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逸品館ショッピングカートメルマガ 2009.4.19
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先号のメルマガで「音源はCDだけじゃない」と訴えました。それを実践すべく、今週はノートPCとAIRBOW
AV8003/Special(製品版のプロトタイプが完成しました)をLAN接続し、音質チェックのために音を出しました。
繋げばすぐに音が出る、同軸デジタルケーブルやHDMIケーブルと違ってLAN経由で音楽(ビデオや画像も見られます)を楽しむためには、事前にLAN接続のセットアップが必要です。これは、中々面倒でPC関係にちょっと詳しくないと、繋げないかも知れません。では、接続から簡単にご紹介いたしましょう。
AV8003の説明書には、PCとの接続には「スイッチングハブやルーター」を使うように書かれています。手元に使える「スイッチングハブ」がなかったので、それを無視してPCとAV8003を直接lanケーブルで繋ぐと動きませんでした。これは多分、接続に「ストレート型LANケーブル」を使ったせいだと思います。一対一のLAN接続に用意されている「クロス型LANケーブル」なら動いたと思います。仕方ないので、とりあえず小型のスイッチングハブを買って接続を試みると結構あっさりとPCとAV8003が繋がりましたIPアドレスの設定などは自動のままでOKでした)。接続が完了すると、PC側からWINDOWS付属のメディアプレーヤーを立ち上げて「ライブラリーの共有設定」で「Marantz
AV8003」の「共有を許可」の設定を行います。
接続が成功していると、WindowsMedia Playerの「ライブラリ」−「共有設定」の画面に「marantz
DMP(AV8003のこと)」が見えますから、それを選んで「許可」を選択すると、AV8003からの操作でPC内の音楽、ビデオ、画像ファイルが再生できるようになります。操作は至って簡単で、AV8003のリモコン操作により、PCの「マイドキュメント内のマイビデオとマイピクチャー」に収録されているすべてのファイルが見れるようになります。操作の感覚は、i-podなどに準じる感じでWindows
Media Playerのファイル選択機能(曲名やアーチスト、評価によるファイルの選出や並び替えなど)がAV8003でも使えるようになります。使い慣れるとこれらの機能は大変便利です。
私は、幸いにも1時間も掛からずに接続と共有設定を終えることができましたが、それにしても説明書は難解で、スムースな場合には問題ありませんが、予期せぬトラブルが発生した場合などには、接続がかなり難しくなると思います。弊社ビデオ担当の古谷は、PCのファイヤウォールの設定のせいで共有ができず、結局接続にまでにまる3日掛かったそうです。LANによるメディアの再生はこのように大変便利な機能ですが、それらを使いこなせるまでのハードルは結構高く、PCの操作に慣れていなければ、使う気にはなれない方が多いのではないでしょうか?ディスクを入れてプレイボタンを押すだけで再生が開始される、CD/DVDプレーヤーは便利さを改めて実感しました。音や絵が出なくて、イライラせずに済みますから!
私の個人的なイライラはともかくとして、こういう「機器の操作に慣れる」部分で「デジタル」と「アナログ」に大きな違いを感じます。パソコンやデジタル家電(特に携帯電話)を使いこなすためには、かなり分厚いマニュアルを記憶しなければなりません。そして、折角覚えた機能でも機種が変われば、また始めから覚えなおさなければならないのです。そういう「機械固有のインターフェイス」を学習できるかどうかで、デジタルは使う人を選びます。
これに対し、デジタル部分が全く存在しない機器では「機器固有の使い方」を学ぶ必要は最低限で済みます。その代表として「自転車」を考えてみましょう。パソコンと違い、「自転車を乗りこなす」ために複雑なマニュアルは必要ありません。交通ルールは別として最低限の操作さえ覚えてしまえば、小さな子供でも「自分の体の一部」のように自転車を乗りこなせます。そして、その感覚を一度習得してしまえば、一生を通じてあらゆる自転車に乗ることができます。このような比較を考えると、デジタルは便利なようで案外不便なことに気がつきます(ここで言うデジタルとは、PCのようなバーチャルなマン−マシンインターフェイスを有する機器という意味です)。
例えば、AV8003とPCを使えば「欲しい情報(メディア)」を素早く見つけられます。しかし、その簡便さを得るために、事前に「無駄な時間」を費やさなければならないからです。そういうインターフェイスを覚えることを喜びと感じる方でなければ、このようなデジタル家電、PC、携帯電話のような「人間を機械の奴隷にしてしまう側面」には付き合いきれないこともあるでしょう。マニュアルがなくても、自転車のように「人間が主役で、そのすべてを直感的に理解して使いこなせる機器」にデジタル家電も早く進歩して欲しいと思います。
デジタル家電を考えると、私はイライラと共にどうしても頭から離れない「危機感」があります。それは、無から有を生み出す人間の素晴らしい「身体感覚」が奪われることへの恐怖です。
このお話も何度か繰り返していると思うのですが、人間の感じる現実は「頭の中で作られたもの」であり、目の前の現実そのものではありません。現実をより現実的に感じるために必要な能力が「身体感覚」です。自転車を乗りこなすための能力もこの「身体感覚」です。簡単に言うと「現実」と「脳の中の現実」の「すり合わせ」を行うための能力です。
この「身体感覚」が鋭敏であればあるほど、人間は「現実」を素早くそして正確に感じ取れます。「空気が読める」と言い換えられるかも知れません。とにかく、俊敏に周りの世界を濃密に感じられるようになります。身体感覚は人間と人間、人間と現実を正しく結びつけるために欠かせない重要な感覚です。
アナログ製品は、ほぼ間違いなく人間の身体感覚に「正しく訴える」ことができますが、出来の悪いデジタル家電は人間の身体感覚を「狂わせて」しまうのです。オーディオも全く同じで、それは正しく使えば人間の身体感覚を高めてくれますが、正しく使えなければ逆に人間の身体感覚を狂わせます。
音源がレコードプレーヤーやテープレコーダーのような「アナログ」からCDプレーヤーを越えてHDDの中に存在する「デジタルデーター」となって行く過程でその危険性はさらに高まります。AV8003の便利さに感心しながら、同時に絶対に「失ってはならないもの」の存在もきちんとお伝えしなければと強く感じました。
次号は、AIRBOW DV-60/UltimateとAV8003/Specialの音質について、お伝えできると思います。両機とも「デジタル臭さ」が全く感じられない、飛びきり自然な音質に仕上がりました。皆様のご期待に添えると思います。