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 MAGICO(マジコ) M3、Q1 音質比較テスト

  

カーボンナノチューブを使ったコーン紙の採用と金属製エンクロージャーが特徴の最新HiFiスピーカー「MAGICO(マジコ)」から、Qシリーズの新製品「Mシリーズ」が発売されました。そこで、Q3に代わる新製品の「3wayフロア型 M3」を従来モデルの「2wayブックシェルフ型 Q1」と聞き比べました。

MAGICO M3 9,500,000円(ペア・税別) 専用ベース MPod PLATFORAM 950,000円(ペア・税別)

MAGICO Q1 4,000,000円(ペア・税別) 専用スタンド付属 生産完了

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Q1の概要(エレクトリのホームページより抜粋) 

MAGICO 「Q1」のウーファーには、Nano-Tech・カーボンフアイバーを使用した高能率の7インチ口径ナノテックウーファードライバーとベリリウムを振動板に使うツィーター"MBe-1が採用されています。Q1は、ブチルゴムによってダンプされたハードアノダイズ仕上げの#6061アルミニウムと真鍮からなる重量27kgの完全密閉型エンクロージャーが使われています。さらに強度の高い専用スタンドも27kgと重く、軽量なユニットを強固に保持しシステム全体がコンプレッションドライパーのように動作し、パワフルな音質を実現しています。

「理想的な点音源を追求」するため、Q1のバッフルは連続的なカーブの採用により音波の物理的回折が極小にされ、エンクロージャにやや奥まってせっちされるMBe-1ツィーターは、そのショートホーン(バッフル)効果により、まるでフルレンジのようなピンポイントな定位を実現し、空間に音像をホログラムのように浮かび上がらせます。

ドライバーユニット

ツィーター「MBe-1」は、チタニウムより2.5倍軽量で7倍の強度を持つ適度にダンプされたベリリウムを振動板に採用し、ツィーターのハウジングは大きなQ1のアルミニウムフェイズプレートと一体になり、リンギングのないスムースなウーファーとのつながりを実現しています。

ウーファーには、MAGICOデザインのNano-Tec 7インチドライパーが採用されます。Rohacellフォームをコアとし、ナノテクカーポン繊帷でサンドイッチした3層構造のコーン紙が採用されるこのユニットは、すべてMagicoで設計・製造されれます。MAGICOが誇る、この「Nano-Tecドライバー」は、コーン構造にカーボン・ナノチューブを世界で最初に採用したユニットです。高効率な熱伝導を持つナノテクコーンのカーボン外皮は伸長率と弾性率双方に優れ、圧倒的に軽く強固で、エンクロージャーのサイズからは信じられないほどの低い周波数「32Hz」(TANNOYのフロア型スピーカー、Turnberry/GRの再生周波数の下限が34Hzであることを考えると、この32Hzがいかに驚異的に低いかがおわかりいただけるでしょう)を再現します。また、バスレフではなく「密閉型」エンクロージャーの採用により、低域はとてもフラットな周波数特性を持っています。

クロスオーバー・ネットワーク

Magicoスピーカーシステムの機械的電子的要素は、全て最新のCADツールで設計、デザインされています。MAGIKO独自のプログラムにより開発された、ステップアップスロープを実現するフィルター回路の"Elliptical Symmetry Crossover (ESXO)が搭載され、二つのユニットはがまるで1本のフルレンジのようにつながり、他に類のないサウンドイメージを実現します。

クロスオーバーパーツ/ネットワーク素材は現在最高の品質を誇る製品が採用されています。中でも特に音質に非常に重要な要素である「抵抗」には、軍用や航空宇宙用に開発された厳しい高信頼性、高安定度を満たすバルクメタルフオイル抵抗/Bulk Metal Foil resistorを、世界で初めてクロスオーバーネットワークの為に特別に設計し採用しています。この抵抗の低温係数は土2ppm/℃の超高精度で一般のどの抵抗よりも優れ、50倍以上の長期負荷安定度を示します、この素晴らしい抵抗を採用した結果、Q1はどのような周波数、電圧でも安定した抵抗値を保ち、高精度なクロスオーバー特性をキープします。その違いは、はっきりと聴き取れます。

