逸品館メルマガ バックナンバー 094

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逸品館ショッピングカートメルマガ 2008.09.22

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9月18日の木曜日は、大阪を代表する高級ホテル「帝国ホテル」で開催された、超高画質プラズマテレビPioneer "新型kuro"と"秋の新製品"の発表会に行ってきました。この製品は、ブラウン管に匹敵するコントラスト比を実現したプラズマテレビ最高画質の製品です。この発表会の模様は、一足先に弊社・古谷が逸品館ブログに掲載しています。この発表会は、「販売店対象」なので一般顧客は入場できません。

 

今年、新社長に就任された山崎氏の挨拶は、「撮影現場の感動をリビングに届けたい」、「今一度、リビングを感動で繋がる、家族団らんの場に変えたい」という内容でした。そこには、他の家電大メーカーのようにコスト一辺倒にならず「画質・音質」の向上を怠らない「Pioneerブランド」の心意気と情熱が強く感じられました。


社長挨拶の後、個別に作られたブースに移動して「PIONEERの担当者」による説明を受けながら、それぞれの新製品を試聴しました。会場の都合でまず、サラウンドの音、新型KUROの絵、開発中のフロントサラウンド、メリディアンの一体型DVDレシーバー(ラジカセのような大きさでスピーカーも搭載しています.価格は30万円を超える凄いプライス!)の順序で新製品を体験しましたのでその様子をご紹介いたしましょう。

最初の「デモ」は、私にとって疑問の多い「BD/ブルーレイ」によるサラウンド体験です。スピーカーは、PioneerのトップモデルS-1EXを中心とした最高級グレードが揃えられていましたが、ちょっと遅れて入場したので、アンプやプレーヤーに何が使われているかわかりませんでした(もちろんPIONEER製品です)。

入場したときはDVDビデオが再生されていましたが、それを知らなかった私は、その音をブルーレイの再生と勘違いし、「この音ならピュアCD/SACD程でないけれどまあまあ聞ける」という印象を持ちました。少なくとも今までのPIONEERやその他のメーカーの試聴会やイベントで聞いたDVDビデオの音よりは格段に良くなっていると感じました。

続いて担当者は、ソフトをブルーレイに変え、96Khz/24bitのPCM(5.1ch)の非圧縮のサラウンド音声を再生し、DVDからの音質の向上を訴えました。しかし、残念ながら私の耳ではDVDビデオとの差は感じるものの「どちらでも良い」としか思えないような差でしかなく、やはりBDの音は鳴り物入りでもこの程度なんだとがっかりしました。

続いて、画質検証用のブルーレイ・デモソフトに収録されている3種類の音声トラック、「PCM(96Khz/24bitだったと思う)」、「Dolby True Digital(以後DDと記述)」、「DTS Master Sound(以後DTSと記述)」を切り替えて、交響曲を聞き比べました。


PCMの音は、すべてが前に出て頭の中に音を突っ込まれる印象でうるさく、とても聞けたものではありません。DDに切り替えると音が自然に広がり、楽器の分離や立体感も向上しました。この音なら、私が高音質を認めるSACDのマルチに近い感覚で演奏が聴けます。DTSはDDよりもさらに素晴らしく、中央の定位感が強くその周りにエコーが広がる感じで映画的な音だったDDに比べ、中央の前後方向への広がりがより大きくなり、楽器の分離感と明瞭度感(より細かい音まで聞こえる)も向上し、コンサートホールで実際に演奏を聴いているのと同じようなすごく自然な感覚でソフトを楽しめました。

最後に映像が収録されていないBD(音声のみのBDソフト)の音を聞きました。このディスクには、BDの最高フォーマットである192Khz/24bitの高音質で5.1chの音声が収録されています。音が出た瞬間に!言葉を失いました。最初に良くないと思った96Khz/24bitよりもさらに音が悪かったからです。空間が広がらず、狭い音場エリアに音が無秩序に詰め込まれ、何もかもがぐちゃぐちゃで耐えられないサウンドです。このディスクを作った人達は、本当にホールで交響曲を聴いたことがあるのでしょうか?信じられない悪い音でした。

このイベントルームの試聴では、BDのDolby True DigitalとDTS Master Soundの音質は、従来のDDやDTSを大きく越えていることが確認できました。また、その音の広がりと定位の傾向から、DDの音は「映画」に向き、DTSの音は音楽に適しているように思いま
した。その反面、PCMで収録された音は非常に悪く(少なくとも今回使われたソフトの音ではダメ)、DVDビデオに明らかに劣りました。


新製品の度重なる改良でAV機器の音質は、10年前に比べて格段に良くなっていますし、PIONEERの音は他メーカーと比べても良いと思います。しかし、それでも逸品館で聞けるサラウンドの音と比べると、そのPIONEERのサウンドでもまだまだ成長(改善)の余地がありと感じました。試聴会では、もっといい音を出して下さらないと困ります。

次にKUROのデモを見ましたが、さすがにPIONEERが命運を賭ける製品だけあって、その内容は凝っています。正面には特設ステージが設けられ、3列2段に6台の大型テレビがはめ込まれています。入場した時点では、中央下のTVは隠されていて、左右に2台中央上に1台のTVが見えます。左が他社のプラズマで右が他社の液晶という説明の後、この5台でPIONEERがKURO用に作った新しいデモソフトを見せられます。このソフトでも中央のKUROの画質が優れていることがハッキリと分かります。

やっぱり"KURO"は違う!と感心させておいて、中央下のパネルを取ると新たなプラズマTVが登場します。担当者は淡々と、「実はこれからお見せする、中央下段のプラズマが新型です」と説明します。この演出は見事でした。サラウンドのデモもこれくらいのレベルでやってくれたら・・・。オーディオやAVという趣味に対する一般の認識が変わると思います。オタク的なものから、文化的なものへと!PIONEERさん、是非宜しくお願いいたします。

