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SANYO LP−Z3 と LP−Z2

EPSON EMP−TW200H の画質比較テスト

★LP-Z4,EMP-TW600,VP8600の画質テストはこちらです

2004年末の新製品・液晶プロジェクター/SANYO LP−Z3とEPSON EMP−TW200Hに加え、前回テストした旧モデル SANYO LP−Z2を交え、画像を比較しました。

SANYO LP−Z3と EPSON EMP−TW200Hの主な仕様

  SANYO LP-Z3 dreamio EMP-TW200H
方式 3原色液晶シャッタ式投影方式 3原色液晶シャッタ式投影方式
液晶パネル 0.7型ワイドポリシリコンTFT 0.7型ワイドポリシリコンTFT
画素数 1280×720ドット×3枚 1280×720ドット×3枚
投写レンズ 手動ズーム(1〜1.3倍)
f=21.5〜27.7mm、F2.04〜F2.54
1.5倍電動ズームフォーカスレンズ
F:2.1 - 2.8 f:21.4 - 31.7mm
光源 135W UHEランプ 200W UHEランプ
輝度 800lm(最大値) 1500lm(最大値)
コントラスト比 2000:1 1000:1
色再現性 10億7000万色 1677万色フルカラー
騒音 23dB〜29dB(シアターモード〜ブライトモード時) 28dB(ナチュラル、sRGB、シアターモード時)
映像入力
端子
3RCA(コンポーネント)端子×1系統、D4端子×1系統、
HDMI端子×1系統、
1RCA(コンポジット)端子×1系統、S端子×1系統
3RCA(コンポーネント)端子×1系統、D端子×1系統、
ミニD-sub15ピン端子×1系統、
1RCA(コンポジット)端子×1系統、S端子×1系統
制御入出力端子 サービスポート;ミニDIN8ピン×1(サービスマン保守用)、
 主電源スイッチ(ON/OFF、シーソースイッチ)装備
USB(タイプB)端子×1系統、RS-232C×1系統、
トリガーアウト端子×1系統
動作温度 5-35℃(非結露) 5-35℃(非結露)
電源 AC100V(±10%)、50/60Hz AC100V-120V/200V-240V±10% 50/60Hz
消費電力 210W(最大時)/2.8W(スタンバイ時) 270W(最大時)/0.3W(スタンバイ時)
外形寸法 359mm(W) x273.5mm(D) x116.7mm(H) 440mm(W) x 320mm(D) x 114mm(H)
質量 約4.1kg 約5.3kg
 

使用機器

スクリーン

OS AM−H090B(ピュアマット2) 

DVDプレーヤー

MARANTZ DV9500 プログレッシブ接続

前回のテストでは素の画質を比べるため、画像設定は「工場出荷値」にしていましたが、今回のテストでは、現実的な画質差を見るため「画像調整」を行っています。

※後日、テスト中の画質に疑問を感じたため、LP−Z3は「MEDIXの調整ディスク」に頼らず「清原が目視調整」を行った画像を下段に追加しました。

各プロジェクターの画質設定値

LP−Z2

シアターモード

コントラスト +7

明るさ ±0

色の濃さ +10

色合い −1

色温度 中

その他変更無し

LP−Z3

ナチュラルモード

コントラスト +1

明るさ ±0

色の濃さ +10

色合い +1

色温度 ユーザー 赤+1/緑±0/青−5

その他変更無し

EMP−TW200H

シアターモード

明るさ ±0

色の濃さ +7

色合い +1

その他変更無し

LP-Z3(再調整)の画質設定値(画像は下段)

LP−Z3

クリエイティブシネマモード

コントラスト ±0

明るさ ±0

色の濃さ +1

色合い ±0

色温度 低1 赤+5/緑±0/青−2

その他変更無し

LP−Z2 LP−Z3 EMP−TW200H
   

LP−Z2と比べると、LP−Z3 TW200Hともに「明るく」・「鮮やか」なのがわかります。カラーバーでの比較では、色合いの差がLP−Z2とLP−Z3で大きく写っていますが、実際の見た目ではこれほど大きな差はありません。しかし、「色抜け=色の鮮やかさ」の差は、Z2とZ3では画像同様、観てすぐにわかるほどの差があります。
LP−Z3とTW200Hの「白い部分」に差がありますが、色温度をユーザー設定(上記の数値、撮影時は「中」)にすることで解決しました。
LP−Z3とTW200Hでは、「赤」と「青」のバーの鮮やかさでLP−Z3がより鮮やかですが、これが画像回路の改良によるものだと思われます。

追加画像では「モード」を工場出荷設定の「ナチュラル」から「クリエイティブシネマ」に切り替えたため、色のコントラスト(色抜け・鮮やかさ)が改善されているのがわかります。
ホワイトバランスは、やや青色にシフトしていますが、若干カメラの癖によりシフトの量がオーバーに写った感じです。

   

