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Luxman L-550AX Mark2 (プリメインアンプ) メーカー希望小売価格 360,000円(税別)※解説は輸入代理店ページより流用

2016年4月、2011年にフルモデルチェンジを果たした純A級プリメインアンプL-550AXを基本性能から見直した新製品、L-550AXマークIIモデルが発売されました。

この製品は、Luxman独自の増幅帰還回路ODNF4.0や、新LECUA1000、ディスクリート構成のバッファー回路など、上位機種L-590AXIIの高音質テクノロジーを踏襲し、純A級増幅方式ならではの艶と密度感のある音を獲得しながらクラスを超えた解像力と表現力を実現する、ラックスマン自信のミドルレンジ・モデルです。

L-550AX Mark2 主な仕様

電子制御アッテネーター新LECUA1000
プリアンプセクションにおいて最も重要な役割を担う音量調節部には、上位機種L-590AXII同等のプリアンプ回路一体型・電子制御アッテネーター新LECUA1000※を搭載。従来型に対し入力段のバッファー回路を刷新し、88ステップのスムーズで音質劣化の少ない音量調節を実現しました。また、新LECUA1000には基板を立体配置する3Dレイアウトを採用。アッテネーター回路と増幅回路をダイレクトに接続し、経路の最短化と高効率化に成功するとともに、外来振動の影響や音量位置による音質の変化を抑え、経時変化や耐久性に優れた構成としました。※ LECUAはLuxman Electric Controlled Ultimate Attenuatorの略称です。

革新の増幅帰還回路ODNF Ver.4.0
出力信号の歪み成分のみをフィードバックさせることで、初期スルーレートの速さと超広帯域によるナチュラルな音質を実現したラックスマン独自の増幅帰還回路ODNF※。L-550AXIIでは、パワーアンプM-700uや上位機種L-590AXIIの性能を受け継ぎ、高域の歪特性とS/Nを大幅に改善した最新のODNFVer4.0と3段ダーリントン・パラレルプッシュプル構成の大規模なパワーアンプ回路を搭載。純A級動作方式による定格20W+20W (8Ω) の出力は、密度感と浸透力のある上質な音楽表現に加え、十二分なパワー設計による高いドライバビリティを実現しました。※ ODNFはOnly Distortion Negative Feedbackの略称です。
大容量電源回路
L-550AXIIは、音楽のダイナミズムを根底から支える物量パーツとして、新たに振動対策を施した大容量のEI型電源トランスと、大型ブロックコンデンサー (10,000μF×4本) を組み合わせたハイイナーシャ (高慣性) 電源回路を搭載しました。
音質優先のカスタムパーツ
内部配線には、各芯スパイラルラップ・シールドと芯線の非メッキ処理で自然な信号伝送を実現した、独自のOFCワイヤーを採用。新開発の高音質・低頭ブロックコンデンサーをはじめ、高度な技術と感性でこだわりぬいたカスタムパーツを随所に投入しました。

ディスクリートバッファー回路
プリアンプ回路の出力段には、セパレートアンプのトップエンドモデルC-900uと同等のディスクリートバッファー回路を搭載。繊細な音楽信号の純度を保ちながら、次段となるパワーアンプ回路に対する駆動力を大幅に高めました。
豊富なファンクションの数々
L-550AXIIは、MM/MC対応の本格的なフォノアンプを内蔵。フロントパネルにはバス/トレブル式トーンコントロールや、LECUAによるLRバランス調節、プリ/パワーを分離するセパレートスイッチを装備し、リモコンでのみ操作可能な音量連動式のラウドネスも備えました。
ローインピーダンス伝送
ハイイナーシャ電源回路と大規模な出力回路による高い駆動力を損失なく伝えるため、出力部には低抵抗値の大容量スピーカーリレーをパラレル接続。さらにスピーカー端子へダイレクト配線することで、ダンピングファクターを160から200へ向上させました。
操作性と機能美の充実
フロントフェイスには、Mark2モデルを印象付ける新デザインのメーターパネルとLED照明付きの針式アナログメーターを搭載。また、アルミ材切削加工による富士山型の各種コントロールノブは、精度と質感を高め、操作時の感触にも徹底的にこだわりました。
こだわりのオリジナル技術
スムーズな電流伝送を実現するラウンドパターン配線基板や、パーツ配置を最も合理的かつ最短のルートで構成するビーライン・コンストラクション、そしてアース・インピーダンスの上昇を抑えるループレスシャーシ構造など、細部に渡り音質最優先の設計を施しました。
電源ケーブルとリモコン
リアパネルには、ケーブルの配線が容易なインラインレイアウトの大型スピーカー端子や、金メッキと非磁性処理を施したケーブル着脱式ACインレットを採用。標準付属品として、アルミ製・高級リモコンとラックスマンのリファレンス電源ケーブルJPA-10000を用意しました。

