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逸品館ショッピングカートメルマガ 2007.12.22
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前回のメルマガでは、HDMIについて反論のメルマガを送信しました。またHDMIに端を発して、大企業の在り方を批判しました。しかし、それは「大企業=悪」という単純な論点からの話題ではありません。
私たちは生きて行く上で、様々なものを消費します。消費と引き替えに私たちの暮らしは成り立っています。消費とは、すなわち破壊です。例えばエネルギーを消費すれば、それと引き替えに地球環境が破壊(汚染)されます。私たちが口にする肉類は、動物たちの貴重な命と引き替えに得られたものです。しかし、私たちはエネルギー消費による環境破壊を意識しないように、肉類を口にするときにも引き替えに失われた命、流れる血のことを顧みる事がありません(ベジタリアンのようにそうでない人達もいますが)。つまり、私たちの目は、つねに「自分の都合の良いこと」に向いていて、「自分の都合の悪いこと」を見ようとしないのです。
それは、大企業のみならず私自身も同じです。当然、HDMIによって得られる利益もあるのに、反論ばかり繰り返すのはフェアではないからです。
では、なぜそれをメルマガで発信するのか?私たちには「知る」と言うことが何よりも大切だ思うからです。豊富な情報から、正しい考えを導き出す。それは、動物の中で飛び抜けた知能を持つ人間に与えられた、ある種の責任のようにも思います。生きるということは、創造であると同時に破壊でもあります。言い換えれば、何かをすれば、良いことと悪いことが起きるということです。生きてゆくと言うことは、自分自身が変わると同時に自分を取り巻く環境も変えてゆきます。行動するときは、可能な限り豊富な情報を得て少しでも良い方向に変わるように考えられたら素晴らしいと思うのです。
今回は、HDMIの画質音質の向上作戦について考えます。従来のデジタル音声伝送とHDMIが根本的に違っているのは「映像信号」、「機器コントロール信号」などと音声が一緒に伝送されていることだけではなく「クロック信号」が含まれていないと言うことです。従来のデジタル音声信号では、クロック信号とデーターは同時に送信され「送り側と受け側では、おなじクロック」を共用していました。
HDMI伝送では、データーは「パケット」に分割されて送信され、受信側は、受け取った「パケット」からデーターをデコードし「受信側で生成したクロック」でデーターを時間軸上に再配列しています。つまり、送信−受信の間にクロックの揺らぎ(ジッター)が、原理的に発生しないのです。音を悪くする悪玉のように言われている「ジッターがない」ということは、従来からの大きな進歩です。また、データーが連続的に送信されるのではなく、パケットに分かれて断続的に送信されるため、データーの欠落も存在しないと考えられます。つまり、理論的に考えてHDMIの音質・画質が従来のデジタル伝送方式よりも劣るということは、考えられないのです。
しかし、何度も繰り返してきたように現実は全く逆です。次のページにも掲載しているように、DVDプレーヤーとAVアンプのデジタル音声伝送の音質を同軸(RCA)とHDMIで比べてみればそれは明らかになります。HDMIは、音が細く、固く、広がりがなく、かなりドンシャリした「中抜け」の音になるからです。輪郭だけがあってボディーがない。これでは、リスナーに深い感動を与えることはできません。
理論的には優れているのに、現実はそうではないと言うことは、「何か問題が発生している」ということです。画質・音質を良くするためには、この問題を解決すればよいのです。正しい情報に基づいて解決法を探ることが「工夫する」ということです。工夫して良い結果が出れば、心は躍ります。誰かに話したくなって、その喜びを分かち合いたくなります。同志が憩い、楽しみの輪が広がります。それが「趣味」への入り口です。
しかし、HDMIという規格は「開かれた」ものではないため、ケーブル一本作るにも大金を利権者に支払わなければならなくなります。そのためにHDMI関連の「パーツ」を「工夫して作る」ことは、現実的に非常に難しく、また技術的にも難しい状況です。規制が強まれば、製品の画一化が引き起こされます。家電のみならず車や、食品などあらゆるところで「規制」が強まっています。その結果、製品の多様性が失われると同時に工夫する喜びも奪われています。工夫できない製品は、使うことに喜びが感じられないため、すぐに次の新しい製品が欲しくなります。ある意味では、情報過多なインターネットの存在も工夫する喜びを奪っています。答えのわかっているクイズなんてちっとも面白くないからです。
世界的な「規制」は、現在大国や超大企業により定められていますが、それがフェアなもであるとすら私は考えていません。例えば、地球温暖化によって規制が強まれば、対策関連製品を作っている会社に利益が生まれるように、あらゆる規制が一部の階層に富をもたらすからです。つまり、多くの「規制」は人々の暮らしを豊かにするためではなく、特定の国や企業に富を誘導するために作られているのです。本来、このような「規制」は、経済とは無関係で公平な第三者によって作られるのが理想です。このまま話を続けると、またいつもの「愚痴」になってしまうのでこの辺にしておきましょう。
