不満が感じられます。

サランネットによるロスを疑い、不満の解消のためネットを外しましたが状況は変わりませんでした。高音は伸びず、低音は箱の中から外に出てきません。 こういう場合は、「スピーカーの固定」を疑います。スピーカーがシッカリ固定されていないと「高音の明瞭度が低下して低音がもやもやする」事があるからです。

話は少し変わりますが、私がオーディオの常識で一番大きく間違っていると思うのは「高音と低音の関係」です。雑誌や多くのオーディオマニアは低音に不満を感じたら、「低音を変えること」を考えます。しかし、高音の質感が変わらなければ、低音は改善しません。50Hzの正弦波をスピーカーで再生した場合、アンプを変えても音はほとんど変わりません。それは、アンプで低音の質感がほとんど変化しないからです。しかし、AIRBOW 波動ツィーターのような「高音発生機器を付ければ」低音は著しく変化します。それは低音楽器からは、低音だけが出ているのではないからです。私達が聞いている「低音(あるいは低い音階を奏でる楽器の音)」は、低音と高音が複合して生み出されるからです。

それをもう少し詳しく説明しましょう。アコースティックな低音楽器からは、低音と同時に高音(倍音)が発生します。その倍音によって発生する高音や、あるいは楽器を打撃するときに発生する衝撃音が低音を「包み込むように隈取る」と、私達には低音感が非常に強くなります。例えば構造が似ているティンパニーと和太鼓の音が違って聞こえるのは、太鼓の皮を柔らかいばちで叩くティンパニーには少ない高音が、太鼓の皮を硬いばちで叩く和太鼓には多いからです。つまり和太鼓の低音は、鋭い高音で隈取りされることで「衝撃的なパワー」を得ているのです。

「単体では、ふわふわして耳には聞こえない低音」でも、それを「高音や衝撃音」で包み込めば存在感が遙かに大きくなります。目に見えない空気を風船に詰めるとその存在感がハッキリと感じられるのと似ているかも知れません。とにかく低い周波数の音を「高周波の皮(スキン)」で包み込めば実在感が向上します。話が長くなりましたが、低音がスピーカーから離れないのは高音の輪郭感が不足しているからなのです。

Harbeth Monitor30.1純正のスタンドは、脚が細く見た目にも華奢でシッカリスピーカーを固定しそうにありません。さらにスタンドとスピーカーの間に「ゴム(J1の高分子インシュレーター)」を挟むように指示されているのも気になります。そこでサイズは合いませんが、脚を強度が高く音の良いAcoustic Design AD-35aに変えてみました。

ボーカルの明瞭度は改善し、低音も弾むようになりました。まだ、HL-5の開放感溢れる音には達していませんが、この音ならなんとか音楽を楽しめるかもしれません。 それでも3号館の環境で他のスピーカーと比べると、Moniter30.1は響きが少なく閉鎖的に聞こえます。今回はK-POPの1曲だけを評価しましたが、Jazz、Classicsも同じ印象でした。

Monitor 20.1
形式 2Way・密閉式
ユニット 高域:19mm/アルミドーム
低域:110mm
能率 83.5dB/1W/1m
定格 入力 50W
周波数特性 75-20kHz
サイズ W189×H306×D202(mm)
重量 6.3Kg(1台)
希望小売価格 320,000円(ペア・税別)
仕上げ グレー

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 AIRBOW SSS-2013 音源はCDをリップしたWAVEファイルをつかいました。

 AIRBOW AV8801 Special

 AIRBOW MM7055 Special 

Sistar Summer Special Album - Loving U (韓国盤)

Monitor20.1の鳴り方はMonitor30.1とは全く違うことが、一音出た瞬間から感じられます。ウーファーの口径が小さいにもかかわらずMonitor20.1の低音は、音階がハッキリして厚みがありMonitor30.1よりも量感が感じられます。ユニットの材質の影響かあるいはエンクロージャーの構造の影響なのか低音が少しスローに感じますが、リズムが走る曲でなければ問題ないと思います。
音が重なる部分の分離感も20.1は、30.1を大きく凌ぎます。すべての音が重苦しい霧のベールに包まれたように感じた30.1に比べ、20.1の音は鮮やかで晴れわたります。中でもボーカルの抜けは素晴らしく、音色も見事に描き分けられるので4人のコーラスが立体的に綺麗に分離します。この「声の分離感」に関して20.1は、30.1はもちろんのことこのクラスの水準を大きく超え、スピーカーの中でもトップクラスかも知れないと思えるほどの能力を持っています。試しに、このサイズで最もお気に入りのStirling Broadcast LS-3/5aと比べましたが、20.1はそれすら凌いでいました。このボーカルの抜けの良さ、伴奏との対比の鮮やかさこそ私が大好きだった「HARBETH」の魅力なのです。

