逸品館メルマガ バックナンバー 066

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逸品館ショッピングカートメルマガ 2007.12.29

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今年の漢字は「偽」でした。あえて言うまでもなく、今のメディアから発信される情報は、「偽情報(利己的にねじ曲げられた情報)」で溢れています。では去年は「偽」は無かったのでしょうか?100年前は?そんなことはありません。ではなぜ今頃になって「偽」が問題になるのでしょう?この100年は、人類にとって激動の時代でした。石油内燃機関と通信の発明に端を発し、コンピューターとインターネットの発展によって距離と時間の制約を受けずに「情報」を得ることができるようになった結果、人間の知覚は、肉体と言う制約から解き放たれ「現実」ではなく「情報」が「人間の現実を支配する」ようになったからではないでしょうか?

 

今、私たちを取り巻く環境は、かつて人類の歴史になかった速度で大きく変化しています。しかし、私たちの精神や肉体は、それに対応できる速度では「進化」できません。技術革新とは違って、動物の「進化」には、数万年単位の時間が必要だからです。肉体や精神が環境に対応できなくなった結果、体と心のバランスが崩れて「心の病気」が、現代社会に蔓延しつつあるように思います。やる気がなくなったり、憤懣が爆発したり、「心の荒廃」と呼べるような社会が抱えるこの問題は、「資本主義経済の発展」と関連が深いと考えています。資本主義経済は「消費」によって成り立っていますが、「消費」を活発化させるためには、意図した「廃退」が必要です。「新しい物を買ったら幸せになれる」と言うことは、裏を返せば「あなたの今の生活は不幸ですよ」と言っていることに他ならないのです。新しい物を買っても、さらに新しいものが発売される。高価な製品を買っても、さらに高価な製品が発売され不満が出る。「不満足のインフレーション」によって資本主義経済は、成り立っています。それが「氾濫する情報」に煽られて歯止めが利かなくなったのです。

 

それでもいわゆる「勝ち組」に属し、資本主義のインフレーションについて行ける間は、うわべだけの幸せを味わえます。しかし、それに溺れて人間本来の価値観を見失い「勝つ」という単一の価値観の奴隷に成り下がった瞬間に待っているのは「不満の蔓延」です。人の生活が羨ましく思え、購入できることのない高価な製品に憧れ続ける。目にするすべてのものが現状への不満に繋がってゆきます。心は荒廃し、生きる気力が失われます。まるで生きながら死んでいるようなそんな気分になることもあるでしょう。渇きを癒さない水を飲み続けるようなそんなことを続けて、人生が楽しいのでしょうか?

 

価値観の組み替えが必要です。槇原敬之さんの歌「世界に一つだけの花」のように、幸せの定義は人が決めるものでも、まして社会が決めるものでもありません。幸せは「その人」が決めるものなのです。

前回のメルマガでも論及しましたが、あまりにも需要が高級品にシフトしすぎています。もちろん、逸品館はその名の通り「逸品」を販売する会社なので、需要が高級品にシフトすることはマイナスではないのですが、それがお客様の本当の幸せに繋がるかどうかを考えると、心は複雑になってしまいます。「目に見えない幸せ」という「満足」があって良いと思うからです。形のあるものは失われます。お金は使えば無くなります。形あるものはすべて、消費によって失われます。しかし、良いものを買った、上手く使いこなせた、家族が友達が喜んでくれた、それを分かち合えた、趣味の友達と共感できた、そういう楽しかった記憶は、決して失われません。お金は天国に持って行けませんが、楽しかった記憶は持って行けるのではないでしょうか?形があるものを形がないものに置き換えて行くことで私たちの幸せは、消えないものになるのではないでしょうか?目の前の価値観を見直してみませんか?「世界に一つだけの幸せ」を見つけるために。

私の今年を漢字にするなら「変化」です。何かが、大きく変わってしまったのではありませんが、着実に自分の考え方が「変化」したと思います。今までの私は、どちらかと言えば「単一の価値観や、絶対的な正解を求めて突っ走る」方向性で生きていました。もちろん、基本的な性格や考え方は今も変わりませんが、そこに新たに「多様性を認める、受け入れる」という変化が加わりました。

私は、日本人はその民族性や教育の影響で「絶対的な単一性」を求める傾向が非常に強いと感じています。テストの設問もたいていの場合、一つの答えを求めるように設定され、日本のテストは、1+10=?。イギリスでは、?+?=11。と設問の目的から違います。これからも明らかなように、日本人は一つの答えを「絶対視」し、そこに「所属する」事によって安心感を覚えます。この日本人の特異な民族性と「勝つ」という価値観が合致したときに、不幸はより深くなります。つまり、大勢が認める「価値観」に自分が属していないことを「誤り」と感じたり、それを「負け」と誤解してしまうからです。

自分の「幸せ」は、自分自身で見いだすものです。人の言葉の左右されているようでは、それは本当の幸せではないかも知れません。私の言葉に左右されているようでは、まだ本当の「音」を見つけられていないのかも知れません。「偽」が多く含まれる情報に左右されず、しっかりと五感を研ぎ澄まし「自分にとって必要な情報」をセレクトしてください。そして、自分が「幸せ」を感じられる価値観を見つけてください。そのために一番必要なものが「変化」なのかもしれません。

移り変わる時代の中で「変化」を続けながら、来年も私たちの「顔」をお客様に感じていただけるような、そういう気持ちのこもった専門店でありたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

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