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SENNHENSER ゼンハイザー HD800 HDVD800 HD700 HDVD600 HD650 HD598 IE800 IE80 ヘッドホン イヤホン 音質 比較 レビュー 価格 試聴 販売
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Apple iPod Touch(第5世代) |
AIRBOW
HD-DAC1 Special |
audioquest USB-DIAMOND 生産完了品 メーカー希望小売価格 \69,000(0.75m/税別) |
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試聴した音楽(CDからリップしたWAVファイルを試聴)
Grace
Mahya Last Live at DUG |
Time
Warp |
Super
Fly Box Emotion |
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ヘッドホン比較試聴
ヘッドホン・イヤホン製品取り扱い機種拡大に合わせて、最新モデルの「Sennheiser高級モデル」のヘッドホンとイヤホン。そしてヘッドホンアンプを試聴しました。今回はアンプに聞き慣れている(他のテストでも使った)AIRBOW HD-DAC1/SpecialとiPod Touchとの組み合わせでそれぞれのヘッドホン、イヤホンを試聴した後、さらにSennheiserヘッドホンアンプの最高級モデルHDVA600とHDVD800を使ってHD800を聞きました。イヤホンの試聴では、iPod Touchからの直接出力とAIRBOW HD-DAC1/Specialを使ったときの音の違いもチェックしました。
各モデルの採点は、愛用しているヘッドホン“Sennheiser HD25-1 U” とイヤホン”audio-technica ATH-CK90PRO MK2”をAIRBOW HD-DAC1 Specialと組み合わせて聞いたときの音を「10点」として相対的な感覚で採点していますが、今回はテスト時に基準器を聞かずに採点しましたので、点数は少し曖昧になっているかも知れません。それぞれの採点にあまり気を取られず、文字による評価も加味して音質の概要を感じ取って頂ければと思います。
Sennheiser HD700 実勢売価 9万円程度 (ご注文お問い合わせ) |
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Grace Mahya “Root 66” |
Time Warp “ASCENT” |
Super Fly “誕生” |
低音は分厚く、ベースは低く伸びます。シンバルとボーカルの分離感も抜群。ユニットと耳の間ある埃防止用の布(Sのロゴが書かれています)のせいか、ほんの少しだけ高音が曇って感じられます。低音の太さと比べるとトランペットなど楽器の最高域は少し細く感じられます。HD800は楽器の数が少ないとクリアで分離の良い音を奏でますが、楽器の数が多くなると、少し音場に濁りが出ます。 |
この曲は小さな音が入っているので、それを良く聞き取れるように音量を少しだけ上げました。 |
ルート66やアセントを聞いて感じたのと同じように、この曲でも高域に少しベールがかかって感じられます。 個人的にはもうすこし、スッキリと透明な音が好きですが、HD700の音は良いと思います。 |
試聴後感想 おすすめポイント |
Sennheiser HD800 実勢売価 16万円程度 (ご注文お問い合わせ) |
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Grace Mahya “Root 66” |
Time Warp “ASCENT” |
Super Fly “誕生” |
上級モデルHD800は、HD700とほとんど同じ音質のバランスを持っていますが、すべての音が一皮むけたようにクッキリして細やかです。HD700であまり聞き取れなかった細かい音、例えば「観客の様子(拍手など)」がはっきり聞きとれるようになりました。 しかし、高域の透明感、明瞭度感がアップしているのに比べて、中低域はHD700の量感とあまり変わらないので、HD700に比べHD800で聞く音楽は、少し重心が高く感じられます。 |
HD700でもかなり良かったのですが、HD800では冒頭のシンセサイザーの音の重なりが、驚くほど細やかに分離します。微小音量の再現性が大きくアップし、HD700では感じ取れなかった細やかな雰囲気が再現されます。 |
意外なことですが、HD800にはこの曲が一番マッチして感じられます。 これでもうすこし色気があれば文句はないのですが、音調は少しクールです。しかし、この印象はヘッドホンアンプや、ソースを変えれば変わるのかも知れません。今回はAIRBOW HD-DAC1/Specialだけではなく、純正の組み合わせであるSennheiser HDVA600、HDVD800との組み合わせもチェックするので参考になると思います。 |
試聴後感想
おすすめポイント |
Sennheiser HD598 実勢売価 3万円弱 (ご注文お問い合わせ) |
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Grace Mahya “Root 66” |
Time Warp “ASCENT” |
Super Fly “誕生” |