楽器の音は全体的に角が少し丸いですが、音色の再現性に優れカラフルです。本当にこんな小さなスピーカーから音が出ているのか?と疑うくらい、スケールの豊かな音が出ます。また、情報量(音の数)もかなり豊富で、音が広がっても音が希薄になりません。これも、このクラスでは考えられない魅力です。わずかな欠点は、中低域のアタックが少し丸くて低音が止まるところで膨らむことです。ハードなロックやメタル系の音楽を聞くときにはそれが気になるかも知れませんが、それとトレードにこの楽しくカラフルな音が鳴るのですから、それを欠点と判断するのは、少し無理があるかも知れません。

ヒラリー・ハーン デビュー! バッハ:シャコンヌ

予想通り、いいえ予想以上に美しいバイオリンの音にほれぼれします。生の音よりは少しマイルドですが、それがうまくバイオリンの艶を濃くしています。エンクロージャーの僅かな響きが、ホールトーンの豊かさをうまく演出しています。
1弦から4弦にかけての基音、倍音の関係も正しく、バイオリンの音が自然に聞こえます。この音なら演奏を楽しめると同時に、録音をモニターするような聴き方をしてもまったく問題ありません。音場型でありながら、フォーカスも甘くない。20.1は、相反する二つの問題を上手く解決しています。すべての音がレガートで繋がっているような滑らかさが、20.1の持ち味です。

Violin Concertos (Hybr) (Ms)

弦楽器の鮮やかさと艶やかさが見事に再現されます。若干音が明るすぎるようにも感じますが、それは音楽をより大きく躍動し、楽しく聞かせる方向に働きます。また、Stirling Broadcast LS-3/5aにも驚かされまたが、20.1もこのサイズにかかわらず低音の不足感がまったく感じられません。
同じ大きさの2Wayスピーカーから同じような重厚な低音が出るのは、エンクロージャーのサイズやユニットの組み合わせに何か特別音が良くなる関係(関連性)があるのかも知れませんが、バイオリンとチェロ、コントラバスの楽譜上の対比をこれほどまでに再現できるスピーカーはそれほど多くはないはずです。20.1で聴くコンチェルトは、Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G)が鳴っているといわれても俄に納得しそうなほどリッチに鳴りました。
あえてStirling Broadcast LS-3/5aと20.1の違いを挙げるならば、20.1はより音が若々しく明るい分だけ「深み」に欠ける感があります。滑らかで明るい音ですが、少し表面的に感じることがあります。BGM的に聞き流しているととても具合が良いのですが、論評するために聞き込もうとすると薄いベールがかかったように音楽の底が見えなくなります。もし、クラシックの知的な一面までしっかりと把握したいとお考えなら、LS-3/5aをお薦めします。価格も近く構成も似ているHARBETHとStirling Broadcastの選択は、「どちらが良いか」では決まりません。「どちらが好きか」なら、すぐに決まると思います。あるいは、両方欲しくなるかも知れません。

 AIRBOW SA11S3 Ultimate

 AIRBOW PM11S3 Ultimate 

ゴールデン☆ベスト

50歳代以上の方なら「かまやつひろし」の名前はご存じだと思います。「我がよき友よ(吉田拓郎/作詞作曲)」が彼の有名なヒット曲です。「楽譜通りにきちんと歌う」ことばボーカルの条件なら、彼よりも上手に音程を外さず歌える素人は沢山いるかも知れません。しかし、ボーカルを「気持ちを伝える」と考えるなら、彼の実力派やはり飛び抜けて一流だと思います。独特の節回しでじんわりと味のあるムッシュのボーカルは、心に深く響きます。

今回この曲を聴いたのは、ほぼ友人のように懇意にしている私と同年代の逸品館のお客様が東京から来られていたときに「Monitor20.1」を鳴らしていたからです。趣味でギターの弾き語り演奏活動を行っている彼とは音楽の趣味も近いようで、「このスピーカーは何?良い音なってるねぇ。ボーカルが良いね!」という話から、録音の良いボーカルCDをかけてみようという流れになり、共に知るミュージシャン・楽曲として「20才の頃」を聞いてみることになったのです。

