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Luxman D-06u ラックスマン D-06u SACDプレーヤー 音質 試聴 比較 レビュー 価格 

Luxman D-06u SACDプレーヤー・音質テスト

  

その他の音質テストはこちら

 

ラックスマンから先に発売されたD-08uと同じ手法により、D-06のメカニズム部をほぼそのまま継承しデジタル回路を一新したフルモデルチェンジ機、D-06uが発売されます。D-06uは、高剛性ディスクドライブ・メカニズム全体を強固なシャーシによって囲うボックス構を採用し、外来振動をリジッドに遮断することで高精度なデジタル情報の読み取りを実現するオリジナル・ディスクドライブ・メカニズムLxDTMを搭載します。

デジタルは大幅に強化され、最大384kHz/32bitのPCMと、2.8MHz/5.6MHz DSDに対応するほか、同軸/光デジタル入力もそれぞれ最大192kHz/24bitのPCM信号に対応します。D-08uと同じく、PCM信号を最大384kHzにアップサンプリングする32bit DSP「TI製・TAS3152」も搭載されています。

刷新されたデジタル回路の機能により、PCM信号は32bit DSPによる3種類のデジタル・フィルターが切り替え可能で、DSD信号はDACチップ内蔵のアナログFIRフィルターにより2種類の音質切替が可能になっています。

D-06uには、新たにApple LosslessとAIFFにも対応するオリジナルの高音質音楽再生ソフト「LUXMAN Audio Player」の最新版(Windows/Mac用)が付属します。

DACチップは、高S/N、およびダイナミックレンジ(理論値132dB)を実現したTI製「PCM1792A」をデュアル構成(モノラルモード)で搭載します。マスタークロックには、発振周波数付近のノイズを低減する、高精度・低ジッターの低位相雑音クロックモジュールが搭載され、CD/デジタル入力は内蔵するDAIRの高精度クロックで、SACDは専用のジッターリダクションチップによって低ジッター化が行われます。その他、アナログ回路や筐体機構なども、先行発売のD-08uに準じる改良が施されました。

※写真は、D-08uのブロック図。D-06uには、ODNF回路は搭載されていませんが、デジタル部のブロックはほぼ同等です。

あまり情報としては表面に出ないのですが、Luxman製品に共通する「ユーザーフレンドリー/使いやすさ)へのこだわりをすこし説明したいと思います。

今回試聴テストを行ったD-06uを始めとするLuxmanのCDプレーヤーのインジケーターは、選曲を行ったとき「曲番号がインジケーターいっぱいに拡大」されます。これは、10年ほど前に「インジケーターの数字が小さすぎて見にくいからズーム表示できないか?」という私のリクエスト(他からもリクエストがあったかも知れませんが)にLuxman社が対応し、その後のプレーヤーへインジケーターのズーム表示を搭載したときから継承されています。多くのプレーヤーが採用する小さな文字表示は、リモコン操作の距離から読み取るのは不可能です。しかし、Luxmanならそれを読み取れます。

さらには、説明書が「昔ながらの厚紙で作られた立派なもの」であり、なおかつ「空白が多く、字が大きく、解説が分かりやすり」と三拍子揃った素晴らしいものが付属します。Marantzなどの大手メーカーの一部が、すでに説明書すら廃止し「CD-R」をそれに変えていることから比べれば、表示方式だけではなく説明書にまでこだわる、「Luxmanのおもてなしの姿勢」は高く評価できるとお思いになりませんか?

製品が手元に届き、はやる気持ちを抑えて「説明書を読む」。この一瞬で、その機器の評価が左右されると言っても過言ではありません。この時にLuxmanなら「買って良かった!」とプラスの第一印象を感じて頂けるでしょう。

もちろん、本体の仕上げはLuxmanの水準で高く、ディスクの回転音もさほど大きくありません(無音ではありません)。外装、付属品(オーディオグレードの専用電源ケーブルが付属)、説明書、梱包、などどの部分をとっても「高級オーディオ」の香りがふんだんに感じられるD-06Uは、音を聞く前から、この製品を買って良かった!と感じた頂ける製品に仕上がっています。