ドライバー間の配線には6N単銅線を使用しています。

Q1に採用されたオールメタルのエンクロージャーはユニット共振の抑制に優れるばかりではなく、エンクロージャーの不要な共振による時間対減衰量=エネルギーロスを低減し、ユニットに入力されたエネルギーをロスすることなく音に変換します。

 

専用スタンド
Magicoは、スピーカースタンドの重要性を認識し、専用スタンドを提供してきました。回折の影響、デザイン性、強靭な支えとして、空間にエンクロージャーが浮かぷような形状、これらの条件を満たすべく、本体と同素材の#6061アルミニウムを切削加工して作られたQ1のスタンドはスリムで美しく、類を見ない仕上げとなっています。スタンドとスピーカーは4本のねじにより、完全に一体となります。

M3の概要

M3には、2014 年に発表された10 周年50 ペア限定モデル『M Project』において導入された先進技術から、新デザインカーボンファイバーサイドパネル、グラフェン採用のミッドレンジとウーファー、新しいドライバーカップリングシステム、28mm口径のダイヤモンドコーティングされたベリリウムツィーターが採用されました。

ウーファユニット

MAGICOは、Q1でカーボンナノチューブを世界で初めてスピーカーユニットに採用しましたが、M3では世界で初めてグラフェンを振動板素材に用いました。グラフェンは、透明な膜のような極薄の素材で六角形の分子構造を持つシングルレイヤーで形成され、その強度は鋼鉄の100 倍を誇ります。

新設計の6インチのミッドレンジと7 インチのウーファーは、マルチウォールカーボンXG Nanographene と超硬ナノテックカーボンファイバー織布が採用され、コア素材として新たに硬質発泡体が使われています。両面にグラフェンを貼った超硬ナノテックカーボンファイバー織布がコア材を挟み込む合計7層の複合素材振動板は、従来のユニットと比較して、20%軽く300%の強度を達成しています。磁気回路には、ネオジウムベース・モーターシステムが採用され、ベンチレーションを施されたピュアチタニウム・ボイスコイルボビンとの相乗効果で、正確なピストン動作を実現し歪みを最小限に抑えます。ミッドレンジ用のポリマー製サブエンクロージュアは、最先端のシュミレーションソフトウェアにより生み出され、一切平行面を持たない形状で、その内部およびメインエンクロージュア内においても定在波の原因となりません。また、ミッドレンジユニット背面からの音圧 を適切にコントロールします。

3つのウーファーは、低域のスピードと正確さを損なわないよう、理想的な位置に縦一列に配置され、高いダンピング特性により広帯域にわたり不要共振を効果的に減少させる銅素材のガスケットで、金属製のエンクロージャーとメカニカル・カップリングされています。

ツイーターユニット

ツィーターには、『M Project』と同様の28mm 口径のダイヤモンドコート・ベリリウム振動板が使われています。ベリリウムにダイヤモンドをコーティングすることで、余分な重量増加を加える事なく高帯域再生においてさらに歪みを低減した、このウーファの採用によりM3は、極致の高域再生へまた一歩近づきました。

エンクロージャーとネットワーク

3次元マトリックスフレームワークにより構成されるM3のエンクロージャーは、カーボンファイバーを表面に用いた湾曲したサイドパネルの採用により、Qシリーズよりもさらに強固で内部共振抑制とダンピングが最小化されています。その結果、全てのユニットが極めて高い解像力とダイナミクスを両立し動作します。5つのドライバーは、マジコ独自のクロスオーバートポロジー(Elliptical Symmetry Crossovertopology)によってコントロールされ、リスニングルームにおいて最高の音楽再生を約束します。