ここで少し「20才の頃」について説明しましょう。私が持っているのは、ムッシュかまやつの「フレグランス」というアルバムです。フレグランスは、ムッシュと実力派の女性ボーカリストのデュエットが7曲とムッシュの弾き語りが一曲納められています。その中から7曲目に収録されているムッシュと今井美樹さんのデュエット曲「20才の頃」を聞きました。私には今井美樹さんのボーカルは「表情がわりと平坦に感じられる」ように感じられ本当はもっと深みのある歌い方が好きなのですが、「20才の頃」は大好きなので話し合った結果それを聴くことにしたのです。

あまり好みでないと書いた今井美樹さんのボーカルを20.1で聞くと実にチャーミングで魅力的な声に鳴ります。普段気にとめない女性が、俄然魅力的に見えてくるようなイメージです。ムッシュの声も若々しく、この一曲を聴くためだけでも、Monitor20.1を購入する価値があると思えるほど魅力的な音でお洒落にデュエットが鳴りました。この音は本当に素晴らしかったです。

HL-P3ESR
形式 2Way・密閉式
ユニット 高域:19mm/アルミドーム
低域:110mm
能率 83.5dB/1W/1m
定格 入力 50W
周波数特性 75-20kHz
サイズ W189×H306×D202(mm)
重量 6.3Kg(1台)
希望小売価格 290,000円(ペア・税別)
仕上げ チェリー

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 AIRBOW SSS-2013 音源はCDをリップしたWAVEファイルをつかいました。

 AIRBOW AV8801 Special

 AIRBOW MM7055 Special 

Sistar Summer Special Album - Loving U (韓国盤)

Monitor20.1のグレー色はどインテリアにそぐわないと思い、Monitor20.1と「配線(Monitor20.1はOFC高品質線にアップグレードされています)」と「キャビネット」だけが違うHL-P3ESRをMonitor20.1の試聴後に「追加」で借りることにしました。

試聴機が届いてすぐに音を出し始めましたが、音の広がりと切れ味がMonitor20.1とはかなり違う印象だったのでとりあえずそのまま48時間以上音出しを続け、スピーカーが十分にこなれてから試聴記事を書くことにしましたが、じっくり鳴らした後でもMonitor20.1とHL-P3ESRの鳴り方は少し違います。

HL-P3ESRはサイズを超える低音と中音の厚みはMonitor20.1同様に魅力的ですが、高音の切れ味がMonitor20.1よりも後退しているためMonitor20.1よりも音が重く広がりも不足気味です。

楽器の音色やボーカルの表情はヨーロッパ製らしく豊かで音楽は楽しく鳴りますが音のエッジ(輪郭感)がMonitor20.1よりも丸く、それが原因で音の分離やアタックが弱い感じです。しかし、その差はMonitor30.1とMonitor20.1程は大きくありませんから、接続するアンプやケーブルで解決できるかも知れません。

全般的な印象としては高音がほどほどで中音に厚みが集中するHL-P3ESRは、Monitor20.1よりも「フルレンジスピーカー」に近くレンジを欲張らずある程度の帯域で音楽をうまく聞かせる印象でした。

ヒラリー・ハーン デビュー! バッハ:シャコンヌ

Monitor20.1と比べると弦の材質が少し柔らかくなった感じです。このソフトでは若きヒラリー・ハーンが一筆で描くような迷いのないバッハが魅力的なのですが、HL-P3ESRで聞くと少し女性的に柔らかくなって躍動感が小さくなります。それはそれで悪くないのですが、Monitor20.1よりも高域がソフトで演奏がこぢんまりする印象です。

Violin Concertos (Hybr) (Ms)

サイズ価格を考えると納得できるスケール感で交響曲がなります。各パートの分離感、全体のまとまりもよく、小さなスピーカーで交響曲を聴いていることを意識せずに音楽を楽しめました。しかし、それでもMonitor20.1よりは解像度感、広がり感で少し劣る印象があります。

同じサイズ価格帯のスピーカーで交響曲を聴くなら、Stirling Broadcast LS-3/5aの方が音質的に勝ると思います。

 AIRBOW SA11S3 Ultimate

 AIRBOW PM11S3 Ultimate 

ゴールデン☆ベスト

Monitor20.1との差が最も大きく感じられるのがこのソフトです。Monitor30.1で聞く「ムッシュ」の声は、明らかに老人の弱々しさでした。それが20.1だと青年のように若々しく元気になります。HL-P3ESRはちょうど年齢なりに聞こえますが、ムッシュの舌がもつれているように細部の発音が不明瞭になります。今井美樹さんのボーカルも、表情が希薄で魅力的ではありません。

