「TAD - ME1(同軸3Wayスピーカー)」 ご紹介と音質チェック
目次
今回のメイン使用機材
■ TAD - ME1-K
(ブックシェルフスピーカー)
メーカー希望小売価格 630,000円(1台・税別)
専用スタンド ST-3-K メーカー希望小売価格 240,000円(ペア・税別)
TADの一番小さなスピーカー、ME1(Micro Evolution One)中型ブックシェルフ型エンクロージャーに口径9cmの同軸2Wayユニットとアラミド複合素材振動板を採用する16cmウーファーを搭載した、高性能な3Wayスピーカーです。基本的なデザイン・コンセプトは先に発売された「CE1」を踏襲していますが、CE1には使われていなかった新たな技術も採用されています。
○TAD - ME1の概要
定位に優れ、自然な拡がりを再現する新開発9cmCSTドライバーを搭載
ME1には搭載する16cmウーファー(CE1は18cm)にマッチングするように開発された、TADが世界に誇る同軸ユニット「CST」の口径9cmが採用されました。振動板の素材は、ツィーターにベリリウム、ミッドレンジにマグネシウムが使われ、コンピューター解析により分割振動とピストンモーションの最適バランスを導き出し、振動板形状を最適化することで材料固有のカラーレーションを排除し、立体的で澄み切った中音域を再生します。
CE1から進化し、さらに小口径に最適化されたCSTユニット
ME1のために開発された新型CSTドライバーは、420Hzから60kHz(CE1は、250Hzから100KHz)という広帯域にわたり位相特性・指向特性ともに優れた音響特性を持ち、安定した定位と自然な音場空間をもたらします。ユニットの小口径化にあわせてクロスオーバー周波数は「ミッドレンジとウーハー:420Hz」、「ミッドレンジとトゥイーター:2.5kHz」(CE1は、250Hz、2KHz)に変更されています。
- スコーカーに使われるマグネシウムの表面に、クリアな塗膜(コーティング)が施されました。このコーティングにより振動板の不要な暴れが抑えられ、中高域がよりスムースになりました。
- CE1では共通だった、ツィーターとスコーカー(ミッドレンジ)のマグネットを独立させ、磁気回路の干渉を低減し、ツィーターとスコーカーのリニアリティーがさらに向上しています。
- スコーカーの口径が14cm→9cmと小型化され、スコーカーのコーンがより角度の強い山型になったことで本来なら指向性が強まります。これに対処するため、ツィーターの周囲に配置される「マッチングホーン(ウェーブガイド)」の形状を最適化し、CE1に搭載される口径16cmのCSTと変わらない、広い指向性を実現しています。
▼CE1のCSTユニット
新開発16cm口径ウーファーを採用
ウーファーには、アラミドの織布に不織布をラミネートした振動板を新開発。ボイスコイルには高強度のチタン製ボビンが採用されました。高い放熱特性をもち、パワーリニアリティに優れる新型ウーファーは、クリアな低音を再生し、カラーレーションのない素直な中低域の再生の実現に貢献します。
Bi-Directional ADSポートを採用
“CE1”のために開発された、エンクロージャーの両サイドパネルにスリット状のポートを配置し、前後へ開口部をレイアウトする「Bi-Directional ADSポート」がME1にも採用されました。銀杏の葉を合わせたような、この独特なバスレフポートは滑らかに効率よくポートから気流を排入出させ、ポートノイズを低減するとともにウーファー再生帯域内に強く影響を及ぼす低次の内部定在波がポートから漏洩する現象を抑制します。
さらにポートを前後・左右に対称レイアウトとしたことで、吹き出す空気がエンクロージャーを振動させる力が打ち消され、ME1はこのサイズのスピーカーの常識を覆す豊かで力強い低域の再生を実現するとともに、理想的な「音の広がり(左右対称の緩やかな指向性)」を生み出すことにも成功しています。
ポートから排出される低音を前後にむらなく広げるための「プレート」部分は、CE1の5mm厚アルミから、ME1では3mm厚鋼板へと変更され、強度の低下を招くことなく本体のスリム化を実現しています。
キャビネットの不要共振を低減するSILENTエンクロージャーを採用
ME1にはCE1で実績のある、高剛性の樺(バーチ)合板のフレームと、高内部損失のMDF材の外装パネルを組み合わせることで高い強度と低い共振を実現したSILENTエンクロージャーを採用しています。さらに、4mm厚の鋼板パネルで左右から挟むことでキャビネットの不要共振を低減しています。また、エンクロージャー内部の定在波解析を行い、最適な吸音材を選定して効果的に配置することで、音像・音場に悪い影響を及ぼす内部定在波を排除しています。