試聴環境

試聴は24時間のウォーミングアップの後に行いました。

 Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G) (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す

 AIRBOW SA11S3 Ultimate (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す

試聴したソフトは、いつもの5曲です。CDを聞きました。

Della
「せせらぎ」

Decca
「Your Best Tunes」

Grace Mahya
「Last Live at DUG」

noon
「500 Miles」

DENON
「新世界」

システムのメンテナンスにも使える、川の流れる音を収録した自然音のソフトです。

どこかで聞いたことがあるクラシックを集めたソフトです。弦楽セレナードを聴きました。

試聴によく使います。録音が最高!もちろん演奏も素晴らしいです。

音質と演奏に優れる楽曲が集められたダイジェスト盤。"500Miles/noon"
を聞きました。

ワンポイントステレオマイクで録音された、良質なソフトです。納得の音質、納得の演奏。第2楽章を聞きました。

Luxman L-550AX Mark2 プリメイン メーカー希望小売価格 \360,000(税別)

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せせらぎ(ストレート・スイッチ ON)

上級モデルで感じられる「薄いシルクのようなベール越しに音を聞いている」ような、高域の曇りがなく、せせらぎの音はとてもリアルで、鳥の声は生で聞いているよう。
従来の、そして現在までに発売されているLuxmanアンプ(セパレートアンプ含む)は、いわゆる「ラックストーン」として親しまれている、ウォームな響きの柔らかさと適度な濁り感を持っていた。しかし、L-550AX Mark2の高音域は、これまでになく澄み切って鋭く伸びている。鋭いにもかかわらず鋭すぎることがなく、純A級らしい滑らかさと品の良さは残されている。

また、その高域の穏やかさが原因となって、楽器の音色の鮮やかさがマスキングされる場合もあったが、L-550AX Mark2が再現する音色はせせらぎの水音、自然な鳥の声をストレートに連想させるほど「電気的な違和感」がない。
この価格でこのクォリティーはすごい。

せせらぎ(ストレート・スイッチ OFF)

トーン・コントロールをフラットにした状態で、ストレート・スイッチをオフにすると、解像度が落ちて、音の広がりが阻害される。また、水の流れる音と、鳥の声の距離感が小さくなり、「電気的に増幅している」という違和感を生じた。

ストレート・スイッチをOFFにすると、この価格帯の他のアンプとそれほど変わらないか、あるいはそれよりも少し落ちる程度の印象しかない。けれど、ストレート・スイッチをONにすると、価格を2倍くらい上げたほど一気に音が良くなる。つまり、ストレート ONの状態のL-550AX2 Mark2は、Luxmanの上位モデルを脅かすほど音が良くなる。

通常、他のアンプではこれほど大きな差は生じないが、このアンプでのストレートスイッチの意義は非常に大きい。
あまりにも音質差が大きいので、これから後の試聴はすべてストレート ONで行うことにした。

セレナード
L-550AX Mark2は、Luxmanの上級プリメインアンプと比較できるほど「音が細かい」。だから楽器の数がとても多く感じられる。さらに、音の広がりが大きく、広がりが自然で、楽器の位置関係も正しい。

純A級20Wというスペックからは想像できないほど豊かな低音が出るし、エネルギー感も半端じゃない。コントラバス奏者の「弓使い」が見えるようだ。チェロは「裏の音」が聞こえてくる。

スピーカーから怒濤のように音が溢れだしてくると言えば、ちょっと言い過ぎかも知れないが、音量をさほど上げなくても弦楽器の圧力を身体で体感できる音圧が感じられる。
弦楽器が、本当に弦楽器らしい味わいで、セレナードを奏でている。

モナリザ
イントロのギターのアタックがほんのり「甘く」、ボーカルも、ほんの少しだけ「ねちっこい」。この独特な響きと艶感の演出が「今聞いているアンプはLuxmanの製品なのだな」と感じさせる。

