【ここがポイント】1. PC・ネットワークオーディオ編

PC・ネットワークオーディオ、高音質への手引き

■ハイレゾ・DSDは本当に音が良いのか

高音質な音源は、現在ダウンロードでの取得が主流です。録音時から高音質で録音されているソフトであれば問題なく音が良いのですが、通常音質で録音されたソフトを業務用機器でアップサンプリング(あるいはDSD変換)されたものが、堂々と「ハイレゾやDSDとして販売」されています

NHKは小澤征爾さんの交響曲を96kHz/24bit(非圧縮)で収めたサラウンドBDを発売していますが、原音は48kHz/24bitで録音していると公言しています。彼らの主張によれば、96kHz/24bit録音と48kHz/24bit録音の音質は変わらないと言うことですが、録音に使われるマイクの高周波特性が22kHz程度であることを考えれば、納得できる事実です。NHKのBDは、この原音がコンソールでアップサンプリングされて収録されています。もちろん、音質は抜群です。

高音質を売り物にするのであれば、本来このようなディスク(データ)は、疑似ハイレゾPCMをDSDに変換しているディスク(データ)は、DSD変換と表記すべきです。SACDでは、DSD録音されたディスクにはDSDダイレクト録音などの表示があったのですが、残念ながらダウンロード音源には、そういう正確な表示義務やアライアンスがなく、疑似高音質ソフトが野放しになっているので注意が必要です。

もし、ハイレゾ / DSDで音質が思わしくないときは、システムだけでなく、ソフトそのものも疑う必要があります。

■PCオーディオの音質はハードウェアだけではなくソフトウェアも担っている

アナログレコードの時代、音の良い製品は例外なく大きく、精度が高く、いかにもという風貌をしていました。CDの時代も同じです。スピーカーやアンプも当時から大きく変わらりません。

けれど、スマートフォンやPCからより良い音を出そうと考えたとき、その常識はあてはまりません。

それは、ハードウェアを動かすためのソフトウェアが音質を大きく左右するからです。

■PCオーディオ高音質化のポイントはPCにある

ダウンロードで取得できる高音質ソフトから良い音を出すためには、パソコンが不可欠です。
そしてパソコンからより良い音を取り出すためにUSB-DACが使われます。

多くのお客様は同一のPCで複数のDACを聞き比べるため、DACが音質を決めていると考えています。
それは間違っています

逸品館にはWindows XP/7/10/11がインストールされたパソコンとMAC-OS Xがインストールされたパソコンがあります。
同一のDACを複数のPCで聞き比べると、PCによる音の違いが、DACによる音の違いよりも大きいことに気がつきます。

Windowsで動くパソコンの音質は、Macやi-Podに比べるとかなり劣ります。処理速度の遅い旧型のパソコンも新しいものに比べると、音が良くありません。ノートPCとデスクトップPCでは、ノートPCの音が良いのですが、これは電源のノイズが小さいからです。

同じDACを使った場合、Windowsで聞くハイレゾ・DSDよりも、Macやi-Podで聞く通常音源(CDをリップした音源)の音が良いほど、PCによる音の違いは大きいものです。高音質を狙うならパソコンはMacか、Macよりも使いやすく音質にも優れているAIRBOWの音楽専用PCをお使いください。

それでなければ、せっかくのDACが、実力を発揮できません。

■PCオーディオからネットワークオーディオへ

オーディオ機器をネットワークに繋げば、インターネットを通じて全世界の音源(や映像)へのアクセスが可能になり、無限の音源をあなたは手に入れられます。

著作権が許せば、あなたのライブラリーを地球の裏側の友人と共有することも可能です。
素晴らしい音楽との出会いの機会が増える。それがネットワークオーディオの最大の魅力です。

■DAC(プレーヤー)と音源(サーバー)は、LANで接続する

ネットワークで音楽を聞く場合には、DAC(ネットワークプレーヤ-)と音源をLANで接続し、音楽ファイルをサーバーに置きます。

サーバーも音質に大きな影響を与えます。最近、IO DATAなどから高音質を謳うサーバーが売り出されてきましたが、Windowsからこれらの高音質サーバーに音源を移し替えると、音質は改善します。

■ネットワークオーディオの音質も「ハードウェア」だけではなく「ソフトウェア」が重要

私達がこれまで使ってきたオーディオ機器は、目に見える形のハードウェアとそれが内蔵するソフトウェアがセットになり、ユーザーがソフトウェアを変更することができませんでした。

しかし、ハードウェアを動かすための仕組みのソフトウェア が個別に供給されるネットワーク(PC)オーディオでは、ユーザーは好みのソフトウェアを使って、ハードウェアを動かせます。

これまでのオーディオ機器では、ソフトウェアハードウェアがセットになって供給されていたため、ケーブルなどのアクセサリーを使うことでしか、ユーザーは購入した製品の音質を変えることができませんでしたが、ネットワークオーディオでは、ハードウェアはそのままでソフトウェアを入れ替えるだけで、音質が大きく変えられます。また、好みのソフトウェアとハードウェアを組み合わせて、パーソナルなシステムを作ることもできます。

ソフトウェアが自由に選べるネットワークオーディオの世界では、あなたが選んだソフトウェア(OS含む)の音質差が、再生される音質に大きく影響します。しかし、ソフトウェアの音質研究(検証)は、まだ始まったばかりです。

ただ完全に熟成されつつあるCDプレーヤーと比べ、この分野はまだ発展途上で価格と音質が比例していないことも多く、WEBや雑誌などから得られる情報もソフトウェアの音質に関しては不十分なことが多いようです。
PC・ネットワークオーディオの情報は、最先端の研究を続けている逸品館の製品・音質テストレポートをご活用ください。

■ネットワークオーディオで使われるソフトウェアの名称

【DMS/Digital Media Server】
音源データーを保管して、それをネットワークに配信できる装置です。PCにもその機能はありますが、サーバーとしてPCを使う場合には、対応するソフトと設定が必要です。一般的には「Windows Media Player」などがよく知られていますが、より良いソフトとハードを選ぶことで、音質を飛躍的に改善できます。

【DMP/Digital Media Player】
DMR
DMCを含み、単体でプレーヤーとして使えるソフトウェアです。
「Windows Media Player」、「i-Tunes」などがDMPに相当します。

【DMR/Digital Media Renderer】
DMP
からの指令を受けてDACなどのハードウェアを動かすためのソフトです。DMCからの指令をハードウェアに伝えるだけの仕事しかしないソフトですから、このソフトの存在を意識することはありません。

【DMC/Digital Media Controller】
DMCはネットワーク上にあるそれぞれの機器を操作するための仕組み
です。marantzやDENON、PioneerやYAMAHA型ブレット用に用意しているコントロールアプリは、タブレットをDMCとして使えるようにするアプリケーションです。

これらの4つのソフトウェアと必要なハードウェアが組み合わさっているのが、ネットワークオーディオ製品です。