干渉を最小にするため独立してマウントされたネットワークフィルターを採用
音響出力特性・エネルギー特性・インピーダンス特性等を最適化するように決定された各次定数により、ME1はレスポンス・及び、位相特性が最適化されています。CST用のフィルターには、厳選されたPPフィルムコンデンサ・無誘導抵抗・空芯コイルなどが使用され、ネットワークフィルターを独立装備することによって各々の干渉を最小に抑え、16cmウーファー用のフィルターには磁気特性に優れる低損失コアを用いたコイルを使用し、直列に挿入される抵抗分を可能な限り低減するとともに、厳選された低損失電解コンデンサ・無誘導巻線抵抗・空芯コイルなどを採用することで、ME1はひずみのないクリアな音質と豊かな立体感を創出します。
型式 | 3ウェイバスレフ ブックシェルフ型 |
---|---|
スピーカー構成 | 3ウェイ方式 |
ウーファー | 16 cmコーン型 |
ミッドレンジ / トゥイーター | 同軸9 cmコーン型 / 2.5 cmドーム型 |
再生周波数帯域 | 36 Hz ~ 60 kHz |
クロスオーバー周波数 | 420 Hz、2.5 kHz |
出力音圧レベル | 85 dB(2.83 V・1 m) |
最大入力 | 150 W |
公称インピーダンス | 4 Ω |
ユニット極性 | 低域(+)、中域(+)、高域(+) |
外形寸法 (W×H×D) | 251 mm × 411 mm × 402 mm |
質量 | 20 kg |
付属品 | ショートケーブル x 2 、クリーニングクロス、滑り止めパッド x 4 |
その他の使用機材
今回の試聴は、3号館のデジタルコンサート(奥側の部屋)でカーペットの上に「AIRBOW - WFB-4449HD」を置き、その上に「ジークレフ音響 - Well-Disc」を設置、ME1+専用スタンドST-3をスパイクベースを使わずに設置しました。
CDプレーヤーには「TAD - D1000 MK2」を選び、「AIRBOW - MBN-N54LTD MK2」(ミュージックPC)からUSBでデーターを入力することで、D1000 MK2を「DAC」として使っています。パワーアンプには「TAD - M1000」を選び、プリアンプを使わない場合と、TADの音質に最適化されている「AIRBOW - Jumbo Shrimp Ultimate」(真空管プリアンプ)を使った場合の音質を比較しました。
使用機材メーカー・ブランド
TAD
(ティーエーディー)
AIRBOW
(エアボウ)
試聴テスト使用楽曲
■ 基本テスト用音源
■ Classic(クラシック)
■ Jazz(ジャズ)
■ Pops(洋楽)
■ J-POP(邦楽)
試聴テスト本文
以下の項目別に分け、計5件の動画形式で試聴を実施しました。
- TAD - ME1をTAD - D1000 MK2 ⇒TAD - M1000(ダイレクト)、AIRBOW - Jumbo Shrimp Ultimateで
- TAD - D1000 MK2 ⇒ AIRBOW - Jumbo Shrimp Ultimate ⇒ TAD - M1000で「クラシック」
- TAD - D1000 MK2 ⇒ AIRBOW - Jumbo Shrimp Ultimate ⇒ TAD - M1000で「ジャズ」
- TAD - D1000 MK2 ⇒ AIRBOW - Jumbo Shrimp Ultimate ⇒ TAD - M1000で「ポップス」
- TAD - D1000 MK2 ⇒ AIRBOW - Jumbo Shrimp Ultimate ⇒ TAD - M1000で「邦楽」
1. TAD - ME1をTAD - D1000 MK2 ⇒TAD - M1000(ダイレクト)、AIRBOW - Jumbo Shrimp Ultimateで聴き比べてみた。
2. TAD - D1000 MK2 ⇒ AIRBOW - Jumbo Shrimp Ultimate ⇒ TAD - M1000で「クラシック」を聴いてみた。
3. TAD - D1000 MK2 ⇒ AIRBOW - Jumbo Shrimp Ultimate ⇒ TAD - M1000で「ジャズ」を聴いてみた。
4. TAD - D1000 MK2 ⇒ AIRBOW - Jumbo Shrimp Ultimate ⇒ TAD - M1000で「ポップス」を聴いてみた。
5. TAD - D1000 MK2 ⇒ AIRBOW - Jumbo Shrimp Ultimate ⇒ TAD - M1000で「邦楽」を聴いてみた。
レポート 逸品館代表 清原 裕介
作成日時 2022年11月