鬱陶しい梅雨が続いています。こんなときは、人間の自由にならない自然が疎ましく感じられます。しかし、どうあがいても人間は自然には逆らえないし、例外的に人間が作り出した原子力を除くほとんどのエネルギーは自然からの恵みです。そして、人間が自然に頼っているのはエネルギーだけではありません。
今週、三重県賢島周辺に魚釣りに行ったとき豊富な緑に囲まれながら、動物の存在って自然にとって何だろう?と考えてしまいました。動物が生き続けられる環境を作っているのは、太陽からのエネルギーを光合成で恵みに変えてくれる植物が存在するからです。しかし、植物は微生物さえ存在すれば、動物がいなくても生きて行けます。動物や人間が滅びても植物は生き残れることを考えると、地球にとって動物は不必要な存在なのでは?とふと感じてしまいました。梅雨の雨は私たちには疎ましくても、植物には天からの恵み。人間の勝手な都合で鬱陶しいなんて言っちゃ罰が当たりますね。
まだ宿題は残っていますが、今週は精力的にテストレポートを書きました。最新機種のレポートをまとめながら強く感じるのは、近年の急速なデジタル技術の進歩です。デジタルオーディオは確実に新しい世代に入りつつあります。高級品は従来と比較にならない程の素晴らしい音質に進化し、低価格品も少し前の高級品と変わらない緻密な音が出せるようになっています。音が悪いと言われたデジタルボリュームもアナログよりも高音質になっているほどなのです。
ここ数年、デジタルの進歩によってオーディオ機器は大きく進化しています。同じデジタル技術を使う家電の性能の向上、価格の低下は驚くほどです。しかし、決して良いことばかりではありません。デジタル家電の進歩の影で繰り広げられる過激な価格競争により、大手家電メーカーの決算は明暗が分かれています。売り上げが上がっても利益が出ないデフレスパイラルで各メーカーは苦しんでいます。そんな中で疑問に感じたのは、トヨタが2013年までに車の価格を3割下げると発表したことです。ヨーロッパの自動車メーカーが再びプレミアム路線を歩もうとしているのと対照的です。確かに韓国のヒュンダイ自動車などの低価格と品質向上は目を見はるものがあって、慌てる気持ちは分かりますが、そんな発表を行ってはたして全体のプラスになるのでしょうか?デフレに拍車をかけメーカーをさらに窮地に追い込むことになるのではと強い疑問を感じました。
政治の世界では、総理大臣が変わり消費税のアップなど民主党が掲げたマニフェストと異なる方針を発表しています。マニフェストを守る守らない以前に、マニフェスト自体が「票集め」しか考えていないように思える中身のないものになっているようにも思います。そんな流れの中、より強い憤りを感じたのは、参議院選挙の選挙運動の車が「投票カードの1枚目には、○○○×××、2枚目には、○○○×××、とお書き下さい」とただ立候補者の名前だけを繰り返していたことです。政党名もなし、政策もなし、ただ名前だけを連呼する。こんな有権者を馬鹿にした選挙運動があるのでしょうか?
事業仕分けで様々な無駄遣いがカットされています。このような選挙運動に税金が使われているとすれば、それこそ無駄遣いというものです。なにもやたらとばらまくのが良いとは言いませんが、税金を使わなければ確実に景気は下向きます。大阪の景気が東京に比べ著しく良くないのは、公務員の給与を下げたためだと言い切れません。一部の公務員の給与が一般企業に比べて高めに感じるのは否めまないことです。しかし、恵まれた収入を持つ彼らが使うお金が景気を下支えしていなかったと言い切れるでしょうか?
発達しすぎた情報社会では、ちょっとした舵取りのミスが思わぬ所で致命傷となりかねません。本当に危ういバランスの上に世界経済は成り立っています。良い方に転ぶのも、悪い方に転ぶのも、まさに紙一重なのはハイエンドオーディオのセッティングも同じです。互いに必要とされる明晰さと冷静さは、案外と似ているのかも知れません。