Luxman D-06u メーカー希望小売価格 ¥580,000(税別)

LUXMAN デジタルプレーヤーのご注文はこちらからどうぞ

アナログ出力 RCA×1
XLR×1
デジタル出力 同軸(RCA)、光(TOS)×各1
デジタル入力 同軸(RCA)×1
光(TOS)×2
USB TYPE-B
周波数特性 CD:5Hz〜20kHz
SACD:5Hz〜50kHz
サイズWxHxD 440×133×410(mm)
重量 15.7Kg
消費電力 28W、待機電力 1W

Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G)

 
形式 3Way・5Speaker・バスレフ方式
ユニット 高域:28mm/シルクドーム
中域:152mm×1/スパイダーコーン
低域:178mm×3/スパイダーコーン
能率 91.0dB/1W/1m
クロスオーバー 150Hz/2600Hz
周波数特性 28-22Hz
インピーダンス
サイズ W245×H1130×D455(mm)
重量 32.5Kg(1台)
希望小売価格 900,000円 (ペア・税別) 生産完了
仕上げ ローズ、チェリー、ピアノブラック
ピアノホワイト

Vienna Acoustics 製品へのお問い合わせはこちら

試聴に使ったアンプ
PM11S3/Ultimate 
AIRBOW PM11S3 Ultimate

ディスクメディア 音質テスト

本格的な試聴を開始する前に、この曲の冒頭でPCM(FIR)フィルターのポジション別の音質チェックを行いました。

  • P1(標準FIRフィルター/デジタル領域でフィードフォーワードを使って高域をなだらかにするデジタルフィルターのプログラムです)
    音の広がりや、立ち上がり立ち下がりが自然で違和感を感じない音です。

  • P2(高速IIRフィルター/デジタル領域でフィードバック、フィードフォワードを使い、短時間で演算をすませるデジタルフィルターのプログラムです)
    音の立ち上がりが早くなり明瞭度が上がりますが、余韻(響き)が若干少なくなります。ややドライな音です。

  • P3(ハイアッテネーションFIRフィルター/P1のフィルターの遮断特性を急峻にしたプログラムです)
    P1に比べて、響きが若干少なく、音源に近づいた様に音がクッキリします。

メーカーの説明書には「音が変わるので、好きなポジションをお選びください」と書かれていますが、響きがやや多く音の立ち上がりも穏やかな今回のシステムでは、変化は「それ」と聞かされないと分からないほど小さいものでした。特に問題や希望がなければ、「P1」でお使いになられるのがよいと思います。

さらにDSDファイルとSACDの再生時に切り替えられる「アナログフィルタ−」の音質を、ヒラリーハーンのバッハコンチェルトでチェックしました。

  • D1(ノーマルアナログFIRフィルター/高域の遮断がなだらかに行われます)
    高域が良く伸びていますが、ヒラリーハーンのSACDで聞き比べるとやや高域過多の印象になりました。

  • D2(ハイアッテネーションFIRフィルター/高域の遮断が急峻に行われます)
    高域の伸びやかさが適度に抑えられ、解像度感(明瞭度感)は若干低下しますが、中低域の厚みが増しました。こちらの方が好みの音です。

それでは一曲ずつ、じっくりと聞いていきましょう。

バラード・アンド・バートン バラード・アンド・バートン アン・バートン ”The Shadow of Your Smile”

生産完了モデルD-06は高域が少し伸びたりない印象がありましたが、デジタル部分が大幅にブラッシュアップされたD-06uは高域がスッキリ伸びています。D-06では音源がやや遠く、穏やかで聞きやすい音の反面ベールがかかったようなもどかしさがありましたが、D-06uの音はかなりクッキリしています。

ブラシの音、ピアノの打鍵感はかなりシッカリでます。ウッドベースも高音が冴えているので、弦をリリースした瞬間の断弦感がはっきり出ます。リズムセクションはクッキリして明快です。ボーカルは、口元の様子が読み取れるほど細やかで鮮やかです。サックスは、もう少し甘く聞こえて欲しいのですが、ややドライです。ただ少し伸びすぎる印象があり、ピアノの打鍵感、シンバルのキラキラしたイメージは、少し強めに出て、ボーカルも子音がかなりクッキリします。

