【納得できるシアター作り】4. 最適なスクリーンサイズを見つけよう
最適スクリーンサイズとプロジェクターとの相性
スクリーンをお選びになるとき、悩ましいのが「スクリーンのサイズ」です。できるだけ大きなサイズのスクリーンを使いたいとお考えになる気持ちは大変よくわかりますが、大きすぎると意外に使い辛いのがスクリーンです。
そこで一般的な、「6,8,10畳」の部屋を例にあげて、最適なスクリーンサイズと適合するプロジェクターの投影距離を計算してみました。
標準的な部屋のサイズ (畳を敷ける部屋のタイプを想定)
サイズ(畳) | 幅(mm) | 奥行き(mm) |
---|---|---|
6 | 2550 | 3400 |
8 正方形 | 3400 | 3400 |
8 長方形 | 2720 | 4250 |
10 | 3400 | 4250 |
標準的なワイドスクリーンの寸法
スクリーンのサイズ(インチ) | 画面 幅(mm) | 画面 縦(mm) | ケース 幅(mm) |
---|---|---|---|
80 | 1771 | 996 | 2000 |
90 | 1992 | 1121 | 2221 |
100 | 2214 | 1245 | 2443 |
110 | 2435 | 1370 | 2664 |
120 | 2657 | 1494 | 2886 |
※スクリーンはすべてHDワイドサイズ(16:9)で考えます。
スクリーンを選ぶとき、一番重要なのはプロジェクターの投影距離と画面サイズの関係です。
家庭用プロジェクターとして一般的な、3mの投影距離で100型の画面サイズの製品を基準として、6~8畳の部屋にプロジェクターとスクリーンを導入したときの目安が下の図になります。
スクリーンのサイズと①、②、③(単位はmm)からプロジェクター設置の可否を判断すると次のようになります。
畳 | 80型 | 90型 | 100型 | 110型 | 120型 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
① | ② | ③ | ① | ② | ③ | ① | ② | ③ | ① | ② | ③ | ① | ② | ③ | |
6 | 250 | 325 | 650 | 250 | 225 | 350 | 250 | 125 | 50 | 250 | × | × | 250 | × | × |
8正 | 250 | 780 | 650 | 250 | 650 | 350 | 250 | 550 | 50 | 250 | 425 | × | 250 | 325 | × |
8長 | 250 | 440 | 1500 | 250 | 310 | 1200 | 250 | 210 | 900 | 250 | 85 | 600 | 250 | × | × |
10 | 250 | 780 | 1500 | 250 | 650 | 1200 | 250 | 550 | 900 | 250 | 425 | 600 | 250 | 325 | 300 |
①は、スクリーンの膜面と壁との距離です。
スクリーンは壁ぎりぎりに取り付けられないので、壁からスクリーンの膜面までの隙間を25cmに設定しています。また、センタースピーカーをスクリーンの後ろに置くためにこの距離です。
②は、スクリーンを中央に取り付けた場合の左右の壁までの距離です。
③は、3mで100型を投影できるプロジェクターを設置するためのプロジェクターのレンズ面までの距離です。
①②③から、部屋の大きさに応じたスクリーン、プロジェクターの設置位置の関係が左図になります。
※方形の点線で仕切られた部分が畳を敷けるような比率にした部屋のサイズで、「6畳=緑 / 8畳=黒 / 10畳=赤」に色分けしています。
※上の方にある横線がスクリーンの膜面の幅(ケース幅はそれより大きい)で「80型=緑 / 90型=金 / 100型=黒 / 110型=青 / 120型=赤」に色分けしています。
逸品館がお薦めする最適スクリーンサイズ
■ SC=スクリーンサイズ
■ PJ=プロジェクターで100型の画像を投影できる最短設置距離(プロジェクターの設置奥行きは40mとして計算)
畳 | 80型 | 90型 | 100型 | 110型 | 120型 | |
---|---|---|---|---|---|---|
6 | SC | どんなタイプのスクリーンでも設置可能です。 | スクリーンと左右壁までの幅が非常に狭く、幅が10cm程度の細長いスピーカーを選ぶかサウンド透過型スクリーンをお選び下さい。 | 設置は不可能ではありませんが、サウンド透過型スクリーンでケース幅が部屋の横幅以内で取付可能な製品をお選び下さい。 | 設置不可能 | 設置不可能 |
PJ | 3.4m以下 | 3.1m以下 | 2.8m以下 | 2.5m以下 | 設置不可能 | |
8 正 方 形 | SC | どんなタイプのスクリーンでも設置可能です。 | どんなタイプのスクリーンでも設置可能です。 | どんなタイプのスクリーンでも設置可能ですが、投影距離の短いプロジェクターを選ぶ必要があります。音質を優先なさりたい場合には、サウンド透過型スクリーンをお薦めします。 | どんなタイプのスクリーンでも設置可能ですが、センタースピーカーをお使いの場合には、サウンド透過型スクリーンをお薦めいたします。 | どんなタイプのスクリーンでも設置可能ですが、センタースピーカーをお使いの場合には、サウンド透過型スクリーンをお薦めいたします。 |
