【ここがポイント】2. アナログ・オーディオ編

レコードプレーヤーの音質改善テクニック

レコードの演奏になくてはならないレコードプレーヤーは、少し手を加えるだけでもかなりの音質改善が期待できます。

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■プレーヤーを正しく設置しよう

レコードプレーヤーは、しっかりした台の上に水平に設置して下さい。レコードプレーヤーが傾いていると、カートリッジの針先(スタイラス)がレコードの溝に接する角度がずれるため、左右の音の大きさが違ったり、高音や低音が出にくくなるなどの問題が発生することがあります。水平を出すための水準儀などを用意しておくと便利です。

レコードを設置する台(ステージ)は、床からの振動が伝わらないように配慮されていることが理想です。スピーカーから出る音でプレーヤーが振動するとハウリングを発生します。

ハウリングの発生を防止し、レコードプレーヤーの音質を向上させるために、逸品館はウェルフロートボードのアナログ専用モデルを発売しています。

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■レコードをクリーニングしよう

レコードが汚れていると、レコードと針先を痛めます。演奏前に綺麗にしておきましょう。

■カートリッジの取り付け

カートリッジを取り付けるネジリード線などは、音質に影響を与えます。また、トーンアームの適合重量にも合わせなければなりません。わからない時は、逸品館までお問い合わせください。

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カートリッジとヘッドシェルの取付部分に小さな制振製品ゴムなどを挟み、振動をインシュレート(下記写真・左)すると、透明度や音の広がりが向上します。クリプトンのミスティックホワイトを小さく切ってカートリッジとヘッドシェルの間に挟むとよいでしょう。

カートリッジ本体にフェルトなどを張り付ける(下記写真・右)と、針先で生じている音がカートリッジのボディーを共振させることを防げます。透明度、きめ細やかさなどが向上します。

使用するのは、ウール100%のフェルトで裏側に粘着テープが付いているものをはさみなどで、適当なサイズに切ってお使い下さい。
このようなフェルトは日曜大工店で入手できます。

■レコードの摩耗

大切なレコードを痛めないために針圧の軽いカートリッジにこだわる方がいらっしゃいますが、1~5グラム程度の針圧であれば、レコードは痛みませんのでご安心下さい。逆に針圧の軽すぎるカートリッジは針飛びを起こしやすく、レコードに傷を付けてしまうことがあります。

レコードの溝がすり切れないのは、レコードの素材に可塑性(歪んで元に戻る性質)があるためです。

針先はレコードの溝を攻撃的に削るのではなく、レコード盤が針先の圧力によって変形することで、針はレコードの表面を滑るようにトレースしています。針先が通過した後レコードは、再び元の形状に戻ります。このような状態では、レコードの摩耗は発生しません

レコードが摩耗するのはレコード表面に硬いちりやほこりが付いていて、それがヤスリのような働きをしてレコードを削る場合です。あるいは変形した溝が完全に元に戻る(数時間あるいは一日程度掛かると言われています)前に、何度も繰り返し演奏した場合に限られます。

針先とレコードを常にクリーンな状態に保てば、大切なレコードも高価なカートリッジもどちらもほとんど痛みませんのでご安心下さい。

■カートリッジの寿命

針先の寿命もレコード表面がクリーンな状態に保たれている場合には、摩耗が起こらないので長寿命です。ただし、カンチレバーを支えているダンパーはゴム製なので、経年変化で硬化します。使わずに保存しておくと、効果が進むことがありますから、使わないカートリッジでも時々演奏することが、寿命のためにはよいと思います。

摩耗したカートリッジは、倍率の高いルーペで見ると針先が丸くなっていることが確認できます。

レコードを演奏しているときに「音質がやや鈍い」「明瞭度が低下している」「高域が詰まっている」と感じられたら、カートリッジの針先が摩耗し寿命に近づいています。大切なレコードを痛めないよう、早めにカートリッジを交換して下さい。

■モノラルレコードの演奏は、専用のモノラルカートリッジが必要です

LPレコードには1970年以前にプレスされたモノラルと、それ以降のステレオの2種類があります。モノラルレコードは、針先の左右の動きで音声を記録するのに対し、ステレオレコードでは、斜め45度の針先の動きで音声を記録します。
モノラルレコード用カートリッジとステレオレコード用カートリッジは針先の動きの報告(角度)が異なりますレコードに合った専用のカートリッジを使用しないとうまく音が出ないだけでなく、レコードを痛めることがあります。

モノラルレコードの再生には必ずモノラル専用カートリッジをお使い下さい。

■ターンテーブルシート

レコードと直接触れるターンテーブルシートは、音質に大きな影響を与えます。

ターンテーブルシートに求められる特性はオーディオ機器のインシュレーターに求められるものと同じです。必要なのはレコード盤をしっかり支える強度=硬さを持っていること、プラッターの振動をレコードに伝えないことの二つです。
プレーヤーに付属しているのが一般的なゴム製のターンテーブルシートの場合、交換すると音質の改善が期待できます。
鹿皮」「豚皮」「和紙」などを使った、薄手のターンテーブルシートは変な癖もなく、ゴム製品に比べるとしっとりと自然な音質なのでお薦めです。

カートリッジの取付で使ったミスティックホワイトを適当な大きさに切って、ターンテーブルシートに使うと、音のきめ細やかさ透明度などが大きく向上します。

■アームの調整

トーンアームにカートリッジを取り付けるときには、次の点に注意して下さい。

トーンアームの高さ

トーンアームの高さは「針をレコードに落とした状態で水平が理想」が基本ですが、カートリッジとアームの相性により適切な角度が若干変わります
アームが後ろ下がりだと低域寄りに、後ろ上がりだと高域寄りのバランスになりますので、聴きながら調整します。ただし、水平からアームの高さが3~5㎜以上変えると、カートリッジやレコードを痛めます。
3号館のプレーヤーのアームは、「やや後ろ下がり(2㎜ほど)」の調整になっています。