Monitor20.1とHL-P3ESRがどうしてこれほど違うのか?そしてHARBETHという同一メーカーのスピーカーの音がどうしてこれほど違うのか?その理由は定かではありませんが、HARBETHの製品は「実際に聴いてから選ぶ」ことが大事だと思いました。

Super HL-5
形式 3Way・バスレフ式
ユニット 超高域:20mm/チタンドーム
高域:25mm/アルミドーム
低域:200mm
能率 86dB/1W/1m
定格 入力 150W
周波数特性 40-24kHz
サイズ W323×H635×D305(mm)
重量 16.8Kg(1台)
希望小売価格 生産完了
仕上げ チェリー

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HARBETH Super HL-5を見て感じたことは「安い」!なぜなら、Super HL-5よりも僅かに小さく、2Wayだった「オリジナル HL5」のメーカー希望小売価格が44万円(ペア)だったからです。25年以上前に発売されたHL5が3wayにアップグレードして、サイズも一回り大きくなっているのにかかわらず「値下がり」しているのは驚きです。

 

他メーカーの多くのスピーカーが当時の1.5倍〜2倍近い価格に値上がりしていることを考えれば、これは本当に凄いことだと思います。そして驚くべき事にHARBETHの最新モデルMonitor 30.1よりも安い!のです!!

 

 AIRBOW SSS-2013 音源はCDをリップしたWAVEファイルをつかいました。

 AIRBOW NA11S1 Ultimate

 AIRBOW PM11S3 Ultimate 

今回試聴しているHARBETH製品は、貸出試聴機手配の関係で同じ日に聞けたわけではありません。そういう意味で、音質評価には若干の「ブレ」があるかも知れません。HL5は、HL-P3ESRの試聴終了後約1週間ほど経過してから聞くことができました。ネットワークプレーヤーとアンプに違うものを使ったのは、スピーカーをセットして最初に繋いだ NA11S1 UltimateとPM11S3 Ultimateの音質が抜群にマッチしていたのでそのまま試聴を開始したからです。

Sistar Summer Special Album - Loving U (韓国盤)

Super HL5のサウンドは明るく響きがよく、聞いていると心が弾む「Monitor HL5」のテイストと同じです。箱が大きくなっている分、低音の量感は増えていますが「サイズの割に重量が軽い=エンクロージャーの剛性が低い」ため、またバスレフのポートがフロントにあるため低音は結構膨らみ、パーカッションの音に曇りと濁りが感じられます。

高音はスーパーツィーターの追加で「しゃりしゃり感」が少し増えています。また、25mmのツィーターと200mmのウーファーの繋がるポイントにも若干エネルギーの凹みを感じます。そのためSuper HL5は「音をモニターする」ような聴き方には適していません。どちらかと言えば、Musikelectronicに近い「箱の響き」を生かした音作りがされています。写真では日本輸入代理店が用意している純正の付属スタンドを使用せず、かなり小さい天板のスタンドのSuper HL5を乗せていますが、それはMonitor30.1と同じ形状でJ1のスペーサーも同じ物が付いている純正スタンドがSuper HL5の高音の切れ味を鈍らせ、低音をさらにブーミーにしてしまうからです。また、純正スタンドでは高音の減衰が大きすぎ、躍動感も削がれる傾向があります。

色々な「問題点」や「癖」はありますが、それを覆す「楽しさ」をSuper HL5は持っています。箱が生み出す響きが楽器や人間の声をより複雑に美しいものとして再現します。やや遅れる低音がうまく「演奏の立体感」を醸し出します。先に聞いて気に入ったMonitor20.1をそのまま広帯域に変えたようなサウンドですが、不思議と定位はコンパクトでボーカルの口が不要に大きくなりません。

やや曇り気味で湿った感じのある中域ですが、その柔らかさと弾力感が女性ボーカルに何とも言えない艶と色気を与えます。また、声に響きは付くのですが発音は不思議に明瞭です。楽器の倍音は、響きの良い高価な楽器を聞いているように美しく響きます。

とにかく聞いていると、体が動くような、心が弾むような楽しい音でK-POPが鳴りました。

ヒラリー・ハーン デビュー! バッハ:シャコンヌ

バイオリンの持つ「硬さ」と「柔らかさ」が絶妙な塩梅で再現されます。引っかかる音はハッキリしていますが硬すぎることはなく、中音の響きがとてもリッチです。高音が抜けきらないもどかしさはあるのですが、その僅かな「ベール感」が音楽の表現をソフトにして深みを出します。17才のヒラリーハンが、少し大人っぽく女性らしい優しく艶のある音で鳴ります。