この時に見た「デモソフト」の内容も素晴らしいものでした。著名な映画監督や映像クリエーター、作曲家などが次々と登場し映画やドラマにかける彼らの思いを切々と訴えます。彼らが語る、その熱い内容には頭が下がる思いです。中でもとある映画監督(名前を失念)が「名画を見るときにコントラスト比を考えますか?名画のコントラスト比を計りますか?そういう簡単でばかげた指標で映像の感動は表現できません!」と力説している場面では、体が震える程感動しました。全くその通りです!家電メーカーの掲げる、カタログスペックなど、芸術の本質の前では何の価値もありません。その熱いメッセージから、PIONEERがKUROに賭ける本気の情熱がひしひしと伝わってきました。PIONEERさん!わかっているじゃありませんか!

新製品の画質は部屋を真っ暗にした場合には、新旧の差がはっきりとします。しかし、部屋が通常のリビングの明るさであれば、その差はあまり感じられないと思われるものでした。弊社・古谷のコメント通りです。しかし、この素晴らしいデモを見せられると・・・、誰だって新型が欲しくて仕方なくなるでしょう。それが無駄遣い、過剰な投資だとわかっていても、気持ちが止められなくなるような、良いデモを久しぶりに見せてもらいました。ありがとうございます。

続いて、フロントサラウンドのデモルームに移ります。この部屋ではPIONEERが開発中のフロントサラウンドとドルビーのフロントサラウンドを比較しました。前者はセンターを真ん中に置かない(左右に小さな3個ずつのスピーカーを使用)方式で、後者はTV台の中に収納されたL/C/Rの3つのスピーカーを使っています。PIONEER方式は左右に広がりますが、中央の点が薄く前後音が広がりません。ドルビーは、音が中央に集中しセンター定位と前後方向の広がりは良いのですが、左右への広がりは小さくなります。


効果音の広がりはPIONEERが優れ、台詞のニュアンスや明瞭度は当然センターのあるドルビーが優れています。結論から言うと、どちらが良い悪いではなくそれぞれ一長一短という印象です。可能ならPIONEER方式にセンタースピーカーを追加するのがベストだと感じました。このような、リアスピーカーを使わなくてよいフロントサラウンドには各社力を注いでおり、PIONEERも遅ればせながら製品開発を開始したようです。しかし、そんな杓子定規に考えなくても、普通のAVアンプを使ってTVの下に5本のスピーカーを並べるだけで十分なサラウンド効果が得られるため、逸品館はお客様に「フロントに五本のスピーカーを置くだけでよい」と説明しています。

 

本当にそれで十分なのにどうして音響のことになると、日本のメーカーはあんなにオタッキーになるのでしょう?不思議です。オーディオ関連雑誌や評論家の影響でしょうか?少なくともユーザーが「それを望んでいないことだけ」は、間違いないはずです。難しい方式でなくても、簡単に音がよければそれでよいのですから。

最後にMERIDIANの大型ラジカセ程度のボディーにDVDプレーヤーとアンプ、スピーカーを収納したお洒落な一体型DVDプレーヤーを見ました。映像はS端子で出力されます。音はさすがになかなか良く、このサイズでKUROの高画質に見合う程よい音が出ます。デザインも綺麗なのですが、30万円を大きく越える価格はどうなんだろう?と思いました。

視聴会の途中で新社長「山崎氏」と会談する機会を得たので、BDとDVDに関する私の主張を次のように伝えました。BDと並行して、高画質・高音質DVDプレーヤーを作るべきではないかと(高画質DVDプレーヤーは11月発売と東芝が発表しました)。新社長様からは、次のような返答を頂戴しました。PIONEERは、BDの立ち上げと普及に向けて最大限の技術エネルギーを投入しているため、高画質・高音質DVDプレーヤーの開発にまで手が回らなかった。確かにそのような需要はあるかも知れない、ただ今からその開発を行うと発売までに1年以上かかる。それだけの時間があればBDをさらに良くすることにエネルギーを割いた方が得策と考える。納得しました。ビジネスとして考えるなら、それが正解でしょう。

しかし、それにしてもDVDからBDへのラインナップ変更は、あまりにも急激すぎます。原因はコンテンツホルダーも家電メーカーも、それだけ「儲からなく」なってきたからでしょう。CD/DVDはコピーし放題、中国を始めとするアジア圏の海賊版の氾濫には目も当てられません。新製品も一年を待たずして価格が半分になるほどです。だから、儲けの太い新製品、新規格への移行を焦る気持ちは分かります。しかし、焦りすぎ、やり過ぎです。

今のCD/DVDソフトで機器を選び工夫をすれば、十分な映像と音質が得られるのですから、あわててBDに飛びつく必要はないと思います。DVD/BDビジネスは、今過渡期です。数年すれば、落ち着くと思います。一度買ったものを数年で買い換えるのならともかく、5年10年使い続けようとお考えなら高級プレーヤーの購入は、しばらく待った方が良いかもしれません。ここ数年の性能向上と価格の下落が著しいのではないかと予想されるからです。

それに対し、AVアンプやディスプレイ(TV)はここ数年間で驚くほどは進歩しないはず(隠された新技術が登場しない限り)なので、今高級機を買っても大丈夫だと思います。スピーカーに関しては、当分進歩はなさそうです。大好きなスピーカーをいつ買っても後悔することはないはずです。こんな私のつまらない予想が、皆様の無駄のないご購入計画のヒントにでもなれば幸いです。

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