AIRBOW
SSS-2013 → USBダイレクト入力
イントロの弦楽器の重厚な感じ、豊かな柔らかさがよく出ます。ヘイリーの声にも厚みがあって、彼女のふくよかなボディーが見えるようです。
この曲はスローで、一歩間違えば暗くなってしまいそうなのですが、H80の音は滑らかでしっとりしていながら以前のHEGELよりも暖かく明るく柔和で奥深いものに変化しています。宗教曲のように神経質すぎず、ポップスのように軽すぎず、ニュートラルよりもわずかに明るい理想的なバランスでこの曲を鳴らしました。
※本来音質を細かく書くべきこのリポートに音の細かさや、レンジ感、あるいは音の広がりなど「音質」に関する記述が少ないのは、H80の音がほぼ完全にバランスしているため、音楽そのもの(演奏そのもの)に集中してしまった結果です。ヘイリーが歌うこの曲も音を忘れさせる、非常に優れた完成度を持っています。
AIRBOW
SSS-2013 → Ratoc
RAL-2496UT1 → 同軸デジタル入力
イントロの弦の数が少し増えました。
USB入力ではホールのエコーとヘイリーの肉声が分離して聞き取れませんでしたが、RAL-2496UT1を使ったことで音質が明らかに改善し、ヘイリーの声そのものとエコーが聞き分けられるようになりました。また、声が消える部分のS/N感も向上し、空間の透明感が改善しています。
曲の流れが一段と緩やかになり、曲調がより厳かなものに変化しましたが、H80が本来持っている「音楽を聴くために良好なバランス」は、全く変わることがありませんでした。
AIRBOW
SSS-2013 → AIRBOW
SA11S3 Ultimate → RCAアナログ入力
音の細やかさ、レンジ感などは、それほど大きく変化しません。しかし、RAL-2496UT1で感じた「質の改善(精度の改善)」と同様の変化がさらに大きく訪れます。
ヘイリーの声が澄み切って美しく響き、弦の厳かな響きと完全に分離しながら、見事に混ざり合います。その気になれば「一台、一台の楽器の音を分離して聞き取れる」ほどの高い解像度が実現していますが、同時に「完璧な混ざり具合」も感じられます。演奏の質と深みが一段と向上し、生演奏を聴いているのと同じような感覚で音楽に引きこまれます。
H80の癖のないフラットバランスにドラマティックなパッションが加えられ、見事な演奏として引きだされました。
AIRBOW
SSS-2013 → AIRBOW
SA11S3 Ultimate → XLRバランス入力
中低音が豊かになります。レンジ感も広がり、ヘイリーを取り囲む空気感も濃くなりました。ケーブルのグレードが大きく違う(RCA:AIRBOW
MSU X Tension、XLR:Space&Time RSC
Master)ので、アンバランスとバランス入力を正しく比較できていないかも知れませんが、音質は明らかに改善しています。しかし、最初から高く評価してきたH80の音のバランス、とくに360度方向にムラなく広がる球形の音場がやや崩れた気がします。
ボーカルは一歩前に出ますが、低音も前に押し出してきて、前後方向の音の広がり(奥行)が小さくなりました。やや狭まった空間に、より多くの音が展開されるので、すこし窮屈な印象もあります。
機器により回路が異なるので実際には聞いてみなければその違いは確認できないのですが、一般的な傾向としてアンバランス接続とバランス接続を比較した場合、アンバランス接続は音の広がりが解放的で、また中高域のフォーカス感に優れる印象があります。バランス接続は、中低音の密度感や厚みに優れる印象があります。H80のアンバランス/バランス入力の音質の違いは、一般的な印象が当てはまりました。