高域がやや強く明瞭度が高いので、音源が近く感じられます。楽器奏者やボーカリストの口元をズームアップして聞いているイメージです。しかし、中低音にしっかりした厚みが持たされているので、高域過多の薄っぺらい音にならないところはさすがです。

全体的にはキリッとした明るい音の中にLuxmanらしい独特の甘さが感じられ、Luxmanのサウンドをすこし現代的にリファインしたような印象を持ちました。

D-06の後継モデルとして、正常に進化していると感じられるサウンドでアンバートンが聞けました。

Bad-25th Anniversary Bad-25th Anniversary Michael Jackson ”Dirty Diana (2012 Remaster)”

中高音の解像度感、鮮やかさはこのクラスのCDプレーヤーの水準を超えて冴え、このディスクの録音の良さ、高域の透明感と広がりの大きさが見事に再現されます。低音は、若干少なめです。しっかり出てはいるのですが、押し出し感と重量感がやや乏しく、力が弱い印象です。

アン・バートンでは低音不足をまったく感じなかったので、マイケル・ジャクソンでそういう印象を持つとは思いませんでした。念のため、他のトラックも聞いてみたのですが、低音不足と言うよりはもう少し低音に押し出しがあったら最高!というイメージでした。

ボーカルは明快で表情も豊かです。音の重なった部分での分離感にも優れていますが、ニュアンスの濃さはそれほどではありません。D-06uの「音が良いけれどニュアンスの濃さが若干物足りない感じ」は、上級モデルD-08uにも共通して感じられるので、もしかすると使われているデジタル素子の傾向なのかも知れません。

少なくとも「耳に聞こえる音」という意味では、この価格帯でも最も優れたプレーヤーの一つには違いありません。また、低音の増量は電源ケーブルの交換などで試みるのがよいと思います。

Violin Concertos (Hybr) (Ms) Hilary Hearn  “Bach Concerto” (SACDレイヤー)

試聴前にフィルタポジションの比較をしたのですが、もう一度D1/D2をしっかり聞き比べることにしました。
D1(ノーマルアナログFIRフィルター/高域の遮断がなだらかに行われます)
上下左右方向には音が大きく広がりますが、前後方向への広がりがやや不足しています。これは、アン・バートンで感じられた「高域の強調感」が影響していると考えられますが、それを詳しく説明しましょう。高音が空気中を伝わるとき、空気のバネ性によって「距離に比例して音が小さく(高域が減衰)」します。しかし、低音は高音ほど減衰しないので、雷鳴は遠いと頃では高音の減衰した「ごろごろ」と言う音に聞こえ、近いと高音がクッキリした「ばりばり」と言う音に聞こます。楽器やボーカルの音も同様で、距離に比例して低音よりも高域の減衰が大きくなります。私達はこの「高音と距離の関係」を身体で覚えているので、高音がぼやけると「音源を遠く」、高音がクッキリすると「音源を近く」感じます。D-06uの高域は録音されたものよりも若干持ち上がって聞こえるので、楽器との距離が近くなるのです。また、コンサートを聴いているとき前方の席では「楽団の奥行き」が小さく感じられますが、これも高音の減衰と関係があります。高音が強めに出る、D-06uは「演奏を舞台袖で聴いている(楽器との距離が近い)」イメージでこの曲を鳴らします。

バイオリンの音は高域の切れ味や鮮やかさはしっかりしていますが、弓が弦をこする「がりがり」とした強い感じが若干薄いように思います。ただ、先月ウィーンのオペラ座(2階席前方2列目)の席で聞いたバイオリンの音も、高域が減衰したかなり柔らかい(私には刺激が足りない)音に聞こえたので、これは好みの差かも知れません。バイオリン、チェロ、コントラバスの「音色の違い」は、やや曖昧ですが、それはやはりどこか部分的に強調されていることが影響しているのでしょう。

厳しいことを書きましたが全体的には良好な音質で、このディスクを十分楽しむことができました。良いプレーヤーだと思います。

D2(ハイアッテネーションFIRフィルター/高域の遮断が急峻に行われます)