HD700よりもHD598の方が、高音の抜けが良く、空間の見通しにも優れているように感じます。 |
ヘッドホンは、スピーカーのようにキャビネットの響きが乗らないと言いましたが、HD598はTANNOYのスピーカーのようにうまい具合に楽器の響きが増長されています。ただしその響きが原因で、音の輪郭がややぼやける(輪郭が曖昧になって聞こえる)のですが、もともとヘッドホンで聞く音の輪郭はスピーカーよりはっきりしているので、ほとんど問題ありません。 |
この曲では、HD598の響きが裏目に出ます。ヘッドホンが発生する響きが楽器の付帯音となって、音を膨張させ、音が混ざる部分での分離感を阻害します。 音の数が少ない部分ではあまり気になりませんが、音が多くなると音が混ざって(塊になって)しまいます。高音の抜けも若干悪く、音に若干ベールがかかって鋭さが殺がれています。 |
試聴後感想 HD598の音質は、HD800/700とは明らかに方向性が違っています。HD800/700は「高音質」を目指して仕上げられ、組み合わせるアンプやプレーヤーなどとの組み合わせに大変敏感です。HD598はあえて高音質を狙うのではなく、様々な機器や音楽ジャンルへの適応性を高めるように作られているように感じます。絶対的な音質を高級品と比べると、若干聞き劣るかも知れませんが、音楽を楽しく聞くのが目的であれば、高級機よりも納得できるかも知れません。 お薦めポイント 穏やかで「相手」を選ばない、懐の広さ。 |
Sennheiser HD650 実勢売価 5万円弱 (ご注文お問い合わせ) |
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Grace Mahya “Root 66” |
Time Warp “ASCENT” |
Super Fly “誕生” |
HD650はHD598に比べ低音がしっかり出ます。中音も厚みを増すので、ボーカルの肉付きも良くなりました。HD598/HD700に比べて音が明るく明快な傾向を持ち、演奏の印象が明るくなりました。 HD650の中高音の抜けの良さ明瞭度の高さは上級モデルのHD800/700に迫るほど良好ですが、低音が良く出るのでバランスはHD650のほうが良い感じです。 |
価格が半分にも関わらず、HD650の音の細やかさ・明瞭度(解像度)感は、HD700とほとんど変わらないばかりか、高音の抜け感(スッキリした見通しの良さ)は、HD700を上回ります。 |
HD650は、HD598に比べると左右の分離感が向上しているように感じます。よけいな響きもHD598よりも減るので、音の分離感が向上しました。 |
試聴後感想 Sennheiserの高級機4機種を聞き比べましたが、価格ほど音質は離れていないという印象でした。個人的には性能と価格のバランスに最も優れた(つまりお買い得な)HD650がベストチョイスだと思います。 お薦めポイント |
Sennheiser IE80 実勢売価 4万円弱 (ご注文お問い合わせ) |
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Grace Mahya “Root 66” |
Time Warp “ASCENT” |
Super Fly “誕生” |
低音は量感が豊かでリズムも良く弾みますが、中高音は少し分離が悪くベースとボーカルの中音、トランペットとボーカルの高音が少し混ざっています。 |
イントロの低音がしっかりして、このソフトにはかなり低い低音が入っているのですが、IE80はそれをきちんと再現します。 |
低音にパンチが感じられますが、ボーカルの抜けは今ひとつです。楽器(伴奏)とボーカルの分離も少し甘く、音が綺麗に分離しません。 |
iPodとHD-DAC1の違い Ipod
Touchにダイレクトに繋いでも、音質はそれほど低下しません。逆に低音や中音にドライブ感が出て、音楽の躍動感は増して感じられるほどです。 お薦めのポイント 小さくデザインもお洒落で、さりげない高級感がある。 |
Sennheiser IE800 実勢売価 8万円程度 (ご注文お問い合わせ) |
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Grace Mahya “Root 66” |
Time Warp “ASCENT” |
Super Fly “誕生” |
IE800はIE80同様、低音が良く出ます。IE80に対して高音の抜けは圧倒的に良くなりました。 |
イントロの低音の立ち上がりが早く、高音もスッキリと伸びています。 |
低音に十分ウェイトが乗り、高域の抜けもそれほど悪くありませんが、伴奏に比べてボーカルの音量が小さく、歌詞が若干聴き取りにくく感じられます。 |
iPodとHD-DAC1の違い 試聴後感想 IE800はIE80に比べ、順当に高音質です。けれど少し上の価格帯のUnique Melody MarvericやWestone W60などと比べると、その音は少しあっさりして無機質に感じられます。IE800を料理に例えるなら、チェーンレストランの最高級の味。MarvericやW60は、オーナシェフの料理の味です。深みや、ちょっとしたプラスアルファの味付けに差を感じます。けれど、IE800の価格を納得されられるSennheiserらしいバランスの良い調和のとれた音はさすがです。 お薦めのポイント IE800の高音質を引き出すためには、それなりのアンプが必要です。 |
HDVD800 / HDVA600 音質評価
AIRBOW
HD-DAC1(+iPod