PJ | 3.4m以下 | 3.1m以下 | 2.8m以下 | 2.5m以下 | 設置不可能 | |
8 長 方 形 | SC | どんなタイプのスクリーンでも設置可能です。 | どんなタイプのスクリーンでも設置可能です。 | スクリーンと左右壁までの幅が非常に狭く、幅が10cm程度の細長いスピーカーを選ぶかサウンド透過型スクリーンをお選び下さい。 | 設置は不可能ではありませんが、サウンド透過型スクリーンでケース幅が部屋の横幅以内で取付可能な製品をお選び下さい。 | どんなタイプのスクリーンでも設置可能ですが、センタースピーカーをお使いの場合には、サウンド透過型スクリーンをお薦めいたします。 |
PJ | 4.5m以下 | 4.0m以下 | 3.6m以下 | 3.3m以下 | 3.0m以下 | |
10 | SC | どんなタイプのスクリーンでも設置可能です。 | どんなタイプのスクリーンでも設置可能です。 | どんなタイプのスクリーンでも設置可能です。 音質を優先したい場合には、サウンド透過型スクリーンをお薦めします。 | どんなタイプのスクリーンでも設置可能ですが、センタースピーカーをお使いの場合には、サウンド透過型スクリーンをお薦めいたします。 | どんなタイプのスクリーンでも設置可能ですが、センタースピーカーをお使いの場合には、サウンド透過型スクリーンをお薦めいたします。 |
PJ | 4.5m以下 | 4.0m以下 | 3.6m以下 | 3.3m以下 | 3.0m以下 |
■スクリーンを壁面や天井へ取り付けるときの注意
スクリーンは、壁面もしくは天井面の梁(はり)のある場所に穴を開けて、スクリーンの金具を取り付け、本体を設置する取り付け方法が一般的です。梁のない場所に金具を取り付けるとスクリーンの重量を支えきれず、スクリーンが落下します。
梁は、建築業者さんに確認するのが一番確実なのですが、ご自分で梁の場所をお調べになる方法としては、壁を叩くのではなく、まち針などで壁を突き刺して確かめる方法がお薦めです。まち針が抵抗無く突き刺さる場合は、そこには梁はありません。まち針を強く押しても突き刺さらなければ、そこが梁のある場所です。梁が見つかったら、梁の垂直、あるいは水平線上にスクリーンを取り付けます。
この方法なら、壁に目立つ跡を残さずに梁のある場所を確実に見つけられます。さらに、まち針を壁に刺すとき、足元の低い位置で試すとチェックした後は、まず目立たちません。
大きなスクリーンを設置するためには、意外に条件が複雑です。
間違いのないスクリーンサイズを決めるには、まず部屋の大きさをきちんと採寸します。
次にプロジェクターの投影距離と画像サイズをカタログで確認します。
最後にプロジェクターのサイズ(投影距離はレンズからスクリーン膜面までの距離)とスクリーンを取り付けたときの膜面の位置を考えます。
これらを簡単に考えるには、日本家屋の畳に着目します。部屋が6畳もしくは、8畳/正方形の場合なら、部屋の横幅は100型のスクリーンに対して十分な長さがあります。しかし縦方向を考えた場合、広角レンズを採用しているプロジェクターでなければスクリーンいっぱいに画像が投影できませんので注意が必要です。
上記のサイズの部屋の縦方向の大きさは、340cmです。スクリーン背後にセンタースピーカーを設置するスペースを約25cm取ると、残りは315cmになります。さらにプロジェクターのスペース(レンズと壁の距離)として40cmを引いた残りの275cmがプロジェクターのレンズからスクリーンまでの距離となります。つまり、スクリーンいっぱいに画面を広げるためには、275mmの距離で100型を投影可能な短焦点のプロジェクターを探さねばなりません。しかし、このような商品は意外に少ないのです。
結果としてプロジェクターの選択を優先すると、8畳/正方形の部屋に設置可能な最大サイズのスクリーンは「90型」が限度で、使用できるプロジェクターも100型スクリーンまでの投影距離が3.1m以下というかなり厳しい条件が付くということになります。部屋が6畳の場合にも条件は同じです。
次に8畳/長方形の部屋を考えましょう。部屋のタイプが長方形になると奥行きには余裕ができますが、横幅に問題が生じます。部屋の幅が272cmだとすると、100型のスクリーンではケース幅が大きすぎて部屋に入らないことがあります。ケース幅の比較的小さなスクリーンを選べば100型が取り付けられますが、スクリーンの画面幅が221cm、これに左右の黒幕部分10cmを加えた231cmを部屋の横幅から引くと左右には約20cmの僅かなスペースしか残りません。このスペースにスピーカーを設置しようとすると、スピーカーの影がスクリーンに映り込まないようにしないためには、スピーカーの横幅が15cm以下程度の非常に細長いスピーカーしか設置できず、音質の良いスピーカーを設置するためには、サウンド透過型スクリーンを使うしかなくなります。しかし、プロジェクターの投影距離は3.6m以下で100型になればよく、ほとんどのモデルが適合します。
10畳になると、100型のスクリーンは余裕で取り付けられますが、110型、120型になるとスクリーンの上下長が大きくなりますから、センタースピーカーを使ってできるだけ良好な音場を得たい場合には、サウンド透過型スクリーンを選ぶ方が良くなります。プロジェクターも投影距離が短いモデル(100型で3.3~3.0m以下)を選ばなければなりません。
このように条件さえきちんと把握できれば、スクリーンとプロジェクターの選択はそれほど難しくはないと思いますが、悩ましいとき、迷ったときには一つ小さめのスクリーンにするか、弊社スタッフにご相談下さいませ。