フィルターを切り替えると、高域の明瞭度と解像度感が若干低下します。スピーカーに例えるなら、D1は「サランネットなし」でD2が「サランネットあり」の印象です。

D1では個別の楽器がクッキリしていたのに対し、D2ではそれらが具合良く(バランス良く)混ざって聞こえます。音場の広がりにも前後が出て(相対的に左右と上下は小さくなりましたが)、私が理想とする音の広がりに近づきました。通常のホールなら、一階席中央付近か、中央やや後方でコンサートを聴いている雰囲気です。

バイオリンの弦のキツさが緩和されたので、チェロとコントラバスのパートが透けるように見えてきます。また、主旋律をどのパートが奏でているかがより明快に伝わるようになり、主役の移り変わりがはっきりします。

演奏としてはD1よりも遙かに楽しく、音楽が大きく躍動します。この音なら、申し分ありません。


USB入力 音質テスト

ディスクの試聴に続けて、同じ音源をUSBで入力して音質を比較してみました。PCにはiCAT Ink.のHTPC-E5W-HD4Kを使い、WireworldのUSBケーブル「Ultra Violet」を接続に使用しました。

 Wireworld Ultraviolet USB2.0 1.5m

Violin Concertos (Hybr) (Ms) Hilary Hearn  “Bach Concerto” (wavでリッピング)

SACDで聞いたヒラリーハーンのバッハを、同一ディスク(ハイブリッドディスク)のCDレイヤーからWAVでリップしたデーターで聞いてみました。
ドライバーはLuxman D-06u付属品をインストール、出力は「44.1kHz/32bit」に設定、プレーヤーは「J Rever」を使っています。

SACDに比べると高域の伸びやかさ、鮮やかさ、細やかさが劣っています。しかし、楽器の色彩感や音の広がり、高音の明瞭度などには大きな違いが感じられません。SACDで聞くこの曲は流麗な印象でした。J Reverでは、メリハリのはっきりした骨太の演奏に聞こえます。

交響曲自体があまり高域に依存しない音楽(対照的なのは民族音楽です)なので、SACDからwavファイルなった悪影響はあまり大きくありません。逆によけいな音が間引かれた?のか、演奏の運動や構造は逆にはっきりした印象です。また高域が少なくなったためでしょうか、相対的にチェルやコントラバスの音階がはっきりと聞き取れるようになりました。

特に目くじらを立てて音を聞き比べるのでなければ、Windows+J Rever+WAVでも十分に演奏が楽しめる印象です。

Bad-25th Anniversary Bad-25th Anniversary Michael Jackson ”Dirty Diana (2012 Remaster)” wavファイル

高音の密度感がCDよりも高くなりました。また、CDでは不足して感じられた低音がグッと厚くなり、全体的に音が力強く前に出てくる印象です。

ヒラリーハンのwavファイルと同じように、骨格がしっかりして音が太くなります。高域の透明感や鮮やかさ、響きは少し減っているように感じますが、一つ一つの音がはっきりして密度感が高まるのが好印象です。CDの再生と甲乙付けがたいか、ややPC有利というイメージでこの曲を聴くことができました。

バラード・アンド・バートン バラード・アンド・バートン アン・バートン ”The Shadow of Your Smile” wavファイル

アナログ録音のこの曲では、印象が変わります。

高域が少し粉っぽく感じられ、アン・バートンの声も高域が曇り、マスクをして歌っているようです。ピアノも打鍵感が弱まり、ピアノらしい厚みと密度感が出ません。レコードと初期のデジタルサウンドを比べている印象です。この音であれば、私はCDを聞くでしょう。

DSD、ハイレゾファイルの再生
J Reverを使って、ONKYOなどからダウンロードで供給されるサンプルのハイレゾやDSDファイルの再生を行いました。

確かに音質はWAVよりも緻密で、S/N感も高く感じられます。しかし、音質の差は特に問題とするほど大きいものではなく、それよりも入手できたハイレゾやDSDファイルの音源に「聴きたい曲がない」ことが大きな問題に感じられました。