音の広がり感も十分で、音量を下げても音が痩せたりしません。見た目のサイズよりは遙かにコンパクトに正しく音場が展開します。

切れ込みが鮮やかでビビッドなB&W系のモニタースピーカーとは、対照的な古典的でまろやかなサウンド。こういう「とろけるような弦の音」を多くのクラシックファンは望んでいるのだと思います。

Violin Concertos (Hybr) (Ms)

全体的な音の分離に若干「曇り」や「濁り」を感じますが、ウォームでリッチな響きの中から弦の音がスッキリと抜けてくる様子は「生のコンサート」を彷彿足させてくれます。

ヒラリー・ハーンのソロ演奏で感じたように弦の音にはコクと脂気があり、とろけるようなサウンドです。バイオリン、チェロ、コントラバスの音色の違いは若干小さいのですが、楽音はきちんと分離して聞こえます。低音が響き膨らむ影響で、コントラバスのパートがほんの少し「遅れて」いますが、それを立体感や広がりと感じられるので「ネガティブ」な印象はありません。むしろ、音量を下げても低音楽器のパートが痩せない「プラス」の方向に作用しています。

例えばMusikelectoronicでこの演奏を聴くと、もう少しリズムの刻みがハッキリと聞こえます。Starling Broadcastでこの演奏を聴くと、もう少し深みがあり芸術的な演奏に感じられます。HARBETH Super HL5で聞くこの演奏は、明るくフレッシュです。深みはそれほどありませんが、快活でむしろ脂気のある音とは楽のさっぱりした音楽再現性に好感を持ちます。音楽を明るく楽しく聞かせる能力を持っているSuper HL5なら、Monitor HL5の後継(買い換え)に相応しいと思います。

 AIRBOW SA11S3 Ultimate

 AIRBOW PM11S3 Ultimate 

ゴールデン☆ベスト

イントロのシンセドラムが「箱の弾力」で押し出されるように、ボッ、ボッと出てくるこの感じは「Monitor HL5」と同じです。懐かしい低音の出方に嬉しくなりました。ギターは弦の音の輝きが美しく、ピアノも高音の響きが非常に美しく響きます。この高音の美しさと色気もMonitor HL5を彷彿とさせます。

ムッシュの声は、ちょうどの年齢ですが年を重ねた深みと男の色気を感じます。今井美樹さんの声もさわやかですが、若干の太さと脂気があり適度にグラマラスで実に心地よい響きです。Monitor20.1できくこの曲も素晴らしかったのですが、Super HL5はそれよりもスケールが豊かでテンポが緩やかに聞こえます。

切々と語りかけるようなボーカル。ぽろぽろと美しく響くピアノ。ふわりと広がる空間の響き。緩やかに時間が流れる日だまりのような暖かく、明るい音でこの曲が聴けました。この「たおやか」と表現すべき、リッチな音こそ私がHARBETHに切望するそのものです。

Compact 7 ES3
形式 2Way・バスレフ式
ユニット 高域:25mm/アルミドーム
低域:200mm
能率 86dB/1W/1m
定格 入力 150W
周波数特性 46-20kHz
サイズ W273×H520×D315(mm)
重量 13.2Kg(1台)
希望小売価格 198,000円(1本・税別)
仕上げ チェリー

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※上の試聴の写真で「HL Compact7 ES3」の左右が逆(シールの位置が内側)になっています。
これは本来、Compact7のような左右対称構造のスピーカーに「右左」の指定がないため、テスト時にHarbethの左右の指定(シールの位置)に気づかず、
「Right/Left」を逆に置いたことに気づかず、試聴を行ったためです。後日、写真をご覧になられたお客様から、この「ミス」に付いて問合せを頂戴し、初めてCompact7 ES3に「Right/Left」の表示があることを知りました。
早速この件に関し、Harbeth(輸入代理店)に問合せを入れたところ、次のような解答がありました。
Harbethの製品は、元々特性をチェックして「ペアリング」を行って出荷していた。最初はペアリングを行ったマークとしてスピーカーに「A」、「B」のシールを貼り付けていたが、それがいつの間にか「Right」と「Left」の表示になった。

Compact7 ES3には「Right」と「Left」の表示があるが、特性上は同じなので、どちらをどちらにおいても問題はない。

と言うことで、スッキリしました。ご心配をお掛けして、申し訳ありませんでした。

使ったスタンド、設置場所などは Super HL-5に合わせて試聴しました。

 

