古い時代の回路を採用しているためか、バイオリンとピアノの分離感は現代的HiFiアンプよりも曖昧ですが、それが良い方向に働いてふわりとした雰囲気の良さが醸しだされます。
特に弦の音はトランジスターアンプとは思えないほどの滑らかさと色っぽさを持っていることに驚かされます。
ピアノは響きが美しく、音色の変化がきちんと再現されます。全体的に音が明るく有機的で。演奏がキュートに再現されました。
聞いていると安らぎと元気が伝わるような、実に楽しい音で"アンコール"が聞けました。
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低音はボリュームが豊かですが、やや響きが多く膨らみ気味です。このあたりにHiFi一辺倒ではない「昔ながらの味わい」が感じられますが、スピーカーとの相性や音楽の種類によっては不満が出るかも知れません。 ボーカルはバイオリンの弦と同じように滑らかで暖かく、適度な厚みがあって好印象です。 ギターは高い音の線が少し細く感じられますが、音色が美しく滑らかです。高域のアタックが少し弱いのでリズムの刻みはやや曖昧にナリスが、流れるような流麗なサウンドには別の魅力が感じられます。 L-305は、B'zを上品で滑らかに鳴らします。 |
この曲は打ち込みのバックにボーカルを乗せただけの単純な構成なので、アンプの表現力が伴わなければ「ただの簡単な曲」に聞こえることがあります。 L-305はすでに感じたようにトランジスターアンプとしては「響き成分」が豊富で音が伸びます。シンセサイザーの高音は少し甘めですが、エコーがかかったように伸びて大きく広がり心地よく響きます。 ボーカルは少しハスキーで甘く女性らしい色気が強く出ますが、純A級回路を採用するL550AXほどぼってりせずほどよい感じで、説得力があります。 L-305はムードたっぷりにこの曲を鳴らしました。 |
アンプの「時代」に合わせて少し古い録音のジャズをかけてみました。 まるでレコードを聴いているかのように甘く艶のある音に驚かされます。中でも高音は、スッキリと透明感が高く心地よい響きと共にリスニングルームに大きく広がります。 声は滑らかで暖かく、体を包み込むような雰囲気です。 Rosemary
Clooneyの独特な厚みのある柔らかい声と、切ない表情がひしひしと伝わります。 しばし仕事や時間を忘れて聞き惚れてしまうほど良い音で、往年のJAZZ
ボーカルを楽しむことができました。 |
このソフトは「アナログシンセサイザー」を音源として作られ、生楽器の音は使われていません。また「宇宙の広がり」を表現する目的で、音が立体的に移動するように作られています。L-305でこの曲を聴くと空間のの「広がり」と「音の動きの表現」が実に見事に再現されます。 甘く美しい響きを引きながら、彗星が流れるようにリスニングルームいっぱいに音が移動します。空間は暖かく有機的な響きで満たされ、心まで豊かに慣れる気分です。ストレートな音ではありませんが、真空管アンプのような心地よさが感じられました。 |