結局、「ハイレゾやDSDは、あっても良いけれど、なくても構わない」という印象を超えるものではありませんでした。


試聴後感想
D-06uはD-06の後継モデルとして、順当な仕上がりを見せてくれました。

D-06でやや物足りないと感じた、高域の明瞭度や見通しの良さは大きく改善されています。また、改善した高域に合わせて中低域の量感も拡大され、D-06よりもワイドレンジで明瞭度の高いサウンドに仕上がっています。USB入力などのデジタル入力も最新にアップデートされ、オーディオ機器で使われる主要な音源ファイルのほぼすべてに対応します。価格は少し高くなりましたが、仕上げも美しく購入して裏切られることのないCDプレーヤーに仕上がっていると思います。

テストの終わりにiCAT Ink.の音楽専用PCとJ Reverを使い、USB-DACとしてD-06uを動作させました。音質は、ディスクの再生と比べて「どちらが上位」と言うのではなく、それぞれに特長がありました。CD/SACDは中高域の透明感、滑らかさに優れウェットな音質です。USB入力は、中低音の厚みや押し出しに優れますが、響きがやや少ないドライな音質でした。情報量や解像度は、それほど大きく変わることはなかったという印象です。

ディスクではなくPCをデジタルプレーヤーとして使うメリットは、手持ちのCDをリッピングして、あるいはWebからダウンロードされた膨大な音楽ファイルを「自由自在に再生」できるのが最大のメリットだと考えています。HDDなどに記録された莫大な楽曲をPCならば容易にライブラリーとして管理できます。もちろんPCは音楽だけではなく、ビデオ(4K対応)や画像ファイルの管理も自由自在です。最近ではレコードをデジタル化して、PCのライブラリーに追加する事も流行っているようです。PC/ネットワークプレーヤーでは、思いついた曲を瞬時に選曲し、あるいは好きな曲を集めたプレイリストを作って、音楽を楽しめます。J Reverはローカル、あるいはネットワークに存在する膨大なコンテンツを的確に管理することのできる優れたソフトです。これらの膨大なファイルから、瞬時に聴きたい曲を見付ける、好きな曲を組み合わせて聞く、ランダムで聞くなどのプレイはCDではできないことです。

逆にディスクのジャケットを見ながら、アルバムを一つずつ聞くのが「ディスク再生」の魅力だと考えています。PCに比べ手間暇がかかりますが、音楽を丁重に扱う所作にも魅力を感じます。特にアナログレコードではそれが顕著です。私は、仕事中ジュークBOX代わりにPC/ネットワーク・プレーヤーを便利に使っていますが、イベントやアルバムをじっくり聞きたいときにはディスクを使います。

今年5月にドイツ・ミュンヘンで開催されたHIGH-END Audio Show 2014に出向きましたが、このショウのデモンストレーションは「アナログディスク」もしくは「PCオーディオ(CDプレーヤーをUSB DACとして使っていました)」のいずれかで行われ、どのブースでも「ディスクをトレイに入れる」情景を見ることはありませんでした。端末パッドやノートPCを手に、切れ目なく選曲をするのはスマートですが、出てくる音は逸品館が東京有楽町で開催するHIGH-END Showを超えるとは思えませんでした。

このショウの後、音楽の本場オーストリア・ウィーンを訪れた印象などから考えると、良い生演奏に普段から触れることができる「ヨーロッパ」では、一般の人たちのオーディオ機器に対する音質要求が「コンサートの代替としてオーディオを聞く日本のクラシックファン」よりも小さく、電気音楽を大音量で聞く場合や機械オタクが装置を見て喜ぶという「機械重視の傾向」がより強いように感じました。

過去には海外製品の音質が明らかに国産品を超えていましたが、TADなどの優れた国産品(国際品?)が生み出されている最近では、高級オーディオも国産品で十分音楽を楽しめるのだという思いが強くなっています。逆に耳の肥えた現場の人たちや、ヨーロッパの一般の人たちに向けて作られる「業務記や低価格オーディオ機器」の音質は、今も海外製品が国産品を大きく引き離しているように思います。

2014年6月 逸品館代表 清原裕介

 

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