オーバーハング

カートリッジは、トーンアームをプラッターの中心(レコードの穴の部分)に合わせたとき、針先が穴よりも少し外側になるように取り付けます。

この「穴から外側にずれる距離」を「オーバーハング」といいます。「オーバーハング」が狂っていると、カートリッジがレコードの「内周~外周で適切な角度」を維持できなくなり、歪みを発生します。オーバーハングの値(量)は、アームによって決まっていますので、アームやレコードプレーヤーの説明書を参考にして下さい。
値が分からない場合、オーバハングを「12~15㎜」程度にしておけばよいでしょう。
オーバーハングは、さほど神経質になる必要はありません。

インサイドフォース・キャンセラー

レコードの内周付近で起きる「針滑り/針飛び」を防止するため、ほとんどのアームには「インサイドフォース・キャンセラー」が付いています。

値は「針圧と同一」にするように説明されていますが、インサイドフォース・キャンセラーの構造によっては「その負荷がアームの抵抗」となって自由な動きを阻害することがあります。「SME」や「Nottingham」が採用している、「ウエイトで調整するタイプのインサイドフォース・キャンセラー」は音質への影響が少ないので、正規の値に調整してください。

「Thorens」が採用する「ダイヤル式(バネ式)のインサイドフォースキャンセラ-」は、針が滑らない限り値は「針圧の半分」程度にする方が、レコードが開放的に鳴るように思います。「ゼロ」にしても音質が伸びやかに、躍動的になる場合がありますが、針滑りが発生してレコードを傷つけたり、最内周で左右の音量が変わってしまうことがあります。ご注意下さい。インサイドフォース・キャンセラーの量は、音質に大きな影響を与えます。

正規の値を中心に、軽くする方向で調整を行って下さい。

針圧

針圧は、カートリッジの「適正針圧」に合わせるのが妥当ですが、カートリッジの個体差や針先の摩耗状態、あるいは室温で最適値が変わるので、「適正針圧の範囲内」で聴きながら、良いポイントを探ります。カートリッジの最適針圧は、ダンパーの硬さによって変化しますから、針圧調整はレコードを片面ほど演奏して、ダンパーの動きが良くなってから行います。針圧が重すぎると、音質も重々しくなり躍動感や軽快感が殺がれます。軽すぎると、音質が軽薄になりエネルギー感が希薄になります。

「自然に音楽が体に入ってくるポイント」が適正針圧です。

レコードの状態をチェックしながら調整できるテスト用レコード

■カートリッジのコレクション(非売品)

逸品館にある、カートリッジのコレクションです。
これらはただのコレクションではありません。逸品館は商品の選定を「実際にヒヤリングして」行っています。

これらのカートリッジは、ヒヤリング時に聞き比べるための「資料」として利用しています。

MC20GOLDRING・1012GX
ORTOFON・MC20/Super2
ORTOFON・MC20/S

1012GXは、MMカートリッジの代表選手シュアーよりも音が柔らかく色彩感が濃い。
ORTOFONは、MC20SよりもSuper2の方が音が明るい。
SHURE1SHURE・M44G
SHURE・V15Vx
SHURE・V15/TYPE3

名機の誉れ高い[TYPE3]は、さすがにシュアー製品の中で最も癖が少なくバランスがよい。廉価モデルのM44GとトップモデルのV15Vxの音質の違いは、価格ほどは大きくない。シュアーは、一番安い製品がお薦め。
TSDEMT・TMD(MONO)
EMT・TSD/金ラベル
EMT・TSD/銀ラベル

現在のSPUの音質は、初代からずいぶん変わってしまった。EMTは比較的ビンテッジの音質を継承している。EMTの発電部分(シェルを除いたカートリッジ部分)をモディファイして作られた製品も多い。(ROKSAN・EINSTEINなど)
SHURE2SHURE・V15/TYPE3
SHURE・M75-6/TYPE2
SHURE・M91ED
ELAC/STS344
PICKRING/V-15/AM-3
SPUORTOFON・SPU(オリジナル)
ORTOFON・SPU/SL15
ORTOFON・/M15
GLACE?・不明

このSPUの音を聴いてしまうと・・・ORTOFON/SPUが「如何に凄かった」がよくわかる。この時代のヨーロッパのメーカーの音楽/知性/文化が如何に優れていたか、その音質から伝わるように思うほどだ。
DECCADECCA・Mark5
DECCA・C4E
DECCA・Mark3
DECCA・Mark2
GRACE・不明
IKEDAIKEDA/9C

IKEDAのカートリッジには、DECCAと同じくカンチレバーがない。カンチレバーという無駄に共振物がないこれらのカートリッジは、非常にストレートで癖のない音を再現する。IKEDAは、ややモノトーンでモニター的に聞こえるが、DECCAには舶来製品らしい「色艶」がある。
ENPEMPIRE・1000ZE
EMPIRE・999VE
EMPIRE・不明
B&O・SP15
B&O・SP12
ADCADC・XLM
ADC・10E/MK4
ADC・不明
ADC・不明
PHILIPS・412
GRACE・不明
DENON・DL103/初期モデル
SATIN・M11E
FAIRCHILD・SM2
GRACE・MODEL/FC
FRFIDELITY-RESEARCH・FR5
TECHNICS・260C
SATIN・MODEL14
FIDELITY-RESEARCH・FR1/MK2
DENON・DL107