専用ベース「MPod PLATFORM」

M3のために開発された、金属を特殊なダンプ材でセイシンする専用ベース「MPad PLATFORM」は。当初別売りでしたが、「このベースを使わなければM3本来の音質が実現しない」というMAGICO社の考えから「セット販売」となりました。そのためM3の価格は「ベース込み 10,480,000円 ペア・税別」という、途方もない価格となりました。

試聴環境

M3は、3号館「デジタル・コンサートルーム」に大型の木製制振ベース(熱研ダイハード)を置き、その上に直接設置しました。

Q1は、AIRBOW ウェルフロートボードに乗せています。

コンポネントは「TAD Reference D600/C600/M600」を使用し、スピーカーケーブルには、AET SIN/EVD、インターコネクトと電源には、AET Evidenceを使いました。

比較試聴した感想

今回の比較試聴は、「試聴会」を兼ねて行いましたので、ソフト別の細かな評価はありません。

また、昨年12月に同じ環境(コンポーネントは違います)で「YG Acoustics Heiley1.2 Carmel2」と「MAGICO Q1」の比較も行いましたので、その印象も付け加えた感想をお伝えします。

まず、構成が似ているので何かと比較されやすい「YG Acoustic」と「MAGICO」ですが、YGは色づけのないストレートな「モニター調の音質」に仕上げられ、やや墨絵に似た薄い色合い中の超デリケートなグラデーションの変化により音楽を伝えます。例えるなら、超高解像度のデジタル映像のようなイメージです。対するMAGICOは、楽器の色彩感が濃く、金属製のボディーを持つにもかかわらず「木製エンクロージャー」のようなリッチな響きを持っています。特にQ1は、響きが豊かで艶と色彩感のある音を聞かせてくれます。

M3はQ1に比べると、高域のエネルギーが強く歯切れが良く、やや乾いた方向に音質が変化しています。低音は、新型エンクロージャーとグラフェンを使ったユニットの効果で、同じユニット構成のQ3に比べてより引き締まり、歪みの少ないクリアな低音が実現しています。今回試聴に使ったM3がまだ、新しかったためか、Q1に比べて音がややあっさりして、YGに近づいているように思いました。

ツィーターの改良とウーファ−、エンクロージャーの改良はM3をより低歪みな素晴らしいHiFiスピーカーに変貌させましたが、個人的にはQ1が持っている「独特な空間表現力(定位の良さ)」と、32Hzの数値を実感させる低域の豊かさ(お世辞抜きに、交響曲を聞いても全く低音に不満を感じない)、さらに艶やかさと響きの良さで、音楽を楽しく聞くならベストMAGICOは「Q1」との印象は変わりませんでした。

この試聴会は、高音質音声付き動画をYouTubeにアップロードしていますので「次のページ」から、ご覧いただけます。

また、Q1の試聴では、アンプをTAD C600/M600から、真空管プリメインアンプのAIRBOW Stingray Ultimateに変えた聞き比べも行いました。Stingray Ultimateは、TAD C600/M600とは価格/重量ともに1/10程度で、出力も30Wに満たない小型の真空管プリメインアンプですが、C600/M600に遜色ない男の真野かさと低音の量感を持ち、さらに真空管ならではの透明な立体感と響きの美しさを実現できる、MAGICO Q1にベストマッチするアンプの一つだと思っています。TADトランジスタ−・アンプとAIRBOW真空管プリメインアンプの比較も、上のページの動画でご覧いただけます。

AIRBOW Stingray Ultimate 830,000円(税別)

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それとはまた別に、「YG Acoustics Heiley1.2、Carmel2、MAGICO Q1の比較動画もご覧いただけます。

MAGICO Q1は、3号館に常設していますので、AIRBOW Stingray Ultimateとの組合せで、是非聞いてみてください。一つの理想的な「オーディオ・システム」の存在を知っていただけると思います。

2017年2月 逸品館代表 清原裕介

 

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