ツィーターのグリルの裏側には、Monitor 20.1やP3ESRと同じように透明な薄い反射板?が貼り付けられています。入力は、シングルワイヤリング。木目が美しいキャビネットです。

 

 AIRBOW SSS-2013 音源はCDをリップしたWAVEファイルをつかいました。

 AIRBOW NA11S1 Ultimate

 AIRBOW PM11S3 Ultimate 

HARBETH製品試聴の締めくくりは、Compact7 ES3です。HL-5とのあまりの音に違いに驚かされたCompact7の最新モデルは、一体どんな音を聞かせてくれるのでしょうか?試聴はSuper HL5と同じ機材を使って行いました。

Sistar Summer Special Album - Loving U (韓国盤)

最初 Super HL5とほぼ同じ音量で試聴を開始したのですが、高音は伸びずその影響で低音もこもって箱の外に出てきません。すでに24時間以上連続で鳴らした後なので鳴らし込みが足りないわけではありません。しかし、記憶にある初代Compact7より音が明るいのはGood Newsです。また、高音の伸びやかさ、音の細やかさ、切れ味の鋭さなども改善しているように思います。少なくとも、Monitoer 30.1のような暗くて内向的な音ではありません。

高音は超高域はクッキリしていますが、4kHz付近の人間が最も強く「高音感」を感じる帯域のエネルギーが少し弱く感じます。その影響で声などの「厚み」がやや薄く感じます。また、4kHz付近のエネルギー感が不足するため、低音がぼやけて箱の中から外に出てきません。音が箱にまとわりついて、音があまり広がりません。これがCompact7 ES3の問題点ですが、この傾向は最新HARBETHモデル全体に通じる傾向でもあります。評価が高かったMonitor 20.1やSuper HL5は、この「癖」が小さく、相対的に「魅力」と感じる部分を強く感じたのだと思います。

Compact7 ES3の音は「もごもご」していますが、明るく楽しいものです。試しに音量を下げてみると、気になっていた高音部の音痩せと低音の膨らみが緩和してバランスの取れたそれなりによい音になりました。あまり広帯域でないソフトやシステムを使って、小音量で音楽を聞く目的ならCompact7 ES3はそれなりの魅力を発揮してくれると思います。しかし、価格差を考えるとSuper HL5が明らかにお薦めです。サイズが大きいですが、Compact7 ES3よりも鳴らしにくいということもありませんので、是非Super HL5をご検討頂ければと思います。

ヒラリー・ハーン デビュー! バッハ:シャコンヌ

全帯域に音が分散している電気楽器の音に比べ、楽器の倍音部分に音が集中しているアコースティック楽器の音の再生では、気になっていた「高音部の音痩せ」がほとんど目立ちません。バイオリン・ソロに限定するならば、Compact7 ES3は、なかなかスィートで滑らかな音を聞かせてくれます。ただし、このアルバムの特徴であるヒラリー・ハーンの一気呵成な音の魅力はそれほど強く出てきません。大人しく、耳障りな部分のない、ある意味では当たり障りのない良い音でバイオリンが鳴りました。こういう音を評価するファンもいらっしゃると思います。

Violin Concertos (Hybr) (Ms)

バイオリン・ソロではそれほど気になりませんでしたが、音数の多い(楽器の多い)交響曲では、音の分離の足りなさが気になってきます。コンサートマスターと伴奏の音は分離しているのですが、音色が近くそれぞれのパートが混じって聞こえます。

Super HL5にもその傾向は少し感じられたのですが、HL5の場合の分離の「曇り」や「濁り」は「生演奏感」を阻害するものではなく、むしろそういう「濁り」がよりCDを生演奏に近づけてくれる感覚でした。Compact7 ES3も音色が単調なつまらないスピーカーではありませんが、「曇り」や「濁り」が時としてやや過大に感じられ、コンサートホールやや後方の「高音が少し足りないと感じる座席」で演奏を聴いているようなイメージになります。

Compact7 ES3は決して悪い音ではなく、これよりも音が硬く分離が悪く、音楽がばらばらになってしまうHiFi系のスピーカーも決して少なくありませんから、他のモデルを聞かなければ十分満足できると思います。

 AIRBOW SA11S3 Ultimate

 AIRBOW PM11S3 Ultimate 

ゴールデン☆ベスト

この曲を聞いた印象もヒラリー・ハーン「バッハ・バイオリン協奏曲」を聞いたイメージと同じです。ボリュームを過大に上げなければCompact7 ES3が描き出す完成された世界観の中に破綻せず展開されます。そのまま聞き続けていれば、何の不満を感じることもなく、安心して音楽を聞いていられると思います。