Touch)でそれぞれのヘッドホンを聞いた後、HD800のケーブルを「バランス接続専用品(CH800S)」に変更し、Sennheiserのヘッドホンアンプ「HDVA600」と「HDVD800」で聞いてみました。
HDVA600の試聴には、HD-DAC1 Specialに接続していたiPod
Touchをヘッドホン出力からアナログ接続し(ケーブルには、audioquest
MINI-3を使用)、しています。同じ接続でアンプをHDVD800に変更しましたが、音質に差が感じられなかったためHDVD800は、HDVA600に「USB入力」が装備されたモデルと考えられます(Sennheiserに確認しました)。そのため、HDVD800は「USB接続」による音質のみチェックしました。
HDVD800のUSBデジタル入力音質チェックには、iPod
Touchに取り込んだものと同一の「データー(音源ファイル)」を使い、PCはWindowsよりも音の良いMac
Bookを選び(Macなら、専用ドライバーのインストールが不要というのも便利)、接続ケーブルには「Wireworld
Vioret」を使いました。
今回のテストには音楽再生ソフトとして、フリーソフトの「Win
amp」を使っていますが、今までのテストではMacに使える音楽再生ソフトでは、「HQ
Player」が最も高音質だと感じています。
試聴結果
私が愛用しているヘッドホンは、Sennheiser HD25-1です。このモデルはスタジオ用モニターヘッドホンとして20年以上改良を加えながら生産が続けられています。HD25-1の良さは「必要な音」が「必要な精度」で聞き取れることです。個人的には、音楽を「聞く」目的なら、これ以上のヘッドホンはなくても良いとさえ感じます。けれど、音楽を「楽しむ」には、さらに「過剰な性能」が欲しくなります。
HD598、HD650の音質は、HD25-1の延長線上にあります。HD25-1との違いは、コンシューマ(家庭)ユースを念頭に、外観がスタイリッシュに、欠け心地が改善されていることです。HD25-1は耳に当たる部分が小さいため耳たぶがつぶされ、長時間の使用が苦痛に感じることがありますが、耳たぶの外側にパッドが当たるHD598/650ではそんな心配は無用です。けれどそのため、重量が少しかさみ夏場は装着時に暑さを感じます。
HD800/700は、バランス重視のHD598/650とは少し違って、さらに高度に音質を追求しているように感じます。けれど高音質の追求には功罪あって、すべての面でHD800/700がHD650/598を凌駕しているのではありません。これはすべてのオーディオ機器に共通することですが、音質を追求すると「音の善し悪し」があからさまに再現されるようになり、ほんの些細なことが不自然に感じられる(違和感を生じる)ようになります。また、このような高音質な製品は、組み合わせるアンプや再生する音楽ソースの品質を厳しく選ぶようになります。結果として高音質が行き過ぎると、音を聞いているのか?音楽を楽しんでいるのか?わからなくなってしまうのです。音は良いけれど、なんだか「情が薄い」と感じる時は要注意です。
以前からSONYの高音質製品には、そのような傾向を感じる事がありますが、HD800/700もAIRBOW
HD-DAC1/Specialとの組み合わせではそのように感じられました。AIRBOW HD-DAC1/Specialは、過去に様々なヘッドホンやイヤホンと組み合わせて聞いていますが、どちらかと言えばモニター的な高音質よりも音楽を聞いて楽しい音に仕上げています。今回、HD800/700と組み合わせで、それがかなり硬い音に聞こえたのは不思議です。単体でのテストだとAIRBOWよりもモニター的に感じられた、Sennheiserのヘッドホンアンプを組み合わせるとバランスは改善されたのはさらに不思議です。
実際の購入を考えた場合、HD700と800を比べるとHD700はHD650との差が感じられにくいのであまりお薦めできません。HD800はHD700よりも相当高いですが、その分音質の素晴らしさは格別なのでどうせならHD800を買った方が後悔しないと思います。
HD800を使ったHDVD800とHDVA600のテストでは、どちらのモデルも「Sennheiser純正ならではの音質」で音楽を楽しませてくれましたが、ヘッドホンアンプをアナログ接続のみで使うならば、HDVD800と回路が同一のHDVA600で十分です。けれどハイレゾやDSDなども聞いてみたいとお考えなら、USBデジタル接続でさらなる高音質を楽しませてくれるHDVD800を買わなければなりません。
Sennheiser製品以外にも選択肢を広げ、単体としてのヘッドホンアンプとしてHDVD800/HDVA600を評価すると、Luxmanなど「音の専門メーカー」から発売されているヘッドホンアンプはHDVD800/HDVA600に比べて汎用性が高く、どのようなヘッドホンや音楽と組み合わせても、間違いない音を聞かせてくれますから、御購入券当時にはなるべくご自身のヘッドホンを使ってアンプを聞き比べることをお薦めします。
今回のテストでのベストチョイスは、HD650とHD800+HDVD800のセットの2つです。けれど卓上でオーディオを楽しめるヘッドホンなら、スピーカーと違って場所を取らないし、簡単に音を変えて音楽を聴けるので、贅沢が許されるなら両方買って気分や音楽シーンに合わせて使い分けると楽しみがさらに広がると思います。
2015年3月 逸品館代表 清原裕介
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