---------------------CDをリッピングするときの音質について---------------------
PCオーディオ関連では、「CDをどのようにして取り込めば音が良いか?」というご質問を多くいただきます。確かに「少しでも音が良い方法でCDを取り込みたい(リッピングしたい)」とお考えになるのは当然だと思います。世間では「取り込み速度が遅い方が高音質」と言われますが、私は違う考えを持っています。私はCDを5000枚近く所有していますが、それらを全部PCに取り込むには「高音質」と「高速」の両立が理想です。そこで取り込み速度と音質の関係を予め確認することにしました。
最初に「取り込みソフト」で音が変わるかを実験してみました。音を比較しやすいソフト(さとうきび畑/EPO)を選び、一般的によく使われているEAC、i-Tunes、Win-amp、Fooverの4種類のソフトでリッピングを行いました。速度はいずれも「最高速」ですがWin-Ampは有償で制限を解除しているので20倍速近くで取り込め、1枚のCDが5分とかからず取り込めます。それぞれのソフトで「最高音質(エラー訂正を使う)」を選択して、WAVEファイルでPCに取り込み、それぞれの音を高音質のシステムで聞き比べるとEACのみ少し音が違うように感じられましたが、他の3種のソフトで取り込んだファイルの音質はほとんど差がないように感じられました。そこで私は取り込み速度の速いWin-Ampでリッピングを行っています。
最近CDをPCに取り込んだファイルの「バイナリー(データー)」を比較できる「Dump4w」というフリーソフトを見付けたので、先ほどの4つのファイルを比較してみました。なぜか、EAC(ExactlyAudio
Copy)で取り込んだファイルのバイナリーだけが一致しませんでしたが、他の3つのソフトで取り込んだファイルはファイルサイズ、バイナリーデーター共に完全に一致しました。
取り込みに使うCD-Rドライブは、本来24-48倍速という高速でCD-Rを回転させます。この速度になるとディスクは、「自らのジャイロ効果」で安定します。ジャイロ効果で安定して回転するディスクを支えるための「主軸(ベアリング)」は、高回転時に安定するように「がたつきを大きく(大きめのクリアランス)で設計されます。クリアランスの大きいベアリングを低速で回すと、ディスクの振れが大きくなります。ディスクは高回転で回す方が安定し、読み取りエラーが少なくなる。これが高速でも音が悪くならないのではと考える一つの根拠です私の考えです。また、パソコンの動作原理を知っていれば、CDを取り込み速度やソフトで「出力結果が異なる」はずなどないとすぐに分かります。今回の結果から、それが正しいと立証されました。
だだし、データーが同一でも「それを保存する方法やメディア」によって音が変わることがあります。例えば、同一音源ファイルを2.5インチのHDDに保存した場合、5インチのHDDに保存した場合、SSDに保存した場合、USBメモリーに保存した場合で「それぞれ再生される音が異なる」と言われています。私も試しましたが、メディアの違いで確実に音は変わって聞こえます。
また、レコーディングの現場では「音源データー」を通信で送ると音が悪くなるので、CD-Rに焼くかもしくはHDDの状態で持ち運ぶと聞いたことがあります。ここまで来ると少し話はオカルトじみてきますが、CD-Rは別としてHDDやSSD、あるいはUSBメモリーでは「データーの記録方式」が異なりますから、音が変わることは何となく納得できます。HDDでも音が違うと言われていますが、これは「動作時のノイズ」が関係しているのかも知れません。そういう意味では、2.5インチよりも質量の大きな5インチ、複数のプラッターよりも1枚のプラッターのHDD。読み出しヘッドの動く量を考えると、高密度に記録できる最新のHDDが有利なようにも思えます。
まあ、論より証拠です!試してみましょう!それがオーディオの面白さなのですから。