LP−Z2のグレースケールは、階調が十分なものの最も白い部分はやや飛び気味です。スケールが明るくなると「青緑」になっています。このように「明るい方向」で「色彩が緑や青にシフトする」のは、明る差を欲張った液晶プロジェクターにありがちな問題です。
LP−Z3とTW200Hは、グレースケールでわかるように「階調」がとてもきちんと表現され、色合いも偏っていません。さすが新製品です。LP−Z3のグレースケールが「やや青」にシフトしていますが、上記の色温度の設定で解決します。
LP−Z3とTW200Hでは、左から3本目のバーがLP−Z3では再現されるのに対しTW200Hではほとんど再現されません。暗部の再現性ではLP−Z3が勝ります。
明るい方向(右側のバー)も差はわずかですが、LP−Z3の方が「正確にキッチリ再現」されているようです。
モードの切り替えにより「暗部のコントラストの再現性」が向上しました。

   

まず、LP−Z2とLP−Z3をくらべましょう。Z3では、色合いの出方が正確になっています。Z2ではグレースケールの白側が飛びましたが、花びらの一番明るい部分の描写が不完全です。(白飛びを起こしています)それに対してLP−Z3の「階調」は、非常に正確で端正です。
LP−Z3とTW200Hの比較では、LP−Z3の色温度の設定が不十分だったため、色合いに大きな差が生じてしまいました。(その後の調整で解決)
では、TW200Hの色温度が正解かというと、それも少し赤が強いようです。花びらの色の出方としては美しいですが、桜の花びらはこんなにピンクではありません。
明るい部分の描写は互角ですが、暗い部分(花の根本で茎が集中しているところ)の描写はLP−Z3が勝っています。これはグレースケールでのテストの結果と一致します。
モードの変更で「細部の再現性」が向上しました。花びらや萼の色合いなども、生き生きと感じられます。

   

LP−Z2では、全体に画面が青緑がかっていますが、全体的な画質としては3台とも大きな違いは見られないようですが、強いて言えば「文字の白さ」と「文字の浮き上がり感」に差がみられます。奥行き感はLP−Z2でも良くでています。
赤がやや強調された感じですが、色の鮮やかさとクッキリ感が改善しています。

   

LP−Z2とLP−Z3の比較では、色合いこそ違いますが「画面の奥行き感」などLP−Z2でも十分なことがわかります。ただ全般的にLP−Z2は「輪郭が強調され気味」で「クッキリ感」が他の2機種よりもずいぶんと強めです。
LP−Z3とTW200Hは、この場面では「色合い」の差はほとんどみられません。主役の「メル・ギブソン」の衣装の表現がLP−Z3は、僅かに勝りますが大きな差ではありません。
カラーバーでの結果と同じように、LP−Z3はTW200Hよりも「コントラスト感」が全体的に強めで鮮やかさに勝る「TV的」な絵作りです。
つぶれていた「暗部の階調」が再現されてますが、気になる「黒浮き」は生じていません。立体感も改善されています。

   

この絵をみれば、からバランスなどの絵作りが3種3様なのがよく分かります。それぞれ一長一短があります。
カラーバランスや階調表現が改善され「見た目に近い」画質に変化しています。

   

この絵も3種3様ですが、明暗のコントラストと階調、明部とアンプの画像の明瞭度が最も高いのはLP−Z3だとわかります。
TW200Hも悪くはないですが、LP−Z3と比べるとやや柔らかい(ややフォーカスの甘い)シネマ調の絵になっています。
LP−Z3は、見慣れたTVの絵に近いバランスです。
階調バランスが変わったことで「画面の情報量=見えている物の細やかさ」が改善しています。

LP−Z3とEMP−TW200Hを比較した印象

画像では、LP−Z3とEMP−TW200Hの実力は非常に拮抗しています。

実際にみた印象も両機種とも液晶ではトップクラスの高画質を実現しています。シネマ調でやや柔らかい絵作りのTW200Hに対し、しっかり、ハッキリとした絵作りのZ3と言う印象も画像通りです。

画像ではわからないのは、ファンノイズがLP−Z3が小さいこと。外見の質感や形状がLP−Z3が勝ること。画質の緻密さ、情報量などを含め、LP−Z3はTW200Hよりも「質感が高い」イメージです。

TW200Hは、明るさを上げすぎてやや無理をしている感じがあります。ファンノイズは、最近のプロジェクターとしては明らかに大きめです。特にランプの照度を上げたときのファンノイズは、相当大きく感じます。

フォーカスやズームが電動になっているTW200Hが、毎回調整を行うような場合には便利ですが、定位置に設置している場合には、リモコンのスイッチに誤って触れるなど、逆に仇となる場合もあります。

実売価格も近く選択に迷う2機種ですが、基本的な性能の高さ(コントラストや色分解能の鮮やかさ)などは、確実にLP−Z3がTW200Hを上回ります。後は実売価格と財布の中身を比べて、お選び頂ければよいと思います。どちらのモデルを購入されても、後悔なさることはないはずですから。

また「追加の画像」により「プロジェクターのセッティングの重要性」とその難しさがおわかりいただけたと思います。
何もやらないよりはずっと良くなりますが調整ディスクを使う調整は、まだまだ「入門レベル」でしかありません。
自分自身の「基準となる映画ソフトのシーン」を複数シッカリと覚えて、実写シーンを交えながら調整すると、さらにどんどん画質を追い込むことが可能になります。もし上手くいかなくて失敗したら・・・一度元に戻して、何度でも納得出来るまで再挑戦してください。

リポート掲載日:2004年10月26日