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Luxman D-05u ラックスマン D-05u CD SACDプレーヤー 音質 試聴 比較 レビュー 価格Luxman D-05u SACDプレーヤー・音質テスト
2015年7月、Luxmanから最も低価格のCD/SACDプレーヤー「D-05u」が発売されました。「D-05u」は、2014年末に発売されたD-08uや上級モデルD-06uの技術を引き継ぎ、D-05がフルモデルチェンジされました。また、Windows PCやMacとの接続が可能なUSB入力が装備されています。 D-05u主な特長
■ディスクドライブ・ メカニズム
■デジタル回路
■アナログ回路 ■その他 このように、D-05uはメーカー希望小売価格\350,000(税別)という価格でありながら、メーカー希望小売価格\580,000(税別)のD-06uにかなり近い内容を持っていることが分かります。もちろん、各部の剛性や基盤、パーツはコストダウンされているはずですが、基本的な構成が上級モデルに近いだけに、その音質は期待できそうです。早速、届けられた「D-05u」を聞いてみました。 試聴には、普段良く聞いている、「Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G)」と「AIRBOW PM11S3 Ultimate」を使いました。
試聴に使ったアンプ
上級モデルのD-08uには、Luxman特有の「粘り(中域が少し膨らんで音が消え残る)」が感じられるのですが、D-05uにはそれがありません。音質はD-08uよりも自然で、音の広がりも素直です。水の音は、高域の一部分(聴感上では数キロヘルツ)が強いようです。けれど、その僅かな強調感が音の輪郭を引き締め、音像をコンパクトに定位させます。輪郭のシャープさ、スッキリした見通しの良さはD-08uさえ凌いでいるように感じられます。
水面が波立つ様子も綺麗に再現されますが、水面の大きなうねりの再現は少しもの足りません。このあたりに「低価格機」の弱点を感じますが、それを除けば音の滑らかさ、きめ細かさ、質感の再現性などはこのクラスの他社製品を超えているようです。 Decca 「Your Best Tunes」 弦楽セレナード イントロの弦楽器の複雑な構造に僅かな濁りを感じますが、バイオリン/チェロ/コントラバスの各メロディーラインは綺麗に再現されます。 特にバイオリンの切れ込みの鮮やかさ、音色の美しさは格別なものがあり、従来のLuxmanプレーヤーや他の国産プレーヤーとの間に大きな違いが感じられます。 バイオリン(弦楽器全般)の再現性に関してなら、過去のどんなLuxmanプレーヤーよりも素直で癖が少ないのではないでしょうか? Grace Mahya 「Last Live at DUG」 モナリザ ギターの音は明るく滑らかですが、沈み込みの深さが少し浅いようです。グレースマーヤさんのボーカルも同様に、声が少し若く、彼女らしい「ふくよかさ(太さ)」が出にくく思います。 音の広がりは優れていて、ライブ会場の空間を上手く醸し出します。それぞれの音の分離感にも優れているので、心地よく伴奏とボーカルに耳をゆだねることができます。
明るくフレッシュな音で、モナリザが鳴りました。 ピアノの打鍵感がスッキリ出ます。右手の響きと、左手の響きが僅かに混ざり、ペダルの音も再現されません。ボーカルは、伴奏と綺麗に分離し、前方の押し出されます。声はクリアで美しく、表情の豊かなのですが子音に明かな「荒れ」が感じられ「サ、シ、ス、セ、ソ」が「ザ、ジ、ズ、ゼ、ゾ」に僅かに近づきます。 この子音の荒れは「パーツの共振」によるものではないだろうかと思います。フィードバック回路かフィルター回路に使われている、非常の容量の小さなコンデンサーが僅かに共振し、本来の信号に「ひげ」を付けるのです。せせらぎで感じた「高域の強調感」、セレナードで感じた「弦の響きの僅かな混濁感」、モナリザで感じた「音の若さ」の原因はこの「ひげ」にちがいありません。 ただし、これ以上強調感が強くなると「聞き疲れ」を引き起こしますから、高域がきついアンプやスピーカーとの組合せは、考えた方が良いと思います。 また、スピーカーのツイーターが「金属(ハード)」ではなく「布(ソフト)」の方が、D-05uはより良くマッチすると思います。 低音の再現性はまずまずです。このクラスの水準には達していますが、D-08uの持つ重厚なイメージと、大きく広がり、かつ濃密な空間再現性には達していません。このあたりに電源回路などのコストが切り詰められた影響を感じます。 ノイマン/チェコフィルによる「新世界」の演奏は、非常に高度に構成されています。機器に僅かでも癖(色づけ)があると、それが乱れて本来の静かで厳かなイメージが損なわれます。この精密さにおいて、D-05uは今まで聞いたLuxmanのCDプレーヤーではベストに思います。 これは推測ですが、D-08uに使われている「PCM信号を最大384kHzにアップサンプリングするTI社最新の32bitデジタル・シグナルプロセッサーTAS3152」が搭載されていないため、音の癖がD-08uよりも小さく、演奏を再現するスケール(尺度)は、D-05uの方が正確に感じられます。さらに、コストダウンによって「不必要なもの(複雑な回路による色づけ)」が、うまくそぎ落とされているのではないでしょうか。 D-05uの奏でる新世界は、ノイマン/チェコフィルらしい、深みと尊厳を感じさせるものです。国産プレーヤーでは、なかなかこういう見識のある音が出ないのですが、D-05uはそれを見事にクリアしています。何よりも国産デジタル機器では出にくい「色彩感」が鮮やかに再現されることに驚かされました。このクラスで最も音楽を、音楽性豊かに再現できるプレーヤーだと思います。 試聴後感想 もちろん、上級モデルに比べると中低域の厚み感、中高域の透明感、音の細やかさなどで、若干劣るのは価格的な問題なので限界はあります。けれど、その「スッキリしたなり味」は、上級モデルよりもむしろ好ましく感じられることもありました。35万円(税別)という予算内では、もっともお薦めできるCD/SACDプレーヤーの一つに仕上がっています。D-05uは、侮りがたい良品です。 2015年8月 逸品館代表 清原裕介 |
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