けれど、それは「良い味わい」であって、生音を過度に変えてしまったり、音楽を改変するようなことがない。逆にその僅かな甘さと、響きの収束の遅さが、音楽をより芳醇に聞かせてくれる。試聴テストで同じ曲を何度も聞いていると、文字通り「聞き飽きてくる」のだけれど、L-550AX Mark2では一つ一つの音が新鮮に聞こえる。

ギタリストの身体の動き、ボーカリストの胸の動き、唇の動きが伝わってくる。この「伝わってくる」というのはとても大切なことで、「再生装置の違和感」が完全に消えなければそういう音にはならない。

私が信頼する、Vienna Acousticsのスピーカーと、AIRBOWのCDプレーヤーと同じレベルの「自然さ」をL-550AX Mark2は持っている。こういう日本製のオーディオ機器は、希有な存在だ。

500Miles
ボーカルはきめ細やかで唇の濡れた感じもとても良く出る。
ピアノのアタックはそれほど鋭くなく低音も僅かに膨らむが、秀逸なのは、ピアノとボーカルの位置関係だ。小さなステージの上にグランドピアノが置かれて、ボーカルはその前にスッと立っている。目を閉じると、目の前のステージで演奏が行われているようなリアルなイメージが浮かび上がってくる。このソフトの実際の録音状況とは少し違っているが、それを上手く咀嚼し、より生々しく展開してくれる。

音の密度感など、100万円を超えるようなハイエンド機器と比べなければ、少なくともペア100-200万円くらいまでのスピーカーをほどほどの音量で、自室で聞くためなら、この音で十分だろう。

すくなくとも、

新世界
このソフトでは「静寂感」と「重厚感」が求められる。「それ」を再現するためには、アンプの音量を絞った時でも数多くの楽器が鳴っている(使われている)ことが伝わらないといけない。

けれど、残念ながら世の中にある大出力パワーアンプの多くは、そういう表現があまり得意ではない。大音量ではあふれ出すような音を出しながら、小音量ではいきなり音の数が減って、寂しい音になってしまうようでは、せっかくのシンフォニーが台無しになってしまう。それを嫌ってか、海外のアンプは、高級機でも「シンプルな回路」を持つ製品が多い。しかし、多くの国産アンプは、正直に作りすぎているのか高価なモデルほど複雑な回路が採用される。

回路が複雑になる(部品点数が多くなる)と、個々の部品により良いもの(音質劣化の少ないもの)を使わなければ、回路の複雑さに比例して微小信号の再現性が低下(小さな音が回路で消えてしまう)する。しかし、この価格帯の製品にはそれほど高価なパーツを奢れない。だから、同じLuxmanのアンプ同士を比べたとき、回路がよりシンプルなL-550AX Mark2の音の細やかさが上位モデルを超えたとしても不思議ではない。

L-550AX Mark2は、出力を欲張らなかったことで回路がシンプルになり、そのために上級モデルよりも「デリケートな音の表現性」が高まっているのだろう。そう考えるなら、ラインストレート・スイッチをOFFにしたときに、細かい音が出なくなり、このアンプらしい魅力が失われることの説明もつく。

もちろん、すべてのオーディオ機器が「シンプルな方が音が良い」とは思わないが、現在のLuxman プリメインアンプのラインナップには、この傾向は当てはまるのかも知れない。

試聴後感想

Luxmanのアンプは、高級機になればなるほど回路が複雑になるためか、高域に霞がかかったように音の鋭さが鈍く減じられる時があります。それが「あの」Luxman特有の味わいを生み出すので、好みの差と言えばそうなのですが、行き過ぎると「生音との回路が強くなり、違和感を生じる」ことがあります。そのためか、私はLuxmanプリメインアンプの中で回路がシンプルな「L-550AX」の音質が好きでした。

その「お気に入り」のL-550AXは、Mark2に進化してさらにその音質に磨きがけられています。

L-550AXの奏でる音の味わいをウイスキーに例えるなら、従来のL-550AXは7年もの。Mark2は10-12年ものの味わいを持っているように思います。

サントリーのウイスキーに例えるなら、山崎や白州クラスでしょうか?シングルモルト・ウイスキーのスッキリしたのみ味と、10-12年熟成のほどよくまろやかな香り。そして30年ものほどは高くない。

「足りて知る」。そういう雰囲気を持つL-550AX Mark2は、とても良いアンプだと思う。

2016年4月 逸品館代表 清原裕介 

 

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