さて、HDMIの音質・画質が理論通りに発揮できない理由ですが、データーに欠落が無いとすれば、問題は「アナログ領域」にあるに違いありません。アナログ領域に悪影響を与えるもの、それは「高周波ノイズ」です。HDMIは、原理的にも現実的にも従来のデジタル伝送に比べて、圧倒的に大きい「高周波ノイズ」をまき散らしています。デジタル回路では、これらのノイズを効果的に遮断(あるいは影響を受けない)することでデーターの劣化が防がれているはずですが、データーと共に流入するノイズがアナログ回路に大きな悪影響を及ぼしているのではないだろうか?と考えています。本来ならば、機器の内部や回路そのものでノイズ対策を行いたいのですが、コンピューターそのもののようなHDMIの回路や素子に手を加えることは、専門的な解析装置と設備がなければ不可能です。
では、絶望的か?ただ一つ方法があります。それは、「ケーブル」です。HDMIは、デジタルデーターをバランス伝送している関係で、ケーブルの長さやインピーダンスがほんの少しずれるだけで、ch間の相互干渉がずれてしまい、それが大きなノイズを発生すると考えられます。また、ケーブル間での信号の飛びつきもノイズ発生の原因になっているはずです。
機器の内部やコネクターに手を入れられない以上、我々にできる唯一の対策は「良質なケーブルを使うこと」です。本来デジタル伝送の品質が「ケーブルで変わる」ということはあり得ないのですが、HDMIの音質・画質は、ケーブルで激変します。それは、多分ケーブルの品質を上げるノイズが減るからでしょう。WIRE-WORLDのみならず、SONYのような大手メーカーからも、高品質なHDMIケーブルが発売されています。この事実から、HDMIがまだまだ未完成な技術であるということが伺えます。未完成ということは、工夫する余地があるということです。今後、いろいろと試しましょう。
このように工夫する余地(工夫するためのアクセサリー)が少ないAV関連機器に比べて、オーディオ・アクセサリーは、まさに百花繚乱の状態です。これも、オーディオ機器の均一化(メーカーによる違いが小さくなった)が進んだ結果です。つまり、機器を買い換えるよりもアクセサリーを使う方が「音が変えられて面白い」とお客様が選択された結果です。レコードの時代には、10万円を超えるようなRCAケーブルは存在しませんでした。カートリッジで音を変えられたからです。
しかし、CDが主流になってレコードとカートリッジが無くなったことで、ケーブルなどのアクセサリーがそれに取って代わったのです。一時、オーディオ・アクセサリーの価格は、文字通り鰻登りでミニコンポに100万円もするケーブルを使っているというような、笑い話にもならない噂が流れたほどでした。現在、少し収まってはいますが食品や化粧品、薬品のように「効果が絶対的な数字として表せないカテゴリーの商品」では、やはり「価格が唯一の指標」となるためか?やはり、そこそこの高価格でないと販売が芳しくないという状況は相変わらずです。
AETの新型RCAインターコネクトケーブルも、最も高価なSIN-LINE-EVOが金額ではなく、本数ベースで売れてしまうと言うことがそれを端的に現しています。確かにSIN-LINE-EVOは良いケーブルですが、だからといってそれよりも低価格のケーブルが「劣る」と言うことではないのです。「どうせ一番高いものが欲しくなるに決まっているから、最初に一番高い製品を買った方が損しない」という考えは、当を得ています。実際、このあたりの判断は非常に難しいのですが、あまりにも高級品にばかり需要が偏ると、何だが複雑な気持ちになってしまいます。
製品に頼りすぎず、使いこなしの工夫を凝らす。製品を買ったことで満足するのではなく、それを使い切ることにより大きな喜びを感じる。そのバランスが大切です。幸いAIRBOWのアクセサリーは、効果を損ねず価格を抑えていることが高く評価され、販売は好調です。今後も逸品館では、AETのような高級アクセサリーとAIRBOWのような、コストパフォーマンスに優れるアクセサリーの両方を取り揃え、お客様のニーズにお応えしたいと考えています。
そして、それらの製品よりももっと重要なのが「使いこなしの情報」です。私が、この業種を選んだ一番大きな理由は、ここにあります。お客様に「有益な情報や正しい情報」が極端に少なすぎると感じたからです。その状態は、今も大きく変わってはいません。オーディオ関連雑誌の記事は、情報ではなく「広告」でしかありません。常に新しい製品、新しい技術が良いとされているのは、おかしいと思いませんか?家電業界の在り方に警鐘を鳴らしましたが、その警鐘を我々の業界は、もっと前に真摯に受け止めるべきだったのです。自己の利益に走らずにお客様の喜びや、満足感を大切にしなければ、お客様は離れてゆきます。逸品館は、そうならないように「豊富な情報」を今後も発信してゆきたいと考えています。