しかし、それはCompact7 ES3という名前の通り「コンパクト」に小さくまとまった世界です。音の世界はもっと広く、音楽の感動はもっと大きいものです。自我の殻を破りそれを「知りたい」と感じたときには、是非Super HL5やMonitor20.1、あるいは他メーカーのスピーカーも聞いてみて下さい。

Compact7 ES3が描く独特な音の世界を再認識すると同時に、オーディオと音楽の世界にはさらに大きな広がりがあることに気づいて頂けると思います。

Monitor GX50
形式 2Way・バスレフ式
ユニット 高域:リボンツィーター
低域:140mm
能率 86dB/1W/1m
定格 入力 100W
周波数特性 55-60kHz
サイズ W170×H300×D263(mm)
重量 7.6Kg(1台)
希望小売価格 235,000円(ペア・税別)
生産完了
仕上げ ウォールナット
ピアノ・ブラック

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 AIRBOW SSS-2013 音源はCDをリップしたWAVEファイルをつかいました。

 AIRBOW AV8801 Special

 AIRBOW MM7055 Special 

HARBETHの3モデルを聞いた後に、Monitoraudioの同クラスの製品、Gold GX50を続けて試聴しました。

Sistar Summer Special Album - Loving U (韓国盤)

HL-P3ESRに続けて、Moniter Audio GX50(PIANO Black)を聞いてみました。高域がスッキリと伸びて、空が晴れたように明るく楽しい音になります。低音の量感はHL-P3ESRよりも少し少なく感じますが、それは低域が減ったのではなく高域が伸びた結果相対的に低域が薄くなって感じるだけです。ドラムの弾む感じやリズムの乗りは断然良くなります。

HL-P3ESRで聞くボーカルの厚みや密度感は特徴的でした。それに比べると中域は少し薄いのですが、ボーカルの躍動感リズムが突っ込んでくる楽しく弾ける感じは圧倒的にGX50がHL-P3ESRを上回ります。

音の分離感は標準的、左右への広がりも標準的ですが、前後方向の広がりは少し浅いようです。それは「高域が僅かに早すぎる」ためなので、高音のツッコミ感を緩和するため「サランネット」を装着することにしました。しかし、GX50には傷つきやすいリボンツィーターを保護するため「パンチングメタルの保護グリル」がツィーターそのものに装着されています。

ツィーター保護グリルの上に重ねてパンチングメタルのサランネットを付けるのは、抵抗があるかも知れません。しかし、ツィーターの音を金属板で拡散し音質を向上させるのは、JBLの蜂の巣ホーンや金羽根などに見られるように昔から経験的に行われてきたことなので、音質を悪くするだけとはかぎりません。とにかくグリルを装着すると、気になっていた(GX50の特徴的な)高域のツッコミ感が緩和され、前後方向への音の広がり感がグンと拡大しました。さらに高域の不自然さ(ある意味それはGX50の魅力ですが)が抑えられ、ボーカルと伴奏や各楽器の質感に感じていた違和感がほぼ解消しました。長時間音楽を試聴するなら、私は迷わずグリルを付けるでしょう。

グリルなしだと、少し高域がしゃくれた軽いけれどメリハリのある楽しい音。グリルを付けると、バランスの良い自然な音。GX50は、その2つの表情で音楽を楽しませてくれました。

ヒラリー・ハーン デビュー! バッハ:シャコンヌ

明るく明快で抜けの良いバイオリンの音。晴れ上がった初夏の空を連想させるようなさわやかで快活な音。これがヒラリー・ハーン、デビューアルバムの魅力です。

リボンツィーターの影響で高音は艶よりも解像度感が優先され、スッキリドライな感触です。響きがよいというよりは切れ味が優れる感じのGX50では、バイオリンは胴の音よりも弦の擦れる音がより強くなり、バイオリンのリンとした高音の力強さが魅力的な音になります。

この曲では最初からグリルは付けているので、音場も前後に広がります。

1弦〜4弦の音色の違いが少し小さいので音程の変化はきちんと出ますが、楽器の質感や楽曲の表情はやや淡泊です。これもリボンツィーターの特徴です。しかし、それはそれで「あり」の鳴り方だと思いますし、少なくともリボン型ツィーターを搭載しているスピーカーの中では高域の違和感がほとんどなく自然な鳴り方はベストに近いと思います。

