すでにご存じのように昨年のCDの売上はまたしても減少し、ミリオンセラーはダンスミュージック系のビジュアル込みのソフトが中心でした、中身の「音楽」で真っ向勝負できる本格的なPOPS/ROCK/JAZZ/CLASSICは、以前に比べかなり減少しています。このようなことから一部では音楽離れが指摘されていますが、私はそれがすなわち音楽文化の衰退の現れであるとは考えていません。
流行歌のように「通り過ぎる音楽」もあれば、名盤のように「長く愛される音楽」もあります。クラシックに目を向けるなら、バッハ、モーツァルトの時代に古典的な音楽は完成しています。当然マネをすることができないので、それ以後の作曲家は「なにか違うこと」をしなければなりません。ROCKやPOPSも同じで、時代が進めば進むほどどんどん「やれること」は少なくなります。すでに十分な「名盤」と「そのコピー」が残っている時代に、それらを超える「新しい音楽」が少なくなり、音楽性で勝負できるディスクの売り上げが減少するのはある意味で当然だと思います。またそれに加え、音楽のコピーと配信が簡単になりすぎて世界中で同じ音楽を即座に聴けるようになったことも、音楽の短命化に拍車をかけていると思います。
音楽は、昔に比べて「利益のでないコンテンツ」になりました。利益を産まない産業や文化は遅かれ早かれ消滅します。音楽の主流がクラシックのようにコストのかかるものから、簡易なダンスミュージックのようにわかりやすく、コストが安く作れて短期的に利益を生むものへと変化するのは当然の流れです。しかし、クラシックの衰退が即座に音楽文化の衰退だとは考えられません。現実に目を向ければ携帯の着メロに代表されるように、現代のあらゆる機器からは日常的に音楽が再生され、そういう意味で今ほど音楽に溢れている時代はありません。
電子楽器の発明がROCKやPOPSをCLASSICを超える音楽へと進化さたように、新しい音楽は、新しい楽器と共にやってきます。オーディオの発明は音楽をよりポピュラーなものへと変え、携帯ミュージックプレーヤーのブレイクによってそれはさらに進化します。それが21世紀の新しい音楽文化の幕開けです。音楽はよりわかりやすく、より簡便なものに変化してゆくことでしょう。
では、映像はどのように変わるでしょうか?TVの登場でラジオが衰退したように、インターネットの台頭でTVは衰退の危機に直面します。放送局はインターネット・コンテンツとの差別化のため、3Dやハイビジョンによる「高画質化」を目指しましたが、すでにUstreamやYou
tubeでさえも「ハイビジョン」で配信が可能です。逸品館が行っているUstreamによる情報発信も「画質」はハイビジョンに劣りますが、「音質」は大幅にTV放送を凌駕しています。最新の逸品館U
Stream チャンネルの音質なら十分に「機器の音の違い」が伝わると思います。
Ustream、You
Tubeはその低コストにも支えられて「莫大に豊富なコンテンツ」を蓄積し、発展を続けています。結局TVには、「コンテンツの高品質化」しか残されていません。安易な取材、広告かニュースかわからないような報道、日本の未来を全く見据えていない内容のなきバラエティー番組の羅列・・・、これでは先は長くありません。確実にTVは消えるでしょう。そして新聞も、例に漏れません。
しかし、巨大な利権と共に腐敗してきたTV/新聞という巨大コンテンツの崩壊は、決して悪いことばかりではありません。権力により隠蔽されていた社会の暗部が見られるからです。民意を反映したコンテンツの増加により、これからの社会が大きく変わることは疑う余地がありません。それを明るい未来に繋げるのが私達の責任です。
今年も逸品館はオーディオ・ビジュアル関係の有益な情報の発信に努め、微力ではありますが音楽・映画文化の発展と皆様の満足な日常のお手伝いができればと考えています。