Violin Concertos (Hybr) (Ms)

バッハらしいきっぱりとした鳴り方をします。この曲は様々な装置で何度となく聴いていますが、GX50から出てくる音は「ああ、こんな」という懐かしい感じがします。大きな癖がなく音楽(楽曲)を自然に鳴らしているからです。

通常これくらいの口径のウーファーとドーム型ツィーターを組み合わせるとどうしてもクロスオーバー付近でエネルギー感が削がれるような違和感を覚えるのですが、それを感じないのは搭載するリボン型ツィーターがしっかりと「ツィーターの低域下限」まで再生する能力を持っているからだと思います。リボン型ツィーターとやや口径の大きなウーファーは音色の繋がりにも優れています。

140mmと比較的大口径のウーファーをバスレフで使っているので中低音の不足感も感じられません。

全体的にはあっさりとした利発的な感じはありますが、それがこの曲にうまくマッチしています。明るく楽しく快活な音でバッハが鳴りました。

 AIRBOW SA11S3 Ultimate

 AIRBOW PM11S3 Ultimate 

ゴールデン☆ベスト

この曲もグリルを付けて聞きました。高音が繊細で明るく、楽しい音です。ぽろぽろ鳴るピアノは魅力的ですし、「ムッシュ」と「今井美樹」の「からみ」も上手く再現され、きちんとした大人のデュエット曲として洗練された曲であることが分かります。HL-P3ESRでは、そのまとまりが希薄でそれぞれがバラバラに演奏している感じだったことも分かります。

リボンツィーターの魅力は高音の「金属音」が美しいことです。ギターであったり、ピアノの打鍵感と響きであったり、そういう部分が実に気持ちよい澄んだ音で鳴ります。その反面、人間の声が平面的になりやすい、あるいは前後方向が薄くなりやすいなどの欠点もあるのですが、GX50のリボンツィーターにはほとんどその欠点がなく、リボンツィーターの美味しいところだけがうまく使われている感じです。同じリボン形状のツィーターを使うdalli(ダリ)よりも、リボン型の癖はうまく消されている感じでした。

Monitor20.1の艶やかなこの曲のなら仕方も魅力的でしたが、GX50のHiFiと艶やかさが適度に組み合わさったこの「新しい感じの音」も魅力的で甲乙付けがたいと感じました。Monitoraudio GX50、お薦めです。

試聴後感想

今回の試聴では、30.1はほとんど聞かず(聞く気にならず)Monitor 20.1で様々な音楽を一週間以上聞き続けました。結局「20才の頃」を超えるほどマッチした曲はなかったのですが、それでも20.1の高い実力を存分に楽しむことができました。しかし、Monitor 30.1で「20才の頃」を聞くと、とたんに人生を諦めた老人が歌っているような暗くて重い曲に聞こえます。これには友人の同じ意見で、こっちはダメだねぇ。ということになりました。もちろん、音には人それぞれ好みがあり私が「気に入らない」というのは曖昧な一つの指標に過ぎませんから、本当の善し悪しや好き嫌いは30.1を実際にお聞きになって判断して欲しいと思いますし、試聴の結果30.1は素晴らしいという事になれば、それでよいと思います。しかし、Monitor20.1と30.1は、同じメーカーの製品とは思えないほど音が違うのは事実です。また、同一メーカーでこれほど音や方向性の違う音の製品を作るメーカーを他に知りません。

後日談になりますが、あまりにもMonitor20.1を気に入ったので、このスピーカーを万人が家庭に持ち込みたいと考える色(例えばチェリー仕上げ)にできないのかと代理店に尋ねると「HARBETHはそういうことはしない」とその場ではねつけられました。さらに食い下がり、Monitor20.1は、すでに発売されているHL-P3ESRと完全に同じユニットとネットワーク、エンクロージャを採用するのであれば、20.1にしか使われていないOFCの内部配線をHL-P3ESに移植することはできないかと尋ねるとそれもその場で無理とはねつけられてしまいました。業務用スピーカーのみを作っているならそれも良いと思いますが、一般家庭用のスピーカーを作るメーカーなら、HARBETHファンのためにもそこは一考して欲しいと思うのです。頑固一徹もポリーシのためには悪くないのかも知れませんが、大好きだった人に袖にされたような、一縷の空しさが残りました。

でも、Monitor20.1で聞く「女性ボーカル/バラード」は超お薦めです!機会があれば、一度どこかで聞いてみて下さい。逸品館には展示しています。

2013年6月 逸品館代表 清原 裕介

 

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